2008年05月09日

Traffic『Shoot Out at the Fantasy Factory』

後期Trafficの中で一番のお気に入り作品☆Traffic『Shoot Out at the Fantasy Factory』
Shoot Out at the Fantasy Factory
発表年:1973年
ez的ジャンル:マッスル・ショールズ系ブリティッシュ・ロック
気分は... :このビミョーな感じが好き!

60年代〜70年代ブリティッシュ・ロックを代表するグループTrafficの2回目の登場です。

前回はデビュー作『Mr. Fantasy』(1967年)を紹介しましたが、今回は後期Traffic作品の中からお気に入りのアルバム『Shoot Out at the Fantasy Factory』(1973年)をセレクト。

『John Barleycorn Must Die』(1971年)以降を後期Trafficと呼ぶことが多いと思いますが、後期Trafficってメンバーの出入りも激しく、僕の中ではイマイチ捉えどころがない印象を受けます。

我が家のCD棚でも『John Barleycorn Must Die』『The Low Spark Of High Heeled Boys』は、数年に1度手に取るかどうかといった頻度でしか聴いていません。

そんな中、頻繁に聴く唯一の後期Traffic作品が今日紹介する『Shoot Out at the Fantasy Factory』(1973年)です。

本作におけるメンバーは、Steve Winwood(vo、key、g)、Jim Capaldi(vo、per)、Chris Wood(fl、sax)、Rebop Kwaku Baah(per)、David Hood (b) 、Roger Hawkins (ds) の6名体制です。

前作『The Low Spark Of High Heeled Boys』からRick Grech(b)、Jim Gordon(ds)が抜け、新たにMuscle Shoalsの腕利きスタジオ・ミュージシャンDavid HoodRoger Hawkinsの2人が加わりました。さらにJimmy Johnson 、Barry BeckettといったMuscle Shoals勢もゲスト参加しています。

本作の伏線として、以前に紹介したJim Capaldiの初ソロ・アルバム『Oh How We Danced』(1972年)があります。このレコーディングでTrafficメンバーとMuscle Shoals勢が交流し、その流れでグループへ参加することになります。

『Oh How We Danced』『The Low Spark Of High Heeled Boys』はセットで聴くのがオススメです。

両作品ともMuscle Shoalsの二人が加わったことで、泥臭くかつリズミックな南部サウンドが強調されている点は共通しています。

Trafficというグループは、Steve Winwoodのみに注目してはいけないグループだと思いますが、あえてWinwoodに注目するならば、やはり彼のソウルフルなヴォーカルにはR&B寄りのグルーヴ感のあるサウンドが似合うと思います。僕のようにThe Spencer Davis Group時代のWinwoodがお好きな方は特にそう思うのでは?

その意味で、Muscle Shoalsのリズム隊とWinwoodのヴォーカルの組み合わせはグッドですね!

ジャマイカへ飛びわずか8日間でレコーディングしたため、完成度が低い、構成が散漫等々の批判も受けるアルバムですが、全米アルバム・チャート最高位第6位となり、『John Barleycorn Must Die』(最高位第5位)に次ぐチャート・アクションを残しています。

南部テイストとTrafficらしさのせめぎ合いを楽しむアルバムだと思います。

Chris Wood作の「Tragic Magic」を除き、Capaldi/Winwood作品です。

全曲紹介しときヤス。

「Shoot Out at the Fantasy Factory」
邪道ですが、Trafficの中で一番好きな曲です。およそTrafficらしからぬファンキー・グルーヴがサイコーです。Muscle Shoalsのリズム隊参加の成果だと思います。Rebopのパーカッションもグッド!基本的にRebopの目立つ演奏=僕の好きな演奏というパターンが多いですね。
個人的にはこの1曲のみでも元が取れると思います!Trafficファンの方がこの曲をどう思うかはビミョーですが(笑)

「Roll Right Stones」
10分超のアメリカン・テイストのリリシズムが溢れる1曲。Winwoodのソウルフルなヴォーカルには、こういったリリシズムが似合うと思います。演奏面では南部テイストとTrafficらしさを融合しようと試行錯誤しているのが楽しかったりします。

「Evening Blue」
哀愁ムードが漂います。全体的にはいい感じだと思いますが、Chris Woodのサックス・ソロが余計かな(笑)

「Tragic Magic」
Chris Wood作のインスト曲。ジャズ的アプローチの曲なのでしょうが、このメンバーで演奏するとアーシーな仕上がりになるところが面白いのでは?

「(Sometimes I Feel So) Uninspired」
「Shoot Out at the Fantasy Factory」と並ぶ本作のハイライトだと思います。南部テイストたっぷりのゴスペル・ライクな1曲。Winwoodのヴォーカルを存分に堪能できます。Winwoodはギターでも頑張っています。

オリジナル・ジャケは『The Low Spark Of High Heeled Boys』に続き、Tony Wrightデザインによる六角形ジャケでした。CDだとわからないのが残念ですね。

Steve Winwoodのソロ作も長らく紹介していないですね。そのうち取り上げたいと思います。
posted by ez at 07:32| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする