2008年02月29日

Everything But The Girl『Love Not Money』

最もネオアコらしいEBTG作品☆Everything But The Girl『Love Not Money』
Love Not Money
発表年:1985年
ez的ジャンル:ひんやり系ネオアコ
気分は... :お金よりも愛だよね!

Ben WattTracey ThornによるユニットEverything But The Girl(EBTG)の3回目の登場です。

『Eden』(1984年)、
『Walking Wounded』(1996年)に続いて紹介するのは、『Love Not Money』(1985年)です。

『Love Not Money』は、デビュー・アルバム『Eden』に続いてリリースされたEBTGの2ndアルバムです。

基本的には『Eden』と同じアコースティック路線ですが、ジャジーな雰囲気だった『Eden』と比べると、もっとフツーにネオアコしている印象を受けます。

このアルバム以降のEBTGは、オーケストラを大胆に導入した3rd『Baby the Stars Shine Bright』(1986年)、打ち込みサウンドを取り入れよりポップな方向へ進んだ4th『Idlewild』(1988年)と変化を続けていくことになります。

その意味で、EBTG=ネオアコというイメージをお持ちの方にとって、『Love Not Money』『Eden』と共にグッとくるアルバムなのでは?僕もそんな一人です。

僕の場合、青春の思い出とリンクするTracey Thornのソロ『A Distant Shore』(1982年)、Ben Wattのソロ『North Marine Drive』(1983年)、デビュー作『Eden』(1984年)という3枚のアルバムに対して、深い愛着を持っています。

なので、それらと比較すると『Love Not Money』というアルバムへの思い入れは当時少なかったかもしれません。でも、こうして聴き直してみると、ネオアコ・アルバムという点では『Eden』以上によく出来たアルバムという気もします。

EBTGの場合、Tracey Thornの特徴的な低音ひんやりヴォーカルと曲・サウンドのマッチングが肝だと思っています。

そう考えると、やはりアコースティックなネオアコ路線が一番マッチしていると思います。あまりポップすぎる方向や分厚いサウンドは、少しビミョーという気がしますね。逆に賛否両論だったドラムン・ベース路線は結構マッチしていたと思います。

本作のプロデュースは、『Eden』に引き続きRobin Millarが担当しています。

オススメ曲を紹介しときやす。

「When all's well」
アルバムからの1stシングル。EBTGの魅力全開のネオアコ・チューンに仕上がっています。僕もアルバムで一番のお気に入りです。ホーンの入り方など青春系ネオアコ好きの方にはたまらないですよね。

「Heaven Help Me」
Tracey Thornのひんやりヴォーカルを堪能できます。バック・コーラスのJune Miles-Kingstonとの絡みもバッチリです。

「Are you trying to be funny」
軽快なフォーキー・グルーヴ。わりと正統派フォーク・ロックしていますね。

「Ugly little dreams」
30年代に活躍した悲劇の女優Frances Farmerについて歌ったもの。フォーク・テイストな仕上がりです。

「Shoot me down」
EBTGらしい気だるいモードのヴォーカル&サウンドを堪能できます。この少し暗めのトーンこそEBTGという気がしますね。

「Ballad of the times」
ネオアコ好きの人にとっては、王道パターンの曲ですね。もっとこのパターンの曲があってもいいですね。

「Kid」
Pretendersの2ndシングル(1979年)のカヴァー。タイプは全く違いますが、Chrissie HyndeもTracey Thornもドスの効いた(?)ヴォーカルですからね。って書いたらTracey Thornに怒られますね(笑)

「Anytown」
60年代の香りが漂う曲ですね。なかなか小気味良く展開します。

「This love (not for sale) 」
本アルバムでは、この曲が一番ジャジーな雰囲気ですね。Tracey ThornBen WattをフィーチャーしたStyle Council「Paris Match」なんかと一緒に聴くと合うかも?

「Trouble and strife」
「When all's well」と並んでアルバムで好きな曲です。ネオアコらしい疾走感に溢れたカッチョ良い1曲。

「Angel」
シングルにもなった曲。あまりシングル向きとは思えない、ダークな雰囲気が魅力です。

なお、「Kid」、「Heaven Help Me」はUK盤には未収録のUS盤、日本盤のみのボーナス・トラックです。

もう2月も終わりか。早いなぁ。
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2008年02月28日

James Taylor『Gorilla』

都会派ポップ/ソウル路線がより馴染んできた作品☆James Taylor『Gorilla』
Gorilla
発表年:1975年
ez的ジャンル:都会派ポップ/ソウル系シンガーソングライター
気分は... :和みますなぁ〜

70年初めのシンガーソングライター・ブームの立役者James Taylorの2回目の紹介です。

今回紹介するのは1975年発表の6thアルバム『Gorilla』です。

前回の『In the Pocket』の記事でも書きましたが、現在の僕は『Sweet Baby James』(1970年)、『Mud Slide Slim and the Blue Horizon』(1971年)、『One Man Dog』(1972年)といったシンガーソングライター・ブームを代表する初期3作品よりも、本作『Gorilla』(1975年)、前回紹介した『In the Pocket』といったポップな味わいの作品の方を好んで聴ききます。

ポップかつリラックスした雰囲気が魅力ですね
僕自身は熱心なJTファンという訳ではないので、気軽に聴けるこれらの作品に惹かれるのだと思います。

前作『Walking Man』(1974年)でJTは大きな転機を迎えました。プロデューサーがデビュー以来の付き合いだったPeter AsherからDavid Spinozaに代わり、ニューヨークのスタジオ・ミュージシャンを起用した結果、『Walking Man』は都会的なポップ/ソウル・テイストが強調された作品となります。

『Walking Man』が布石となり、JT本来のフォーキーな魅力と新しい都会派ポップ/ソウル路線がより馴染んできた作品が『Gorilla』、『In the Pocket』だと思います。

同じ都会派路線でも前作『Walking Man』がN.Y.録音であったのに対して、『Gorilla』『In the Pocket』はL.A.録音です。JTには西海岸の雰囲気の方が似合いますよね。

プロデュースは『In the Pocket』と同じくRuss TitelmanLenny Waronkerです。

Graham Nash、David Crosby、Carly Simon、Lowell George、Danny Kortchmar、Al Perkins、Nick DeCaro、Randy Newman、Clarence McDonald、Leland Sklar、Willie Weeks、Jim Keltner、Andy Newmark、Russ Kunkel、David Sanborn等の豪華メンバーが参加し、作品を盛り上げてくれます。

僕がJTのアルバムを聴きたくなるなんて、年に1、2回程度なのですが、なんかホッとしますね。たまに聴くから余計に良いのかもしれません(笑)

ボーっと和みたい時には、ぴったりのアルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「Mexico」
オープニングは、メキシコへの憧れを歌ったマリアッチ・フレイヴァーたっぷりの1曲。シングル・カットもされました。軽快なリズム感がいいですね。Danny Kortchmar(g)、Leland Sklar(b)、Russ Kunkel(ds)という元The Sectionのメンツがバックでがっちり支えると同時に、Graham NashとDavid Crosbyによるハーモニーが雰囲気を盛り上げてくれます。Milt Hollandのパーカッション、Gayle Levantのハープも印象的です。

「Music」
僕の場合、「Music」という曲名を聞いて真っ先に思い浮かぶのは、JTと同じくシンガー・ソングライター・ブームの火付け役となったCarole Kingの同名異曲ですが、このJTの「Music」も魅力的な1曲に仕上がっています。この穏やかでホッとする感じが何ともいいですねぇ。Al Perkinsのペダル・スティールがいい味出しています。

「How Sweet It Is (To Be Loved by You) 」
Marvin Gayeによる1965年のヒット曲のカヴァー(Holland-Dozier-Holland作品)。当時の奥方Carly Simonも参加しているこの曲はシングル・カットされ、全米ポップ・チャート第5位のヒットとなりました。Carly Simonとのデュエットという意味では、前年の「Mockingbird」に続くヒットとなります。

明るくメロウな仕上がりがサイコーですね。聴いているだけで、体がリラックスしてくる感じです。Marvin Gaye大好きの僕ですが、この曲に限って言えばJTのカヴァーの方が好きですね。David Sanbornのサックスが好サポートしています。ドラムはJim KeltnerとRuss Kunkelという強力タッグ。

「Wandering」
JTのギターとNick DeCaroのアコーディオンのみというシンプルな演奏ながら、実に味わい深い仕上がりです。

「Gorilla」
タイトル曲は、自らを動物園にいる檻の中のゴリラに喩えて、常に公衆の面前にさらされていることを歌っています。そんな皮肉たっぷりの内容ですが、サウンド的にはDavid Grismanのマンドリン、Jules Jacobのクラリネットによる和やかなオールド・タイム感がグッドです。

「You Make It Easy」
一聴すると地味ですが、なかなか都会的かつソウルフルで雰囲気がある1曲。ここでもDavid Sanbornのサックスがグッドですね。1977年にMelissa ManchesterおよびJack Jonesがカヴァーしています。

「I Was a Fool to Care」
あまり語られない1曲ですが、個人的には「How Sweet It Is (To Be Loved by You) 」、「Love Songs」と並ぶお気に入り曲。曲自体がとても良いと思いますし、JTのマイルドなヴォーカルの魅力も堪能できる曲だと思います。歌詞の内容は意味深ですが(笑)

「Lighthouse」
Graham NashとDavid Crosbyが参加し、らしいコーラスを聴かせてくれます。Randy Newmanも参加し、Hornorgan(この楽器よく知りません)を弾いています。

「Angry Blues」
Lowell Georgeが参加している曲。そのせいかLittle Featの雰囲気たっぷりの仕上がりです。

「Love Songs」
大好きな1曲。軽くラテンの入ったメロウ&フォーキーな1曲に仕上がっています。天気の良い日にのんびりしながら聴きたい曲ですね。

「Sarah Maria」
生まれたばかりの娘Sarah Maria Taylorのことを歌ったもの。娘にやさしく語りかけるお父さんモード全開です(笑)

裏ジャケのダサいガッツポーズをとるJTの姿が、人間味があっていいですねっ!
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2008年02月26日

Debelah『Debelah』

世間の評価は低いけど、相当イケてるメロウ・グルーヴ満載の1枚☆Debelah『Debelah』

発表年:1994年
ez的ジャンル:メロウ・グルーヴ系女性R&B
気分は... :君のパワーを貰ったよっ...

またseesaaブログが不調でした。
閲覧者の皆様にご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます。

昨日はアカデミー賞でしたね。

たまたま生放送で授賞式を観ることができましたが、何か今ひとつ盛り上がりに欠けていた気がします。

全体としては、作品賞、監督賞を受賞した『No Country for Old Men(邦題:ノーカントリー)』の年と言えるのでしょうね。Coen Brothers のような人達が評価されるのは嬉しいし、こういったダークな映画は好きですが、アカデミー賞の流れとしてはどうなんですかね?

主演女優賞はCate Blanchettが受賞し、昨年のHelen Mirrenに続いてエリザベスつながりになると予想していましたが、Marion Cotillardが受賞しましたね。『Taxi』シリーズの女優さんくらいにしか思っていなかったのですが、大女優さんになったんですねぇ。また、『La Mome(邦題:エディット・ピアフ?愛の讃歌?』のようなモロにお仏蘭西している映画での受賞は意外でしたね。

主演男優賞のDaniel Day-Lewisについては、あまり印象がないのですが、これまでの出演作をみると、『My Beautiful Laundrette』(1985年)、
『A Room with a View』(1986年)等評価の高かった作品に出演していたんですね。

いやぁ、でも授賞式を観終わって、いかに自分が最近の映画事情に疎いか痛感しました。

さて、今日は女性R&BシンガーDebelah Morganのデビュー・アルバム『Debelah』(1994年)の紹介です。

今ではDebelah Morganのフル・ネームで活動していますが、当時はDebelahの名でリリースしています。

Debelah Morganは1977年デトロイト生まれ。これまで『Debelah』(1994年)、『It's Not Over』(1998年)、『Dance With Me』(2000年)という3枚のアルバムをリリースしています。

『Dance With Me』からのタイトル曲が全米ポップ・チャート第8位となった以外は、目立った成功を収めていない彼女であり、一般的には冴えない女性R&Bシンガーという評価なのかもしれませんね。特に、このデビュー作はAmazonのレビュー等でも思い切り低評価になっていました(笑)

一方で、クラブ系リスナーの間では本作『Debelah』の収録の「Free」「Take It Easy」の2曲は今でも根強い人気を誇っています。

その2曲以外にも曲は粒揃いで、個人的には当時から今日に至るまでかなりお気に入りの1枚です。なので世間での評価の低さは悲しい限りです。

浮遊感のあるメロウネスたっぷりのミッド・グルーヴ中心の構成は、Brownstone、(2nd以降の)SWVあたりがお好きな人にはピッタリだと思います。

何より、5オクターブ声域の持つ歌唱力に加えて、キラキラした声質の良さを併せ持つ彼女のヴォーカルが輝いていますね。

全曲紹介しときやす。

「Free」
Deniece Williamsの名曲カヴァー。アルバムからの2ndシングルにもなりました。数多ある「Free」のカヴァーの中でも、Chante Mooreのカヴァー並ぶ人気なのでは?個人的には、オリジナルの浮遊感はそのままに、90年代らしいグルーヴ感が加わったDebelahのカヴァーが一番好きですね。

「Don't Ask Me Why」
クールでダンサブルなミッド・チューン。Debelの5オクターブ声域を堪能できるハイ・トーン・ヴォーカルも聴けます。

「Mind Trippin'」
ヒップホップ・ソウルしている1曲。今回聴き直して、かなり良い曲と再認識したのがこの曲。トラックとDebelahのヴォーカルが実にマッチし、思わず体を揺らしてしまいます。

「Swingin' Solo」
なんとプロデューサーはGrandmaster Flashとソロ・デビュー前のAngie Stoneです。Pleasure「Thoughts Of Old Flames」ネタのクールなミッド・グルーヴに仕上がっています。

「Win You Over」
一部R&Bファンの間では噂になっていた隠れ名曲。Characters(Troy Taylor/Charles Famir)プロデュース。Troy Taylor自身がデュエットの相手を務めています。噂になるのも納得の90年代らしいNJSフレイヴァーのメロウ・グルーヴに仕上がっています。

「We Had a Good Thing Goin'」
この曲もGrandmaster Flash/Angie Stoneがプロデュースしています。Grandmaster Flashによる重心の低いビートとキラキラした上ものが印象的です。

「Floating」
Floaters「Float on」ネタの絶品ミッド・チューン。個人的にはアルバムで一番のお気に入り曲です。「Free」同様、本作の魅力である浮遊感漂うメロウ・グルーヴを存分に堪能できます。Characters(Troy Taylor/Charles Famir)プロデュース。

以前に紹介したStetsasonicによる「Float on」(Force M.D.'sをフィーチャー)のHip-Hopカヴァーと、この「Floating」をセットで聴くのが僕のお気に入りパターンっす。

「Take It Easy」
「Free」と並ぶ人気曲であり、アルバムからの1stシングル。哀愁感がたまらない美メロのミッド・グルーヴです。BrownstoneSWVあたりがお好きな人は絶対気に入ると思います。

「Passion」
「You Are the Joy」
しっとりとしたスロウ・チューン2曲。これだけの歌唱力の持ち主なんですから、やはりスロウで聴きたいですよねぇ。

「Fire and Desire」
Rick James/Teena Marieのデュエットによる名曲のカヴァー(オリジナルはアルバム『Street Songs』収録)。週末偶然にもオリジナルを何度か聴いていたので、気分的にはドンピシャですね。ここではKenny Haeperをパートナーに迎えて、オリジナル同様情熱的なデュエットを聴かせてくれます。

今日はある人から強力なパワーを貰いました。
やっぱり、あなたは凄いですな!
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2008年02月25日

The Jimi Hendrix Experience『Are You Experienced?』

衝撃のデビュー・アルバム☆The Jimi Hendrix Experience『Are You Experienced?』
アー・ユー・エクスペリエンスト?
発表年:1967年
ez的ジャンル:革命児ロック
気分は... :ジミ・変鳥?

ロックの革命児!天才ギタリストJimi Hendrix(1942-1970年)の3回目の登場です。

今回は衝撃のデビュー・アルバム『Are You Experienced?』(1967年)です。

これでThe Jimi Hendrix Experience名義の3枚のアルバム、『Are You Experienced』(1967年)、
『Axis: Bold As Love』(1967年)、
『Electric Ladyland』(1968年)は全て紹介したことになります。

3枚のうち、個人的には『Axis: Bold As Love』が一番好きなアルバムです。また、セルフ・プロデュースした『Electric Ladyland』が、最もJimi Hendrixのミュージシャンのトータルな魅力を堪能できるアルバムという気がします。

でも、インパクト!という点では、やはりこのデビュー作『Are You Experienced?』なのでしょうね。

Chas Chandlerの誘いでロンドンへやって来たJimiは、Noel Redding(b)、Mitch Mitchell(ds)というChandlerが探してきたメンバーとトリオを組み、The Jimi Hendrix Experienceとしての活動を開始します。

まずは1966年12月にデビュー・シングル「Hey Joe」が全英シングル・チャート第6位のヒットとなり、1967年3月にリリースした2ndシングル「Purple Haze」は同第3位まで上昇しています。

そんな勢いの中、1967年4月にリリースされたデビュー・アルバムが『Are You Experienced?』です。

The Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』が第1位に君臨し続けたせいで、全英アルバム・チャートのトップに立てずに2位止まりでしたが、大成功を収めます。こんな話を聞くと、当時のロック・シーンの活況ぶりが伝わってきますね。

ギター・テクニックについては全く門外漢ですが、そんな僕でも鮮烈な印象を受けるアルバムです。発しているエナジーの量が半端じゃない気がしますよね。

特に、最近のCDにはオリジナル11曲に加えて、「Hey Joe」「Purple Haze」「The Wind Cries Mary」という3枚シングルのA/B面6曲が追加されているため、よりお得な感じですね。オリジナル重視派の僕ですが、本作については追加トラック大歓迎ですね。

また、オリジナルのUK盤とUS盤では収録曲や曲順が異なるのがややこしいですね。一応、今回はUK盤にシングル曲を追加したCDを前提に紹介していきます。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Foxy Lady」
イントロのフィードバック音、へヴィなリフ等々インパクト十分のオープニング曲ですね。この不穏な空気感が大好きです。この曲は後にThe WhoのヴォーカルRoger Daltreyの奥方となったHeather Taylorからインスパイアされたものなのだとか。

Booker T. & The M.G.'s、The Cure、Seal & Jeff Beck等多くのカヴァーがありますね。 Gil Evans' Orchestraもカヴァーしていたのは意外でしたね。

「Manic Depression」
ブルース・ベースのへヴィ・ロック。このグループのトリオとしての面白さを楽しめる曲なのでは?

この曲もBlood Sweat & Tears、Styx、Stevie Ray Vaughan等数多くカヴァーされています。

「Red House」
ライヴ・レポートリーとしてもお馴染みのスロー・ブルース。この曲については、Jimiがブルースのカヴァーをするのではなく、John Lee Hooker、Albert King、Buddy Guyといったブルースの大物たちがこの曲をカヴァーしているというのが面白いですね。

「Can You See Me」
この曲はCreamっぽいですよね。個人的にはCream「Swlabr」あたりと一緒に聴きたいですね。

「I Don't Live Today」
良い意味でも悪い意味でもバタついた曲ですね(笑)Mitch Mitchelのズンドコ・ドラムが突然豹変して、スピードアップする後半の展開が印象的な1曲ですね。

「May This Be Love」
意表を突かれる穏やかなヴォーカルにヤラれます。この曲で一度小休止って感じですね。Pretendersがカヴァーしています。

「Fire」
人気の1曲ですね。単純に一番カッチョ良い曲だと思います。この時代にリアルタイムで聴いたら、ぶったまげそうな衝撃だったという気がします。♪Let me stand next to your fire〜♪という部分はNoel Reddingと一緒に下手くそコーラスを口ずさんでしまいます(笑)

この曲もAlice Cooper、Red Hot Chili Peppers、Phish等数多くのアーティストがカヴァーしていますね。

「Third Stone from the Sun」
サイケ・モードの1曲。かなりアヴァンギャルドで神秘的な世界が展開されます。ある意味、アルバムで一番クリエイティヴな曲という気がします。途中、水戸黄門の♪人生楽ありゃ 苦もあるさ〜♪のように聴こえるのは僕だけでしょうか(笑)

Jaco PastoriusPat Metheny等がカヴァーしています。一昨日紹介したJaco Pastoriusですが、この天才べーシストが天才ギタリストJimiを敬愛し、しかもこの曲をカヴァーしたというのは納得してしまいますね。天才の気持ちは同じ天才にしかわからないのかもしれませんね。

「Are You Experienced」
タイトル曲は、ブルース・ベースのサイケ・ロックに仕上がっています。今聴くと、これってスクラッチ?と思うギターが印象的です。やはり天才はHip-Hopの出現まで予測していたのか(笑)

Devo、Patti Smith等がカヴァーしています。 また、Pharcyde「Passin' Me By」等のサンプリング・ネタにもなっています。

ここまでで、オリジナル・アルバムは終了です。

「Hey Joe」
ここからはボーナス・トラックです。お馴染みのデビュー・シングル。本アルバム唯一のカヴァーです。オリジナルはBilly Robertsという人です(詳しく知りませんがフォーク・シンガーだった人のようです)。

今聴くと、とりあえずシングルをリリースするための急ごしらえの録音という気もしますが、ロックを聴き始めた頃は「Purple Haze」と共に名曲って感じがしましたね。

「Stone Free」
「Hey Joe」のB面曲であり、Jimiがリリースした最初のオリジナル曲です。後のアルバムでも聴けるJimiスタイルの展開ですね。

「Purple Haze」
このギター・リフを聴かないと始まらないといった感じの名曲ですね。まさにJimi Hendrixという異端の天才を表現している名曲ですね。僕にとって紫色のミュージシャンと言えば、Prince殿下ですが、元祖はJimiですからね。

Jaco Pastorius、Ozzy Osbourne、Frank Zappa、Art Ensemble of Chicago等数多くのアーティストがカヴァーしています。

「The Wind Cries Mary」
本アルバム発表直前にリリースされた3rdシングル。全英シングル・チャート第6位のヒットとなりました。当時のガールフレンドのことについて歌ったブルージーかつキャッチーなスロー・チューン。まだ、洋楽なんて全然知らなかった子供の頃、TVのCMでよくこの曲を聴いた記憶があるのですが、何のCMだったのだろう?

Seal、John Mayer等がカヴァーしていますし、Miles Davis「Mademoiselle Mabry (Miss Mabry)」も実質的にはカヴァーと言えますよね。

こうやって全英チャートのみで見ていくと、シングル・ヒットを放っている印象を持ちますが、全米チャートではBob Dylanのカヴァー「All Along the Watchtower」が1968年に第20位になったのが最高で、残りのシングルはTop50にすら入っていません。アルバムはどの作品も大ヒットしていたのに...意外ですね。

Jimiが最初に日本で紹介された時、どっかの雑誌の表記が“ジミ・ヘンドリ”となっていたと雑誌記事で読んだことがあります。ジミ・変鳥というのもある意味、言い当てている気がしますよね(笑)
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2008年02月24日

Jazz Liberatorz『Clin d'oeil』

話題沸騰のパリ発ジャジーHip-Hop☆Jazz Liberatorz『Clin d'oeil』
クラン・ドゥイユ
発表年:2008年
ez的ジャンル:パリ発ジャジーHip-Hop
気分は... :トレビア〜ン!

今回はアナログ盤を通じて既に絶大な人気を誇るHip-Hopプロデューサー・ユニットJazz Liberatorzのデビュー・アルバム『Clin d'oeil』(2008年)です。

ジャジーHip-Hopファンの間では、早くも2008年のベスト・アルバムとの呼び声も挙がるほどの話題作ですね。

Jazz Liberatorzは、パリで結成されたDJ Damage、Dusty、Madhiの3人からなるプロデューサー・ユニット。3人は90年代から活動しているようですね。

まず、2003年にAloe Blacc(Emanon)をフィーチャーした1stシングル「What's Real」をリリースします。その後、Wild Child(Lootpack)とのコラボ・シングル「After Party」(2004年)、Declaimeをフィーチャーした2ndシングル「Music Makes The World Go Round」(2004年)、女性ラッパーT-Loveをフィーチャーした3rdシングル「Force Be With You」(2005年)、元PharcydeのメンバーFatlipをフィーチャーした4thシングル「Backpackers」(2006年)、本アルバムにも収録されている5thシングル「Ease My Mind」(2007年)といったアナログ盤をコンスタントにリリースし、ジャジーHip-Hopファンのハートをガッチリ掴みました。

そして、満を持してリリースするデビュー・アルバムが『Clin d'oeil』です。

PharcydeのFat Lip & Tre Hadson(Slimkid)、MaspykeのTableek、Crown City RockersのRaashan Ahmad、Lone CatalystsのJ Sands、Brand NubianのSadat X、実力派女性MCのApani B Fly、Black MoonやBoot Camp Clikで活躍したBuckshot、本ブログでアルバム『Soon Come...』を紹介したAsheru等USからのゲストMC陣も充実しています。

僕の中でフレンチHip-Hopと言えば、90年代前半に聴いたMC Solaarあたりを思い出してしまいます。MC Solaarの作品もジャジーなHip-Hopでしたが、Acid Jazz感覚のスタイリッシュな雰囲気が強調されていた気がします。それに対して、Jazz Liberatorzはもっと真正面からジャズにアプローチしている印象を受けますね。

モノクロのジャケをそのまま音にしたようなモノトーンなHip-Hopって感じがします。ちなみにジャケは1970年代の黒人ジャズ・レーベルBlack Jazz Recordsを模したものです。

ジャジーHip-Hop好きの方にとって、マストな1枚と言えるのでは?

全曲紹介しときやす。

「Clin d'oeil」
イントロ的なオープニング...といっても7分以上もありますが(笑)エレピが気持ち良い浮遊感のある前半とパーカッシヴな展開の後半のコントラストがいいですね。次々と有名ジャズ・ミュージシャン達の名前が読み上げられるのを追っていくのも楽しいですね。

「Easy My Mind」
前述の5thシングル。元PharcydeのFat Lip & Tre Hadson(Slimkid)とLAのアングラシーンで活動するMCのOmniをフィーチャー。スピリチュアルな雰囲気の歌モノのメロウ・チューンに仕上がっています。フルートの音色が印象的ですね。アルバムで一番のお気に入り曲です。

「I'm Hip Hop」
Asheruをフィーチャー。 Asheru & Blue Black Of The Unspoken Heard『Soon Come...』(2001年)でかなり完成されたジャジーHip-Hopを聴かせてくれたAsheruですから、Jazz Liberatorzとの相性もバッチリなのでしょうね。 巧みなフロウで軽やかにキメてくれます。

「When The Clock Tics」
J Sandsをフィーチャー。「Easy My Mind」と並ぶお気に入り曲です。以前紹介したPat D & Lady Paradox『Kind Of Peace』あたりに通じるピアノ・ネタの至極のトラックを聴かせてくれます。

「Genius At Work」
Fat Lipと3rdシングル「Force Be With You」にも参加していたT Loveをフィーチャー。跳ね上がる雰囲気のトラックがいい感じです。ヴァイヴの音色がオシャレですね。

「Indonesia」
アルバムからのニューシングルがこの曲。Tableekをフィーチャーした浮遊感たっぷりのミステリアス・チューン。モノトーンな雰囲気の曲が並ぶなかで、この曲だけはハッキリ色がついていますね。しかも、非日常的な色使いって感じがします。

「The Process」
Apani B Flyをフィーチャー。エレガントな雰囲気がいいですね。ヨーロピアン・フレイヴァーな感じがいいですね。

「The Return」
Sadat Xをフィーチャー。僕の中でBrand Nubianは懐かしさしかないんですが、頑張っていますな。この曲はUS産Hip-Hopのテイストに近い気がします。

「U Do」
女性MCのStacy Eppsをフィーチャー。ジャジーHip-Hop好きは安心して聴けるメロウ・チューン。

「Cool Down」
Raashan Ahmadをフィーチャー。タイトルの通り、淡々とクール・ダウンしていく感じです。

「Take A Time」
Buckshotをフィーチャー。70年代クロスオーヴァー・フレイヴァーの浮遊感が好きです。

「Vacation」
J Liveをフィーチャー。このトラックはエレガントですね。シンプルだけど品格が高い感じが好きです。

「Speak The Language」
Lizz Fieldsをフィーチャーした歌モノです。ドラムン・ベース風のリズム・トラックを取り入れたアルバムの中では異質な1曲に仕上がっています。

「Qidar」
Soul Clanをフィーチャー。女性コーラスがキャッチーな渋めのメロウ・チューンに仕上がっています。

「Outro (Let Them Eat Steak) 」
Hip-Hopファンというよりクラブ・ジャズ好きの方向けのアウトロでアルバムは幕を閉じます。

本ブログで紹介したKero OnePat D & Lady Paradox等がお好きな方には、ぜひオススメ致します。
posted by ez at 02:22| Comment(2) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする