2008年05月26日

Meta Roos & Nippe Sylwens Band『Meta Roos & Nippe Sylwens Band('78)』

至極の北欧ボッサ・ジャズ/ポップス☆Meta Roos & Nippe Sylwens Band『Meta Roos & Nippe Sylwens Band('78)』
メタ・ルース・アンド・ニッピ・シルヴェンス・バンド(1978)
発表年:1978年
ez的ジャンル:北欧系ボッサ・ジャズ/ポップス
気分は... :これを聴かなきゃ一生後悔する.....

以前にRoman Andren『Juanita』(2007年)のエントリー時に書いた超オススメ・アルバム『Meta Roos & Nippe Sylwens Band('78)』のアルバム・ジャケがAmazonにやっとアップされたので、紹介したいと思いマ〜ス!

昔と違って、最近は自分の大好きなアルバムを人に無理矢理を聴かせることに抵抗感を覚えるのですが、このアルバムに限っては無理矢理聴かせたいたいですね。"これを聴かなきゃ一生後悔する"くらい言っておきますね(笑)

Meta Roos(Margareta Viveca Roos)は1954年スウェーデンのバーダ生まれの女性シンガー。1975年にレコード・デビューし、ストックホルム等でライブ活動をスタート。そして、1978年と1980年にNippe Sylwens Band共に『Meta Roos & Nippe Sylwens Band('78)』『Meta Roos & Nippe Sylwens Band('80)』という2枚のアルバムを制作しています。

未聴の方は騙されたと思って、とにかく聴いてみて下さい。こんな素晴らしいアルバムには滅多にお目にかかれません。

基本的にはジャズorポップス系シンガーだと思いますが、クラブジャズ好き、イージーリスニング好き、ポップス好き、フリーソウル好き、ブラジル音楽好き、AOR好き等々幅広い層を魅了する懐の深さを持ったアルバムだと思いマス。

僕がMeta Roosを知ったのは、多くの方がそうであるように、サバービア系コンピ『Cafe Apres Midi - Vert』が最初でした。そこに収録された「Just the Way You Are」(ご存知Billy Joelの大名曲カヴァー)、「Zazueira」(Jorge Benの名曲カヴァー)、「The Real Thing」(Sergio Mendesでお馴染みのStevie Wonder作品)というブラジリアン・テイストのカヴァー3曲に完璧ハマりました。

まだ、"北欧ボッサ"なんて認識は全く無かったので、最初はブラジル人シンガーだとばかり思っていました。なので後日Meta Roosが北欧スウェーデンのシンガーだと知ってびっくりしましたね。

同時に本作のジャケを知り、昔のアイドル歌手のような容姿とその至極のヴォーカル&サウンドとのギャップに、僕のMeta Roosに対する興味は益々深まるのでした.....

そしてようやく入手した本作『Meta Roos & Nippe Sylwens Band('78)』および『Meta Roos & Nippe Sylwens Band('80)』です。本作に関しては、前述の「Just the Way You Are」「Zazueira」の2曲以外は最悪捨て曲でもいいや!くらいの思いで購入したのですが、そんなの大間違い!捨て曲なんていうマイナス要素は一切ありません。

全曲カヴァー作品ですが、Billy Joel、Jorge Ben、Roberta FlackMarlena ShawAlessiDinah Washington、Neil Sedaka、Fairport Convention、Carole Kingといったセレクションのセンスが素晴らしいの一言です。

そして、Meta Roosのやや低いトーンの大人のヴォーカルとボッサ&ジャジーなNippe Sylwens Bandのサウンドは、長年待ち焦がれた憧れの人に出会ったくらい感動的です。

幅広い年齢層の方が楽しめる作品ですが、特に70年代大好きのオールド・ファンの方がハマるのではないかと思いマス。

全曲紹介しときヤス。

「Just the Way You Are」
前述のBilly Joelの大名曲カヴァーであり、僕の一番のお気に入り曲です。昔からオリジナルが大好きな僕ですが、本カヴァーはそれに迫る秀逸な出来だと思います。オリジナルのメロウネスそのままにボッサ・テイストが強調された仕上がりです。本カヴァーを聴いて、オリジナルもボッサな魅力を持っていたことを再発見できました。オリジナルを好きな人ならば、間違いなく気に入ると思いマス。

「Zazueira」
Jorge Benの名曲カヴァー。以前にElis Reginaのカヴァーも紹介しましたね。クラブ・ジャズ・ファンにが喜ぶブラジリアン・ジャズ・グルーヴに仕上げています。

「Feel Like Making Love」
Roberta Flackによる大ヒットで有名なEugene McDaniels作品のカヴァー。個人的にはRoberta FlackによるオリジナルとMarlena ShawGeorge Bensonのカヴァーが本曲のお気に入りヴァージョンだったのですが、それに迫る出来です。Roberta FlackMarlena Shawのヴァージョンがお好きな方は気に入るメロウな仕上がりです。

「Rosie」
UKフォークを代表するグループFairport Conventionの1973年作品のカヴァー(オリジナルはアルバム『Rosie』収録)。ジャズ・フィーリングたっぷりの仕上がりです。こうしたジャズ・ヴォール色の強い楽曲が本来のMeta Roosの姿なのだと思います。

「Street Walking Women」
本ブログでも紹介したMarlena Shawの人気曲のカヴァー(オリジナルは『Who Is This Bitch, Anyway?』収録)。オリジナルの持つスリリングな展開を残しつつ、ジャズ・ヴォーカルらしい小気味良い雰囲気を堪能できます。

「For Peace and Love」
Neil Sedakaのカヴァー1曲目。オリジナルは『The Tra La Days Are Over』(1973年)に収録されています。ボッサ・テイストのポップな仕上がりです。フェンダー・ローズとフルートの音色がメロウネスを高めてくれます。

「Oh Lori」
Alessiのカヴァー(オリジナルは『Alessi』収録)。オリジナルも好きでよく聴いていましたが、元々ジャズ・カヴァーがハマる曲だと思っていたので、ジャスト・フィットしています。

「Here We Are Falling in Love」
Neil Sedakaのカヴァー2曲目。オリジナルは『Steppin' Out』(1976年)に収録されています。クラブ・ジャズ好き向けのカッチョ良いブラジリアン・ジャズ・グルーヴに仕上がっています。今聴いても全く古さを感じない演奏に脱帽ですね。

「What a Difference a Day Made」
Dinah Washingtonなどのヒットで知られるMaria Grever作品のカヴァー。いい感じオルガンをバックに、ジャズ・ヴォーカリストらしい歌い回しで小粋に聴かせてくれます。

「You've Got a Friend」
説明不要のCarole Kingの大名曲カヴァー。この曲もいろんなアーティストのカヴァーを数多聴いてきましたが、僕的にはDonny Hathawayの名カヴァーに迫る出来だと思っています。軽いボッサ・テイストの演奏をバックにMeta Roosとバックのコーラスが抜群のヴォーカルを聴かせてくれます。

『Meta Roos & Nippe Sylwens Band('80)』もセットでどうぞ!
先日『Sergio Mendes & The New Brasil '77』でも紹介したStevie Wonder作のクラブ・クラシック「The Real Thing」が収録されています。
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2008年05月25日

Paul Weller『Wild Wood』

自然体のフォーキー&骨太ロック☆Paul Weller『Wild Wood』
Wild Wood
発表年:1993年
ez的ジャンル:フォーキー&骨太UKロック
気分は... :自然なテイストがいいですな!

Paul Weller好きの僕ですが、ふと本ブログの過去エントリーを眺めると約2年近くソロ作品を取り上げていないことに気づきました。ちなみに前回は『Illumination』(2002年)でした。

The JamStyle Councilに関しては、これまで以下の5枚を紹介しています。

The Jam:
 『Setting Sons』(1979年)
 『All Mod Cons』(1978年)
 『The Gift』(1982年)
Style Council:
 『Our Favorite Shop』(1985年)
 『Cafe Bleu』(1984年)

今回はPaul Wellerの2ndソロ・アルバム『Wild Wood』(1993年)をセレクト。

The JamStyle Councilには相当熱狂した僕でしたが、ソロになってからのPaul兄貴は音楽の中身云々というより、それまでの信頼で聴いていた気がします。なので正直言うと、それ程思い入れ強く聴きこんだアルバムって無いんですよね。どの作品も一定レベル以上の内容はキープしているので満足していますが...

前回紹介した『Illumination』以外で比較的聴く頻度の高いアルバムが『Wild Wood』(1993年)、『studio 150』(2004年)の2枚です。

特に今日はフォーキーな音楽が聴きたい気分なので『Wild Wood』をセレクトしました。と言いつつ、実際には骨太ロックとフォーキー・チューンが半々くらいで構成されています。

一般には次作『Stanley Road』の評価が高く、ソロの最初のピークのように言われますが、個人的には『Stanley Road』よりも『Wild Wood』の方が好きですね。

初ソロ・アルバム『Paul Weller』(1992年)で後期スタカンの消化不良状態からのリハビリを完了した兄貴が、リラックスして力まず自然体で制作したアルバムが『Wild Wood』という印象を受けます。

バックには元Young DisciplesのMarco(b)、Style CouncilファミリーSteve White(ds)を中心に、奥方だったDee C. Lee、盟友Mick Talbot、元Blow MonkeysのRobert Howard(Dr.Robert)、Ocean Colour SceneSteve CradockSimon Fowler等が参加しています。

本作に限らずPaul兄貴のソロ作品って、60年代〜70年代UKロックの正当な継承者という印象を受けます。その意味ではThe Jam、Style Councilファン以上に、60年代〜70年代UKロック好きの方の嗜好に合っているのでは?

オススメ曲を紹介しときやす。

「Sunflower」
アルバムからの1stシングル。無骨な雰囲気がいい感じのロック・チューン。スタカンのオシャレなPaul兄貴も悪くはないけど、やっぱりギターかき鳴らしている方が似合っていますな。

「Can You Heal Us (Holy Man) 」
大人の渋みを感じるロック・チューン。いやぁ、この曲の枯れ具合いはいいですねぇ。バックの音も渋いですがなかなか小粋です。

「Wild Wood」
アルバムからの2ndシングル。本作のフォーキーな側面を象徴する曲ですね。僕が本作を聴きたくなったのも、このタイプの曲を聴きたかったからです。こうした何気ないシンプルな曲をシングルとしてリリースするようになったあたりに兄貴の熟成ぶりを感じます。

「All The Pictures On The Wall」
アルバムで一番好きな曲がコレ。3+3時代に突入する前のIsley BrothersのようなR&Bテイストのフォーキー・チューンに仕上がっています。スタカン時代に築いたものをソロになってからのスタンスでうまく消化している感じがします。

「Has My Fire Really Gone Out?」
再び骨太ロック。リラックスした中での緊張感といった趣のミドル・テンポの演奏が好きですね。

「5th Season」
この曲も大好き!Mick Talbotも参加しているR&Bテイストの仕上がりです。僕は基本的に兄貴にこの手のR&B路線を期待しているのかもしれません。Mickのハモンドがいい感じです。スタカンでこういった曲をやって欲しかった(笑)

「The Weaver」
アルバムからの3rdシングル(本作にはアルバム・ヴァージョン収録)。ソロになってからの兄貴のカッチョ良さが凝縮された完成度の高い1曲。兄貴ならではの爽やかに枯れた感じが好きですね。Ocean Colour SceneのSteve Cradock、Simon Fowlerの二人も参加し、好サポートしています。

「Shadow Of The Sun」
7分を超える大作。兄貴の強い決意が感じられる1曲。

「Moon On Your Pyjamas」
Dee C. Leeとの間に生まれた二人の子供NathanielとLeahのために書かれた曲。兄貴の父親としての顔が窺える優しい仕上がりでです。

「Hung Up」
この曲もシングルになりました。UKロックの伝統を受け継いでいる力強い演奏を堪能できます。

最近の2枚組デラックス・エディションにはThe Who「Magic Bus」Tim Hardin「Black Sheep Boy」等のボーナス・トラックや別ヴァージョン、デモ・ヴァージョン、ライブ音源も収録されています。

本作リリース後にライブを収録したライブ・アルバム『Live Wood』(1994年)もセットでどうぞ!
Live Wood
Live Wood
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2008年05月24日

The Roots『Rising Down』

?uestlove自身が最高傑作と語る自信作!☆The Roots『Rising Down』
Rising Down
発表年:2008年
ez的ジャンル:知性派&ダーク系Hip-Hopバンド
気分は... :これはヤバい...

Hip-Hopシーンで唯一無二の存在である知性派Hip-HopバンドThe Rootsの最新作『Rising Down』の紹介です。

The Rootsの紹介は『Game Theory』(2006年)、『Do You Want More?!!!??!』(1994年)に続き3回目です。

4月末に購入してから3週間以上聴きこんでいますが、日増しに魅力が増してくるアルバムですね。さすが?uestloveですね。

前作『Game Theory』(2006年)に続くDef Jam第2弾ですが、前作で示したダーク路線にさらに深化した印象を受けます。

以前にも書きましたが、僕の個人的嗜好で言えば、『Do You Want More?!!!??!』(1994年)、『From The Ground Up』(1994年)、『Illadelph Halflife』(1996年)、『Things Fall Apart』(1999年)といったジャジーな色合いの作品が好みなんですよね。

しかしながら、前作『Game Theory』のリリース時に、過去の姿をいつまでも求めることを止め、ダークな色合いの新しいRootsを楽しもうという心境になりました。

その意味で、本作『Rising Down』はジャジー路線好きだった僕に"ダーク路線もいいなぁ"と納得させるハイレベルな仕上がりだと思います。?uestlove自身が"これまでの最高傑作!"と語っているようですが、その自信も頷けますね!。

アルバム・タイトルは作家William T. Vollmannの著作『Rising Up and Rising Down』(2004年)から引用したものです。この本は著者がアフガニスタンやボスニア等世界各地事例から暴力や殺人について考察したものらしいです。かなりダークな内容だと思われます。

そんなタイトルからも推察できるように、彼らのキャリアの中でも最も政治的なアルバムです。

個人的には、そうした小難しいことを抜きにして単純に音のカッチョ良さでを楽しめば良いと思います。個人的には本作における?uestloveのドラムブレイクに相当ハマっています。

Rootsファミリー以外にCommonTalib Kweli、Mos Def、DJ Jazzy Jeff、Wale、Chrisette Michele等のメンバーが参加しています。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Rising Down」
タイトル曲はMos Def、Styles Pをフィーチャー。現在のRootsのスタイルとMos Defってマッチしている気がしますね。勿論このメンツならばロック寄りの仕上がりです。Grand Funk Railroad「Nothing Is the Same」ネタ。

「Get Busy」
Dice RawとPeedi Peediをフィーチャー。DJ Jazzy Jeffもスクラッチで参戦しています。クールなPVが印象的ですよね。本アルバムを象徴するダークでタイトなグルーヴ感を堪能できます。DJ Jazzy Jeffの擦りもかなりキマってますよ〜!Joeski Love「Pee Wee Dance」ネタ。

「75 Bars (Black's Reconstruction) 」
ダントツのお気に入り曲。?uestloveのドラムブレイクがカッチョ良すぎです。ここ数週間毎日このドラムブレイクを必ず聴いています。スーザフォン(sousaphone)というバルブ式低音金管楽器による重低音と絡んだダークなグルーヴ感は、アルバムのハイライトだと思いマス。?uestloveサイコー!Black Thoughtの叩きつけるようなフロウもグッド!

「Criminal」
Truck North & Saigonをフィーチャーと書きつつ、この二人良く知りません。Saigonは今年デビュー・アルバムをリリースするみたいですね。

変な表現ですが、不気味なメロウネスって雰囲気ですね。Gnarls Barkleyの新作『The Odd Couple』あたりにも通じる、60年代後半UKロックのような翳りを感じます。なかなか興味深いトラックですね。

「I Will Not Apologize」
Porn、Dice Rawをフィーチャーしたアフロビート・チューン。Fela Kuti「Mr. Grammarticalogylisationalism Is the Boss」ネタです。♪I will not apologize〜♪のコーラス部分が空耳アワーで♪危ないっカルチャー♪と聴こえて仕方がありません。その部分が脳内リピートしまくりで中毒になりそうです(笑)

「I Can't Help It」
Malik B.、Porn、Mercedes Martinez、Dice Rawをフィーチャー。やっぱりオリジナル・メンバーのMalik B.がいるとRootsって感じがしますね。と言いつつダーク路線は変わりません。男臭い中で聴こえるMercedes Martinezの女声コーラスが芳香剤のようです(笑)

「Lost Desire」
Malik B.とTalib Kweliをフィーチャー。Talib Kweli絡みで取り上げましたが、それ程特徴がない仕上がりでしょうか。

「The Show」
CommonとDice Rawをフィーチャー。Common好きの僕としては大満足な仕上がりです。トラックとCommonのフロウが実に馴染んでいると思います。

「Rising Up」
アルバムからの先行シングル。WaleとChrisette Micheleをフィーチャー。客観的に聴けば、キャッチーなこの曲がキラー・チューンかもしれませんね。

昔ながらのRootsファンも喜ぶ仕上がりですよね。ワシントンD.C.出身のラッパーWaleに合わせて、トラックがGo-Goになっているあたりが心憎いですな。昨年のマイ・ベスト10にもセレクトしたChrisette Micheleのナチュラル・ヴォーカルも勿論グッドです。

当初シングルになる予定だった「Birthday Girl」(Fall Out BoyのPatrick Stumpをフィーチャー)は国内盤に収録されています。
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2008年05月23日

Aretha Franklin『Sparkle』

Curtis Mayfieldがプロデュースした70年代中期の代表作☆Aretha Franklin『Sparkle』
スパークル(紙ジャケット仕様)
発表年:1976年
ez的ジャンル:ソウルの大御所夢のコラボ
気分は... :チェルシー無念

昨日も書いたUEFAチャンピオンズ・リーグ決勝は、僕の期待もむなしくマンチェスターUがPK戦を制し、チェルシーは敗れ去りました。

PKを失敗した主将テリーの涙が印象でしたね。
前半はかなり押し込まれましたが、後半はかなりモメンタムを引き寄せていただけに悔しいですね。。

それなりに好試合でしたが、ピッチの状態がもっと良ければ、さらに好プレーを観れた気もします。

気分を切り換えて、次はユーロ2008ですね。
出場国の代表選手には、コンディションを整えて、いい状態で大会に臨んで欲しいですね。ユーロ2008については改めて書きたいと思います。

さて、約1年ぶりにAretha Franklinの紹介です。

これまで紹介してきたAretha作品は以下の3枚。

 『I Never Loved a Man the Way I Love You』(1967年)
 『Young, Gifted And Black』(1972年)
 『Lady Soul』(1968年)

4枚目として紹介するのは、Curtis Mayfieldがプロデュースした1976年リリースの『Sparkle』です。

Curtis MayfieldAretha Franklinというスーパースター夢の競演は、Sam O'Steen監督のブラック・シネマ『Sparkle』のサントラとして制作されたものです。

僕自身は映画を観たことがありませんが、ハーレムに住む3人の黒人女性がスターを目指すという話らしいです。Supremesにインスパイアされて制作されたということで、『Dreamgirls』(2006年)のような映画なのかもしれませんね。

キャストを見ると、「Fame」、「Flashdance... What a Feeling」の大ヒットを持つIrene Caraや人気TVシリーズ『Miami Vice(マイアミ・バイス)』(映画ではなくオリジナルの方)に出演していたPhilip Michael Thomasの名がありました。

レコーディングはCurtisの本拠地シカゴのCurtomスタジオで行われ、Curtisはプロデュース&アレンジ&楽器演奏と裏方で活躍しています。

Curtisらしいサウンドをバックに、Arethaが伸び伸びと歌う...これで悪い訳ないでしょ!という出来です。アルバム・ジャケ同様にキラキラした輝くArethaのヴォーカルを堪能できます。

ゴチャゴチャしたサウンドで自己主張するのではなく、あくまでArethaのヴォーカルを引き立てることに徹したCurtisのプロデューサーとしての手腕はお見事だと思います。そんな控えたサウンドでもCurtisらしさを堪能できるサジ加減がサイコーですね。

あとはゴスペル・テイストのコーラスで盛り上げてくれるKitty Haywood Singersの貢献も見逃せません。

70年代中期のArethaを代表する1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Sparkle」
いかにもCurtisなイントロに続き、ゆったりとメロウに歌うArethaにうっとりですね。さらにArethaに負けじと素晴らしいコーラスを聴かせてくれるKitty Haywood Singersも素晴らしいの一言ですね。この1曲を聴いただけで、Aretha meets Curtisは成功!と納得してしまいます。

Curtis Mayfield自身のヴァージョンはアルバム『Never Say You Can't Survive』(1977年)に収録されています。

「Something He Can Feel」
シングル・カットされ、全米R&Bチャート第1位のヒットとなりました。バックは控えめにしてArethaのヴォーカルをじっくり堪能できるバラードに仕上がっています。この曲でもKitty Haywood Singersが盛り上げてくれます。

1992年にEn Vogueが「Giving Him Something He Can Feel」のタイトルでカヴァーし、オリジナル同様に全米R&Bチャート第1位のヒットを記録しましたね。そちらでご存知の方も多いのでは?

「Hooked On Your Love」
アルバムからの2ndシングルとして全米R&Bチャート第17位を記録しています。ライトなミディアム・グルーヴでスタートしますが、徐々にヒートアップしてくるカンジがいいですね。

この曲もEn Vogueがカヴァーしています。前述の「Giving Him Something He Can Feel」と共にアルバム『Funky Divas』に収録されています。

「Look Into Your Heart」
個人的にはアルバムで一番のお気に入りです。アルバムからの3rdシングルとして全米R&Bチャート第10位を記録しています。メロウなCurtis サウンドをバックに、Arethaが歌声が縦横無尽に駆け巡っていくカンジが大好きですね。

Curtis Mayfieldのトリビュート・アルバム『A Tribute To Curtis Mayfield』の中でWhitney Houstonがカヴァーしています。

「I Get High」
ダークでシリアスな感じもCurtisらしいですね。本作ならではの雰囲気を味わえる1曲なのでは?

「Jump」
タイトルの通りジャンプしている軽快なアップ・チューンです。Kitty Haywood Singersのコーラスが曲の魅力を高めてくれます。

「Loving You Baby」
Arethaらしいエモーショナルなヴォーカルを堪能できるミディアム・チューン。ホーンの鳴り具合いがお茶目でいいですね。

「Rock With Me」
この曲もCurtisらしさに溢れていますね。リラックスした雰囲気の中でArethaのヴォーカルも生き生きしています。

アルバムのトータル時間は約33分と短いものですが、魅力が凝縮されていてグッドだと思います。
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2008年05月22日

Bobby Caldwell『Carry On』

『What You Won't Do For Love』に次ぐ人気盤☆Bobby Caldwell『Carry On』
シーサイド・センチメンタル(紙ジャケット仕様)
発表年:1982年
ez的ジャンル:ミスターAOR
気分は... :チェルシー頑張れ!

いよいよ数時間後にサッカーUEFAチャンピオンズ・リーグ決勝「マンチェスターU対チェルシー」がキック・オフですね。

注目のイングランド対決ですが、個人的にはチェルシーを応援したいですね。お気に入りプレーヤーであるドログバ、エッシェンの活躍が観たいですね。僕の無責任な予想ではバラックが試合のキーマンとなる気がします。

今日はチャンピオンズ・リーグに因んでUKものにしようと思ったのですが、最近ロックはUKものしか紹介していないので、USものにしました。

ということで"ミスターAOR"Bobby Caldwellの2回目の登場です。

本ブログの記念すべき最初のエントリーはBobbyの1stアルバム『What You Won't Do For Love』(オリジナル・タイトル『Bobby Caldwell』)(1978年)でした。今読むとかなりトホホな内容ですが(泣)

何故このアルバムをセレクトしたのか記憶が定かではありませんが、ブログのコンセプトに最も合致していた作品だったのだと思います。

AORの名盤として名高い『What You Won't Do For Love』ですが、タイトル曲「What You Won't Do For Love」が数多くのR&B/Hip-Hopアーティストにサンプリングされ、AORとは全く無縁の若い音楽ファンからも間接的に支持されるていると思います。こうしたジャンルや年代を越えた訴求力が、本ブログの「ジャンル、年代を問わず」というコンセプトと合致すると考えたのかもしれません...よく憶えていないけど(笑)

今日紹介する『Carry On』(1982年)は、『What You Won't Do For Love』(1978年)、『Cat In The Hat』(1980年)に続く3rdアルバムです。この3枚こそが"ミスターAOR"としてのBobby Caldwellを堪能できる作品だと思います。

さて『Carry On』ですが、まずはジャケがいいですよね。デビュー・アルバム同様Tim Altによるイラストが印象的です。やっぱり、Bobby Caldwellのアルバムはこうでなければ!

所属のT.K.レコードが倒産したためポリドールへと移籍し、マイアミではなくLAでレコーディングされました。その関係でSteve Lukather、David Paich、Jeff Porcaro、Steve PorcaroといったToto勢、Greg Adams、Mic Gillette、Emilio Castillo、Marc RussoのTower of Power勢、George"Chocolate"Perry、Neil Stubenhaus、Jimmy Haslip、James Newton Howard、Jerry Hey等多数のミュージシャンが参加しています。

それでもBobby自身がプロデュースを行ったせいか、基本部分はBobby自身が演奏している曲が多く、Bobby Caldwellらしさは失われていません。例えば、TotoとBobbyって音的にあまり合う気がしないので、変にそちらの色が出すぎずホッとしています(笑)。それよりも数曲でSteely Dan的なテイストを感じるのが興味深いです。

AORのアルバムって、AORフリーク以外の人が聴くと"既に賞味期限切れじゃない"と思う作品も多いのですが、『What You Won't Do For Love』や本作『Carry On』は、今でも鮮度を充分に保っていると思います。

全曲紹介しときヤス。

「All of My Love」
AORファンが喜ぶシティ・ポップス風の仕上がりですね。イントロのピアノに続き、Bobbyの憂いを帯びたヴォーカルが聴こえてきた瞬間、ゾクッときますね!シングル・カットもされました(全米ポップ・チャート77位)。

「Sunny Hills」
僕が一番好きな名曲「My Flame」を彷彿させるテイストですね。しかし、この雰囲気は故郷マイアミで暮らす老人の寂しさを歌ったものです。歌&サウンドはグッドなだけに歌詞を気にせずに聴いた方がいいかも?

「Loving You」
レゲエ・テイストの落ち着いたミディアム・チューン。同じく1982年にリリースされたDonald Fagen「I.G.Y.」をもっとAORっぽくした仕上がりですね。AORファンはご存知のStevie Woodsが1983年にカヴァーしています。

「Words」
個人的にはこの曲が一番好きですね。Bobbyらしいメロウネスに溢れている名曲だと思いマス。歌詞&メロディ、ファルセットを交えたヴォーカル、アレンジ(特にホーン・アレンジ)全てがサイコーだと思います。

「All of My Love」から「Words」までの冒頭4曲が本作のハイライトだと思います。

「Catwalk」
アルバムの中では一番地味な曲ですね。Steely Danっぽい雰囲気がありますが、アレンジが僕の好みではありませんね。

「Jamaica」
亡きBob Marleyについて歌ったナンバー。当時のガールフレンドJoがマイアミでDJをしていた頃、Bob Marleyにインタビューした事があり、そんな経緯からBob Marleyという人の存在を身近に感じていたのかもしれませんね。

フツーこのタイトルとBob Marleyへのトリビュートと聞けばレゲエだと思いますが、カリプソというあたりがBobbyらしいですね。その意味では原題よりも、「ジャマイカ・センチメンタル」という邦題の方がしっくりきますね。

この曲を本作のハイライトに挙げる人が多いみたいですが、正直そこまでだとは思いません(良い曲だとは思いますが)。また、Toto「Africa」に似ている云々の話がありますが、前述の「Loving You」と「I.G.Y.」の類似度に比べればそれ程でもないと思います。個人的には「Africa」よりはコチラの方が断然好きですね。

シングル・カットされましたが全米ポップ・チャート第105位とチャート・アクション的には振るいませんでした。

「You Belong To Me」
DoobiesCarly Simonで有名なアノ曲とは同名異曲です。Bobbyらしいアーバン・チューンに仕上がっています。マリンバの音色が聴けるのもいいですね。

「Carry On」
名曲の風格漂うロマンティックなバラード。緩急織り交ぜたCaldwell節を存分に堪能できます。Hip-Hopファンの方はMED「Can't Hold On」での早回し使いでお聴きになっているのでは?

さぁ、気合い入れて「マンチェスターU対チェルシー」を観ようっと!
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