発表年:1992年
ez的ジャンル:バカンス系Acid Jazz
気分は... :梅雨明けですな...
全国的に梅雨明けとなり、いよいよ本格的に夏突入ですね。
今日は爽快なジャズ・ファンク/フュージョンが聴きたい気分!
そんな中でセレクトしたのは爽快なアシッド・ジャズ作品Incognito『Tribes, Vibes And Scribes』(1992年)です。
IncognitoはAcid Jazzブームを代表するグループ。僕の中では、The Brand New Heavies、D-Influenceあたりと同じ位置づけですね。
Incognitoは、のギタリスト/マルチプレイヤー/プロデューサーであるJean-Paul 'Bluey' Maunick(1957年モーリシャス生まれのイギリス人)を中心としたジャズ・ファンク・グループ。
1980年にアルバム『Jazz Funk』でデビュー。UKのアルバム・チャート第28位とまずまずの成功を収めますが、売れ筋アルバムの制作をレコード会社から強要されたBlueyはIncognitoとしての活動を一時締結します。
その間プロデューサー/コンポーザー/アレンジャーとして、George Duke、Marcus Miller、Total Contrast(UKのソウル・デュオ)らとの仕事を重ねました。そんなBlueyでしたが、1991年にAcid Jazzブームの火付け役となったTalkin' Loudレーベルの契約に成功し、Incognitoとしての活動を再開します。
活動を再開したIncognitoは1991年に2ndアルバム『Inside Life』をリリース。ゲスト・ヴォーカリストにJocelyn Brownを迎えたシングル「Always There」がUKシングル・チャートの第6位となり、見事シーンに復活すると同時にAcid Jazzブームを代表するグループとして注目されるようになりました。
続く3rdアルバム『Tribes, Vibes and Scribes』(1992年)、4thアルバム『Positivity』(1993年)といったアルバムも高い支持を得ました。その後もコンスタントにアルバムをリリースし、今日に至っています。
そんなIncognitoの作品の中で、僕の最もお気に入りのアルバムが今日紹介する3rd『Tribes, Vibes and Scribes』(1992年)です。
4th『Positivity』(1993年)も悪くはありませんが、やはりAcid Jazzのアルバムはブームのピークである1991〜1992年頃の作品が最も魅力的であると思います。これはIncognitoに限ったことではありませんが...
前作『Inside Life』ではパーマネントなヴォーカリストを置かず、Bluey本人がヴォーカルを努めたり、ゲスト・ヴォーカリストを迎えていましたが、本作『Tribes, Vibes and Scribes』からはソウルフルな女性ヴォーカリストMaysa Leakをメンバーに迎えています。
ファンの中には"Maysa Leakが居てこそのIncognito"という方も多いのでは?
きっとMaysa Leak好きの方は本作よりも『Positivity』を支持するのでしょうが...
その意味では、インスト・ナンバーの比重が高い本作に物足りなさを感じる方もいるのかもしれません。ただし、Incognitoの本質はジャズ・ファンク・グループであり、そういった魅力を堪能できるアルバムが『Tribes, Vibes and Scribes』だと思います。
バカンス気分にピッタリのAcid Jazzですよ!
全曲紹介しときヤス。
「Colibri」
僕の一番のお気に入り曲!真夏のバカンス気分にさせてくれる、梅雨明けにピッタリのサマー・グルーヴです。しっかりジャズ・ファンクしているけれども、爽快で、軽くラテンタッチというIncognitoらしい仕上がりだと思います。Maysa Leakのスキャットもいい感じ...
「Change」
Maysa Leakのヴォーカルを全面に押し出したR&Bテイストのミッド・グルーヴ。Incognitoらしく爽快かつメロウに仕上げているのがいいですね。
「River in My Dreams」
続く「Don't You Worry 'Bout a Thing」へに向けてのインタールード的な小曲。
「Don't You Worry 'Bout a Thing」
ご存知Stevie Wonderのヒット曲カヴァー(アルバム『Innervisions』収録)。本カヴァーもシングル・カットされ、UKシングル・チャート第19位のヒットとなっています。Stevieのオリジナルはサルサ・テイストのラテン・チューンでしたが、ここではラテン色は控えめにに、Maysa Leakのヴォーカルが引き立つマイルドな仕上がりになっています。そう言えば、Maysa LeakはStevieのバック・ヴォーカルを務めたこともあるんですよね。
「Magnetic Ocean」
ジャズ・ファンクのグループらしいインスト。Jaco Pastorius在籍時のWeather Reportが好きな人は気に入るであろう1曲。
「I Love What You Do for Me」
Maysa Leakのヴォーカルによる哀愁モードのミッド・チューン。ヒンヤリ感がいいですな。
「Closer to the Feeling」
「Colibri」、「Need to Know」と並ぶ僕のお気に入り。Maysa Leakの歌モノもいいけど、ジャズ・ファンク・グループとしての堪能できるインストものにIncognitoの魅力を感じてしまいますね。本曲も真夏のジャズ・ファンクといった趣がグッドです。
「Arc en Ciel de Miles」
リラックス・モードのミッド・グルーヴ。ミュート・トランペットの響きが真夏の夜には似合いますな。
「Need to Know」
この曲も大好き!爽快な疾走感がたまりません。いかにも当時のAcid Jazzらしい音ですよね。
「Pyramids」
Blueyらしいスタイリッシュなセンスに溢れた1曲。この曲聴いていたら、昔のShakatakとか聴きたくなってきました。
「Tribal Vibes」
70年代フュージョンと90年代当時のスタイリッシュ感がうまくミックスしている感じのインスト。
僕が持っている国内盤には以下の3曲のボーナス・トラックが追加収録されています。
「Celebrate Your Life」
Maysa Leakのヴォーカルものがお好きな方向けの1曲。正直、ヴォーカルもので一番良い出来だと思います。
「Keep The Promise」
こちらもヴォーカルもの。Maysa Leakのデュエットのお相手は元Average White BandのHamish Stewartというオマケつき!この曲もかなり良い出来です。
「Bata Rumba」
アフリカン・パーカッション炸裂の1曲。アルバム・タイトルからすれば、こういった曲があっても良い気がします。
なかなか充実の3曲なので、ゲットするばらばこの国内盤をオススメします。