発表年:2004年
ez的ジャンル:ブラックスプロイテーション系ネオ・ソウル
気分は... :まぁ、いいんじゃない!
今回はRaphael Saadiqの2ndソロ・アルバム『Ray Ray』(2004年)です。
Tony! Toni! Tone!、Lucy Pearlでリリースした作品と比較すると、やや地味な印象のあるソロ活動ですが、それでもRaphael Saadiqらしいネオ・ソウル感覚に溢れた佳作となっています。
『Instant Vintage』(2002年)に続く2ndソロとなる本作のテーマは“Blaxploitation”!
Blaxploitationとは、我々が“ブラック・ムービー”、“ブラック・シネマ”などと呼んでいる、黒人の主役・監督により作られた、黒人観客を対象とした映画のことです。そんなBlaxploitationを意識して創られたアルバムが本作『Ray Ray』です。
音楽より先にアートワークを作ってしまったみたいです。それがジャケ写真にある旧式クーガーの前でヴィンテージ・スーツに身を包んでポーズを決めるRaphaelの姿なのでしょうね。
特にRaphaelは、『Uptown Saturday Night』というBlaxploitationにインスパイアされたようです。どんな映画なのか僕にはさっぱりわかりませんが。
ただし、そういったコンセプトのわりに中身はは、それ程Blaxploitationっぽくないですよね。
多くの人がBlaxploitationと聞くと、Issac Hayes『Shaft』(1971年)、Curtis Mayfield『Superfly』(1973年)あたりを思い浮かべると思うのですが、そういった作品に共通するスリリングな緊張感のようなものは、本作にはありません。全体的にミッド・チューンを中心としたメロウな仕上がりだと思います。
なので、Blaxploitation風のアルバムというよりも、70年代ソウル・テイストのアルバムといった方が、しっくりくる中身だと思います。
ゲストとして、Babyface、実兄でありTony! Toni! Tone!のメンバーであったDwayne Wigginsや、Dawn RobinsonとJoiというLucy Pearlの新旧女性ヴォーカリスト、期待の女性シンガーTeedra Moses等が参加しています。
タイトルのRay Rayとは、Raphaelが母親から呼ばれる際の愛称なのだそうです。
全曲紹介しときやす。
「Blaxploitation」
本作のテーマをずばりタイトルにしたオープニング。本編に入る前のプロローグといった感じですね。
「Ray Ray Theme」
Dawn Robinsonの後釜としてLucy Pearに加入していた女性シンガーJoiをフィーチャー。ネオ・ソウルらしいリズムが印象的なミッド・チューン。また、この曲は本作がリリースされた2004年に亡くなったRick Jamesに捧げれています。
「I Know Shuggie Otis」
Al Kooperとのセッション等で知られる早熟のブルース・ギタリストShuggie Otisの名をタイトルにしたナンバー。ということでRaphaelのギター・プレイにも注目です。70年代ソウルのテイストに仕上がっています。
「This One」
ライト・タッチのミッド・グルーヴ。フルートの音色が涼しげですね。
「Chic Like You」
シングルにもなった曲です。Allie Babaのラップをフィーチャーした哀愁モードのミッド・グルーヴです。軽くP-Funkも入っているカンジですかね。
「Live Without You」
個人的に気に入っている曲がコレ。親しみやすいメロディのミッド・チューンに仕上がっています。
「Detroit Girl」
あっさり風味のミッド・テンポのダンサブル・チューン。さり気ない感じがいいですね。
「Not a Game」
Babyfaceをフィーチャーした1曲。ファンには堪らない組み合わせですよね。この二人が組むと美メロのミディアム〜スロウをイメージしてしまいますが、地味目のミッド・チューンになっているのは意外でした。
「Rifle Love」
Tony Toni ToneとLucy Pearlをフィーチャー。具体的にはDwayne Wiggins(Raphaelの実兄)とDawn Robinsonがボーカルで参加しています。メロウ・ソウルな仕上がりです。銃声が入って物騒な雰囲気もありますが、ハート撃ち抜かれた一目惚れの状況を表現したものです。個人的にはこの効果音には感心しませんが。
「Chic」
Teedra Mosesをフィーチャー。個人的にはアルバムで一番のお気に入りです。ストリングス・アレンジが見事なキャッチーなメロウ・グルーヴに仕上がっています。途中でAverage White BandやChaka Khanで知られる「What cha' Gonna Do For Me」のフレーズなんかも聴けて楽しいですね。
本作と同じ2004年にリリースされたTeedra Mosesのデビュー・アルバム『Complex Simplicity』にRaphaelもプロデュースで参加していましたね。
「I Want You Back」
この曲もTeedra Mosesをフィーチャー。シングル・カットもされました。セクシー・モードの大人のミッド・グルーヴに仕上がっています。本ブログでも絶賛した『Complex Simplicity』の雰囲気に近い曲ですね。本作と併せて久々に『Complex Simplicity』を聴き直してみましたが、いつ聴いてもいいアルバムですね。特に「Be Your Girl」はサイコーですな。
「I Love Her」
優しさに包まれたロマンティック・モードのスロウ。こういった曲があと1、2曲あっても良かった気がします。
「Grown Folks」
Curtis Mayfieldを連想させるファルセット・ヴォイスと社会派メッセージで“ニューソウル”している1曲。
「Save Us」
アコギとフェンダーによるジャジー・テイストのロマンティックなバラッド。
そう言えば、今年に入ってサッカー好きの僕がイングランド・プレミア・リーグを殆ど観ていません。今週末はマンチェスター・ダービー、「チェルシー対リヴァプール」という好カードがあるので、しっかり観ようっと!