2008年05月29日

Van Morrison『Astral Weeks』

ロック史上最も売れなかった名盤?☆Van Morrison『Astral Weeks』
アストラル・ウィークス
発表年:1968年
ez的ジャンル:ロック的ではないロック・アルバム
気分は... :我が道を行く....

昨日は女性の支持が高いデスチャだったので、今日は男性の支持が高いアーティストにしてみたいと思いマス。ということで孤高のロック・シンガーVan Morrisonの登場です。男性の支持が高いというよりも、僕のようなオヤG層の支持が高いアーティストかもしれませんが(笑)

Van Morrisonについては、これまで『Tupelo Honey』(1971年)、『Avalon Sunset』(1989年)、『Saint Dominic's Preview』(1972年)の3枚を紹介してきました。

今回は最も有名なMorrisonのアルバム『Astral Weeks』(1968年)です。

Rolling Stone誌の『500 Greatest Albums All Time』でも第9位にランクされた名盤の誉れ高い1枚ですね。一方で、当時商業的にはさっぱり売れなかったことから"ロック史上最も売れなかった名盤"と称されることも多い1枚ですね。

Them時代のプロデューサーBert Bernsが設立したレーベルBangからソロ・デビュー・アルバム『Blowin' Your Mind』(1967年)をリリースしたMorrisonでしたが、Bernsが急死したため2ndアルバム制作の予定が頓挫してしまいます。そんな失意のMorrisonが、新たにワーナー・ブラザーズと契約し、わずか2日間のレコーディングで制作したアルバムが本作『Astral Weeks』です。

本作の特徴として、バックにMJQのConnie Kay(ds)やRichard Davis(b)といったジャズ畑のミュージシャンの参加が挙げられます。Connie Kayは『Tupelo Honey』にも参加しています。

そんな影響でロックの枠からはみ出したロック作品となっています。
Morrison本人は、"ロックとは異なる歌がたくさん入ったアルバム"を作ったつもりだったのに、評論家たちが"素晴らしいロック・アルバム"と絶賛したのが面白いですね。

個人的には『Astral Weeks』よりも、よりR&B的なアプローチが強い『Moondance』(1970年)や穏やかで柔らかい『Tupelo Honey』(1971年)の方が断然好きです。

でも、Van Morrisonの原点として『Astral Weeks』はやはりマスト・アイテムだと思います。

名盤として聴くと肩透かしを食らう可能性があるのでそれを意識せずに、"地味だけど渋い、ジャズ風味のフォーキー・アルバム"くらいの感覚で聴くと楽しめると思います。

アルバムには前半に"In The Beginning"、後半に"Afterwards"というタイトルが付いています。

全曲紹介しときヤス。

「Astral Weeks」
タイトル曲はフォーキーな味わい。フルートのオブリガードが良いカンジですね。20代前半のこの時点でこの枯れ具合はシブすぎですな。

「Beside You」
前述のロックから離れた歌の典型のような仕上がり。クラシック・ギター&フルート&ヴァイヴによるクラシカルな演奏をバックに、Morrisonが"俺はお前のそばにいる"と繰り返し熱唱します。まさにMorrisonでなければ創れない歌世界ですな。

「Sweet Thing」
甘さ控えめ、大人のスウィート・シングといった趣の仕上がり。激シブの歌が多い中で比較的聴きやすい躍動感があります。

「Cyprus Avenue」
Morrisonの故郷Belfastにあるストリートについて歌ったもの。ハープシコードの響きとMorrisonのブルージーなヴォーカルの組み合わせが面白いですね。案外イケてます。

ここまでが"In The Beginning"です。

「Way Young Lovers Do」
この曲からが"Afterwards"です。「Way Young Lovers Do」はファンキー&スウィンギーなジャズ・チューンに仕上がっています。本作のハイライトはこの曲かもしれませんね。独特のカッチョ良さがありますね。

「Madame George」
味わい深い牧歌テイストのフォーキー・チューンに仕上がっています。Richard Davisのウッドベースがいい味出しています。

「Ballerina」
個人的には一番お気に入り曲。このバック・メンバーなのにThe Bandあたりと共通するルーツ・ロックの臭いを感じてしまいマス。不思議な感じですね。

「Slim Slow Slider」
最後はしみじみ聴き入るバラード。遠くから木霊してくるかのようなソプラノ・サックスがいいですね。

最初に聴くべきMorrisonのアルバムとしては本作を勧めません。でも、いつかは必ず聴くべきアルバムだと思いマス。
posted by ez at 09:14| Comment(2) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする