録音年:1973年
ez的ジャンル:ジャズ・ダンス系ビッグ・バンド
気分は... :ジャズで踊りましょ!
今日は踊れるジャズ・アルバムが聴きたい気分です。
セレクトしたのはWoody Herman『Giant Steps』(1973年)
Woody Herman(1913-1987年)は、ビッグ・バンド・リーダー、クラリネット/サックス奏者として活躍したジャズ・ミュージシャン。ビッグ・バンドにはあまり詳しくない僕ですが、Duke Ellington、Glenn Miller、Benny Goodman、Count Basieあたりに続く大物ってイメージがありますね。
「ビッグ・バンド=昔のジャズ」といったイメージがあるかもしれませんが、Woody Hermanという人は時代の流れを敏感にキャッチ・アップする才覚のあった人のようですね。1936年に自身のバンドを結成して以来、ブルース〜ビ・バップ〜ウエストコースト・ジャズ(Four Brothers)〜ハード・バップ〜エレクトリック・サウンド導入といった具合に、柔軟に時代の変化に適応してきたようです。
そんな長寿ビッグ・バンドの70年代の代表作が本作『Giant Steps』(1973年)です。
クラブ・ジャズ・ファンの方には、「La Fiesta」、「Freedom Jazz Dance」、「Giant Steps」といった人気曲収録のアルバムとしてお馴染みだと思います。
僕も本作のことを最初に知ったのは、今から約15年前に発売された『Freedom Jazz Dance』というジャズ・ダンス系のコンピ・アルバムを通じてでした。UFO(United Future Organization)がコンパイルしたこのコンピのタイトルになっていたのが本作収録の「Freedom Jazz Dance」でした。
この曲のカッチョ良さに一発でKOされてしまったのと同時に、Woody Hermanという人に対するイメージを新たにしました。“ビッグ・バンドをなめたらいかん!”
本作『Giant Steps』は、「Freedom Jazz Dance」1曲だけに終わらず、アルバム通して極上の“踊れる”ジャズ・アルバムに仕上がっています。
メンバーは、Woody Herman(cl、ss、ts)、Greg Herbert(s、fl)、Frank Tiberi(s)、Steve Lederer(s)、Harry Kleintank(s)、Larry Pyatt(tp)、Gil Rathel(tp)、Walt Blanton(tp)、Bill Byrne(tp)、Bill Stapelton(tp、flu)、Jim Pugh(tb)、Geoff Sharp(tb)、Harold Garrett(tb)、Andy Laverne(elp)、Joe Beck(g)、Wayne Darling(b)、Ed Soph(ds)、Ray Barretto(con)といった顔ぶれです。N.Y.ラテン/サルサの帝王Ray Barrettの参加が意外ですね。
ビッグ・バンドならではの厚みのあるホーンを、ここまでスタイリッシュに聴かせることができるというのは、目から鱗でした。
踊れるジャズを聴いて、スカッとしましょ!
全曲紹介しときヤス。
「La Fiesta」
オープニングは、Return to Foreverの“カモメ”収録曲としてお馴染みのChick Corea作品カヴァー。本作のハイライト第1弾です。エレピ+リズム隊によるスパニッシュ・テイストと厚みのあるホーン隊との絡み具合がいいカンジです。まずは陽気に明るく踊りましょ!
「A Song for You」
Leon Russellの名曲カヴァー。ホーン隊を中心に哀愁モードが漂いますが、案外サラッと仕上げているのが好きですね。
「Freedom Jazz Dance」
本作のハイライト第2弾は前述の人気ジャズ・ダンス曲。やはり、この曲がダントツにカッチョ良いと思います。タイトル通り、フリーダムなジャズ・ダンスといった仕上がりです。ここでは自由に踊りましょ!
https://www.youtube.com/watch?v=iBnJXT4bzG8
本曲のオリジナルはEddie Harrisです。多くのミュージシャンがカヴァーしていますが、 当ブログで紹介した帝王Miles Davis(アルバム『Miles Smiles』収録)、Phil Woodsあたりの演奏が有名なのでは?個人的にはBrian Auger's Oblivion Expressのヴァージョンも好きです。
「The Meaning of the Blues」
映画のサントラにありそうな哀愁感たっぷりのブルースです。Bobby Troup/Leah Worth作品。
「The First Thing I Do」
この曲も人気のジャズ・ファンク・チューン。この時期のブラック・ミュージックの流れに呼応している演奏ですね。Richard Evans作品。
「Think on Me」
ダイナミックかつロマンティックなクロスオーヴァー作品。フルートの音色が涼しげですね。George Cables作品。
「Giant Steps」
本作のハイライト第3弾はJohn Coltraneのカヴァー。求道者Coltraneの作品がこんなにスタイリッシュでダイナミックなジャズ・ダンスになってしまうなんて!このビッグ・バンドの魅力を最も堪能できる作品かもしれませんね。小難しく考えないで、弾けて踊りましょ!
「A Child Is Born」
Thad Jones作品のカヴァー。実にエレガントな演奏がいいですね。この優雅さはビッグ・バンドならではの魅力ですね。
「Be-Bop and Roses」
「A Child Is Born」および本曲のアレンジを担当しているAlan Broadbentの作品。小気味良くスタイリッシュな演奏はかなり僕好みです。
Woody Hermanのアルバムはこれ1枚しか持っていませんが、他の作品もゲットしたいです。『The Raven Speaks』(1972年)あたりが欲しいですね。