2008年07月13日

Cannonball Adderley『Cannonball's Bossa Nova』

冷えたビールが飲みたくなる灼熱のジャズ・ボッサ☆Cannonball Adderley『Cannonball's Bossa Nova』
Cannonball's Bossa Nova
録音年:1962年
ez的ジャンル:灼熱系ジャズ・ボッサ
気分は... :新規開拓は慎重に...

昨日はHigh Llamas『Cold And Bouncy』を聴きながらまったり過ごす予定でしたが、その反動で夕方になったら無性に出歩きたくなり、後輩を誘って自由が丘へ....カフェで涼んでから、広島風お好み焼きで腹ごしらえし、雑貨屋めぐりで軽く運動した後に、締めでたまたま通り掛かったバーに入店。ところが...

"80年代音楽を聴かせる店"との宣伝文句に誘われて入店したのですが、なんとハード・ロック、へヴィ・メタル中心の選曲。途中、グラム・ロックThe Whoなど僕の許容範囲の曲もかかるのですが、隣の席の常連さんが大のへヴィ・メタ党のようで、そんな曲ばっかりリクエストする始末。

僕以上にしんどい感じだったのが一緒に居た後輩。
その彼曰く"一番縁のないジャンルですね!"
彼は僕より一回り下なのですが、「洋楽=R&B/Hip-Hop」という世代であり、曲が流れるたびに苦笑いの連続でした。本当にゴメンネ!埋め合わせするので勘弁してねぇ(汗)

そんな夜を過ごした後、帰宅して聴きたくなったのがボッサ・サウンド!
ということで、今回はCannonball Adderleyのボッサ・アルバム『Cannonball's Bossa Nova』(1962年)をセレクト。

大物ジャズ・アルトサックス奏者Julian "Cannonball" Adderley(1928-1975年)は、最大のヒット作『Mercy, Mercy, Mercy!』(1966年)に続き2回目の紹介となります。

タイトルの通り、Cannonball Adderleyがブラジル人ミュージシャンと共演したジャズ・ボッサ・アルバムです。いつものソウルフルでファンキーなCannonball以外に、ロマンティックでサウダージな演奏も聴くことができます。その意味では他のCannonball作品とは異なる味わいのアルバムに仕上がっています。

Cannonball Adderley(as)にも注目ですが、バックを務めるthe Bossa Rio Sextetも見逃せません。メンバーには、Pedro Paulo(tp)、Paulo Moura(as)、Durval Ferreira(g)、Sergio Mendes(p)、Octavio Bailly Jr.(b)、Dom Um Romao(ds)というのブラジルの一流ミュージシャンの面々が名を連ねます。Sergio MendesDurval Ferreiraあたりが興味深いですね。

本作がレコーディングされたのは1962年12月。Stan Getzが、Joao Gilberto、Astrud GilbertoAntonio Carlos Jobimらブラジルのボサノヴァ・スターと組んだ大ヒット作『Getz/Gilberto』のレコーディングが1963年3月ですから、それ以前にCannonballが自分以外は全員ブラジル人ミュージシャン、楽曲も全てブラジル人作品という体制で作品を制作したというのは興味深いですね。

楽曲は、ボサノヴァの巨匠Antonio Carlos Jobim作品が2曲、ボサノヴァの重鎮Joao Donato作品が1曲、Bossa Rio SextetのメンバーDurval Ferreira作品が4曲、同じくメンバーのSergio Mendes作品が1曲という8曲構成です。

個人的には『Getz/Gilberto』以上に気に入っています。バックのブラジル人ミュージシャンとの呼吸もぴったりで、実に馴染んでいる印象を受けます。軽さばかりではなく、Cannonballらしい熱い演奏も聴くことができるのもいいですね。灼熱のジャズ・ボッサという感じです。

全曲紹介しときやす。

「Clouds」
Durval Ferreira作品1曲目。ボーナス・トラックでシングル・ヴァージョンが収録されているので、シングルにもなったようですね。ブルージー・ボッサとでも呼びたく渋い仕上がりです。

「Minha Saudade」
重鎮Joao Donatoによるスタンダード。クリアで爽快感のあるボッサ・チューンに仕上がっています。

「Corcovado (Quiet Nights) 」
僕の一番のお気に入りはAntonio Carlos Jobimによるボサノヴァ・スタンダード。このヴァージョンはかなりグッドだと思います。じんわり汗ばんだようなCannonballのホットなアルトと、Bossa Rio Sextetによるクールなバックのバランスが絶妙ですね。僕のCDにはボーナス・トラックとして別テイクも収録されています。

「Batida Diferente」
Durval Ferreira作品2曲目。軽快なリズムに乗ってCannonballのスウィンギーなアルトもゴキゲンといったカンジですね。

「Joyce's Samba」
Durval Ferreira作品3曲目。この曲もかなり好きですね。夏の浜辺のロマンティック・ナイトといった感じの演奏を堪能できます。全然Cannonballらしくないけどグッド!す。Sergio Mendesのピアノもロマンティック・ムードを高めてくれます!

「Groovy Samba」
Sergio Mendes作のサンバ・チューン。若いリスナーの方が好きそうなグルーヴィーな仕上がりです。Brasil'66でのポップな味わいもいいですが、ジャジーなSergio Mendesも魅力がありますな。

「O Amor Em Paz(Once I Loved)」
Antonio Carlos Jobim作のボッサ・スタンダード。ここでのBossa Rio Sextetの演奏は絶品ですね。そのバックのせいかCannonballのアルトもかなりサウダージ・モードです!「Corcovado (Quiet Nights) 」、「Joyce's Samba」、「Groovy Samba」と並ぶ僕のイチオシ...ってイチオシばかりなのですが(笑)

「Sambops」
Durval Ferreira作品4曲目。真夏の日差しのようにアルバムの中で最もホットでハイテンションな仕上がりです。この曲もイチオシに加えたくなってきてしまうっ(笑)

ボッサ・サウンドのおかげで、脳内に残っていたへヴィ・メタ・サウンドが消去されたようです(笑)
posted by ez at 02:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする