2008年08月25日

Carole Laure『Western Shadows』

フレンチ・フレイヴァーの小粋なカントリー・アルバム☆Carole Laure『Western Shadows』♪
ウエスタン・シャドウズ
発表年:1989年
ez的ジャンル:フランス系カナディアン・カントリー
気分は... :五輪も終わってしまいましたが...

今日はのんびりレイドバックした作品が聴きたい気分....
ということで、Carole Laure『Western Shadows』(1989年)をセレクト。

Carole Laureはフランス系カナダ人の女優兼シンガー(1951年生まれ)。音楽ファンならば、同じくフランス系カナダ人のミュージシャンLewis Fureyの奥方と説明した方がわかりやすいかもしれませんね。Lewis Fureyが曲作りとプロデュースを担当し、Carole Laureが歌うというスタイルでの夫婦アルバムを多数リリースしています。

1989年にリリースされた本作『Western Shadows』は、Lewis Furey作品は1曲のみであり、残りはカントリーやR&B等のカヴァーで占められています。その意味では異色作なのかもしれません。Carole Laureについて持っているのは本作『Western Shadows』のみなので勝手な想像は禁物ですが...

ルイス・フューレイ
ルイス・フューレイ

Lewis Fureyについてはデビュー作『Lewis Furey』のジャケ・イメージがインプットされている程度で殆ど聴いたことがなく、Carole Laureについては全く知りませんでした。CDショップでジャケが目に留まり、試聴したら良かったので衝動買いした記憶があります。

キホンはレイドバックしたカントリー・フレイヴァーのアルバムです。
僕の場合、明るく健康的なカントリー・ミュージックのイモ臭さが苦手なのですが、本作にはそういったイモ臭さは全くありません。

ジャケ写真のように愁いを持った気だるい雰囲気にグッときます。
あとは英語以外にフランス語で歌われているのも本作の魅力かもしてません。

カントリーとフレンチ・ポップスの素敵な出会いをご堪能あれ!

オススメ曲を紹介しときやす。

「Stand by Your Man」
1968年にTammy Wynetteがヒットさせたカントリー・スタンダード(Billy Sherrill/ Tammy Wynette作品)。映画でも使われたBlues Brothersのカヴァーも有名ですね。シンプルなバックがセクシーなCaroleのヴォーカルを引き立てます。

「Anybody with the Blues」
「Y'a Qu'celle」
Ray Charlesの歌で知られる曲。ここでは英語ヴァージョンとフランス語ヴァージョンで聴かせてくれます。同じバックでも英語で聴いているとカントリーなのに、フランス語で聴くと小粋なフレンチ・ポップスに一変してしまうのに驚きます。

「Save the Last Dance for Me」
「Danse Avant de Tomber」
The DriftersのNo.1ヒット「ラスト・ダンスは私に」のカヴァー(Doc Pomus/ Mort Shuman作品)。この曲もは英語ヴァージョンとフランス語ヴァージョンが収録されています。僕の場合、この曲を聴くと越路吹雪ヴァージョンを思い浮かべてしまうので、その流れでいくとフランス語ヴァージョンがいいですね(笑)

「Seven Year Ache」
Johnny Cashの娘Rosanne Cashのヒット曲のカヴァー。カントリー・ロック風のアレンジがいいですね。ウエストコースト・ロック好きの人は気に入る仕上がりです。

「Quand Le Soleil Dit Bonjour Aux Montagnes」
思い切りカントリーのバックとフランス語の歌の組み合わせにかなりハマります。

「To Know Him is to Love Him」
Phil SpectorがTeddy Bearsに提供した楽曲。基本はカントリーなのですが、実にスマートなんですよねぇ。このあたりはLewis Fureyのアレンジの妙でしょうか。

「Baby You're Something」
John Conleeによる1980年のカントリー・ヒット曲のカヴァー。スケール感の大きいアレンジをバックに、愁いのあるセクシー・ヴァーカルを聴かせてくれます。

「Someone Like You」
「One of These Days」
Emmylou Harrisのヴァージョンで知られる2曲。「Someone Like You」は吐息まじりのヴォーカルがサイコーですな。「One of These Days」はPink Floyd「吹けよ風、呼べよ嵐」とは同名異曲です(笑)

「Sorry」
本作唯一のLewis Furey作品。結局、この曲が僕の一番のお気に入りなのですが。恋愛映画の主題歌にピッタリな雰囲気の感動的なバラードに仕上がっています。

「Coming Back to You」
Leonard Cohenのカヴァー。Carole LaureがLeonard Cohenを取り上げるのって、イメージ的にどんピシャって感じですね。

北京五輪が閉会しましたね。

閉会式でLeona LewisJimmy Pageによる「Whole Lotta Love」が演奏されていましたね。他の場面と比較して会場もそれほど盛り上がっておらず、少し場違いな印象を受けましたが...

それ以上に奇異に思えたのがサッカー界のスーパースター、ベッカムの登場でした。

サッカー・ファンならばご存知の通り、サッカーの世界では英国代表は存在せず、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドという4つのサッカー協会が英国内に存在します。現時点でロンドン五輪のサッカーにオール英国代表を組んで出場するか否かは未定ですが、私見ではあり得ないと思っています。

英国代表ではない"イングランド代表"のベッカムがロンドン五輪の顔として登場していることに、とても違和感を覚えました。
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2008年08月24日

Warren G.『Regulate...G Funk Era』

G-Funkを代表する1枚!哀愁メロウ満載☆Warren G.『Regulate...G Funk Era』
レギュレイト・・・Gファンク・エラ
発表年:1994年
ez的ジャンル:ウェッサイ系メロウG-Funk
気分は... :五輪もラストですな

G-Funkを代表するプロデューサー/ラッパーWarren G.の2回目の紹介です。

前回の3rdアルバム 『I Want It All』(1999年)に続き紹介するのは、デビュー・アルバム『Regulate...G Funk Era』(1994年)です。

Debarge「I Like It」大好きの僕としては、「I Like It」ネタのタイトル曲を紹介したいが故に『I Want It All』を先に紹介しましたが、Warren G.の代表作と言えば、やはりこのデビュー作『Regulate...G Funk Era』ですよね。

Hip-Hopファンならばご存知の通り、『Regulate...G Funk Era』Dr. Dre『The Chronic』(1992年) 、Snoop Doggy Dogg『Doggystyle』(1993年)と並び、G-Funkを代表するアルバムです。ただし、『The Chronic』『Doggystyle』とは異なりメロウな聴き易さを持っているので、Hip-Hopファン以外の支持も多い作品かもしれませんね。

僕の場合も同様で、この3枚は全て持っていましたが『The Chronic』、『Doggystyle』よりは『Regulate...G Funk Era』を聴く機会が圧倒的に多かったですね。そもそも僕はギャングスタ・ラップが苦手であり、Dr. DreのいたN.W.A.なんて当時は全く興味の対象外でした(笑)

そんな中で、Dr. Dreの弟(異父兄弟)であり、Snoop Dogg、Nate Doggとグループ(213)を組んでいたWarren G.が、このようなメロウなアルバムをリリースしたのは意外でしたね。僕のように「G-Funk=ギャングスタ・ラップ」のイメージしか持っていなかった人にとっては、かなり新鮮に聴こえたのでは?

「Regulate」「Do You See」「This D.J.」というシングル3曲を中心にアルバムを貫くレイドバックした哀愁感/メロウネスが魅力ですね。最初は大ネタ使いに多少の違和感を覚えたりもしたのですが、今は全く気になりません。

Hip-Hop嫌いの貴方へ是非!

オススメ曲を紹介しときやす。

「Regulate」
クラシック1曲目。全米ポップ・チャート第2位となった大ヒット・シングル。213時代の盟友Nate Doggがヴォーカルで参加しています。Michael McDonald「I Keep Forgettin' (Every Time You're Near」をサンプリングしたトラックが印象的ですよね。最初はこのわかりやすさに戸惑ったものですが(笑)2Pacが出演していたバスケ映画『Above the Rim』(1994年)のサントラにも収録されています。

「Do You See」
クラシック2曲目。先日のお盆特別企画『Juicy Fruitネタ10選』でも紹介した通り、Mtume「Juicy Fruit」のビートにJunior「Mama Used To Say」のサンプリングを上モノとしてのっけています。Warren G.らしいレイドバック感が漂っています。シングル・カットもされました。

「Recognize」
The Twinzをフィーチャー。サンプリングを使用しなくとも素晴らしいトラックを作ることができることを証明してくれます。

「Super Soul Sis」
Jah-Skilzをフィーチャー。One Way「Don't Stop (Ever Loving Me)」ネタ。

「So Many Ways」
DewayneとLady Leviをフィーチャー。哀愁メロウとファンクネスがうまくバランスしたトラックがいいですな。

「This D.J.」
クラシック3曲目。全米ポップ・チャート第9位となったヒット・シングル。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。Midnight Star「Curious」ネタのトラックがサイコーです。まさにウェッサイらしい哀愁メロウなのでは?

「This Is the Shack」
The Dove Shackのヴォーカルをフィーチャー。シングル3曲を除くと、この曲が一番好きかなぁ。レイドバックしたスムース感がたまりません。Lou Donaldson「Ode To Billie Joe」ネタ。

「What's Next」
Lil. Malikをフィーチャー。トラックばかりが気になる曲が多い中、本曲に限っては達者なフロウに惹かれますな。

「And Ya Don't Stop」
哀愁チカーノ・タッチがいいですね。このあたりもウェッサイらしいのでは?Don Julian「Janitizio」ネタ。 

「Runnin' Wit No Breaks」
Jah-Skilz、The Twinzをフィーチャー。長年The Dramaticsのバックを務めていたTony Greenのシブいベースがグッド!Les McCann & Eddie Harris「Go On and Cry」ネタ。

いよいよ五輪もラストですね。
たった今男子バスケの決勝「アメリカ対スペイン」が始まったところです。今回のアメリカ・チームは本気モード&準備万全&国際ルールへ順応済みなので大丈夫でしょう!

指揮官が"野球が不思議でしょうがない"なんて信じられないコメントをしていた、どこかの国の"最強(???)"と称するひ弱な野球チーム"も見習うべきでは?
posted by ez at 15:39| Comment(2) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月23日

Lonnie Liston Smith & The Cosmic Echoes『Reflections Of A Golden Dream』

美しい音空間の中で瞑想してみる!☆ Lonnie Liston Smith & The Cosmic Echoes『Reflections Of A Golden Dream』
Reflections of a Golden Dream
発表年:1976年
ez的ジャンル:瞑想&空間系フュージョン
気分は... :忙しい日常を忘れて瞑想するのもいいのでは?

星野ジャパンの連日の敗戦にがっかりですね。

五輪終盤、ソフトボールの金メダルや男子400Mリレーの銅メダルという快挙で盛り上がっていたのに、水を差されましたね。

結局、上位3カ国には予選リーグも含めて5戦全敗...単純に弱いチームだったということでしょう。結果論であれこれ言うのは好きではありませんが、それでも指揮官の選手選考および采配はあれで良かったのか?という疑問が残りますね。

さて、クラブ系リスナーからの人気・評価が高いジャズ・キーボード奏者Lonnie Liston Smithの3回目の登場です。

『Expansions』(1975年)、『Loveland』(1978年)に続いて紹介するのは『Reflections Of A Golden Dream』(1976年)です。

Flying DutchmanからのLonnie Liston Smith & The Cosmic Echoes名義の5作目。
メロウ&グルーヴィーな要素とスピリチュアルな要素がうまくバランスしていて、水中に沈む鍵盤の上を蝶が舞うジャケのような独特の美しい音空間を生み出しています。

サウンドから幻想的な絵が浮かんでくる人ですよね。
心のスケッチがそのまま音になったというカンジです。

主なメンバーは、Lonnie Liston Smith(key、vo)、Donald Smith(vo、fl)、Dave Hubbard(sax、fl)、Al Anderson(b)、Wilby Fletcher(ds)、Arthur Kaplan(sax)、Joe Shepley(tp、flh)、Jon Faddis(tp、flh)、Leopoldo Fleming(per)、Guilherme Franco(per)といったところ。その他Patti Austinらがコーラスで参加しています。

メロウ&スピリチュアルなサウンドを聴きながら、忙しい日常を忘れて瞑想するのもいいのでは?

全曲紹介しときヤス。

「Get Down Everybody (It's Time For World Peace) 」
Smith自身がヴォーカルをとるファンキー・グルーヴ。Patti Austinらの女性コーラス陣によるナイス・フォローで、Smithの下手くそヴォーカルもそんなに気になりません。

「Quiet Dawn」
美しく幻想的なスピリチュアル・ナンバー。この音空間の広がりがいいですねぇ。

「Sunbeams」
フリーソウル・ファンにはお馴染みの1曲ですね(『Free Soul Impressions』収録)。ブラジル・フレイヴァーの効いた美しいインスト。まさにスピリチュアル・イージー・リスニングな1曲。、

「Meditations」
エレピとパーカッションの響きがコズミック・ワールドへ誘ってくれるスピリチュアル・ナンバー。

「Peace & Love」
Patti Austinらの女性コーラス陣がグイグイと引っぱるミッド・ファンク。ファンク度でいけば一番高い曲なのでは?

「Beautiful Woman」
僕の一番のお気に入り。Smithの弟Donald Smithがリード・ヴォーカルをとるR&Bテイストのコズミック・グルーヴです。メロウな味わいと幻想的な雰囲気が融合しているところがいいですね。

「Goddess Of Love」
この曲も大好き!目を閉じるとそこには誰もいない広大な大自然の光景が浮かんできます....

「Inner Beauty」
スピリチュアルに響き渡る小品。思わず瞑想したくなりますな。

「Golden Dreams」
まさに夢の中にいるようなユラユラ感のある音空間が魅力ですね。

「Journey Into Space」
フルート、パーカッションの音色が印象的なスピリチュアル・ナンバー。

北京五輪の男子サッカーはアルゼンチンが順当勝ちしましたね。
メッシは勿論のこと、アグエロ、ガゴといった若手が順調に伸びて、A代表の主力になっていくのが楽しみですな。それにしても、せっかくの決勝戦なんだから、炎天下の真昼間ではなく夕方〜夜にキックオフすればいいのに???
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2008年08月21日

Brandon Beal『Comfortable』

現在イチオシの男性R&Bアルバム☆Brandon Beal『Comfortable』♪
COMFORTABLE
発表年:2008年
ez的ジャンル:セクシー&メロウ系男性R&B
気分は... :お〜っ、オーラが出てるっ(笑)

今日は最近お気に入りの新作男性R&Bアルバム、Brandon Beal『Comfortable』です。

今年は男性R&Bのいい作品が少なく、"Ne-Yoの新作を期待するしかないのか..."なんて思っていたのですが、久々にグッとくるセクシー&メロウな男性R&Bアルバムでした。

Brandon Bealは、テキサス出身、現在はNY在住の23歳のR&Bシンガー/ソングライター。裏方としては、それなりのキャリアを持っているようで、ライナーノーツにはChris Browh、Trey Songz、Ginuwine、Lil' Jon、Eddie F、Todd Terry等これまで一緒に仕事をしたことがあるアーティスト/プロデューサーの名前が列挙されていました。個人的に"〜と仕事をした"という謳い文句はキライなのですが。

本作がデビュー・アルバムということですが、日本独占先行販売とのこと。本国アメリカでの本格デビューはまだ先なのでしょうか?よくわかりません。今月末には来日してStudio Cube326でのイベントにゲスト出演するらしいです。

かなりの先物買いにも思えますが、中身はジャケのようにオーラが漂っています(笑)

スロウ中心のオーソドックスなR&Bアルバムですね。
アーバン・ナイトな雰囲気が漂う落ち着いた仕上がりにハマります!

殆どの楽曲を自作自演しているようですが、メロディの作り方が実に巧みであり、美メロな曲が揃っています。歌については、決して歌唱力に秀でたタイプではありませんが、雰囲気の出し方がいい感じです。派手さはありませんが、ツボを押さえたサウンド・プロダクションもなかなかグッド!

美メロR&Bでグッときたい方はぜひお試しあれ!

オススメ曲を紹介しときやす。

「Grown」
僕の一番のお気に入り。iTunesでも先行配信されていたスロウ・チューン。名曲の風格さえ漂う極上メロウを堪能できます。この1曲を聴けば、Brandon Bealの才能がわかると思います。僕のiPodでヘビロテ中で〜す。

「Ohh Shorty」
アーバン・メロウなスロウ・チューン。アレンジ良し、メロディ良し、歌良し...全てOK!仰々しくない、さりげない感じが大好き!

「Girl」
この曲もサイコー!メロメロ好きの僕を歓喜させるスロウ。軽くヴォコーダーを使っているあたりも僕好み。何より曲がいいですな。

「Grown」、「Ohh Shorty」、「Girl」という冒頭3曲のメロウネス度数の高さにヤラれてしまいます。

「Don't Wanna See You Again」
スケール感の大きなスロウ。僕の好みではありませんが、本格派男性R&Bらしい作りだと思います。

「Take Me Back」
哀愁の美メロ・チューン。抑え気味のサウンド・プロダクションが逆に哀愁ムードを高めてくれます。

「I Can See It」
オーソドックスなスロウ・チューン。この人はメロウ好きのツボを確実に押さえてくれるところがいいですな。

「Maybe」
この曲も完成度高いですな。哀愁のメロディ&サウンドがBrandonのハイ・トーン・ヴォーカルと実にマッチしています。雰囲気の出し方が巧みですねぇ。

「Ways To Go」
ロックっぽいギターが印象的な1曲。アルバム全体のいいアクセントになっています。

「October」
哀愁のアコギがいい感じです。メロウ好きのハートをくすぐるコーラス・パートの作り方がいいですね。

「Another Sad Love Song」
タイトルの通り、悲しいラブソングです。この曲もロック調ギターを取り入れており、哀愁度を高めてくれます。

今日の五輪は、ソフト&女子サッカーと見逃せない試合が重なりましたね。共に劣勢が予想されますが、奇跡が起きることを祈りましょう!
posted by ez at 13:17| Comment(2) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月20日

Herbie Hancock『Maiden Voyage』

Hancockのキャリアを代表する新主流派ジャズの名盤☆Herbie Hancock『Maiden Voyage』
処女航海
録音年:1965年
ez的ジャンル:新主流派ジャズ
気分は... :希望を信じて大海を冒険しよう!

五輪男子サッカー準決勝「ブラジル対アルゼンチン」は興奮しましたね。
オーバーエージの機能度合いも含めて、チームの完成度という点でアルゼンチンが上回っていましたね。アグエロ、メッシというWエースに、ゲームのタクトを振るベテランのリケルメ、中盤の守備の要マスチェラーノ...これぞ世界のサッカーですな。ナイジェリアとの決勝が楽しみですね!

スーパー・ピアニストHerbie Hancockの5回目の紹介です。

『Speak Like A Child』(1968年)、『Sunlight』(1978年)、『Inventions And Dimensions』(1963年)、『Thrust』(1974年)に続き紹介するのは、Hancockのキャリアを代表する名盤『Maiden Voyage』(1965年)です。

初期のリーダー作では、『Inventions And Dimensions』
『Empyrean Isles』『Speak Like A Child』あたりを好んで聴くのですが、代表作となるとやはりstrong>『Maiden Voyage』を挙げるかもしれませんね。

ファンキー・ジャズからの脱却を図った新主流派ジャズの代表作として有名なアルバムですね。モダンでエレガントな響きが実に印象的です。また、香水メーカーのTVCM用に作曲されたタイトル曲を中心に"海"をテーマにした5つ楽曲から構成されるコンセプト・アルバムという点も非常に興味深いです(全てHancockのオリジナル曲)。

メンバーはHerbie Hancock(p)、Freddie Hubbard(tp)、George Coleman(ts) 、Ron Carter(b)、Tony Williams(ds)という布陣。前作『Empyrean Isles』のメンバーにGeorge Colemanが加わったかたちです。というより師匠Miles DavisのグループのメンバーにFreddie Hubbardが加わったという説明の方がわかりやすいですかね。

Hancockのコンセプトを各プレイヤーが見事な演奏で具現化しています。個人的に注目すべきはColemanですね。Hancock、Williamsら他メンバーとの確執でMilesのグループを追い出されるColemanですが、ここでは人間関係の悪化が嘘のように素晴らしい演奏を聴かせてくれます。

さぁ、みんな大海を冒険しよう!
不安もあるけど、希望を信じて...

全曲紹介しときやす。

「Maiden Voyage」
超有名なタイトル曲ですね。処女航海で大海へ悠然と出て行く船の様子を見事に表現したエレガントな演奏に吸い込まれてしまいます。抑制の効いたColeman、Hubbard、Hancockのソロも実に知的です。単に落ち着いているというだけではなく、静かなる興奮のようなものまで伝わってくるのがグッド!

この曲のHancock自身の演奏で言えば、以前に紹介したBobby Hutcherson『Happenings』での演奏も相当素晴らしいですよね。聴き比べるのも楽しいと思います。

名曲だけに数多くのアーティストがカヴァーしていますね。Brian Auger & The TrinityPucho & His Latin Soul Brothers、笠井紀美子(Hancockとの共演)、Kellee Patterson、DJ KAWASAKI(なんとハウス・カヴァー)、Carl Anderson(アーバン・ソウルな「処女航海」)のカヴァーが僕のオススメ!

「The Eye Of The Hurricane」
静かなる旅立ちから一変、ハリケーンで大荒れの海を表現した曲(大荒れというほど乱暴な演奏ではありませんが)。V.S.O.P.クインテットのレパートリーとしてもお馴染みの曲ですね。Tony Williams/Ron Carterのkカッチョ良いリズム隊にリードされて、Coleman、Hubbard、Hancockがエキサイティングなソロを聴かせてくれます。特にHubbardがいい感じ!

「Little One」
大海に取り残された孤独感を描いた1曲。Hubbard/Colemanによる美しいテーマに続く、Colemanの激シブのテナー・ソロが好きです。Hancockのモダンに響き渡るピアノ・タッチにもうっとりです。そうそうCarterのベース・ソロも忘れちゃいけませんね。

この曲は、師匠Miles Davisのヴァージョン(アルバム『E.S.P』収録)の方が先でしたね。

「Survival Of The Fittest」
大海の生命たちのサバイバル(適者生存)をテーマにしたもの。フリー・ジャズ感覚の演奏を堪能できます。暴れまくるTony Williamsのドラム、音空間を駆け巡るHubbardのトランペットが印象的です。

「Dolphin Dance」
タイトル曲と並ぶ有名曲ですね。船の傍らで泳ぐイルカの群をテーマにした曲ですスタンダードの貫禄充分の名曲だと思います。すっきりと品のある演奏が実にいいですね。サンプリング定番ネタとして有名なAhmad Jamalのカヴァーは、若いリスナーにはオリジナル以上の人気かもしれませんね。Bill Evansのカヴァー(『I Will Say Goodbye』収録)も僕のお気に入りです。

五輪の野球はビミョーですね。
明日の米国戦に勝ってキューバと対戦すべきか、負けて韓国と対戦すべきか?
posted by ez at 00:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする