2008年03月31日

The Cuff Links『Tracy』

ジャケ写真の女性はグループとは無関係です(笑)☆The Cuff Links『Tracy』
Tracy
発表年:1969年
ez的ジャンル:バブルガム系ソフトロック
気分は... :桜を堪能せねば...

皆さんは週末お花見に行かれましたか?
昨日はあいにくのお天気でしたが、一昨日は絶好のお花見日和でしたよね。

僕は土曜日に人形町でお花見してきました。
総勢約30名で満開の桜を堪能し...というよりも
ひたすら飲み続けていました(笑)

晴れれば明日か明後日あたりに、昼間酒抜きで桜を堪能したいですね。
多摩川か中目黒あたりがいいかなぁ。

さて、今日はそんな春の訪れに相応しい1枚をセレクト。
ソフトロック好きにはお馴染みの1枚、The Cuff Links『Tracy』(1969年)です。

The Cuff Linksは、ベテラン・ソングライター/プロダクション・チームPaul VanceLee Pockrissによってでっち上げられた架空グループ。

デビュー・シングル「Tracy」が全米ポップ・チャート第9位、全英シングル・チャート第4位となり脚光を浴びますが、実際にグループの実態はなく、The Archiesのリード・ヴォーカルと同時にスーパー・セッション・シンガーとしても活躍していたRon Danteが多重録音したものでした。

「Tracy」のヒットを受けて、急遽アルバムを制作することになったPaul Vance & Lee Pockriss、Ron Danteの3人は、わずか数日でデビュー・アルバムとなる本作『Tracy』を仕上げるという離れ技をやってのけます。この短期間でのアルバム制作にアレンジ&キーボードで大きく貢献したのが、70年代にソロ・アーティストとして活躍するRupert Holmesです。

アルバム完成後に、メンバー7人をかき集めましたが、Ron Danteは本作を置き土産にグループの仕事から手を引きます。Ron Danteという裏看板(?)を失ったグループでしたが、1970年に2ndアルバム『The Cuff Links』をリリースしています。ここでは多くの曲でRupert Holmesのリード・ヴォーカルを聴くことができます。

さて、本作『Tracy』ですが、やっぱりジャケ写真に騙されますよね。大した情報もないまま本作をジャケ買いした僕は、ジャケのお姉ちゃんがメンバーとして参加しているのだと勘違いしていました。実際に聴いて女性ヴォーカルではないことに気付き、愕然としましたが(笑)

それは冗談として、数日で仕上げた割には、なかなか良質のソフトロックに仕上がっていると思います。

晴れた日に桜でも見ながら、聴くと心が晴れ晴れとするアルバムなのでは?

オススメ曲を紹介しときやす。

「Tracy」
前述のデビュー・シングル。グループの代表曲であり、ソフトロック系コンピでも取り上げられる曲ですね。軽やかなメロディと爽やかなヴォーカル&ハーモニーは、ジャケ写真のイメージがピッタリのバブルガム・ロックに仕上がっています。

「All The Young Women」
Paul Vanceの別プロジェクトStreet Peopleでもレコーディングした曲。ちなみにStreet Peopleでリード・ヴォーカルを務めたのもRupert Holmesです。戦争をテーマにした凡そバブルガム・ロックらしくないシリアスな1曲。

「Early In The Morning」
フォーキーなサウンド&コーラスが味わいが春っぽくていいです!もともとシャンプーのCMソングとして作られた曲みたいですね。そのため、Gene PitneyやThe Tokensが本曲をリリースした時には、「She Lets Her Hair Down (Early In The Morning)」のタイトルになっています。

「Put A Little Love In Your Heart」
1969年に全米ポップ・チャート第4位となったJackie DeShannnonのヒット曲のカヴァー。ほのぼのした感じが和みます。プロダクションはRupert Holmesが完全に一人で仕切っていたようです。我々の世代の人だと1988年のAl Green & Annie Lennoxのカヴァーで聴いた方も多いかもしれませんね。Dave Clark Five等もカヴァーしています。

「Lay A Little Love On Me」
途中でRoy Orbison「Oh, Pretty Woman」風のフレーズが聴こえてくるのが笑えます。

「When Julie Comes Around」
2ndシングルとして全英シングル・チャート第10位となった曲。全米チャートでは全くダメでしたが、曲の出来としては「Tracy」に迫る完成度だと思います。この哀愁感は確かにUKチャート向きかもしれませんが...

「I Remember」
この哀愁モードの曲もStreet Peopleがレコーディングしています。

「Sweet Caroline (Good Times Never Seemed So Good) 」
1969年に全米ポップ・チャート第4位となったNeil Diamondのヒット曲のカヴァー。少しイモ臭く聴こえるのはご愛嬌?

「Where Do You Go?」
ドリーミーな雰囲気がいいですね。Ron Danteの魅惑のヴォーカルを堪能できる1曲。

「Sally Ann (You're Such A Pretty Baby)」
バブルガム・テイスト満載。毎日この手を聴くと飽きるけど、たまに聴くといいですね。

「Run Sally Run」
CDのボーナス・トラックとして収録されている3rdシングル。 全米ポップ・チャート第76位と全く振るいませんでしたが、個人的には「Tracy」よりも好きな1曲です。弾け具合いがグッドだと思います。

3月もラストですね。
今月は忙しさにかまけて、ブログの更新をサボりがちになってしまいました。

3月のエントリー数は...20本
ブログ開設以来、最低の数です。
大いに反省...来月から気分一新ガンバリます!
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2008年03月29日

Electric Light Orchestra『Discovery』

“Disco-very”なE.L.Oワールドへようこそ!☆Electric Light Orchestra『Discovery』
Blu-spec CD ディスカバリー
発表年:1979年
ez的ジャンル:ファンタジー&スペイシー系ポップ
気分は... :謎が解けてスッキリ!

月末までバタバタになりそうですが、とりあえず1つ大きなヤマを終えた感じです。と言いつつ、あと2つ位はヤマが残っていそうですが(泣)

今日はJeff Lynne率いるElectric Light Orchestra(E.L.O)の紹介です。

E.L.Oって、おとぎの国のファンタジー・サウンド、近未来のスペイシー・サウンドって、イメージが強かったですよね。あとは多くのE.L.Oファン同様、彼らにBeatlesPaul McCartney & Wings的なものを求めていた記憶があります。

BeatlesWings大好きだった僕にとって、E.L.Oは当然ながらお気に入りグループだったのですが、ある時期からJeff Lynneによるポップ職人的サウンドを暑苦しく感じるようになっていました。

Olivia Newton-John絡みで以前に紹介したことがある『Xanadu』(1980年)や「Hold on Tight」「Twilight」(『電車男』のオープニング・テーマやCMでお馴染みですね)収録の『Time』(1981年)あたりも、リアルタイムでは夢中になって聴いていましたが、今聴くとイマイチな印象かもしれません。

一言で言うとクドイんですよね。
1、2曲聴くならいいんですけど、それ以上聴くと胃もたれしてくる感じでしょうか。

そんな僕が唯一今でも大好きで、頻繁に聴くアルバムが今日紹介する『Discovery』(1979年)です。

中学生の時に聴いた本アルバムが、僕にとってのE.L.O初体験でした。
本作収録の「Shine A Little Love」「Confusion」「Need Her Love」「Last Train To London」の4曲は、そのままE.L.Oマイ・ベスト4です(ベスト3にしたかったのですが、どの曲も落とすことができません)。

この作品だけは先に述べたクドさを全く感じないんですよね。
不思議だなぁ...

 初めて聴いたE.L.O作品だからなのか?
 シングル・ヒットが多数収録されているからか?
 『アリババと40人の盗賊』をモチーフにしたジャケが良いのか?

あれこれ考えてみましたが、自分自身で納得できる説明が、なかなか見つかりません。そんな中、本作に関する情報をネット検索していたら、某レコード・ショップのサイトで本作に関するこんな説明を見つけました。

 タイトルの通り、“Disco-very”なディスコ・サウンド!

思わず納得してしまいました。
そうなんですよ。このアルバムって結構ディスコチックなんですよね。
このディスコ・テイストが、現在の僕の音楽嗜好にもマッチしているからこそ、お気に入りなのだと思います。

自分の中の謎が解けて、何かとってもスッキリしたなぁ。

正統派E.L.Oファンの方は、本作からメンバーが4人になったとか、シンセ・サウンドを本格的に導入したとか、いろいろ説明したいのかもしれませんね。僕の場合、そうしたことにはあまり興味がなく、それよりも本作を以下の2組のアーティストと結びつけたくなります。

1組目は、本ブログでも人気の80年代最高のポップデュオHall & Oatesです。

Hall & Oatesは本作『Discovery』の翌々年に、「Private Eyes」「I Can't Go For That (No Can Do)」という2曲の全米No1ヒットを飛ばして大ブレイクすることになります。

「Private Eyes」「I Can't Go For That (No Can Do)」の2曲を聴くと、本作収録の「Shine A Little Love」「Last Train To London」の2曲が聴きたくなります。

特に、「Last Train To London」「I Can't Go For That (No Can Do)」とセットでマッシュ・アップ的に聴いても全く違和感ないと思います(笑)そう思い始めると、「Shine A Little Love」「Private Eyes」の組み合わせも悪くないと思います(こちらは相当強引ですが)。でも、ハンド・クラップの感じなんてドンピシャですよね!

2組目は、日本でも大人気のフランス出身のハウス・ユニットDaft Punkです。

何故か本作を聴いていると、タイトルが本作と同名のDaft Punkの2ndアルバム『Discovery』(2001年)が聴きたくなります。年代も音楽ジャンルも全く異なる2つのアルバムですが、単にタイトルが同じというだけに止まらない共通項を感じるのは僕だけでしょうか?ボコーダー使いのテイストなんかも似てませんか?

Daft Punk『Discovery』では、シングル「One More Time」をはじめ松本零士が制作したアニメのPVが話題になりましたが、あのPVのバックに本アルバムの収録曲を流してもマッチすると思います。

なんて事も含めていろんな楽しみ方が出来るアルバムです。

ここまででかなり長くなってしまった。
意外と書きたいことあった作品でした(笑)

全曲紹介しときヤス。

「Shine A Little Love」
アルバムからの1stシングル。全英シングル・チャート第6位、全米ポップ・チャート第8位のヒットとなりました。この曲こそが僕が初めて聴いたE.L.Oソングでした。よく聴けば、ミラーボールがよく似合う“Disco-very”なサウンドですよね。♪You shine a little love on my life〜♪のところは思わずハンド・クラップしてしまいます(笑)

「Confusion」
シングルにもなった人気曲。E.L.Oらしいファンタジー&スペイシーなポップ・チューン。Phil Spectorに対抗したE.L.O版Wall Of Soudといった仕上がりです。全体的にほんわかムードなのがいいですね。ボコーダーを使っているあたりも僕好み!

「Need Her Love」
シングル曲ではありませんが、美しいメロディの大名曲だと思います。僕の中では、先日紹介したBeatlesマイ・フェイバリット・ソング「Here, There and Everywhere」あたりと同じテイストを感じます。BeatlesフリークJeff Lynneの面目躍如といったところでしょうか。

「The Diary Of Horace Wimp」
この曲はとてもPaul McCartney的ですよね。 Wings50%とBeatles50%って配合率の仕上がりです。この曲もボコーダー使いが印象的です。

「Last Train To London」
前述の「I Can't Go For That (No Can Do)」とセットで聴きたくなる1曲。シングルにもなりました。この曲もDisco-veryなサウンドが魅力です。

「Midnight Blue」
Eric Carmenあたりがカヴァーするとピッタリな感じのバラッドです。

「On The Run」
「Twilight」が好きな人は気に入るであろうE.L.Oらしいキャッチーなポップ・チューン。

「Wishing」
地味だけど、メロディの良さが光る1曲。

「Don't Bring Me Down」
全英シングル・チャート第3位、全米ポップ・チャート第4位となったヒット曲。と言いつつ、当時の僕の記憶に全く残っていません。他のシングル曲は鮮明に憶えているのですが。今聴いてもイマイチな曲という気がします(笑)

きちんとE.L.Oワールドにハマりたい方は、『A New World Record』(1976年)、『Out of the Blue』(1977年)あたりのアルバムも是非どうぞ!
posted by ez at 01:23| Comment(7) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月27日

Bjork『Debut』

アーティスト自身もサウンドも不思議モードの実質ソロ・デビュー作☆Bjork『Debut』
DEBUT
発表年:1993年
ez的ジャンル:不思議系
気分は... :テレパシーでわかるよねっ!

個人事業主の僕自身は年度末なんて関係ないのですが、
それでも3月末はバタバタしますね。

話は変わって、僕のことをご存知の方は周知の通り、僕はかなりの不思議チャン好きっす!

僕もどちらかと言えば、不思議クンかもしれないので、他人にはわからない不思議テレパシーでお互い交信できちゃうのかも?

ということで、今日紹介するアーティストも不思議ビームを出しまくっているBjorkです。

Bjorkは1965年アイスランドのレイキャビック生まれ。子供の頃から音楽教室に通っていた彼女は、なんと11歳の時にレコード契約を結び、アルバム『Bjork』でデビューを飾っています。

パンク・ムーヴメントの影響を受け、1984年にはパンクバンドKuklを結成します。1986年にはギターポップ・バンドSugarcubesを結成し、アイスランドのみならずイギリスでも人気のインディー・ロック・バンドとなりました。私生活では1986年に男児を出産しています。

Sugarcubes解散後の1993年には今回紹介するソロ・アルバム『Debut』をリリース。このアルバムは音楽シーンに大きなインパクトを与え、アーティストBjorkの存在を全世界に知らしめました。

その後は『Post』(1995年)、『Homogenic』(1997年)、『Vespertine』(2001年)、『Medulla』(2004年)、『Volta』(2007年)とコンスタントにアルバムをリリースする一方、Lars von Trier監督の映画『Dancer in the Dark』に主演し、カンヌ映画祭のパルム・ドール(最優秀作品賞)と最優秀女優賞を受賞するなど女優としても活躍しています。

僕のBjorkとの出会いは、Sugarcubesのリミックス・アルバム『It's-It』(1992年)でした。ただし、このアルバムを購入したのは、SugarcubesやBjorkに興味があった訳ではなく、当時ハウス・ファンにはお馴染みだったTony Humphries、Todd Terryらのリミックスが聴きたかった&ジャケも可愛いかったという理由でした。

It's-It
It's-It

特に、Tony Humphriesがリミックスした「Leash Called Love(Tony Humphries Mix)」は大好きで、今でもたまに聴きたくなります。この曲のキュートなヴォーカルでBjorkのことを認知することができました。

そして、この『It's-It』がリリースされた翌年に今回紹介するソロ・アルバム『Debut』がリリースされます。正確には2枚目のソロ・アルバムですが、タイトルの通り実質的なソロ・デビュー作と言えますよね。

プロデュースはSoul II Soulでお馴染みのNellee Hooperが担当。本作のプロデュースでNellee Hooperはさらに名声を高めましたよね。また、Talvin Singh、Jhelisa Anderson等のメンバーが参加しています。こうしたメンツが集まれば、当然ながら中身はロックというよりもハウス/ダンス系になりますよね。

前述のように、Sugarcubesのアルバムをロックとしてではなく、ハウスのアルバムとして聴いてしまった僕にとってはどんピシャな内容でした。

ジャケだけ見ると、『Post』『Homogenic』の方がインパクトがありますが、内容的にはこのデビュー作が一番衝撃的だったのでは?

妖精のようにキュートでピュアなんだけど、狂暴で過激でダークな側面も持つ、とらえどころのない究極の不思議系Bjorkの魅力がぎっしり詰まったアルバムだと思います。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Human Behaviour」
アルバムからの1stシングル。キュートとダークが入り混じった感じがいいですねぇ。トリップホップと一緒に聴きたい曲ですね。

「Crying」
アルバムで一番のお気に入り曲はコレ。無機質なダンス・サウンドの中を不思議なオーラが漂うBjorkのヴォーカルが自由に駆け巡るといった感じでしょうか。

「Venus as a Boy」
アルバムからの2ndシングルシングル。この曲も大好き。ここでのBjorkは妖精のようなヴォーカルを聴かせてくれます。

「There's More to Life Than This」
『It's-It』と一緒に聴きたくなるなダンス・チューン。

「Like Someone in Love」
ハープの音色が印象的ですね。このピュアな感じは、子供向けミュージカルなんかに使うとピッタリなのでは?

「Big Time Sensuality」
アルバムからの3rdシングルシングル。Nellee Hooper好きの人には当たり!の1曲なのでは?本作を気に入ったMadonnaがNellee Hooperへプロデュースを依頼したのも、分かる気がしますね。

「One Day」
アンビエントなサウンドがいい感じですね。

「Aeroplane」
少しエキゾチックな不思議オーラが出ています。ジャズ・フレイヴァーが効いているのもいいですね。Bjorkは以前にアイスランドのジャズ・スタンダードを歌った『Gling-Glo』というアルバムもレコーディングしていますが、意外にジャズは彼女にとって身近な音楽なのかもしれませんね。

「Violently Happy」
ハウス好きの人は気に入るであろうダンス・チューン。無機質なサウンドとBjorkのヴォーカルって実にマッチしますよね。不思議だなぁ!

「Anchor Song」
この曲もミュージカルの1シーンのようです。 この曲に限らず、アルバム全体を通じて聴いていると映像が浮かんでくるのは何故なんでしょうね。

今年に入ってからも、暴行事件に、コソボやチベットに関する発言など、いろいろ騒動を巻き起こしているようですね。らしいと言えばらしいですが...
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2008年03月24日

Cameo『Cameosis』

大所帯グループだった頃の代表作☆Cameo『Cameosis』
Cameosis
発表年:1980年
ez的ジャンル:大所帯系肉感ファンク
気分は... :大勢が楽しくていいね!

先程までTVで映画『Dreamgirls』(2006年)を観ていました。

どうしてもSupremesの物語として観てしまいますねぇ。
主演のBeyonceがだんだんDiana Rossに見えてくるから不思議です。
でも、Beyonce以上にJennifer Hudsonが目立って、物語とは反対の印象を受けるのが奇妙ですね。

Ray Charlesの伝記映画『Ray』(2004年)と並んで、R&B好きにはいろんな思いが込み上げてくる映画ですね。どちらもJamie Foxxが主演ですが、『Any Given Sunday』(1999年)、『Collateral』(2004年)等も含めて、彼の出演している映画とは相性がいいみたいです。

さて、Larry Blackmon率いるファンク・グループCameoの2回目の登場です。

今回は1980年リリースの『Cameosis』をセレクト。

一般的にCameoと言えば、前回紹介した大ヒット・アルバム『Word Up!』(1986年)の印象が最も強いと思います。

ポップ・チャートにも食い込み、「Word Up!」「Candy」「Back and Forth」という3曲のシングル・ヒットを生んだ本作でCameoは一気にメジャーな存在となりました。僕も大学生の頃、『Word Up!』を相当聴いた記憶があります。当時は少数精鋭のメンバーによる、打ち込み主体のソリッドなエレクトリック・ファンクにハマりましたねぇ。個人的には『Word Up!』以上に『Machismo』(1988年)が好きでしたね。

CD時代になり過去の作品をコレクションしましたが、当初はCameo=ソリッドな打ち込みファンクのイメージが強く、『Alligator Woman』(1982年)から『Real Men... Wear Black』(1990年)あたりまでの作品を好んで聴いていました。

しかし、最近は『Knights of the Sound Table』(1981年)以前の大所帯ファンク時代の作品を聴くことが多いですね。そんな中でも特に好きな作品が『Cameosis』(1980年)です。初めてR&Bアルバム・チャートの第1位となり、ファンク・グループとして自己のスタイルを確立したアルバムといえると思います。

本作におけるメンバーは、Larry Blackmon(ds、per、vo)、Greg Johnson(key)、Anthony Lockett(g、vo)、Nathan Leftenant(tp)、Arnett Leftenant(ts)、Wayne Cooper(vo)、Tomi Jenkins(vo)、Aaron Mills(b)、Thomas “T.C.” Campbell(key)、Jeryl Bright(tb)の10人。

ホーン隊、ヴォーカル隊の賑やかさを聴くと、やっぱり大所帯ファンクっていいなぁって気がしますね。

ジャケ写真の通り、中央手前のLarry Blackmonの髪型も健全ですよね。そんなリーダーの髪型同様、健康的な肉体派ファンクを聴かせてくれます。健康的と言っても、ドス黒くうねるグルーヴは相当腰にきますよ〜っ。

全曲紹介しときやす。

「Cameosis」
まずはこのご機嫌なファンク・チューンで盛り上がりましょう!意外とEW&Fノリなのが面白いですね。

「Shake Your Pants」
本作のハイライトと呼べるファンク・チューン。シングルとしてR&Bチャートの第8位となりました。まさにCameoスタイルを見せつけてくれる1曲なのでは?Beastie Boys「Hey Ladies」などのサンプリング・ネタにもなっています。

「Please You」
重さが腰にくるミディアム・グルーヴ。今聴くと、かなりドス黒くていいですね。相当キマっています!

「We're Goin' out Tonight」
シングルにもなったメロウ・グルーヴ。某DJのミックス・テープに収録されていた曲としても人気がありますね。こういったメロウ・チューンもCameoのもう1つの魅力ですよね。

「I Care for You」
感動的なスロウ。この曲を聴いていたら、Larry BlackmonがプロデュースしたCashflow「Reach Out」を思い出させる1曲ですね。『Word Up!』のエントリーでも書きましたが、「Reach Out」は、僕にとって一生忘れることがないであろう名曲です。

「On the One」
Cameoらしいウネリを持ったファンク・チューン。ゴリゴリ押し捲る感じが好きです。

「Why Have I Lost You」
『We All Know Who We Are』(1978年)に収録されていたロマンティックなスロウ・チューンのリメイク。Bone Thugs-N-Harmony「Blaze It」のサンプリング・ネタにもなっています。

この後、大所帯ファンク・グループ受難の時代に入り、Cameoもリストラを敢行するのでした。
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2008年03月23日

Bill Evans『New Conversations』

エレピも演奏した対話シリーズの第三弾☆Bill Evans『New Conversations』
New Conversations
録音年:1978年
ez的ジャンル:三重録音ピアノ・ソロ
気分は... :もう一人の自分と対話してみる...

Bill Evansの5回目の登場です。
これまで以下の4枚の作品を紹介してきました。

 『Alone』(1968年)
 『Waltz For Debby』(1961年)
 『Portrait In Jazz』(1959年)
 『Undercurrent』(1962年)

どうしても1950年代後半から60年代にかけての活動が注目されるBill Evansですが、晩年の作品もなかなか味わい深いものがあります(Evansは1980年9月に死去)。

個人的には『I Will Say Goodbye』(1977年)、『New Conversations』(1978年)あたりがよく聴く晩年の作品です。あとは未購入ですが、『You Must Believe in Spring』(1977年)、Toots Thielemansとの共演作『Affinity』(1978年)もオススメですね。

そんな晩年の作品の中から『New Conversations』をセレクト。

タイトルからわかる通り、『Conversations with Myself』(1963年)、『Further Conversations with Myself』(1967年)と続いた“対話シリーズ”の第三弾という位置づけになると思います。

『Conversations with Myself』(1963年)は、自身のピアノをオーヴァー・ダビングしたアルバム。タイトルの通り、自分自身と対話をしながらストイックにピアノによる新たな表現を追求した作品だと思います。1967年にはその続編となる『Further Conversations with Myself』を録音しています。

そして、『Further Conversations with Myself』から10年以上の歳月が流れ、再び自己と対話した作品が『New Conversations』です。

ピアノに加えてエレピも演奏している点が、それまでの2作と大きく異なります。
僕が本作を気に入っているのも、エレピ・プレイが聴ける点が大きいかもしれませんね。

全曲紹介しときやす。

「Song for Helen」
タイトルから察するに、1973年に自殺した最初の妻Hellenに捧げられたものでしょうか(HellenではなくHelenですが)?静寂に包まれた中で、Bill Evansらしい緊張感と美しさに充ちた演奏を聴くことができます。エレピを演奏してもBill EvansはBill Evansですね。

「Nobody Else But Me」
ミュージカル『Showboat』のために書かれた楽曲です。Oscar Hammerstein II/Jerome Kern作品だと思うのですが、クレジットにはAndrew Sterling/Bartley Costelloと書かれています。詳しいことは僕にはわかりません。エレピがかなり目立っています。

『Quintessence』、『I Will Say Goodbye』にもボーナス・トラックとして収録されています。。

「Maxine」
「For Nenette」
エレガントな演奏を堪能できる2曲。「Maxine」ではエレピの音色がミステリアスな雰囲気を醸し出しています。「For Nenette」あたりは『Alone』あたりがお好きな人は気に入る演奏なのでは?

「I Love My Wife」
1977年に初演されたばかりのブロードウェイ・ミュージカル『I Love My Wife』の楽曲を取り上げています(Michael Stewart/Cy Coleman作品)。静と動のコントラストが対照的な演奏がグッドです。

「Remembering the Rain」
アルバムで一番のお気に入り曲。Bill Evansらしいリリカルなピアノを堪能できます。ただただ美しいEvansのピアノに酔いしれたい方にはオススメです。

「After You」
Cole Porter作品。Cole Porter作品をBill Evansが演奏する...想像するだけでロマンティックな仕上がりですよね。

「Reflections in D」
Duke Ellington作品。昔TVでこの曲を演奏するEvansの映像を観たことがあります。このため、僕の中では晩年のEvansを象徴する曲としてインプットされています。Bill Evansらしい“わび・さび”の音空間を堪能することができます。

晩年のBill Evansって、まさに悟りの境地の中で演奏していたようですよね。
posted by ez at 00:02| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする