発表年:1989年
ez的ジャンル:スタイリッシュ・メレンゲ
気分は... :メレンゲ初登場!
8月の一発目もラテンでいきましょうか!
一昨日のPucho & His Latin Soul Brothersが非ラティーノによるラテン音楽だったので、今日は正真正銘のラテン作品にしましょう。特に今回は本ブログ初登場のジャンル"メレンゲ"の作品を紹介します。
ということで、Juan Luis Guerra & 4.40『Ojala Que Llueva Cafe』(1989年)の紹介です。
Juan Luis Guerraは、"キング・オブ・トロピカル・ラテン"とも呼ばれるドミニカ出身の人気歌手です。自身のグループ4.40を率いて80年代から活動を開始します。そして、1990年にはアルバム『Bachata Rosa(邦題:薔薇のバチャータ)』が全世界で大ヒットし、ドミニカの大衆音楽"バチャータ"を世界中に知らしめました。
以降もラテン音楽シーンを牽引し続け、昨年の第8回ラテン・グラミー賞でも6部門を受賞しています。
最近のラテン音楽にお詳しい方ならば、「Juan Luis Guerra=バチャータ」というイメージなのかもしれませんね。正直、バチャータについては勉強不足です...1990年代前半の第1次バチャータ・ブームに続き、昨年あたり第2次バチャータ・ブームと盛り上がっていたようですが。夏休みの宿題ということで、少し勉強しておきますっ。
ただし、今日紹介する『Ojala Que Llueva Cafe』(1989年)は、"バチャータ"ではなく"メレンゲ"の作品になっています。と言うか、当時は「ドミニカの音楽=メレンゲ」という感じでしたからね。したがって、久々にライナーノーツを読み直しても、"メレンゲ"の文字はあっても"バチャータ"という言葉は全く出てきません。
メレンゲはドミニカで生まれたポピュラー音楽であり、ワールド・ミュージック・ブームの1980年代後半から1990年代前半の頃はサルサと並ぶラテン音楽の一大勢力でした。
MLB(メジャー・リーグ・ベースボール)の中継を注意深く観ていると(聴いていると)、ドミニカ出身の選手のテーマ曲としてメレンゲが流れていることがありますね。
僕が持っているメレンゲ作品の殆どはワールド・ミュージック・ブームの時に購入したものです。代表的なアーティストとして、Wilfrido VargasやBonny Cepedaなんかをよく聴いていましたね。Juan Luis Guerra & 4.40『Ojala Que Llueva Cafe』もそんな流れで購入した1枚です。
当時のメレンゲのトップ・アーティストであり、Hip-Hopやハウスのエッセンスをメレンゲに持ち込んだWilfrido Vargasや、流行の歌謡メレンゲの人気シンガーだったBonny Cepedaあたりと比較すると、本作におけるJuan Luis Guerraはスマートでスタイリッシュなメレンゲという印象でしたね。
当時、N.Y.のラティーノ向けFM局ではJuan Luis Guerra & 4.40のグループ名に因んで、早朝と夕方の4時40分には彼らの曲が流れていたそうです。確かにWilfrido Vargas、Bonny Cepedaよりも、スマートなJuan Luis Guerraの方がN.Y.に似合うメレンゲという気がします。
サルサは聴いたことがあるけどメレンゲは聴いたことがない、という方は案外多いのではと思います。新たなラテン音楽体験も刺激的かもしれませんよ。
全曲紹介しときやす。
「Visa Para un Sueno」
典型的なメレンゲ・チューン。この少し忙しないチャカチャカ感こそがメレンゲの特徴です。
「Oajala Que Llueva Cafe」
邦題「コーヒーに雨を」。国際児童年のテーマ曲に選ばれた有名曲なので聴いたことがある方もいるかもしれませんね。メレンゲというよりも汎カリビアン・ポップといった感じの大らかな仕上がりがサイコーです。"キング・オブ・トロピカル・ラテン"の片鱗をうかがえる1曲だと思います。
「Razones」
この曲ではサルサしてます。雰囲気としてはRuben Bladesに近いですね。Juan Luis Guerraの本質とは異なる曲ですが、僕好みの仕上がりで大好きです。
「De Tu Boca」
スマートで洗練されたメレンゲ・チューン。同時期の他のメレンゲ作品にはないスタイリッシュさがいいですね。
「La Gallera」
この曲はテンション高めの高速メレンゲ・チューン。このテンポの速さが当時のメレンゲの魅力でした。
「Woman del Callao」
当時のヒット曲のようです。del Callaoとはベネズエラの町の名前とのこと。
「Reina Mia」
ノリの良い高速メレンゲ・チューン。それでもスマート感を欠かさないのがJuan Luis Guerraらしいところなのでは?
「Angel Para Una Tambora」
かなり感動的な仕上がりの汎カリビアン・ポップ。当時は「Oajala Que Llueva Cafe」と本曲ばかり聴いていた記憶があります。ラテンを聴かない人にも訴える普遍的な魅力を持った名曲だと思います。
バチャータ作品についても勉強して、そのうち紹介したいですね。
キューバ音楽やトリニダード・トバコのカリプソといった他のラテン音楽も機会があれば取り上げたいですね。