2008年03月09日

Roxy Music『Siren』

Roxy Musicが最初の音楽的ピークに達した作品☆Roxy Music『Siren』
サイレン(紙ジャケット仕様)
発表年:1975年
ez的ジャンル:耽美系UKロック
気分は... :甘く危険な囁き?

Roxy Musicの2回目の登場です。

前回は、全英アルバムチャート第1位に輝いた80年代UKロックを代表する名盤であり、スタジオ最終作となった『Avalon』(1982年)を紹介しましたが、今回は中期Roxyの代表作『Siren』(1975年)です。

デビュー・アルバム『Roxy Music』(1972年)、2nd『For Your Pleasure』(1973年)とグラマラスなビジュアルとアヴァンギャルドな耽美サウンドで衝撃度満点の初期Roxy Musicでしたが、常に脚光を浴びていたBrian Enoがグループを脱退し、3rd『Stranded』(1973年)以降の中期Roxy Musicは、音楽的な成熟を重ね、4th『Country Life』(1974年)、5th『Siren』(1975年)と1作ごとにその完成度を高めていきます。

僕がリアルタイムでRoxyを聴いたのは、どうにか『Avalon』に間に合ったという状況でした。

なので、個人的には『Avalon』が一番好きなのですが、あのアルバムは実質的にはBryan Ferryのソロ・プロジェクトのような作品であったので、Roxy Musicというグループ全体の魅力を堪能するのであれば、『Country Life』(1974年)や本作『Siren』あたりがいいのかもしれませんね。

『Siren』は、当然ながら後追いで聴いたのですが、聴く前からロック本で妖艶なジャケ写真に眺めながら、海の女神サイレンの甘い囁きにヤラれていました(笑)

多くの方がご存知の通り、ジャケで女神サイレンを演じるのは、当時のBryan Ferryのガールフレンドであり、後にMick Jagger夫人となったモデルのJerry Hallです。

本作におけるメンバーは、Bryan Ferry(vo、key)、Andy Mackay(sax)、Phil Manzanera(g)、Eddie Jobson(vln、syn)、John Gustafson(b)、Paul Thompson(ds)の6人。プロデュースはChris Thomasが務めています。

グループの持つ魅力を、Chris Thomasがコンパクトにまとめ上げたアルバムという気がしますね。初期のとっ散らかった刺激は少なくなったかもしれませんが、壺を押さえたサウンドづくりは、まさに中期Roxyの完成形と言えるのでは?

オススメ曲を紹介しときやす。

「Love Is the Drug」
シングル・カットされ、全英チャート第2位となったグループの代表曲。全米チャートでも初めてTop40入りしました。ある意味、アルバムで一番Roxyらしい楽曲かもしれませんね。耽美的な妖しさとキャッチーさがうまく両立していると思います。映画『Casino』のサントラにも収録されていました。FerryとMackayの共作。

Grace Jones、Kylie Minogueなどがカヴァーしています。

「End of the Line」
後期Roxyを予感させる美しい哀愁のメロディです。良くも悪くも成熟したグループの姿が窺える1曲なのでは?

「Sentimental Fool」
出だしはかなりアヴァンギャルドな雰囲気を醸し出していますが、意外とメロディアスな仕上がりです。FerryとMackayの共作。

「Whirlwind」
アルバムで一番ロックしていますな。とても吹っ切れた印象を受ける1曲ですね。このタイプをうまく仕上がるのはプロデューサーChris Thomasの得意技ですからね。

「She Sells」
シングル曲じゃないけど、ファンの方にはかなり人気の高い曲のようですね。僕もアルバムで一番カッチョ良い曲だと思います。キャッチーなイントロのピアノからグイグイとロキシー・ワールドへ引き込まれていきます。ゴージャスで、ドラマティックで、耽美的で、しかもノリも良い...文句ナシって感じがします。Eddie Jobsonが楽曲提供(Bryan Ferryとの共作)、演奏の両面で大活躍しています。

「Both Ends Burning」
アルバムからの2ndシングル。「She Sells」と並ぶ僕のお気に入りです。Roxyらしからぬコンガによるパーカッシヴな展開が僕好みですね。もっとコンガを前面に出すと、極上の耽美的ダンス・ミュージックになるような気がします。

「Nightingale」
FerryとManzaneraの共作。メロディの良さが印象に残りますよね。初期〜中期のRoxyに難解な印象を持つ人なんかは、このキャッチーさに驚くのでは?

「Just Another High」
「End of the Line」同様に後期Roxyを予感させる仕上がり。昔からのRoxyファンの方は、本曲や「End of the Line」あたりの聴き易さはビミョーなのかもしれませんね。

本作を最後にグループは活動を休止し、メンバーは各自の活動を展開します。
グループの活動再会は、『Manifesto』(1979年)まで待たねばなりません。
posted by ez at 00:08| Comment(4) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする