2008年08月14日

Double Exposure『My Love Is Free - The Best Of Double Exposure』

ディスコ・クラシック「Ten Percent」は永遠に不滅です!☆Double Exposure『My Love Is Free - The Best Of Double Exposure』
マイ・ラヴ・イズ・フリー~ザ・ベスト・オブ・ダブルエクスポージャー
発表年:2003年
ez的ジャンル:サルソウル系男性R&Bグループ
気分は... :10%の可能性に懸けてみる?

昨日の北京五輪は悲喜交々でしたな。

星野ジャパンの初戦敗退にガッカリした人も多かったのでは?
国際ゲーム独特の雰囲気に星野監督も舞い上がっていましたね。
途中で「こりゃ負けるわ!」と思ったので、最近お気に入りのドラマ『正義の味方』へチャンネル・スイッチしてしまいました(笑)

でも、初戦敗退という劇薬は星野監督および選手にプラスに作用するのでは?と思っています。WBCだって韓国に連敗という屈辱がバネとなり、優勝を掴みましたからね。変に楽勝するよりも良かったのでは?

今日は久々のサルソウル(Salsoul)作品が聴きたい気分!
ということで、Double Exposure『My Love Is Free - The Best Of Double Exposure』です。

Salsoul系アーティストはこれまで、The Salsoul OrchestraInstant FunkSkyyを紹介してきました。

Double Exposureは1970年代後半から80年代前半に活動していたフィラデルフィアのR&Bグループ。メンバーはJames Williams、Joseph Harris、Charles Whittington、Leonard Davisの4人。4人は1960年代からUnited Imageのグループ名で活動していました。

1975年、United Imageはグループ名をDouble Exposureへ変更します。そして、Norman Harris、Earl Young、Ron Bakerというフィリー・サウンドを支えた腕利きミュージシャンによる強力チームBaker-Harris-Young(B-H-Y)のプロデュースにより、運命の曲「Ten Percent」をフィラデルフィアのシグマ・サウンドでレコーディングします(メンバーとNorman Harrisは旧知の仲)。

こうしてレコーディングされた「Ten Percent」は、7"シングルに加え、NYのディスコで活躍していたDJ Walter Gibbonsのリミックスによる12"のロング・ヴァージョンも制作されました。当初プロモ用の非売品であった12"の人気が高まり、一般発売されて予想以上のセールスを記録します。

こうして「Ten Percent」はディスコ・クラシックとなり、Double Exposureは一躍注目のグループとなりました。そして、Baker-Harris-Youngプロデュースによる1stアルバム『Ten Percent』(1976年)をリリースします。『Ten Percent』からは「Ten Percent」以外にも「Everyman」「My Love Is Free」といったディスコ・ヒットが生まれました。

最終的に、1st『Ten Percent』(1976年)、2nd『Fourplay』(1978年)、3rd『Locker Room』(1979年)という3枚のアルバムをSalsoulに残していますが、B-H-Yの3人全員が揃わなかった2nd、3rdは1stほどの成功を収めることは出来ませんでした。

Ten Percent
Ten Percent
Fourplay
Fourplay
Locker Room
Locker Room

今回紹介するのはSalsoul時代の3枚のアルバムからセレクトしたベスト盤『My Love Is Free - The Best Of Double Exposure』です。僕の場合、Salsoul系のアルバムはベスト盤ばかりなのですが(笑)本盤は「Ten Percent」「My Love Is Free」の12"ヴァージョン収録という点が惹かれました。特にWalter Gibbonsリミックスの「Ten Percent」は嬉しいですね。

夏の夜にはサルソウル系ディスコが似合うのでは?。
同じ汗をかくならば、「Ten Percent」みたいな曲がいいですな!

僕はSalsoulらしいディスコ・チューンが好みですが、ヴォーカル・グループらしいミディアム〜スロウも悪くないですよ!

オススメ曲を紹介しときやす。

「Ten Percent」
Double Exposureの代表曲であり、永遠のディスコ・クラシック。イントロのEarl Youngのドラミング、Salsoulらしいオーケストレーションを聴いただけで胸が高鳴りますね。♪Ten Percent of sometihng〜♪Ten Percent of sometihng〜♪前述のようにWalter Gibbonsのリミックスによるロング・ヴァージョンも収録されており、12"シングルの楽しさも堪能できます。

「My Love Is Free」
「Ten Percent」と並ぶ代表曲。『Ten Percent』からの3rdシングルです。この曲もガラージ・クラシックの貫禄充分の名曲ですね。パーカッシヴなリズム&オーケストレーション&ホーン・セクションの絡みがサイコーです。この曲についてはTom Moultonのリミックスによる12"ヴァージョンが別途収録されています。

「Ten Percent」、「My Love Is Free」についてはBaker-Harris-Youngの完璧な仕事ぶりに脱帽といったカンジですね。

「Everyman」
『Ten Percent』からの2ndシングル。いかにもSalsoulなイントロだけでヤラれますね。ヴォーカル・グループDouble Exposureの魅力という点では「Ten Percent」、「My Love Is Free」以上に彼らのソウルフルなヴォーカル&コーラスを堪能できるのでは?

「Handy Man」
2nd『Fourplay』収録曲。軽快なダンス・チューンに仕上がっています。

「Newsy Neighbors」
2nd『Fourplay』からの1stシングル。Salsoulのレーベル・メイトFirst Choiceのカヴァーです。両者を聴き比べてみるのも楽しいですね。First Choiceによるオリジナルのハジけた感じとは異なる、大人の魅力で迫りますっ!

「There Is No Reason」
2nd『Fourplay』収録曲。アレンジがなかなか小粋なミッド・チューン。

「Can We Be in Love」
3rd『Locker Room』収録のミディアム・スロウ。なかなか聴かせる曲ですが、ベタついた感じがないのがいいですね。

「I Got the Hots (For Ya)」
3rd『Locker Room』からのシングル曲。Salsoulのレーベル・メイトInstant Funk調のファンク・チューンに仕上がっています。

「Perfect Lover」
2nd『Fourplay』からの2ndシングル。スウィートな極上スロウ・チューン。O'Jaysあたりを思い起こす正統派のフィリー・バラードに仕上がっています。本来の持ち味はこういった曲なのでしょうね。

「(Why Do We Have to Go Our) Separate Ways」
3rd『Locker Room』収録曲。この曲も正統派ソウル・バラードに仕上がっています。Isleysのようなギター・ソロとジャジーなミュート・トランペットが印象的ですね。

今日は200M平泳ぎの北島でスッキリしたいですね。
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2008年08月12日

Sabrina Malheiros『New Morning』

これぞ21世紀ボッサ!☆Sabrina Malheiros『New Morning』
ニュー・モーニング
発表年:2008年
ez的ジャンル:21世紀ボッサ
気分は... :夏はボッサですな!

今日はこの夏一番のお気に入り新作アルバムSabrina Malheiros『New Morning』です。

Sabrina Malheirosはブラジル・リオ出身の女性シンガー。父はブラジルを代表するジャズ・ファンク/クロスオーヴァー・グループAzymuthのベーシストAlex Malheiros。そんな音楽一家の中で育ったSabrinaも当然のように音楽家の道を歩み、1991年には父のグループAzymuthのレコーディングに参加しています。

2005年にはAzymuthもバックアップしているイギリスのレーベルFar Outから、デビュー・アルバム『Equilibria』をリリースしています。このデビュー・アルバムをプロデュースしたDJ VenomことDaniel Maunickは、IncognitoのリーダーBlueyの息子さんです。

『Equilibria』は、ブラジル音楽ファンのみならず、クラブ・リスナーの間でも話題となり、2006年には『Equilibria』のリミックス・アルバム『Vibrasons』をリリースしています。

そんなSabrina Malheirosの最新作が2ndアルバムとなる本作 『New Morning』 です。

プロデュースは前作に続きDaniel Maunick。ソングライティングは、Carole Kingの名曲カヴァー「It's Too Late」を除き、Sabrina Malheiros自身が書いています(父Alex、プロデューサーDaniel等との共作含む)。また、70年代に活躍したアレンジャー/ソングライターArthur Verocaiが約半数の曲でアレンジを担当しています。

クラブ・サウンドも意識したサンバ/ボッサ・サウンドは"21世紀ボッサ"の謳い文句に相応しい出来栄えだと思います。純粋なブラジル音楽よりもボッサ感覚のクロスオーヴァーが好きな人がハマる作品かもしれませんね。

やはり夏はボッサですな。

全曲紹介しときヤス。

「Brisa Mar」
僕の一番のお気に入り曲。まさに"21世紀ボッサ"な仕上がり。ブラジル音楽好きもクラブ系音楽好きも気に入るメロウ・グルーヴ。Arthur Verocaiのアレンジがサイコーですね。

「Nova Estacao」
先週紹介したBrazilian Love Affairのラウンジ・ボッサに近いテイストを持った仕上がりですね。

「Sintonia」
ブラジリアン・クロスオーヴァー。以前に紹介したEsperanza Spalding『Esperanza』あたりと一緒に聴きたくなりますね。

「New Morning」
タイトル曲はコズミックな雰囲気も漂うクラブ仕様の"21世紀ボッサ"。UKクラブ・シーンらしい仕上がりがグッド!

「Alem Do Sol」
純粋にブラジル人シンガーソングライターを堪能できる仕上がりです。ジャケ写真のように誰もいない浜辺で聴きたいですね。

「It's Too Late」
Carole Kingの名曲カヴァー。 小粋なアレンジが気に入っています。

「Essa Cancao」
メロウ・ボッサ・チューンということで言えば、この曲が一番かもしれませんね。雄大でロマンティックなストリングスが盛り上げてくれます。

「Eira Nem Beira」
クラブ云々は関係なく純粋にブラジル音楽好きの人が気に入るのがこの曲なのでは?パーカッシヴな仕上がりがいいですねぇ。

「Connexao」
クラブ系リスナー向けブラジリアン・クロスオーヴァー。このあたりDaniel MaunickはさすがBlueyの息子って感じがしますね。国内盤にはボーナス・トラックとしてDisco Remixも収録されています。ハウス好きの方はこちらもどうぞ!

「Sem Pressa」
Azimuthのメンバーがバックを務めるクロスオーヴァー・チューン。90年代のAcid Jazzの雰囲気もありますね。

「Vou Voar」
落ち着いたソウル・サンバ。父Alexのバック・コーラスもいい感じです。

「Nuances」
収録曲の中で唯一イマイチな感じの仕上がりですね。

Elis Reginaの娘Maria Ritaあたりも含めて、ブラジル音楽は2世アーティストにハマるようです(笑)
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2008年08月11日

Doors『The Soft Parade』

失敗作だからこそ面白い!☆Doors『The Soft Parade』
The Soft Parade
発表年:1969年
ez的ジャンル:破滅的カリスマ系ロック
気分は... :失敗作で片付けるのはつまらない...

柔道男子66kg級内柴選手、金メダルおめでとう!
昨日のエントリーでも書いた通り、密かに期待していたのですがやってくれましたね。

終始攻め続けた姿勢が良かったですね。谷選手をはじめ金メダルを逃した日本の3選手は全て消極的姿勢による「指導」で敗れました。審判も積極的に指導をとることが明らかであり、"技を決める"以上に"攻め続ける"というのが金メダルを獲得するための最大のポイントかもしれませんね。

これを起爆剤に今日からの金メダル・ラッシュを期待したいものです。

さて、Doorsの4回目の登場です。

Doorsについては、1st『Doors』(1967年)、2nd『Strange Days』(1967年)、3rdアルバム『Waiting For The Sun』(1968年)とリリース順に紹介してきましたので、今回はその流れで4thアルバム『The Soft Parade』(1969年)です。

一般的にはリリース順の通り「『Doors』『Strange Days』『Waiting For The Sun』『The Soft Parade』」という評価だと思います。

特に『The Soft Parade』については、失敗作との声も多いようですね。確かに、カリスマ・ヴォーカリストJim Morrisonには1st、2ndほどの鋭さがなく、サウンドもブラスやストリングスを導入してかなりポップになっており、それまでのアルバムと比較して散漫な印象を受けるのは事実です。

それでもDoorsはDoors!仮に失敗作だとしても楽しめるでしょ!
というのが僕の思いです。

『Doors』『Strange Days』あたりでDoors本来の魅力を堪能した後に聴くと、Doorsの別の魅力を触れることができて充分楽しめると思います。

本作がリリースされた1969年のDoorsは、3月にマイアミのコンサートでの性器露出でJim Morrisonが逮捕され、以降ライブ活動は休止を余儀なくされます。そして、裁判への出廷、各地で排斥キャンペーンが起こるなどグループはどん底状態にありました。

その状況下で録音、発売されたのが『The Soft Parade』です。
こうした背景を考えれば、『Waiting For The Sun』で見せたポップ路線をさらに強め、失墜したイメージ回復に努めたのもわかる気がします。

本作ではRobby Kriegerの頑張りが目立ちます。本作からは「Touch Me」「Wishful Sinful」「Tell All The People」「Runnin' Blue」の4曲がシングル・カットされていますが、全てRobby Krieger作品です。

肝心のJim Morrisonですが、絶不調状態の中でも所々で天才の輝きを放っています。いろんな意味でカリスマ・ヴォーカリストのリアルな姿に触れることができるのでは?

ポップ色を強めるべく試行錯誤していますが、正直全てが成功しているわけではありません。でも、そのやりすぎ感を楽しんで聴きましょう!

最終的には全米アルバム・チャート第6位まで上昇しました。

全曲紹介しときヤス。

「Tell All The People」
オープニングはTom Jones風。やけに仰々しいサウンドをバックに、Jimがお行儀の良いヴォーカルを聴かせてくれます。先に書いたやりすぎ感を楽しめる1曲です(笑)Robby Krieger作品。

「Touch Me」
お馴染みの大ヒット曲。アルバムからの1stシングルとして全米シングル・チャート第3位の大ヒットとなりました。よく言われるように、Tom Jonesがモータウン・サウンドをバックに歌っているようですよね。ブラスとストリングスも配した分厚いサウンドもDoorsらしからぬ仕上がりですね。個人的にはここでのJimのヴォーカルは力強くてそんなに悪くはないと思います。Robby Krieger作品。

Doorsファンの中には、本曲や「Hello, I Love You」を毛嫌いする人もいますが、僕は両曲とも大好きです!

「Shaman's Blues」
この曲でのJimはかなり魅力的なのでは?DoorsらしいRay Manzarekのオルガンも堪能できて、1st、2ndのファンにも納得の仕上がりだと思います。Jim Morrison作品。

「Do It」
Jimが♪Please please listen to me children♪と歌うと少しヤバい感じがしますね。Jim Morrison作品。

「Easy Ride」
カントリー・ロックな仕上がり。ボードヴィル調の仕上がりはDoorsらしいと言えばそうですが、タイトルの通り少しイージーかも?Jim Morrison作品。

「Wild Child」
Doorsらしいへヴィでダークでサイケな仕上がり。Jimの酔いどれヴォーカルも結構ハマっているのでは?Jim Morrison/Robby Krieger作品。

「Runnin' Blue」
この曲もシングルになりました。昔のDoorsっぽいじゃん!なんて思って聴いていると、突然カントリー風やジャズ風に展開していきます。個人的にはRobbyのヴォーカルとカントリー風の展開は余計かな(笑)Robby Krieger作品。

「Wishful Sinful」
アルバムからの2ndシングル。ストリングスを全面に押し出したポップ・チューン。でも、底抜けに明るいのではなく、陰のあるポップさであるのがDoorsらしいのでは?Robby Krieger作品。

「The Soft Parade」
大失敗と酷評されることの多いタイトル曲。詩の朗読から始まり、様々なサウンドが目まぐるしく展開していく様子は散漫な印象もあるかもしれませんが、なかなか楽しめます。特にJohn Densmoreのドラムにコンガも加わった後半のファンキーなリズム隊とJimの吐き出すようなヴォーカルの絡みは結構好きです。Doors版「Sympathy For The Devil」みたいな感覚ですかね。Jim Morrison作品。

順番で行くと、次は『Morrison Hotel』でしょうか。
『Morrison Hotel』は苦手なんだよなぁ(笑)
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2008年08月10日

Milt Jackson『Sunflower』

ジャズ・ヴァイヴ奏者の第一人者のCTI作品☆Milt Jackson『Sunflower』
Sunflower
録音年:1972年
ez的ジャンル:CTI系ジャズ・ヴァイヴ
気分は... :風鈴のように涼しげ

北京オリンピックは、柔道、体操、バレーボールと日本期待の競技が振るわず、女子マラソン野口の出場が危ぶまれるなど、早くもビミョーな雰囲気ですね。TVで観ていてスカッとしたのは競泳100M平泳ぎ予選の北島ぐらいでしたな。

起爆剤となる金メダル第1号が待ち遠しいですね。
今日の柔道男子66kg級内柴あたりがやってくれないかなぁ?

さて、今回はジャズ・ヴァイヴ奏者の第一人者Milt JacksonがCTIからリリースしたアルバム『Sunflower』(1972年)です。

Modern Jazz Quartet(MJQ)のアルバムは以前に『Django』を紹介しましたが、Milt Jacksonのソロ作品の紹介は初めてになります。

Milt Jackson(1923-1999年)はデトロイト出身のジャズ・ビブラフォン奏者。1952年にJohn Lewis(p)、Percy Heath(b)らとModern Jazz Quartet(MJQ)を結成し、ジャズ界に屈指の名コンボとして1974年まで活動しました。

本作『Sunflower』は、MJQ解散の2年前にレコーディングされ、CTIからリリースされた作品です。CTIサウンドとMilt Jacksonというのはマッチするのかなぁ?という感じもしましたが、過度にCTI色が出すぎておらず、なかなかいい塩梅の仕上がりになっています。

主なメンバーは、Milt Jackson(vib)、Herbie Hancock(p)、Freddie Hubbard(tp、flh) 、Ron Carter(b)、Billy Cobham(ds)といった強力布陣です。その他にRalph MacDonald(per)、Jay Berliner(g)、Phil Bodner(fl、afl、picc、ehr)、Romeo Penque(afl、ehr、ob)、George Marge(cl、bcl、afl、ehr)等が参加しています。アレンジはDon Sebesky、プロデューサーは勿論Creed Taylor。

僕の場合、MJQや50年代の演奏のイメージが強かったので、かなり新鮮に聴くことができましたね。

Herbie HancockFreddie HubbardRon CarterBilly CobhamがMilt Jacksonの魅力をうまく引き出しているような気がします。

いかにも夏に聴きたくなるジャケにも惹かれます。

暑い日に聴くヴァイヴの音色って、風鈴の音のような涼しさを感じませんか?

全曲紹介しときヤス。

「For Someone I Love」
Milt Jackson作品。入りのスパニッシュ・ギターが印象的ですね。淡々とした哀愁ムードの演奏が徐々に高揚してくるのがいいですね。Milt のヴァイヴとHubbardのトランペットの絡みがいい感じ。

「What Are You Doing The Rest Of Your Life?」
映画『The Happy Ending』のために書かれ、アカデミー主題歌賞にノミネートされたMichel Legrand作品のカヴァー。ストリングスによるロマンティックな仕上がりはDon Sebeskyらしいですね。Milt のヴァイヴ、Hubbardのトランペット、Hancockのピアノも実にエレガント!

「People Make The World Go Round」
Stylistics1972年のヒット曲カヴァー(Thomas Bell & Linda Creed作品)。Hancockあたりの影響からかブラック・ミュージック寄りの演奏が印象的ですね。ソウルフルなMilt のヴァイヴを堪能できます。この曲はBlackalicious「Swan Lake」、De La Soul「Patti Dooke」等のサンプリング・ネタにもなっています。

「Sunflower」
タイトル曲はFreddie Hubbard作品。かなり完成度の高い本作のハイライトです。ラテン・フレイヴァーの効いたファンキーかつエレガントな演奏がたまりません。ホットな演奏ですが、あまりヒートアップしすぎず適度にクールダウンがあるところが好きですね。

「SKJ」
Milt Jackson作品。オーソドックスにジャズしており、全然CTIっぽくない演奏です(笑)Ron Carterのベースが目立ちますね。

本作を気に入った方は、Stanley Turrentineとの共演作『Cherry』(1972年)、A Tribe Called Quest「Award Tour」のサンプリング・ネタとして有名なタイトル曲が収録されている『Olinga』(1974年)といった他のCTI作品もどうぞ。
posted by ez at 10:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月09日

Byron Stingily『The Purist』

元Ten Cityのヴォーカリストによる充実の歌ものガラージ・ハウス☆Byron Stingily『The Purist』
The Purist
発表年:1998年
ez的ジャンル:ガラージ・ハウス男性ヴォーカル
気分は... :純粋主義者...

今日は二日酔いで体調最悪です。
オリンピックも全然観ていません(泣)

ガラージ・ハウスが聴きたい気分!
二日酔い状態だと頭にガンガン響いてきそうですが(笑)

ということで元Ten CityのヴォーカリストByron Stingilyの1stソロ・アルバム『The Purist』(1998年)です。

Ten Cityと言えば、1980年代後半〜90年代前半に活躍したシカゴ・ハウスのユニットであり、「That's The Way Love Is」「My Piece of Heaven」等のクラシック・シングルはハウス・ファンであれば一度は聴いたであろう伝説のグループですね。メンバーはByron Stingily、Herb Lawson、Byron Burkeの3人。

アルバムで言えば、Marshall Jeffersonプロデュースの1st『Foundation』がハウス名盤として有名ですね。それ以外に『State of Mind』(1990年)、『No House Big Enough』(1992年)、『That Was Then, This Is Now』(1994年)といったアルバムをリリースしています。

Ten City解散後、Byron Stingilyはソロ活動に入ります。「Get Up」「Flying High」「Sing A Song」といったシングルをリリースし、その健在ぶりを示してくれました。

それらのシングルを含むByron Stingilyの1stソロ・アルバムが『The Purist』(1998年)です。まずはプロデューサー陣が豪華ですよね。Masters At WorkFrankie Knuckles、Paul Simpson、MousseT.、Maurice Joshua、Frankie Feliciano、Basement BoysDavid Morales等ハウス・ファンならばヨダレものの強力布陣です。

そんな強力なバック・アップを得て、ByronがTen City時代と変わらぬ魅惑のファルセット・ヴォーカルを聴かせてくれます。また、ソングライターとしてのByronの能力にも注目ですね。

ガラージ・ハウス系男性ヴォーカリストのソロ・アルバムでここまで充実している作品って、そうはお目にかかれない気がします。王道ハウスですが、普段ハウスを聴かない人も違和感なく聴ける作品に仕上がっていると思います。

アルバムは"early evening"、"crowd-pleasers"、 "garage set"、"afterhours"、"Sunday morning"という5つのパートに分かれています。各パートの違いを聴き比べてみるのも楽しいのでは?

『The Purist』というタイトルにByronの本作への思いが表れていますね。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Flying High」
最強プロデューサーMasters At Work("Little" Louie Vega & Kenny "Dope" Gonzalez)を迎えた話題曲。この組み合わせで悪いはずがありませんよね。ラテン・フレイヴァーの聴いたハッピー&キャッチーな仕上がりです。R&Bファンにはお馴染みの女性シンガーLisa Fischerがバック・ヴォーカルで参加しています。オリジナルとは別に4つ打ちハウスではないボッサなBrazilian Mixも収録されており、こちらもサイコーです。

「Back to Paradise」
大御所Frankie Knucklesプロデュース。キーボードのクレジットには日本が誇るSatoshi Tomiieの名もあります。ピアノが響きが何ともDef Mixらしいエレガントな仕上がりです。

「Beautiful Night」
ハウス独特の美しく儚い感じが堪能できる仕上がりです。

「You Make Me Feel (Mighty Real) 」
Sylvesterの1978年のディスコ・ヒット・カヴァー。ByronがSylvesterをカヴァーするのって、わかる気がしますね。

「Get Up」
前述のソロ第1弾シングル。Zack Toms & Paul Simpsonプロデュース。ハウス・ヴォーカリストByronのファルセット・ヴォイスの魅力を堪能できます。ハウスならではの高揚感がいいですな。

「Sing a Song」
「Testify」と並ぶお気に入り曲。キャッチーなメロディ&グルーヴに、♪トゥル・ル・ル・ル〜♪トゥル・ル・ル・ル〜♪のコーラス部分だけで昇天してしまいますね。Mousse T.プロデュース。

「Found a Love」
「Temptation」
Maurice Joshuaプロデュースの2曲。共に軽くラテン・フレイヴァーの効いたメロディアスな仕上がりがいいですね。

「Keep Love Going」
Frankie Felicianoプロデュース。クールな仕上がりが印象的です。

「Run to Me」
Eddie Perezプロデュース。昔のガラージっぽいクラシックな仕上がりが僕好みです。

「It's Over」
Basement Boysプロデュース作。ダンサブルながらもメロディアスな感じですね。サウンドもホーンなどを効果的に使ったBasement Boysらしいそつない仕上がり
です。かなり完成度高いと思います。

「Don't Fall in Love」
David Moralesプロデュース。昔のガラージっぽい哀愁モードがいいですね。

「Testify」
僕の一番のお気に入り曲。キャッチー&アッパーな感じがサイコー!僕のガラージ・ハウスに対するニーズに見事に応えてくれた!って感じです。こういった高揚感を味わうためにハウスを聴いているだよなぁ!Jazz N Grooveプロデュース。

順序が逆ですが、Ten Cityのアルバムもいつか紹介したいと思います。
posted by ez at 16:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする