2008年02月11日

Slave『Slave』

R&BチャートNo.1となったシングル「Slide」を含むデビュー・アルバム☆Slave『Slave』
Slave
発表年:1977年
ez的ジャンル:真っ黒系Funk
気分は... :絶対に負けない!

昨晩は印象的なTV番組を2本観ました。

1本目は、NHKで放送していた『闘うリハビリ』という番組です。
主に脳に障害を抱えた患者のリハビリを扱った番組でした。

その中で、2004年3月に脳梗塞で倒れた長嶋茂雄氏が自らのリハビリを語っていました。

徳光さんほどではありませんが、僕にとっても長嶋茂雄という人は永遠のヒーロー的な存在です。そんな長嶋監督が言語に障害を残しながらも、その障害と闘う姿勢を熱く語る姿を観ていたら、胸が熱くなってきましたね。特に、番組の最後で「リハビリは嘘をつかない」と監督が力強く語った時には思わず涙がこぼれてしまいまいました。

2本目は、TBS『情熱大陸』です。
今回は、スペインで活躍しているサッカーの福田健二選手の特集でした。

現在、リーガエスパニョーラ2部ラスパルマス所属する福田選手ですが、その悪戦苦闘の日々を追った内容でした。番組だけ観ていると、あまり成功していない印象を受けたかもしれませんが、パラグアイ、メキシコ、スペインと所属した各チームでFWとしてコンスタントに2桁得点を重ねてきた実績は、日本での報道は少ないですが賞賛されるべきものだと思います。

リーガ2部と聞いて、2部リーグかと思われる方がいるかもしれませんが、スペインの2部は欧州の中堅国の1部リーグよりもレベルが上ですからね。

また、幼少時代の辛い思い出も背負いつつ、サッカー人生に賭けている直向な姿に、日本代表に欠けている強いスピリッツを感じてしまいました。

2本の番組に共通していたのは、「あきらめない」、「絶対に負けない」、「自分を信じる」という気持ちの強さ。少しへこみ気味だった僕も、見習わねばと気持ちが奮い立ってきました。

今回は、Funkの名産地オハイオ出身のファンク・グループSlaveの2回目の登場です。

前回は、1980年発表の5thアルバム『Stone Jam』を紹介しましたが、今回はデビュー・アルバム『Slave』(1977年)です。

それにしてもOhio PlayersZappDaytonSunSlave等、オハイオという土地は、なぜ魅力的なファンク・グループを多く輩出するんですかね。

前にも書いたように、Slave(奴隷)というグループ名には、「人間は誰しも人生の奴隷☆だから、みんなポジティブに生きよう!」といった思いが込められているそうです。

とにかく、このグループの真っ黒なグルーヴ感が好きですね。
その意味では、このジャケの怪しげな雰囲気とマッチしたファンク・サウンドになっていると思います。

本作におけるメンバーは、Mark Antone Adams(b) 、Charlie Bradley(key)、Tim Dozier(ds、per) 、Mark Hicks(b)、Tom Lockett(ts、as) 、Floyd Miller(vo、tp、tb、per)、Steve Washington(tp、per) 、Danny Webster(g)、Orion Wilhoite(ts、as)の9名。

このデビュー・アルバムの目玉は、何と言っても全米R&BチャートNo.1となったシングル「Slide」でしょうね。このグループの魅力が凝縮されたファンク・グルーヴといった感じです。

「Slide」以外にもファンク・ナンバー満載であり、ファンク好きの人はたっぷり楽しめる1枚となっています。

全曲紹介しときやす。

「Slide」
デビュー・シングルにして、全米R&BチャートNo.1となったグループ の代表曲。というよりもファンク・クラシックですね。

最初の不気味な叫び声を聴くと、何故か小島よしおを思い出してしまいます。ジャケ写真も小島よしおっぽいしね(笑)ベースラインが印象的な、このグループらしい重量感のあるファンクに仕上がっています。IsleysのErnie Isleyばりに弾きまくるギターもなかなか。Brand Nubian「Brand Nubian」等のサンプリング・ネタにもなっていますね。

「Screw Your Wig on Tight」
オハイオの大先輩Ohio Playersあたりを彷彿させる1曲ですね。

「Party Hardy」
僕の一番のお気に入りは、このご機嫌なファンキー・チューン。このスピード感が大好きです。♪パーティ〜♪ハーディ〜♪の部分は、ついつい一緒に口ずさんでしまいます!

「Son of Slide」
「Slide」の息子ヴァージョン(?)基本的には「Slide」の別リミックスって感じですね。「Slide」よりも少しテンポを落として、ベースをさらに強調した感じです。ぜひ「Slide」とワンセットでどうぞ!A Tribe Called Quest「Go Ahead in the Rain」のサンプリング・ネタです。

「You and Me」
ホーン・セクションが豪快に鳴り響く、70年代らしいファンク・チューン。

「Love Me」
トライバルな雰囲気を持ったファンク・チューン。ガラージ系のダンス・サウンドが好きな人は気に入る曲なのでは?

「The Happiest Days」
本アルバム唯一のスロウ・チューン。こういったメロウものは、後にグループに加入するヴォーカリストSteve Arringtonに歌って欲しいところですが。

「Separated」
カッティング・ギターが気持ち良いEW&F風のファンク・チューン。途中のメロウな展開もグッドですね!EW&F「Getaway」あたりがお好きな方は気に入る1曲だと思います。

今日はいよいよグラミー賞ですね。
誰が受賞するかに関しては、あまり興味がありませんが、ショーとしてのグラミー賞を楽しみたいですね。
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2008年02月10日

The Rolling Stones『Let It Bleed』

激動の60年代を締めくくるに相応しい大傑作☆The Rolling Stones『Let It Bleed』
Let It Bleed
発表年:1969年
ez的ジャンル:悪魔のスワンプ系Rock
気分は... :寒い〜っ、こういう時は鍋ですな。

今日はThe Rolling Stonesです。

これまで本ブログで紹介してきたStones作品は以下の6枚。

 『Black And Blue』(1976年)
 『Beggars Banquet』(1968年)
 『Sticky Fingers』(1971年)
 『December's Children (And Everybody's)』(1965年)
 『Between the Buttons』(1967年) 
 『Emotional Rescue』(1980年)です。

7回目の登場となる今回は、『Beggars Banquet』と並びStones最高傑作の呼び声が高い作品『Let It Bleed』(1969年)です。

『Beggars Banquet』(1968年)で、黒人音楽、スワンプ・サウンドを大胆に取り入れ、怪しく、ブルージーな真のStonesサウンドを生み出したしたグループが、その自信を持ってStonesサウンドの確立を推し進めていったアルバムが本作『Let It Bleed』(1969年)です。

本作と前後として、オリジナル・メンバーBrian Jonesのグループ脱退と直後の変死、新メンバーMick Taylorの加入、ハイドパークでのBrian追悼コンサートといった出来事があり、グループにとって大きな転機を迎えた時期の作品です。

『Beggars Banquet』同様、混沌とした60年代後半の空気感がいいですよね。

プロデュースは『Beggars Banquet』同様にJimmy Miller。ゲストには、Ian Stewart、Nicky Hopkins、Bobby Keys、Rocky Dijonといったお馴染みのメンバーに加えて、Ry Cooder、Leon RussellAl Kooper、Byron Berline、Merry Clayton、London Bach Choirなどが参加しています。

特にRy Cooderは、シングル「Honky Tonk Women」のフレーズ等自分のアイデアをStonesがパクったという暴露発言でも話題になったみたいですね。

Brian Jones「Midnight Rambler」「You Got The Silver」の2曲のみでの参加です。全体としては、そのヴォーカルに存在感を増してきたMick Jagger、自身の音楽性およびギタープレイに自信を深めてきたKeith Richardというグループの二枚看板による頑張りが目立ちますね。

凝ったジャケ・デザインも有名ですね。
でも、良く見ると色鮮やかですが、上手そうなケーキではありませんな(笑)

全曲紹介しときやす。

「Gimme Shelter」
僕の中では「Sympathy For The Devil」と並ぶ、60年代後半のStonesを代表する悪魔のグルーヴって印象ですね。きっと、このタイトルと有名な“オルタモントの悲劇”とが結びついているからだと思います(“オルタモントの悲劇”が収めた映像作品『Gimme Shelter』Merry Claytonのソウルフルなバック・ヴォーカルがサイコーですね。

Merry Claytonは、自身でも「Gimme Shelter」を1970年にシングル・リリースしています。彼女は、Lynyrd Skynyrd「Sweet Home Alabama」等でもお馴染みですね。

「Love In Vain」
Robert Johnson作品のカヴァー。サザン・ソウル&カントリー・ロックのテイストのアレンジは、この頃Keithと親交が深かったGram Parsonsからの影響が大きいのでしょうね。Keithのスライドがいいカンジです。後にもめることとなるRy Cooderのマンドリンもいい感じで絡んでいます。

「Country Honk」
シングルカットされ、全米、全英共にNo.1となった大ヒット曲「Honky Tonk Women」のカントリー・ヴァージョン。ロック少年だった頃は、なぜそのままシングル・ヴァージョンを収録してくれないのか不満に思ったものですが、今ではこのユルユルでヨレヨレな感じが堪らなく好きですね。

新加入のMick Taylorがスライドを聴かせてくれます。Flying Burrito Brothers等で知られるByron Berlineのフィドルも印象的ですね。車のクラクション音も雰囲気を盛り上げてくれます。

「Live With Me」
かなり好きな1曲。Mick TaylorのStonesのレコーディング初参加がこの曲だったようですね。ここではKeith がベースを弾いています。ピアノはLeon RussellにNicky Hopkinsという豪華な顔ぶれです。

そんな顔ぶれを反映したファンキーなスワンプ・ロックに仕上がっています。70年代初めのStonesの方向性が集約されている感じですよね。こういった曲を演奏するためにMick Taylorのようなギタリストが必要だったのでしょう。Bobby Keysのサックスもファンキー気分を盛り上げてくれます。

「Let It Bleed」
タイトル曲はアーシーな雰囲気満載ですね。Keithのギターもグッドですが、何と言っても6人目のStonesであるIan Stewartのピアノがサイコーです。

「Midnight Rambler」
ライブ・レパートリーとしてもお馴染みの1曲ですね。この曲も「Gimme Shelter」同様悪魔のグルーヴって感じですよね。Mickのブルース・ハープが怪しげなムードを高めてくれます。テンポ・アップする後半の盛り上がりがたまりませんね。Brian Jonesがパーカッションを演奏しています。

「You Got The Silver」
Keith初の単独リード・ヴォーカル作品であり、Brian JonesのStonesでのラスト・レコーディング作品でもあります(Brianはオートハープで参加)。Mickのヴォーカルでも録音したようですが、最終的にはレコード化されませんでした。

「Monkey Man」
「Gimme Shelter」と並ぶ僕のお気に入り曲。ジャンキー・ムードたっぷりの終末的な雰囲気が大好きです。Mickのジャンキー・モードのヴォーカルとKeithのファンキーなギター等Stonesのカッチョ良い所を存分に堪能できます。

「You Can't Always Get What You Want」
激動の60年代の最後を飾るこの大作は、いきなりLondon Bach Choirのコーラスで始まり、その後はスワンプ・テイストたっぷりの演奏が繰り広げられます。Al Kooperがピアノ、オルガン、フレンチホルンで参加。Madeline Bell、Doris Troy、Nanette Newmanの女性コーラス隊もグッド。

それまでUKロック・シーンの中で常にBeatlesの後塵を拝してきたStonesが、『Beggars Banquet』『Let It Bleed』という2枚の作品で、一気にBeatlesに追いついた印象を受けます。

今の僕であれば、『The Beatles(ホワイト・アルバム)』『Abbey Road』よりも、『Beggars Banquet』『Let It Bleed』の方が魅力的なアルバムです。昔は逆だったのですが。
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2008年02月09日

Raphael Saadiq『Ray Ray』

ブラックスプロイテーションを意識した、ソロ第2弾☆Raphael Saadiq『Ray Ray』
Ray Ray
発表年:2004年
ez的ジャンル:ブラックスプロイテーション系ネオ・ソウル
気分は... :まぁ、いいんじゃない!

今回はRaphael Saadiqの2ndソロ・アルバム『Ray Ray』(2004年)です。

Tony! Toni! Tone!Lucy Pearlでリリースした作品と比較すると、やや地味な印象のあるソロ活動ですが、それでもRaphael Saadiqらしいネオ・ソウル感覚に溢れた佳作となっています。

『Instant Vintage』(2002年)に続く2ndソロとなる本作のテーマは“Blaxploitation”!

Blaxploitationとは、我々が“ブラック・ムービー”、“ブラック・シネマ”などと呼んでいる、黒人の主役・監督により作られた、黒人観客を対象とした映画のことです。そんなBlaxploitationを意識して創られたアルバムが本作『Ray Ray』です。

音楽より先にアートワークを作ってしまったみたいです。それがジャケ写真にある旧式クーガーの前でヴィンテージ・スーツに身を包んでポーズを決めるRaphaelの姿なのでしょうね。

特にRaphaelは、『Uptown Saturday Night』というBlaxploitationにインスパイアされたようです。どんな映画なのか僕にはさっぱりわかりませんが。

ただし、そういったコンセプトのわりに中身はは、それ程Blaxploitationっぽくないですよね。

多くの人がBlaxploitationと聞くと、Issac Hayes『Shaft』(1971年)、Curtis Mayfield『Superfly』(1973年)あたりを思い浮かべると思うのですが、そういった作品に共通するスリリングな緊張感のようなものは、本作にはありません。全体的にミッド・チューンを中心としたメロウな仕上がりだと思います。

なので、Blaxploitation風のアルバムというよりも、70年代ソウル・テイストのアルバムといった方が、しっくりくる中身だと思います。

ゲストとして、Babyface、実兄でありTony! Toni! Tone!のメンバーであったDwayne Wigginsや、Dawn RobinsonとJoiというLucy Pearlの新旧女性ヴォーカリスト、期待の女性シンガーTeedra Moses等が参加しています。

タイトルのRay Rayとは、Raphaelが母親から呼ばれる際の愛称なのだそうです。

全曲紹介しときやす。

「Blaxploitation」
本作のテーマをずばりタイトルにしたオープニング。本編に入る前のプロローグといった感じですね。

「Ray Ray Theme」
Dawn Robinsonの後釜としてLucy Pearに加入していた女性シンガーJoiをフィーチャー。ネオ・ソウルらしいリズムが印象的なミッド・チューン。また、この曲は本作がリリースされた2004年に亡くなったRick Jamesに捧げれています。

「I Know Shuggie Otis」
Al Kooperとのセッション等で知られる早熟のブルース・ギタリストShuggie Otisの名をタイトルにしたナンバー。ということでRaphaelのギター・プレイにも注目です。70年代ソウルのテイストに仕上がっています。

「This One」
ライト・タッチのミッド・グルーヴ。フルートの音色が涼しげですね。

「Chic Like You」
シングルにもなった曲です。Allie Babaのラップをフィーチャーした哀愁モードのミッド・グルーヴです。軽くP-Funkも入っているカンジですかね。

「Live Without You」
個人的に気に入っている曲がコレ。親しみやすいメロディのミッド・チューンに仕上がっています。

「Detroit Girl」
あっさり風味のミッド・テンポのダンサブル・チューン。さり気ない感じがいいですね。

「Not a Game」
Babyfaceをフィーチャーした1曲。ファンには堪らない組み合わせですよね。この二人が組むと美メロのミディアム〜スロウをイメージしてしまいますが、地味目のミッド・チューンになっているのは意外でした。

「Rifle Love」
Tony Toni ToneとLucy Pearlをフィーチャー。具体的にはDwayne Wiggins(Raphaelの実兄)とDawn Robinsonがボーカルで参加しています。メロウ・ソウルな仕上がりです。銃声が入って物騒な雰囲気もありますが、ハート撃ち抜かれた一目惚れの状況を表現したものです。個人的にはこの効果音には感心しませんが。

「Chic」
Teedra Mosesをフィーチャー。個人的にはアルバムで一番のお気に入りです。ストリングス・アレンジが見事なキャッチーなメロウ・グルーヴに仕上がっています。途中でAverage White BandChaka Khanで知られる「What cha' Gonna Do For Me」のフレーズなんかも聴けて楽しいですね。

本作と同じ2004年にリリースされたTeedra Mosesのデビュー・アルバム『Complex Simplicity』にRaphaelもプロデュースで参加していましたね。

「I Want You Back」
この曲もTeedra Mosesをフィーチャー。シングル・カットもされました。セクシー・モードの大人のミッド・グルーヴに仕上がっています。本ブログでも絶賛した『Complex Simplicity』の雰囲気に近い曲ですね。本作と併せて久々に『Complex Simplicity』を聴き直してみましたが、いつ聴いてもいいアルバムですね。特に「Be Your Girl」はサイコーですな。

「I Love Her」
優しさに包まれたロマンティック・モードのスロウ。こういった曲があと1、2曲あっても良かった気がします。

「Grown Folks」
Curtis Mayfieldを連想させるファルセット・ヴォイスと社会派メッセージで“ニューソウル”している1曲。

「Save Us」
アコギとフェンダーによるジャジー・テイストのロマンティックなバラッド。

そう言えば、今年に入ってサッカー好きの僕がイングランド・プレミア・リーグを殆ど観ていません。今週末はマンチェスター・ダービー、「チェルシー対リヴァプール」という好カードがあるので、しっかり観ようっと!
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2008年02月08日

Talking Heads『True Stories』

テキサスの田舎町であった本当のお話?☆Talking Heads『True Stories』
True Stories
発表年:1986年
ez的ジャンル:テキサスの田舎町系ニューウェイヴ
気分は... :二日酔いで...

昨晩は(サラリーマンではないのに)サラリーマンらしく新橋で飲んでました(笑)。
二日酔いで気持ち悪い...

NYニューウェイヴを代表するグループTalking Heads3回目の登場デス。

『Remain in Light』(1980年)、『Fear Of Music』(1979年)に続いて紹介するのは、1986年リリースの7枚目のスタジオ・アルバム『True Stories』です。

これはDavid Byrneが監督した映画『True Stories』と同じタイトルですが、映画のサントラではなく、サントラで使用していた曲をTalking Headsとしてレコーディングしたアルバムという、多少ややこしい作品です。

David Byrne主導で制作されたアルバムだとは思いますが、、David Byrneを中心にChris FrantzJerry HarrisonTina Weymouthの4人が生み出す知的なハイブリッド・サウンドは本作でも健在です。

映画の撮影でテキサスに長い間滞在していたDavid Byrneが、テキサス及び南部に感化されたかのように、テックス・メックスあり、カントリーありとアーシーなテイストが強い作品となっています。前作『Little Creatures』(1985年)を南部っぽく仕上げたって感じですかね。

ゲスト陣にもアコーディオンのSteve Jordan、ペダル・スティールのTommy Morrellなどその方面のメンバーが名を連ねます。

昔ながらファンの中からは、刺激が少なく、何の進歩もない!との批判を受けるアルバムですが、のどかさの裏に痛烈なメッセージが秘められており、なかなか興味深い作品だと思います。

個人的には、テックス・メックスやカントリーを演奏しても、あえてフェイクっぽさを残すあたりにTalking Headsのセンスを感じます。

全曲紹介しときやす。

「Love for Sale」
パンキッシュなビート・ナンバーですが、本作の舞台となるテキサスの田舎町っぽいイナたさもあるあたりがいいですねぇ。

「Puzzlin' Evidence」
Specialsとか2tone系のアーティストを彷彿させる1曲ですね。合唱隊との掛け合いがいい感じです。

「Hey Now」
本作の特徴であるテックス・メックス調のナンバー。いかにもフェイクっぽく演奏するところがTalking Headsらしいのでは?

「Papa Legba」
エキゾチックで呪術的なミッド・チューン。この怪しげなムードが結構好きだったりします。

「Wild Wild Life」
アルバムからの1stシングル。全米ポップ・チャート第25位となりました。ポップで小気味良いビート・チューンに仕上がっています。アルバム中最もTalking Headsらしい仕上がりかもしれませんね。映画『Cool Runnings』のサントラでWailing Soulsがカヴァーしています。

「Radio Head」
この曲もテックス・メックスしていますね。コミカルな雰囲気もあって好きです。Steve Jordanのアコーディオンがいいスパイスになっています。

「Dream Operator」
哀愁のワルツ・チューン。儚さと空虚な感じが漂ってきます。

「People Like Us」
思い切り明るく陽気にカントリーしてます。明るく陽気なカントリーが大の苦手な僕ですが、何故かこの曲はお気に入りです。きっと最初からカントリーの持つイモ臭さを敢えてモチーフとして用いてるのが、見えているところが違和感を感じないのだと思います。Tommy Morrellのペダル・スティールがいい味出しています。

「City of Dreams」
♪いま僕達がいるこの場所で♪恐竜がダンスを踊り♪インディアンが伝説を語った♪と始まる歌詞の内容がなかなか興味深い1曲。

これまたファンの間ではイマイチ評判の悪い『Naked』(1988年)あたりも、実は大好きだったりします。来るべきワールド・ミュージック・ブームとシンクロした佳作だと思うのですが...
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2008年02月07日

Ivan Lins『Somos Todos Iguais Nesta Noite』

評価が高いEMI四部作の中でも特に人気の1枚☆Ivan Lins『Somos Todos Iguais Nesta Noite』
今宵楽しく
発表年:1977年
ez的ジャンル:美メロMPB
気分は...:いつかきっと...

今日はサウダージな気分!

ということで、MPB(Musica Popular Brasileira)を代表する男性シンガーソングライターIvan Linsの1977年のアルバム『Somos Todos Iguais Nesta Noite』の紹介です。

Ivan Linsは1945年リオデジャネイロに生まれのシンガーソングライター。幼い頃は父親の仕事の関係でアメリカのマサチュ−セッツにも住んでいたようですね。

1970年にブラジルを代表する女性シンガーElis Regina(本ブログでも紹介したMaria Ritaの母親)が、Ivanの曲「Madalena」を取り上げて大ヒットさせたことで、Ivan Linsの名がブラジル国内で注目されるようになりました。

そして、1971年にデビュー・アルバム『Agora』を発表します。1974年には初期の代表作の呼び声が高いアルバム『Modo Livre』を発表しています。本作『Somos Todos Iguais Nesta Noite』でも作詞を手掛けている詩人Victor Martinsとの出会いもこの頃のようです。

EMIに移籍後には、今日評価が高いEMI四部作『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)、『Nos Duas De Hoje』(1978年)、『A Noite』(1979年)、『Novo Tempo』(1980年)をリリースしています。

1980年代に入ると、George Benson『Give Me The Night』(1980年)での「Dinorah, Dinorah」のカヴァー、Quincy Jones『The Dude』(1981年)でのIvan作品「Velas」のカヴァー、Dave Grusin/Lee Ritenour『Harlequin』(1985年)へのゲスト参加、The Manhattan Transfer『Brasil』(1987年)でのIvan作品のカヴァー、Crusaders『Life In The Modern World 』(1988年)への楽曲提供など、アメリカのジャズ/フュージョン系ミュージシャンとの交流を深めていきます。1988年には、数曲を除き英語で歌われた全米進出アルバム『Love Dance』(1988年)も発表しています。

近年では当たり前のように、多くのMPBアーティストの作品が聴ける環境にありますが、80年代頃は一部の熱心なファンの方を除いて、なかなかMPBアーティストの作品を聴く機会がなかったですよねぇ。

おそらく多くの人がIvan Linsの名を知ったのは、前述のような80年代のジャズ/フュージョン系作品を通じてだと思います。僕もGeorge BensonQuincy Jonesあたりでその名を何となく目にし、Dave Grusin/Lee Ritenour『Harlequin』(1985年)あたりで認知度がグンと上がった感じでしたかね。

本格的にIvan Linsの作品を聴くようになったのは、CD時代になってからですね。DjavanJoycePaulinho da ViolaあたりのCDと一緒に購入した記憶があります。

個人的にIvan Lins作品の中で一番お気に入りなのが、今日紹介する『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)です。他のレビュー・サイトなどを見ても、本作をIvan Linsの最高傑作とするレビューが多いみたいですね。

僕がこのアルバムが好きな最も大きな理由は、オープニング曲「Quadras De Rodas」が超大好き!というだけなのですが、改めてアルバムを聴いてみると、アルバム全体としてもIvan Linsらしい美しくサウダージなメロディとセンスの良いアレンジによる完成度の高さが光る作品だと思います。

こんな素敵なアルバムがあれば、今宵は楽しい...

オススメ曲を紹介しときやす。

「Quadras De Rodas」
素晴らしい!の一言に尽きる絶品オープニング。いきなり一番のイチオシです。「O Passarinho Cantou」、「Marinheiro」、「Meu Amor Nao Sabia」、「Agua Rolou No.1」、「Agua Rolou No.2」という5つの小曲のメドレーになっています。

「輪になって踊ろう」という邦題がピタッとはまるメロディ・ライン、リズムと躍動感、コーラスと僕にとっては文句なしの1曲です。Gilson Peranzzettaによるアレンジも絶品です。1回聴いたら、最低4〜5回はリピートして聴きたくなる曲だと思いマス。

「Dinorah, Dinorah」
Ivanらしいメロディとエレピの音色が実にマッチしたライト・グルーヴ。前述のようにGeorge Benson『Give Me The Night』でのカヴァーでお聴きになった方も多いのでは?♪あ〜ヂノラー・ヂノラー♪

「Aparecida」
サウダージ感たっぷりの1曲。やっぱりブラジルものと言えば、こういった哀愁のメロディが聴きたくなりますよね。

「Velho Sermao」
清々しいスピード感が魅力の1曲。ブラジルならではのナチュラルな雰囲気がいいですね。

「Choro Das Aguas」
じんわりと胸に染みてくる哀愁チューン。メロディの良さもさることながら、ストリングスのアレンジがグッドですね。癒される1曲です。

「Somos Todos Iguais Esta Noite (E O Circo De Novo) 」
タイトル曲は、美しいけど何処か切ないIvanらしいメロディ・ラインが印象的です。SSWとしてのIvan Linsの魅力を堪能するには、こういった曲が良いのかもしれませんね。

「Maos De Afeto」
ロマンティック・ムードに溢れる1曲。大人のラブ・ロマンス映画のサントラあたりにピッタリって感じです。

「Dona Palmeira」
コーラス&アレンジのセンスが光るシブ好みの1曲。

「Ituverava」
「Quadras De Rodas」に次ぐ僕のお気に入り曲です。美しいメロディが疲れた心を優しく包んでくれます。Gilson Peranzzettaによるアコーディオンもグッドです。

「Qualquer Dia」
2分にも満たないエンディングですが、「いつかきっと」の邦題のとおり、未来への淡く切ない思いが伝わってくる1曲です。Elis Reginaなどもカヴァーしています。Hip-Hopファンは、NujabesプロデュースのShing02「Luv (Sic) Part Two」のサンプリング・ネタとしてご存知の方もいるのでは?

同じくEMI時代のアルバム『A Noite』(1979年)もお気に入りの1枚です。

あとは『Love Dance』(1988年)も愛聴盤です。英語で歌うIvan Linsなんて、ということでコレは好き/嫌いがはっきり分かれる作品だとは思いますが...

サッカーW杯3次予選は結果こそ4対1の快勝でしたが、内容はまだまだって感じでしたね。
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