発表年:1993年
ez的ジャンル:エレクリック・ダンス系UKポップ
気分は... :共和国の光と影...
8月も残すところ5日...そろそろ夏の終わりを感じるようになりましたね。
そんな気分の中、ふと聴きたくなったのがNew Order『Republic』(1993年)です。
学生の頃、夏休みに入る前って何かワクワクしましたよね。でも、いざ夏休みが終わる頃になると期待したほどの良い思い出をつくることができず、切ない気持ちになったりしたものです。そんな気分とシンクロするのがこのアルバムかも?
New Orderの紹介は、『Technique』(1989年)に続き2回目となります。
本作『Republic』は、『Technique』に続きリリースされたアルバムであり、その間に長年所属していたFactoryが経営破綻し、移籍を余儀なくされるという不運にも見舞われました。
内容的には、開き直ったのかかなりポップでキャッチーな側面が強調された仕上がりです。昔からの熱心なNew Orderファンの方の間では賛否両論ある作品かもしれませんね。New Orderファンではない僕でさえ、1stシングルにもなった「Regret」 のストレートなポップさに肩透かしをくらった気分になりましたし...
でもそこはNew Order!シニカルな視点も忘れていません。
とびきりポップなメロディの裏に儚く、虚しいリアリティが見え隠れします。僕がJoy DivisionやNew Orderのアルバムに求めるものは、正にこの儚さと虚しさなんですよね。
アルバム・タイトルは"共和国"、そしてジャケはビーチで戯れる男女の姿と、炎に包まれた街の姿(戦争被害か?)で二分されています。このあたりにもNew Orderらしいのでは?
ポップのメロディと無機質なデジタル・ビート...まさに共和国の持つ光と影といったカンジですよね!
ハウス以降のダンス・ミュージックのエッセンスをうまく消化していると思います。このあたりの柔軟さもNew Orderの賞味期限を長くしているのかもしれませんね。
全曲紹介しときやす。
「Regret」
アルバムからの1stシングル。親しみやすいメロディとでポップなエレクトリック・サウンドが魅力ですね。ジャケのビーチで戯れる男女の姿にピッタリです。最初に聴いた時にはストレートなキャッチーさに多少戸惑いもありましたが、アルバムの中でもダントツで完成度の高い1曲ですね。Andrew Weatherallによるリミックス(Sabres Slow 'n' Low)もありましたね。
この曲のイントロを聴くと、長寿TV番組「世界の車窓から」のテーマ曲(溝口肇)を思い出してしまうのは僕だけでしょうか?。
「World」
この曲もシングルになりました。無機質なダンス・ビートとポップなメロディは、僕の抱くNew Orderのイメージに近いですね。
「Ruined In A Day」
ややダーク・テイストのサウンドと哀愁メロディが組み合わせがいい感じ。
「Spooky」
ビシッと決まったダンサブルなビートがカッチョ良いですね。シングルにもなりました。
「Everyone Everywhere」
New Orderらしい哀愁エレ・ポップ。ポップなのに虚しさが漂う感じがいいですねぇ。
「Young Offender」
キャッチーなエレクリック・ダンス・チューン。ピアノの感じとかハウスっぽいですね。
「Liar」
「Regret」と並ぶ僕のお気に入り曲。90年代前半らしいダンサブルなポップ・チューンに仕上がっています。キャッチーだけどシニカルな感じがいいですな。
「Chemical」
ダンス・チューンという意味ではこの曲が一番の出来なのでは?
「Times Change」
Bernard Sumnerがラップしてます。完成度は低くチープ感は否めないですが(笑)
「Special」
空虚なポップ感がいいですね。儚いダンスビートこそがNew Orderの魅力だと思います。
「Avalanche」
エンディングはメランコリックなインスト。
本作の制作過程でBernard Sumnerと他メンバーの確執が深まり、次のアルバム『Get Ready』(2001年)がリリースされるまで8年の歳月を要することになります。