発表年:1967年
ez的ジャンル:革命児ロック
気分は... :ジミ・変鳥?
ロックの革命児!天才ギタリストJimi Hendrix(1942-1970年)の3回目の登場です。
今回は衝撃のデビュー・アルバム『Are You Experienced?』(1967年)です。
これでThe Jimi Hendrix Experience名義の3枚のアルバム、『Are You Experienced』(1967年)、
『Axis: Bold As Love』(1967年)、
『Electric Ladyland』(1968年)は全て紹介したことになります。
3枚のうち、個人的には『Axis: Bold As Love』が一番好きなアルバムです。また、セルフ・プロデュースした『Electric Ladyland』が、最もJimi Hendrixのミュージシャンのトータルな魅力を堪能できるアルバムという気がします。
でも、インパクト!という点では、やはりこのデビュー作『Are You Experienced?』なのでしょうね。
Chas Chandlerの誘いでロンドンへやって来たJimiは、Noel Redding(b)、Mitch Mitchell(ds)というChandlerが探してきたメンバーとトリオを組み、The Jimi Hendrix Experienceとしての活動を開始します。
まずは1966年12月にデビュー・シングル「Hey Joe」が全英シングル・チャート第6位のヒットとなり、1967年3月にリリースした2ndシングル「Purple Haze」は同第3位まで上昇しています。
そんな勢いの中、1967年4月にリリースされたデビュー・アルバムが『Are You Experienced?』です。
The Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』が第1位に君臨し続けたせいで、全英アルバム・チャートのトップに立てずに2位止まりでしたが、大成功を収めます。こんな話を聞くと、当時のロック・シーンの活況ぶりが伝わってきますね。
ギター・テクニックについては全く門外漢ですが、そんな僕でも鮮烈な印象を受けるアルバムです。発しているエナジーの量が半端じゃない気がしますよね。
特に、最近のCDにはオリジナル11曲に加えて、「Hey Joe」、「Purple Haze」、「The Wind Cries Mary」という3枚シングルのA/B面6曲が追加されているため、よりお得な感じですね。オリジナル重視派の僕ですが、本作については追加トラック大歓迎ですね。
また、オリジナルのUK盤とUS盤では収録曲や曲順が異なるのがややこしいですね。一応、今回はUK盤にシングル曲を追加したCDを前提に紹介していきます。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Foxy Lady」
イントロのフィードバック音、へヴィなリフ等々インパクト十分のオープニング曲ですね。この不穏な空気感が大好きです。この曲は後にThe WhoのヴォーカルRoger Daltreyの奥方となったHeather Taylorからインスパイアされたものなのだとか。
Booker T. & The M.G.'s、The Cure、Seal & Jeff Beck等多くのカヴァーがありますね。 Gil Evans' Orchestraもカヴァーしていたのは意外でしたね。
「Manic Depression」
ブルース・ベースのへヴィ・ロック。このグループのトリオとしての面白さを楽しめる曲なのでは?
この曲もBlood Sweat & Tears、Styx、Stevie Ray Vaughan等数多くカヴァーされています。
「Red House」
ライヴ・レポートリーとしてもお馴染みのスロー・ブルース。この曲については、Jimiがブルースのカヴァーをするのではなく、John Lee Hooker、Albert King、Buddy Guyといったブルースの大物たちがこの曲をカヴァーしているというのが面白いですね。
「Can You See Me」
この曲はCreamっぽいですよね。個人的にはCream「Swlabr」あたりと一緒に聴きたいですね。
「I Don't Live Today」
良い意味でも悪い意味でもバタついた曲ですね(笑)Mitch Mitchelのズンドコ・ドラムが突然豹変して、スピードアップする後半の展開が印象的な1曲ですね。
「May This Be Love」
意表を突かれる穏やかなヴォーカルにヤラれます。この曲で一度小休止って感じですね。Pretendersがカヴァーしています。
「Fire」
人気の1曲ですね。単純に一番カッチョ良い曲だと思います。この時代にリアルタイムで聴いたら、ぶったまげそうな衝撃だったという気がします。♪Let me stand next to your fire〜♪という部分はNoel Reddingと一緒に下手くそコーラスを口ずさんでしまいます(笑)
この曲もAlice Cooper、Red Hot Chili Peppers、Phish等数多くのアーティストがカヴァーしていますね。
「Third Stone from the Sun」
サイケ・モードの1曲。かなりアヴァンギャルドで神秘的な世界が展開されます。ある意味、アルバムで一番クリエイティヴな曲という気がします。途中、水戸黄門の♪人生楽ありゃ 苦もあるさ〜♪のように聴こえるのは僕だけでしょうか(笑)
Jaco Pastorius、Pat Metheny等がカヴァーしています。一昨日紹介したJaco Pastoriusですが、この天才べーシストが天才ギタリストJimiを敬愛し、しかもこの曲をカヴァーしたというのは納得してしまいますね。天才の気持ちは同じ天才にしかわからないのかもしれませんね。
「Are You Experienced」
タイトル曲は、ブルース・ベースのサイケ・ロックに仕上がっています。今聴くと、これってスクラッチ?と思うギターが印象的です。やはり天才はHip-Hopの出現まで予測していたのか(笑)
Devo、Patti Smith等がカヴァーしています。 また、Pharcyde「Passin' Me By」等のサンプリング・ネタにもなっています。
ここまでで、オリジナル・アルバムは終了です。
「Hey Joe」
ここからはボーナス・トラックです。お馴染みのデビュー・シングル。本アルバム唯一のカヴァーです。オリジナルはBilly Robertsという人です(詳しく知りませんがフォーク・シンガーだった人のようです)。
今聴くと、とりあえずシングルをリリースするための急ごしらえの録音という気もしますが、ロックを聴き始めた頃は「Purple Haze」と共に名曲って感じがしましたね。
「Stone Free」
「Hey Joe」のB面曲であり、Jimiがリリースした最初のオリジナル曲です。後のアルバムでも聴けるJimiスタイルの展開ですね。
「Purple Haze」
このギター・リフを聴かないと始まらないといった感じの名曲ですね。まさにJimi Hendrixという異端の天才を表現している名曲ですね。僕にとって紫色のミュージシャンと言えば、Prince殿下ですが、元祖はJimiですからね。
Jaco Pastorius、Ozzy Osbourne、Frank Zappa、Art Ensemble of Chicago等数多くのアーティストがカヴァーしています。
「The Wind Cries Mary」
本アルバム発表直前にリリースされた3rdシングル。全英シングル・チャート第6位のヒットとなりました。当時のガールフレンドのことについて歌ったブルージーかつキャッチーなスロー・チューン。まだ、洋楽なんて全然知らなかった子供の頃、TVのCMでよくこの曲を聴いた記憶があるのですが、何のCMだったのだろう?
Seal、John Mayer等がカヴァーしていますし、Miles Davis「Mademoiselle Mabry (Miss Mabry)」も実質的にはカヴァーと言えますよね。
こうやって全英チャートのみで見ていくと、シングル・ヒットを放っている印象を持ちますが、全米チャートではBob Dylanのカヴァー「All Along the Watchtower」が1968年に第20位になったのが最高で、残りのシングルはTop50にすら入っていません。アルバムはどの作品も大ヒットしていたのに...意外ですね。
Jimiが最初に日本で紹介された時、どっかの雑誌の表記が“ジミ・ヘンドリ”となっていたと雑誌記事で読んだことがあります。ジミ・変鳥というのもある意味、言い当てている気がしますよね(笑)