発表年:1985年
ez的ジャンル:ひんやり系ネオアコ
気分は... :お金よりも愛だよね!
Ben WattとTracey ThornによるユニットEverything But The Girl(EBTG)の3回目の登場です。
『Eden』(1984年)、
『Walking Wounded』(1996年)に続いて紹介するのは、『Love Not Money』(1985年)です。
『Love Not Money』は、デビュー・アルバム『Eden』に続いてリリースされたEBTGの2ndアルバムです。
基本的には『Eden』と同じアコースティック路線ですが、ジャジーな雰囲気だった『Eden』と比べると、もっとフツーにネオアコしている印象を受けます。
このアルバム以降のEBTGは、オーケストラを大胆に導入した3rd『Baby the Stars Shine Bright』(1986年)、打ち込みサウンドを取り入れよりポップな方向へ進んだ4th『Idlewild』(1988年)と変化を続けていくことになります。
その意味で、EBTG=ネオアコというイメージをお持ちの方にとって、『Love Not Money』は『Eden』と共にグッとくるアルバムなのでは?僕もそんな一人です。
僕の場合、青春の思い出とリンクするTracey Thornのソロ『A Distant Shore』(1982年)、Ben Wattのソロ『North Marine Drive』(1983年)、デビュー作『Eden』(1984年)という3枚のアルバムに対して、深い愛着を持っています。
なので、それらと比較すると『Love Not Money』というアルバムへの思い入れは当時少なかったかもしれません。でも、こうして聴き直してみると、ネオアコ・アルバムという点では『Eden』以上によく出来たアルバムという気もします。
EBTGの場合、Tracey Thornの特徴的な低音ひんやりヴォーカルと曲・サウンドのマッチングが肝だと思っています。
そう考えると、やはりアコースティックなネオアコ路線が一番マッチしていると思います。あまりポップすぎる方向や分厚いサウンドは、少しビミョーという気がしますね。逆に賛否両論だったドラムン・ベース路線は結構マッチしていたと思います。
本作のプロデュースは、『Eden』に引き続きRobin Millarが担当しています。
オススメ曲を紹介しときやす。
「When all's well」
アルバムからの1stシングル。EBTGの魅力全開のネオアコ・チューンに仕上がっています。僕もアルバムで一番のお気に入りです。ホーンの入り方など青春系ネオアコ好きの方にはたまらないですよね。
「Heaven Help Me」
Tracey Thornのひんやりヴォーカルを堪能できます。バック・コーラスのJune Miles-Kingstonとの絡みもバッチリです。
「Are you trying to be funny」
軽快なフォーキー・グルーヴ。わりと正統派フォーク・ロックしていますね。
「Ugly little dreams」
30年代に活躍した悲劇の女優Frances Farmerについて歌ったもの。フォーク・テイストな仕上がりです。
「Shoot me down」
EBTGらしい気だるいモードのヴォーカル&サウンドを堪能できます。この少し暗めのトーンこそEBTGという気がしますね。
「Ballad of the times」
ネオアコ好きの人にとっては、王道パターンの曲ですね。もっとこのパターンの曲があってもいいですね。
「Kid」
Pretendersの2ndシングル(1979年)のカヴァー。タイプは全く違いますが、Chrissie HyndeもTracey Thornもドスの効いた(?)ヴォーカルですからね。って書いたらTracey Thornに怒られますね(笑)
「Anytown」
60年代の香りが漂う曲ですね。なかなか小気味良く展開します。
「This love (not for sale) 」
本アルバムでは、この曲が一番ジャジーな雰囲気ですね。Tracey ThornとBen WattをフィーチャーしたStyle Council「Paris Match」なんかと一緒に聴くと合うかも?
「Trouble and strife」
「When all's well」と並んでアルバムで好きな曲です。ネオアコらしい疾走感に溢れたカッチョ良い1曲。
「Angel」
シングルにもなった曲。あまりシングル向きとは思えない、ダークな雰囲気が魅力です。
なお、「Kid」、「Heaven Help Me」はUK盤には未収録のUS盤、日本盤のみのボーナス・トラックです。
もう2月も終わりか。早いなぁ。