2008年02月09日

Raphael Saadiq『Ray Ray』

ブラックスプロイテーションを意識した、ソロ第2弾☆Raphael Saadiq『Ray Ray』
Ray Ray
発表年:2004年
ez的ジャンル:ブラックスプロイテーション系ネオ・ソウル
気分は... :まぁ、いいんじゃない!

今回はRaphael Saadiqの2ndソロ・アルバム『Ray Ray』(2004年)です。

Tony! Toni! Tone!Lucy Pearlでリリースした作品と比較すると、やや地味な印象のあるソロ活動ですが、それでもRaphael Saadiqらしいネオ・ソウル感覚に溢れた佳作となっています。

『Instant Vintage』(2002年)に続く2ndソロとなる本作のテーマは“Blaxploitation”!

Blaxploitationとは、我々が“ブラック・ムービー”、“ブラック・シネマ”などと呼んでいる、黒人の主役・監督により作られた、黒人観客を対象とした映画のことです。そんなBlaxploitationを意識して創られたアルバムが本作『Ray Ray』です。

音楽より先にアートワークを作ってしまったみたいです。それがジャケ写真にある旧式クーガーの前でヴィンテージ・スーツに身を包んでポーズを決めるRaphaelの姿なのでしょうね。

特にRaphaelは、『Uptown Saturday Night』というBlaxploitationにインスパイアされたようです。どんな映画なのか僕にはさっぱりわかりませんが。

ただし、そういったコンセプトのわりに中身はは、それ程Blaxploitationっぽくないですよね。

多くの人がBlaxploitationと聞くと、Issac Hayes『Shaft』(1971年)、Curtis Mayfield『Superfly』(1973年)あたりを思い浮かべると思うのですが、そういった作品に共通するスリリングな緊張感のようなものは、本作にはありません。全体的にミッド・チューンを中心としたメロウな仕上がりだと思います。

なので、Blaxploitation風のアルバムというよりも、70年代ソウル・テイストのアルバムといった方が、しっくりくる中身だと思います。

ゲストとして、Babyface、実兄でありTony! Toni! Tone!のメンバーであったDwayne Wigginsや、Dawn RobinsonとJoiというLucy Pearlの新旧女性ヴォーカリスト、期待の女性シンガーTeedra Moses等が参加しています。

タイトルのRay Rayとは、Raphaelが母親から呼ばれる際の愛称なのだそうです。

全曲紹介しときやす。

「Blaxploitation」
本作のテーマをずばりタイトルにしたオープニング。本編に入る前のプロローグといった感じですね。

「Ray Ray Theme」
Dawn Robinsonの後釜としてLucy Pearに加入していた女性シンガーJoiをフィーチャー。ネオ・ソウルらしいリズムが印象的なミッド・チューン。また、この曲は本作がリリースされた2004年に亡くなったRick Jamesに捧げれています。

「I Know Shuggie Otis」
Al Kooperとのセッション等で知られる早熟のブルース・ギタリストShuggie Otisの名をタイトルにしたナンバー。ということでRaphaelのギター・プレイにも注目です。70年代ソウルのテイストに仕上がっています。

「This One」
ライト・タッチのミッド・グルーヴ。フルートの音色が涼しげですね。

「Chic Like You」
シングルにもなった曲です。Allie Babaのラップをフィーチャーした哀愁モードのミッド・グルーヴです。軽くP-Funkも入っているカンジですかね。

「Live Without You」
個人的に気に入っている曲がコレ。親しみやすいメロディのミッド・チューンに仕上がっています。

「Detroit Girl」
あっさり風味のミッド・テンポのダンサブル・チューン。さり気ない感じがいいですね。

「Not a Game」
Babyfaceをフィーチャーした1曲。ファンには堪らない組み合わせですよね。この二人が組むと美メロのミディアム〜スロウをイメージしてしまいますが、地味目のミッド・チューンになっているのは意外でした。

「Rifle Love」
Tony Toni ToneとLucy Pearlをフィーチャー。具体的にはDwayne Wiggins(Raphaelの実兄)とDawn Robinsonがボーカルで参加しています。メロウ・ソウルな仕上がりです。銃声が入って物騒な雰囲気もありますが、ハート撃ち抜かれた一目惚れの状況を表現したものです。個人的にはこの効果音には感心しませんが。

「Chic」
Teedra Mosesをフィーチャー。個人的にはアルバムで一番のお気に入りです。ストリングス・アレンジが見事なキャッチーなメロウ・グルーヴに仕上がっています。途中でAverage White BandChaka Khanで知られる「What cha' Gonna Do For Me」のフレーズなんかも聴けて楽しいですね。

本作と同じ2004年にリリースされたTeedra Mosesのデビュー・アルバム『Complex Simplicity』にRaphaelもプロデュースで参加していましたね。

「I Want You Back」
この曲もTeedra Mosesをフィーチャー。シングル・カットもされました。セクシー・モードの大人のミッド・グルーヴに仕上がっています。本ブログでも絶賛した『Complex Simplicity』の雰囲気に近い曲ですね。本作と併せて久々に『Complex Simplicity』を聴き直してみましたが、いつ聴いてもいいアルバムですね。特に「Be Your Girl」はサイコーですな。

「I Love Her」
優しさに包まれたロマンティック・モードのスロウ。こういった曲があと1、2曲あっても良かった気がします。

「Grown Folks」
Curtis Mayfieldを連想させるファルセット・ヴォイスと社会派メッセージで“ニューソウル”している1曲。

「Save Us」
アコギとフェンダーによるジャジー・テイストのロマンティックなバラッド。

そう言えば、今年に入ってサッカー好きの僕がイングランド・プレミア・リーグを殆ど観ていません。今週末はマンチェスター・ダービー、「チェルシー対リヴァプール」という好カードがあるので、しっかり観ようっと!
posted by ez at 09:23| Comment(4) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする