発表年:1969年
ez的ジャンル:悪魔のスワンプ系Rock
気分は... :寒い〜っ、こういう時は鍋ですな。
今日はThe Rolling Stonesです。
これまで本ブログで紹介してきたStones作品は以下の6枚。
『Black And Blue』(1976年)
『Beggars Banquet』(1968年)
『Sticky Fingers』(1971年)
『December's Children (And Everybody's)』(1965年)
『Between the Buttons』(1967年)
『Emotional Rescue』(1980年)です。
7回目の登場となる今回は、『Beggars Banquet』と並びStones最高傑作の呼び声が高い作品『Let It Bleed』(1969年)です。
『Beggars Banquet』(1968年)で、黒人音楽、スワンプ・サウンドを大胆に取り入れ、怪しく、ブルージーな真のStonesサウンドを生み出したしたグループが、その自信を持ってStonesサウンドの確立を推し進めていったアルバムが本作『Let It Bleed』(1969年)です。
本作と前後として、オリジナル・メンバーBrian Jonesのグループ脱退と直後の変死、新メンバーMick Taylorの加入、ハイドパークでのBrian追悼コンサートといった出来事があり、グループにとって大きな転機を迎えた時期の作品です。
『Beggars Banquet』同様、混沌とした60年代後半の空気感がいいですよね。
プロデュースは『Beggars Banquet』同様にJimmy Miller。ゲストには、Ian Stewart、Nicky Hopkins、Bobby Keys、Rocky Dijonといったお馴染みのメンバーに加えて、Ry Cooder、Leon Russell、Al Kooper、Byron Berline、Merry Clayton、London Bach Choirなどが参加しています。
特にRy Cooderは、シングル「Honky Tonk Women」のフレーズ等自分のアイデアをStonesがパクったという暴露発言でも話題になったみたいですね。
Brian Jonesは「Midnight Rambler」、「You Got The Silver」の2曲のみでの参加です。全体としては、そのヴォーカルに存在感を増してきたMick Jagger、自身の音楽性およびギタープレイに自信を深めてきたKeith Richardというグループの二枚看板による頑張りが目立ちますね。
凝ったジャケ・デザインも有名ですね。
でも、良く見ると色鮮やかですが、上手そうなケーキではありませんな(笑)
全曲紹介しときやす。
「Gimme Shelter」
僕の中では「Sympathy For The Devil」と並ぶ、60年代後半のStonesを代表する悪魔のグルーヴって印象ですね。きっと、このタイトルと有名な“オルタモントの悲劇”とが結びついているからだと思います(“オルタモントの悲劇”が収めた映像作品『Gimme Shelter』Merry Claytonのソウルフルなバック・ヴォーカルがサイコーですね。
Merry Claytonは、自身でも「Gimme Shelter」を1970年にシングル・リリースしています。彼女は、Lynyrd Skynyrd「Sweet Home Alabama」等でもお馴染みですね。
「Love In Vain」
Robert Johnson作品のカヴァー。サザン・ソウル&カントリー・ロックのテイストのアレンジは、この頃Keithと親交が深かったGram Parsonsからの影響が大きいのでしょうね。Keithのスライドがいいカンジです。後にもめることとなるRy Cooderのマンドリンもいい感じで絡んでいます。
「Country Honk」
シングルカットされ、全米、全英共にNo.1となった大ヒット曲「Honky Tonk Women」のカントリー・ヴァージョン。ロック少年だった頃は、なぜそのままシングル・ヴァージョンを収録してくれないのか不満に思ったものですが、今ではこのユルユルでヨレヨレな感じが堪らなく好きですね。
新加入のMick Taylorがスライドを聴かせてくれます。Flying Burrito Brothers等で知られるByron Berlineのフィドルも印象的ですね。車のクラクション音も雰囲気を盛り上げてくれます。
「Live With Me」
かなり好きな1曲。Mick TaylorのStonesのレコーディング初参加がこの曲だったようですね。ここではKeith がベースを弾いています。ピアノはLeon RussellにNicky Hopkinsという豪華な顔ぶれです。
そんな顔ぶれを反映したファンキーなスワンプ・ロックに仕上がっています。70年代初めのStonesの方向性が集約されている感じですよね。こういった曲を演奏するためにMick Taylorのようなギタリストが必要だったのでしょう。Bobby Keysのサックスもファンキー気分を盛り上げてくれます。
「Let It Bleed」
タイトル曲はアーシーな雰囲気満載ですね。Keithのギターもグッドですが、何と言っても6人目のStonesであるIan Stewartのピアノがサイコーです。
「Midnight Rambler」
ライブ・レパートリーとしてもお馴染みの1曲ですね。この曲も「Gimme Shelter」同様悪魔のグルーヴって感じですよね。Mickのブルース・ハープが怪しげなムードを高めてくれます。テンポ・アップする後半の盛り上がりがたまりませんね。Brian Jonesがパーカッションを演奏しています。
「You Got The Silver」
Keith初の単独リード・ヴォーカル作品であり、Brian JonesのStonesでのラスト・レコーディング作品でもあります(Brianはオートハープで参加)。Mickのヴォーカルでも録音したようですが、最終的にはレコード化されませんでした。
「Monkey Man」
「Gimme Shelter」と並ぶ僕のお気に入り曲。ジャンキー・ムードたっぷりの終末的な雰囲気が大好きです。Mickのジャンキー・モードのヴォーカルとKeithのファンキーなギター等Stonesのカッチョ良い所を存分に堪能できます。
「You Can't Always Get What You Want」
激動の60年代の最後を飾るこの大作は、いきなりLondon Bach Choirのコーラスで始まり、その後はスワンプ・テイストたっぷりの演奏が繰り広げられます。Al Kooperがピアノ、オルガン、フレンチホルンで参加。Madeline Bell、Doris Troy、Nanette Newmanの女性コーラス隊もグッド。
それまでUKロック・シーンの中で常にBeatlesの後塵を拝してきたStonesが、『Beggars Banquet』、『Let It Bleed』という2枚の作品で、一気にBeatlesに追いついた印象を受けます。
今の僕であれば、『The Beatles(ホワイト・アルバム)』、『Abbey Road』よりも、『Beggars Banquet』、『Let It Bleed』の方が魅力的なアルバムです。昔は逆だったのですが。