2008年05月07日

Estelle『Shine』

John LegendのレーベルHomeschool Recordsの第1弾アーティスト☆Estelle『Shine』
Shine
発表年:2008年
ez的ジャンル:UK女性R&Bシンガー/ラッパー
気分は... :Fugees、Lauryn Hill好きにオススメ!

Amy WinehouseLeona Lewis等々最近のUK女性R&Bシンガーの活躍には驚かされます。

今回紹介するEstelleも、そんなUK女性R&Bシンガーの勢いを感じさせるアーティストの1人です。

Estelle(本名:Fanta Estelle Swaray)は1980年ロンドン生まれの女性シンガー&ラッパー。2004年デビュー・アルバム『The 18th Day』をリリースしています。同年にはBand Aid 20のメンバーとして「Do They Know It's Christmas?」のレコーディングにも参加しています(今回初めて知りました)。

『The 18th Day』にも参加していたJohn Legendが立ち上げたレーベルHomeschool Recordsの第1弾アーティストとして迎えられ、リリースした2ndアルバムが今回紹介する『Shine』です。

John Legendがエグゼクティブ・プロデューサーを務め、Kanye WestCee-Loがゲスト参加し、Will.i.amWyclef Jean、Swizz Beatz等多彩なプロデューサーが楽曲を手掛けるという、なかなかの豪華メンバーです。

ただし、John Legendのレーベルと聞いて、正統派の女性R&Bアルバムを期待するとギャップのあるアルバムかもしれません。

僕が本作を聴いた第一印象は、"FugeesLauryn Hillに似た肌触りのアルバムに久々出会った!"というものでした。

シンガー&ラッパーというスタイルはLauryn Hillに通じるものですし、R&B/ソウル、Hip-Hopに止まらず、レゲエ/ラガ、カリブ等も取り入れた構成はFugeesを彷彿させます。FugeesのメンバーであったWyclef Jeanが参加しているので余計にそういった印象を受けるのかもしれませんが。いずれにしてもFugeesLauryn Hill大好きの僕にとっては嬉しい限りです。

全体的にレゲエ/ラガのテイストが強いのはUKのアーティストらしいですね。

UKらしさをあまり感じないLeona Lewisには全く興味が湧かない僕ですが、EstelleのようなUKらしいアーティストならば大歓迎です。

全曲紹介しときヤス。

「Wait A Minute (Just a Touch)」
アルバムからの1stシングルはWill.i.amプロデュース。Will.i.amらしい軽快なトラックにのって、Estelleのラップ&ヴォーカルを堪能できます。

自身のソロやSergio Mendes『Encanto』あたりはイマイチ好きになれないWill.i.amですが、 Estelleの魅力をうまく引き出していますね。昨年Chrisette Micheleをプロデュースしたの同様の相性の良さを感じます。

Screamin' Jay Hawkins「I Put a Spell on You」、Slave「Just A Touch Of Love」 、Edwin Star「Easin' In」ネタ。

「No Substitute Love」
Wyclef Jeanプロデュース。このカリブ・テイストはまさにFugeesが復活したような仕上がりです。Lauryn Hillが歌っても全然ハマる気がします(笑)George Michael「Faith」、Half Pint「Substitute Lover」ネタ。

「American Boy」
アルバムからの2ndシングル。Kanye WestをフィーチャーしたWill.i.amプロデュース曲です。UKチャートでは第1位になっています。

エレクトロなトラックが印象的ですね。どこかで聴いたことがある?それもそのはず、昨年出たWill.i.amのソロ・アルバム『Songs About Girls』収録の「Impatient」と同じトラックを使っています。

「Impatient」を聴いてもイマイチなのに、本曲が良く聴こえるのは何故ですかね。Estelleの華やかさのおかげ?Kanye Westとエレクトロ・サウンドの組み合わせだからでしょうか?

「More Than Friends」
John Legendがソングライティング&バック・コーラスで参加しているせいか、John Legendテイストのソウルフルな仕上がりです。Keezo Kaneプロデュース。Aretha Franklin「Bridge Over Troubled Water」ネタ。

「Magnificent」
「Come Over」
レゲエ・チューン2曲。「Magnificent」ではKardinal Offishallをフィーチャーしています(Dave & Ansel Collins「Double Barrel」ネタ)。Estelle自身はジャマイカ系イギリス人ではありませんが、UKのシンガーらしくレゲエをやっても馴染んでいますね。

「So Much Out The Way」
一番のお気に入り曲。Wyclef Jeanプロデュースのラガ・テイストHip-Hopチューンです。Estelleに対してLauryn HillのようなR&B/Hip-Hopの枠を超えたスケールの大きなアーティストになって欲しいという、僕の願望があるのかもしれません。Grover Washington Jr.「Hydra」 、Boogie Down Productions「Criminal Minded」ネタ。

「In The Rain」
Love Unlimited「Walkin' in the Rain With the One I Love」ネタをふんだんに使った1曲。こういったキャッチーなR&Bチューンでも(良い意味で)Lauryn Hillっぽいですよね。

「Back In Love」
しっとりとした哀愁メロウ・チューン。ホッと落ち着く1曲。

「You Are」
John Legendとのデュエット。 John Legend好きの方は絶対気に入るコンテンポラリーなR&Bチューン。

「Pretty Please (Love me)」
先日Gnarls Barkleyを紹介したばかりのCee-Loとのデュエット。共にラッパー&シンガーという組み合わせは興味深いですよね。 ここではお互いシンガーに徹して、ポップなソウル・チューンを真っ当にやってます(笑)

「Shine」
エンディングを飾るタイトル曲はSwizz Beatzプロデュース。ラティーノのりがいいですね。

GW明けはイマイチ気合いが入りませんが、いい音楽聴いて上げモードにせねば!
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2008年05月06日

GW特別企画『Hip-Hop黄金期〜90年代前半オススメHip-Hopアルバム』

GWに入って2回目の"特別企画=手抜きエントリー"です(笑)

今回は過去記事の中から90年代前半のオススメHip-Hopアルバム10枚をセレクトしてみました。

コアなHip-Hopファンというわけではありませんが、90年代前半はHip-Hop黄金期だったと思います。

Hip-Hopファンにとっては当前のマスト・アイテムですので、むしろ"Hip-Hop聴かず嫌い"の音楽ファンの方に聴いて欲しい10枚です。

全て殿堂入りアルバムだと思いますよ〜っ。

※発売年順に並べてあります。

Public Enemy『Fear of a Black Planet』(1990年)
Fear of a Black Planet
当時最もインパクトのあったHip-Hopユニット。アジテーションしまくりです!

Digital Underground『Sex Packets』(1990年)
Sex Packets
P-Funk好きにはたまらないHip-Hop!

De La Soul『De La Soul Is Dead』(1991年)
De La Soul Is Dead
本当はHip-Hopとの出会いとなった作品『3 Feet High And Rising』(1989年)にしたいのですが、80年代のアルバムなので本作をセレクト。

Nice & Smooth『Ain't A Damn Thing Changed』(1991年)
Ain't a Damn Thing Changed
まさにナイスなアルバム!

Main Source『Breaking Atoms』(1991年)
Breaking Atoms
Large Professor大先生の職人技に脱帽です!

EPMD『Business Never Personal』(1992年)
Business Never Personal
ファンクネスに充ちた男気あるHip-Hop。Erick Sermonサイコー!

The Pharcyde『Bizarre Ride II』(1992年)
Bizarre Ride II the Pharcyde
「Soul Flower」は永遠のクラシックです!

A Tribe Called Quest『Midnight Marauders』(1993年)
Midnight Marauders
本ブログでも大人気のATCQ☆僕が選ぶHip-Hopアルバムのオールタイム・ベストはコレです。『The Low End Theory』(1991年)も傑作です!

Gang Starr『Hard to Earn』(1994年)
Hard to Earn
GuruとDJ Premierによる最強Hip-Hopユニットの最高傑作!

Pete Rock & C.L. Smooth『The Main Ingredient』(1994年)
The Main Ingredient
最新作『Ny's Finest』も良いですが、Pete Rockの最高傑作はコレだと思います。

今回は僕の嗜好が反映されたセレクトですが、これら10枚以外にも名盤がズラッと居並ぶのが90年代前半のHip-Hopアルバムだと思います。
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2008年05月05日

Carly Simon『Torch』

艶っぽいヴォーカルによるTorch Song集☆Carly Simon『Torch』
Torch
発表年:1981年
ez的ジャンル:SSW系スタンダード集
気分は... :艶っぽい女性ヴォーカルが聴きたい

今日は艶っぽい女性ヴォーカルが聴きたい気分...
ということで、女性シンガーソングライターCarly Simonの1981年のアルバム『Torch』の紹介です。

Carly Simonといえば、「You're So Vain」(1972年 全米ポップ・チャート第1位)、「Mockingbird」(※James Taylorとのデュエット、1974年 全米ポップ・チャート第5位)、「Nobody Does It Better」(1977年 全米ポップ・チャート第2位)、
「You Belong to Me」(1978年 全米ポップ・チャート第6位)等のヒット曲でお馴染みですね。また、1989年には映画『Working Girl』の主題歌「Let the River Run」でアカデミー歌曲賞を受賞しています。プライベートではJames Taylorと1972年に結婚しています(1983年に離婚)。

Carly Simonの代表作と言えば、『No Secrets』(1972年)、『Hotcakes』(1974年)、『Playing Possum』(1975年)、『Boys in the Trees』(1978年)あたりだと思います。

僕の場合、『Torch』(1981年)、『Hello Big Man』(1983年)の2枚をLPで愛聴し、CD時代になって70年代の作品をコレクションしたというパターンでした。

ただし、『Torch』『Hello Big Man』も長い間CDで買いそびれたままでした。それが今年たまたまCDショップで『Torch』を見かけ購入し、約20年ぶりに聴き直しました。改めていいアルバムだと感動を新たにしました。

『Torch』は、Torch Song(失恋の歌)を集めたアルバムであり、殆どの曲はスタンダード・ナンバーという構成です。この後、Linda Ronstadtがスタンダード集『What's New』(1983年)、『Lush Life』(1984年)を、Barbra Streisandがミュージカルの名曲集『Broadway Album』(1985年)をリリースし、それぞれヒットさせていますが、そうした流れを作った先駆け的アルバムですね。

その意味では、シンガーソングライターCarly Simonらしからぬ特異な作品と言えるでしょうが、Carly Simonのシンガーとしての魅力を堪能できる作品だと思います。

Carly Simonは決して技巧派シンガーではありませんが、艶っぽくかつ情感豊かにTorch Songを歌いきっています。気負わず、ナチュラルな感じがいいですね。

プロデュースはヴァイヴ奏者Mike Mainieri。彼自身もStepsの活動等ノッていた時期でした。Carlyとは、『Come Upstairs』(1980年)、『Torch』(1981年)、『Hello Big Man』(1983年)と三作続けてのコンビを組むことになりますが、両者の息はぴったりという感じですね。

バックにはジャズ・ミュージシャンおよびオーケストラを配し、スタンダード・ムードを演出してくれます。Mike Mainieri(vibe、p)以下、Hugh McCracken(g)、Lee Ritenour(g)、Anthony Jackson(b)、Eddie Gomez(b)、Warren Bernhardt(key)、Rick Marotta(ds)、David Sanborn(as)、Phil Woods(as)、Michael Brecker(ts)、Randy Brecker(tp)、Don Sebesky(och)、Marty Paich(och)等の豪華メンバーがバックを務めています。

この手のアルバムにありがちは"企画モノ"臭さがないのも魅力だと思います。

全曲紹介しときヤス。

「Blue of Blue」
Nicholas Holmesの作曲にCarlyが詞をつけたもの。まずはDavid Sanbornのサックスにうっとりですね。そのおかげでCarlyのヴォーカルの艶っぽさもアップしています。数日前Cal Tjader『The Prophet』のエントリーで紹介したばかりのDon Sebeskyによる美しいオーケストラ・アレンジも秀逸です。

「I'll Be Around」
1942年のAlex Wilder作品。The Mills Brothersが1958年にヒットさせています。アコースティック・ギターの響きに従来からのファンはホッとするのでは?バックはHugh McCracken & Lee Ritenourという強力ギター・コンビです。

「I Got It Bad (And That Ain't Good)」
Duke Ellingtonが1941年に黒人ミュージカル『Jump for Joy』に作った作品。Bill Evansも演奏していますね。ポップス歌手によるエレガントかつロマンティックなスタンダードのカヴァーを期待する方にはピッタリだと思います。Warren BernhardtのピアノとMarty Paichによるオーケストラは実にエレガントだし、David Sanbornのサックス・ソロも雰囲気を盛り上げてくれます。何より、お色気ムンムンのCarlyのヴォーカルが素晴らしいですな。

「I Get Along Without You Very Well」
「Stardust」でお馴染みHoagy Carmichaelの1939年の作品。Billie Holiday、Frank Sinatra、Chet Baker等が取り上げています。 本アルバムのテーマ(Torch Song)が十分に伝わってくる寂しげな仕上がりが印象的ですね。

「Body and Soul」
お馴染みのスタンダードですね(Robert Sour/Edward Heyman/Frank Eyton作詞、John Green作曲)。この演奏が一番ジャズ・スタンダードらしいかもしれませんね。Carlyのヴォーカルにも実に雰囲気があります。ヴァイヴ大好きの僕としては、Mainieriのヴァイヴが響きが実に心地良いです。Phil Woodsによるリリカルなソロもなかなかです。

「Hurt」
Jimmie Crane/Al Jacobsによる1954年の作品。黒人シンガーRoy Hamiltonによって紹介され、Timi Yuroのヴァージョンがヒットしました。ここではMichael Breckerのテナーを大きくフィーチャーしたドラマティックな仕上がりが印象的です。シングル・カットもされました。

「From the Heart」
この曲はCarlyのオリジナルです。ピアノとギターのみのシンプルなバックを従え、哀愁ムードのヴォーカルを聴かせてくれます。

「Spring Is Here」
Lorenz Hartz作詞、Richard Rodgers作曲の1938年作品。個人的には一番のお気に入りです。ミュージカルや映画のサントラのロマンティックかつエレガントなオーケストラがお好きな方は気に入ると思います。仰々しくないCarlyの自然体ヴォーカルが胸の中にスーッと染み渡ってくる感じがたまりません。

「Pretty Strange」
Jon Hendricks作詞、Randy Weston作曲。ヴォーカル、バック共にジャズ・スタンダードの雰囲気十分なのがいいですね。Randy Breckerのミュートが印象的ですね。

「What Shall We Do With the Child?」
「Blue of Blue」同様、Nicholas Holmesの作曲にCarlyが詞をつけたもの。フツーにCarly Simon作品として聴けるアコースティックな仕上がりです。実に切ない歌詞&ヴォーカルが胸に突き刺さりますね。

「Not a Day Goes By」
ブロードウェイ・ミュージカル『Merrily We Roll Along』の挿入歌(Stephen Sondheim作品)。ミュージカル好きにはたまらない感動的な仕上がりです。

Carlyは2005年に再びスタンダード集 『Moonlight Serenade』 をリリースしています。
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2008年05月04日

III Frum Tha' Soul『What Cha Missin'』

このバリトン・ヴォーカルはなかなか魅力的です!☆III Frum Tha' Soul『What Cha Missin'』
What Cha Missin'
発表年:1993年
ez的ジャンル:NJS & 熱唱スロウ系R&B
気分は... :約10年ぶりに聴きました。

今日はIII Frum Tha' Soulのデビュー・アルバム『What Cha Missin'』(1993年)です。

と書いても、このR&Bグループについてご存知の方は少ないと思います。

III Frum Tha' Soulはオハイオ出身の男性R&Bグループです。1993年にデビュー・アルバム『What Cha Missin'』をリリース。この時のメンバーはBig Jim(Jimmy Johnson)、Vic G(Victor Green)、LaMonte Richaedsonの3人でした。

正直、2nd以降の動きは今回ネットで調べて初めて知りました。それによると、以下のような経緯だった模様です。

その後メンバーチェンジ(ラッパーのLaMonteが抜けてRicardo Scottが加入)を経て2ndアルバム『III Frum Tha' Soul』を制作します。Gerald LevertKeith Sweatといった大物がプロデュースを手掛けましたが、本国アメリカではリリースされず1999年日本でのみ発売されました。そんな不遇のままグループは解散してしまいます。
※2022.4.5追記
2ndアルバム『III Frum Tha' Soul』は、USでも1998年末にリリースされていた模様です。


Big Jimはソロとして再スタートし、2003年にソロ・アルバム『Commitment Episode 1』をリリースしています。

僕はリアルタイムでこのCDを愛聴していましたが、年を経るごとに記憶の彼方へ....ここ十年以上はCD棚の奥に眠ったままで、全く聴いたことがありませんでした。

先日たまたまネットで本作のジャケを見つけ、懐かしいなぁと思いCD棚から久々に取り出して聴いてみたら、なかなかグッド!調べてみると、USブラック・ディスク・ガイド掲載ディスクだったことを初めて知り、今回の紹介となりました。

中身は前半はNJS(New Jack Swing )系のアップもの、後半はスロウ・オンパレードという当時ありがちだった構成ですが、中身はBig Jimのバリトン・ヴォーカルを中心になかなか大人のR&Bに仕上がっています。

その意味では後半のスロウが聴きどころであり、前半のNJS系は好き/嫌いがハッキリ分かれるかもしれませんね。
リアルタイムで愛試していた立場で言えば、この前半があったからこそ本作を購入したわけで、ぜひ毛嫌いせずに聴いて欲しいです!

最近、バリトン・ヴォーカルが前面に出てくるR&Bをあまり聴いていなかったので、かなり新鮮に聴くことができました。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Wha Cha Missin'」
NJS好きにはたまらないオープニング。意外とバリトン・ヴォーカルとキャッチーなハネハネ・ビートが合うんですよね。Bill Withers「Ain't No Sunshine」、K.C. & The Sunshine Band「I Get Lifted」をサンプリング。スクラッチはDJ Spinbadです。

「Crazy About You」
この曲あたりはフツーにGuyとか好きな人であれば気に入る曲だと思います。

「Swing That Money」
「Wha Cha Missin'」、「Crazy About You」、「Swing That Money」と続くNJS三連発はかなり強力だと思います。Big Jimのバリトン・ヴォーカルが映えるアップ・チューンに仕上がっています。James Brown「Hot Pants」、Digital Underground「Humpty Dance」をサンプリングしています(サンプリングのクレジットには「Humpty Hump」と記載されていますが、「Humpty Dance」の間違いだと思います。僕の勘違いだったらゴメンナサイ)。

「It's Time」
アルバムの中で数少ないミッド・チューン。男臭さがプンプンと伝わってきます。

「I Can't Wait」
この曲からスロウ・パートに突入です。バリトン・ヴォイスで熱唱しまくる正統派バラッドです。Big Jimの本領発揮といったところでしょうか。

「Let Me Make Love to You/Turn off the Lights」
正統派ソウル・ファンの方にとっては本曲がハイライトでしょうね。O'JaysとTeddy Pendergrassのカヴァーをメドレーで聴かせてくれます。かなりオーソドックスな仕上がりですが、それが勝負できるのは実力派の証かもしれませんね。

「Let Me Make Love to You」のオリジナルはアルバム『Survival』(1975年)、「Turn off the Lights」のオリジナルは『Teddy』(1979年)に収録されています。

「Distant Lover」
タイトルからしてMarvin Gayeのカヴァーか!なんて期待されるかもしれませんが、残念ながら同名異曲のオリジナルです(笑)90年代らしい大人のバラッドに仕上がっています。個人的にはスロウもので一番のお気に入りです。

「I Get Lonely」
バックの打ち込みはややチープですが、ヴォーカル&コーラスはなかなか聴かせてくれます。

USブラック・ディスク・ガイドを眺めると、80年代後半〜90年代前半のリストの中に、本作のように所有しているのに長らく聴いていないディスクが結構あることに気付きました。機会があればボチボチそうした作品も紹介したいと思います。
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2008年05月03日

The Isley Brothers『3+3』

「3+3」体制のスタートとなった記念碑的アルバム☆The Isley Brothers『3+3』
3+3
発表年:1973年
ez的ジャンル:Isleysファンク時代の幕開け
気分は... :3+3=∞

The Isley Brothersの7回目の登場です。
R&Bグループでは最多の登場回数になります。

これまで下記の6枚を紹介しました(エントリー順)。

 『Between The Sheets』(1983年)
 『The Heat Is On』(1975年)
 『Baby Makin' Music』(2006年)
 『The Isleys Live』(1973年)
 『Winner Takes All』(1979年)
 『Givin' It Back』(1971年)

今回紹介するのはIsleys70年代黄金期の1枚『3+3』(1973年)です。

アルバム・タイトルの通り、本作よりErnie Isley、Marvin Isley、Chris Jasperの楽器隊3名が正式にメンバーに加わり、O'Kelly Isley、Rudolph Isley、Roland Isleyのヴォーカル隊と合わせて「3+3」体制となりました。「3+3」体制は『Between The Sheets』(1983年)まで続き、ファンク・グループとして不動の地位を築いていきます。

基本的にIsleysはどの作品も好きですが、やはり「3+3」時代こそがIsleysの黄金期ですよね。
特に70年代の作品はどれも甲乙つけがたい名盤ばかりだと思います。

その中でも本作『3+3』は、『The Heat Is On』あたりと並び支持の高い1枚なのでは?

「3+3」体制の第1弾となる記念碑的作品でもあり、メンバーの意気込みと自信が伝わってくる仕上がりだと思います。

実際には、「3+3」のメンバー6名にGeorge Moreland(ds)、Truman Thomas(org)が加わった「3+3(+2)」体制でレコーディングされています。

全9曲中5曲がオリジナル、4曲がカヴァー(全て白人アーティスト)という構成です。

オリジナル曲では、新生Isleysならではのサウンドに着目です。

本作以降ロック感覚のファンク・サウンドで独自のスタイルを構築していく彼らですが、演奏面でまず目立つのはErnieのギターですよね。ホーンレスということもありますが、ロック・グループか?と錯覚するほど派手にギターを弾きまくっています。

あと忘れてはいけないのがChris Jasperのキーボードです。それまでのピアノ主体の演奏に、エレピ、クラヴィネット、ムーグも加えて、サウンドの表情を豊かにしています。この貢献はかなり大きいのではと感じます。

カヴァー曲では、白人アーティストの楽曲を、まるでIsleysオリジナルのように聴かせてしまう変貌ぶりに注目です。

白人アーティストに積極的に接近しながらも最終的はIsleys流に仕上げてしまう様は、フレンチ、イタリアンの食材を使いながらも最後は完璧な和食に仕上げてしまう一流料理人のようですね。

全曲紹介しときやす。

「That Lady」
1964年にリリースした 「Who's That Lady」 のリメイク。アルバムからの1stシングルとして、全米ポップ・チャート第6位、同R&Bチャート第2位のヒットを記録しています。「If You Were There」、「The Highways Of My Life」と並ぶ本作のハイライトだと思います。

新生Isleysを象徴するド派手でセクシーなファンク・チューンに仕上がっています。バック・バンド隊の正式メンバー昇格を強烈に主張するかのようなErnieのギターが秀逸ですね。

DesiというR&Bアーティストがカヴァーしています。またBeastie Boys「A Year and a Day」のネタにもなっています。

「Don't Let Me Be Lonely Tonight」
James Taylorのカヴァー(アルバム『One Man Dog』収録)。前回紹介した『Givin' It Back』でも「Fire and Rain」を取り上げていましたね。Isleysならではの濃度の高いメロウ・ソウルに仕上げています。素朴なオリジナルも好きですが、濃厚なIsleysヴァージョンに愛着があります。Eric Claptonも本曲をカヴァーしていますが、Isleysヴァージョンがベースになっています。

「If You Were There」
シュガーベイブ「DOWN TOWN」にインスパイアを与えた曲と有名ですね。フリーソウル・クラシックとしても大人気でした。僕もこの曲が一番好きですね。Isleysらしからぬ爽快さが魅力です(笑)。そう言えば、Whamもカヴァーしていました!George Michaelってセンス良いのかも?

「You Walk Your Way」
アーシーでイナたいソウル・チューン。Chris Jasperのオルガンがいい味出しています。Mario「Nikes Fresh Out The Box」の元ネタ。

「Listen to the Music」
The Doobie Brothersの名曲カヴァー。ここでは人気曲「Work to Do」(『Brother, Brother, Brother』収録)に似た雰囲気でカヴァーしています。

「What It Comes Down To」
アルバムからの2ndシングルとして、R&Bチャート第5位となりました。「If You Were There」タイプのワウワウ・ギターが効いたライト・グルーヴに仕上がっています。でも、本曲をシングル・カットするならば、「If You Were There」をカットすれば良かったのに!と思う人は僕だけではないのでは?

「Sunshine (Go Away Today)」
フォークシンガーJonathan Edwardsのカヴァー。本作の中では語られることの少ない曲ですが、フォーク・ナンバーをIsleysのオリジナルとしか思えないように仕上げてしまうあたりはさすがだと思います。先に述べたChris Jasperの各種キーボード・サウンドがダークな雰囲気を醸し出していてグッドです。

「Summer Breeze」
Seals & Crofts1972年のヒット曲のカヴァー。このIsleysヴァージョンもシングル・カットされ、R&Bチャート第10位のヒットとなっています。Seals & Croftsのオリジナルはタイトル通りの爽やかな名曲だと思いますが、Isleysヴァージョンも彼ららしい濃い味付けでオリジナルとは異なる魅力に溢れています。

Isleysヴァージョンに触発されたカヴァー、サンプリングも多くあります。Main Ingredient、Nicki Richardsによるカヴァーは、Isleysヴァージョンを意識したものでしょうね。また、2pac「Confessions」、DJ Shadow「Midnight in a Perfect World」等のサンプリング・ネタにもなっています。Alicia Keys「Slow Down」でもフレーズが引用されていますね。

「The Highways Of My Life」
3+3時代のアルバムが好きな理由の1つが、「For the Love of You」「At Your Best (You Are Love)」等に代表されるメロウネスたっぷりの絶品スロウが必ず収録されている点です。本曲はその先駆けとなった曲ですね。Ronaldのヴォーカルが絶品なのは勿論のこと、Chris Jasperの甘く切ないムーグの音色にうっとりですな。

本ブログでも紹介したBlack Sheep「Without A Doubt」をはじめ、Major Stress「More And More」、DJ Jazzy Jeff「The Definition」、Fantasia「Truth Is」、Mashonda「Lonely」等のサンプリング・ネタとしても有名な曲ですね。Marilyn Scott等のカヴァーもあります。

本作に限らず、70年代の「3+3」体制アルバムは外れナシだと思います。
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