録音年:1972年
ez的ジャンル:CTI系ジャズ・ヴァイヴ
気分は... :風鈴のように涼しげ
北京オリンピックは、柔道、体操、バレーボールと日本期待の競技が振るわず、女子マラソン野口の出場が危ぶまれるなど、早くもビミョーな雰囲気ですね。TVで観ていてスカッとしたのは競泳100M平泳ぎ予選の北島ぐらいでしたな。
起爆剤となる金メダル第1号が待ち遠しいですね。
今日の柔道男子66kg級内柴あたりがやってくれないかなぁ?
さて、今回はジャズ・ヴァイヴ奏者の第一人者Milt JacksonがCTIからリリースしたアルバム『Sunflower』(1972年)です。
Modern Jazz Quartet(MJQ)のアルバムは以前に『Django』を紹介しましたが、Milt Jacksonのソロ作品の紹介は初めてになります。
Milt Jackson(1923-1999年)はデトロイト出身のジャズ・ビブラフォン奏者。1952年にJohn Lewis(p)、Percy Heath(b)らとModern Jazz Quartet(MJQ)を結成し、ジャズ界に屈指の名コンボとして1974年まで活動しました。
本作『Sunflower』は、MJQ解散の2年前にレコーディングされ、CTIからリリースされた作品です。CTIサウンドとMilt Jacksonというのはマッチするのかなぁ?という感じもしましたが、過度にCTI色が出すぎておらず、なかなかいい塩梅の仕上がりになっています。
主なメンバーは、Milt Jackson(vib)、Herbie Hancock(p)、Freddie Hubbard(tp、flh) 、Ron Carter(b)、Billy Cobham(ds)といった強力布陣です。その他にRalph MacDonald(per)、Jay Berliner(g)、Phil Bodner(fl、afl、picc、ehr)、Romeo Penque(afl、ehr、ob)、George Marge(cl、bcl、afl、ehr)等が参加しています。アレンジはDon Sebesky、プロデューサーは勿論Creed Taylor。
僕の場合、MJQや50年代の演奏のイメージが強かったので、かなり新鮮に聴くことができましたね。
Herbie Hancock、Freddie Hubbard 、Ron Carter、Billy CobhamがMilt Jacksonの魅力をうまく引き出しているような気がします。
いかにも夏に聴きたくなるジャケにも惹かれます。
暑い日に聴くヴァイヴの音色って、風鈴の音のような涼しさを感じませんか?
全曲紹介しときヤス。
「For Someone I Love」
Milt Jackson作品。入りのスパニッシュ・ギターが印象的ですね。淡々とした哀愁ムードの演奏が徐々に高揚してくるのがいいですね。Milt のヴァイヴとHubbardのトランペットの絡みがいい感じ。
「What Are You Doing The Rest Of Your Life?」
映画『The Happy Ending』のために書かれ、アカデミー主題歌賞にノミネートされたMichel Legrand作品のカヴァー。ストリングスによるロマンティックな仕上がりはDon Sebeskyらしいですね。Milt のヴァイヴ、Hubbardのトランペット、Hancockのピアノも実にエレガント!
「People Make The World Go Round」
Stylistics1972年のヒット曲カヴァー(Thomas Bell & Linda Creed作品)。Hancockあたりの影響からかブラック・ミュージック寄りの演奏が印象的ですね。ソウルフルなMilt のヴァイヴを堪能できます。この曲はBlackalicious「Swan Lake」、De La Soul「Patti Dooke」等のサンプリング・ネタにもなっています。
「Sunflower」
タイトル曲はFreddie Hubbard作品。かなり完成度の高い本作のハイライトです。ラテン・フレイヴァーの効いたファンキーかつエレガントな演奏がたまりません。ホットな演奏ですが、あまりヒートアップしすぎず適度にクールダウンがあるところが好きですね。
「SKJ」
Milt Jackson作品。オーソドックスにジャズしており、全然CTIっぽくない演奏です(笑)Ron Carterのベースが目立ちますね。
本作を気に入った方は、Stanley Turrentineとの共演作『Cherry』(1972年)、A Tribe Called Quest「Award Tour」のサンプリング・ネタとして有名なタイトル曲が収録されている『Olinga』(1974年)といった他のCTI作品もどうぞ。