2008年09月18日

Todd Rundgren『Runt:The Ballad of Todd Rundgren』

Toddのアルバムの中で一番好き!☆Todd Rundgren『Runt:The Ballad of Todd Rundgren』
ラントザ・バラッド・オブ・トッド・ラングレン
発表年:1971年
ez的ジャンル:内省的偏屈ポップ
気分は... :Toddのアルバムの中で一番好き!

楽しい時間を過ごしていると、その裏側で虚しい思いが過ぎることがあります。
楽しさ時間は長くは続かない、という儚さが虚しさを呼び起こすのかもしれませんね。

Todd Rundgrenの作品にもそんな思いを強く感じます...
美しいメロディ、ポップなサウンドの裏側に虚しさ、孤独感、切なる願いが溢れていますよね。

ということで、今回はTodd Rundgren『Runt:The Ballad Of Todd Rundgren』(1971年)をセレクト♪

Todd Rundgrenはこれまで以下の3枚を紹介してきました。

 『Something/Anything』(1972年)
 『Hermit Of Mink Hollow』(1977年)
 『The Ever Popular Tortured Artist Effect』(1983年)

今日紹介する『Run:The Ballad Of Todd Rundgren』は、『Something/Anything』『Hermit Of Mink Hollow』と並ぶ傑作アルバムですね。

"本作『Run:The Ballad Of Todd Rundgren』が一番!"というToddファンの方も多いのでは?僕もTodd作品の中からどうしても1枚だけ選べ!と言われたら、本作を選ぶと思います。

ソロ2作目となる本作では、前作『Runt』(1971年)に続き、ベースとドラム以外の楽器は殆どToddが演奏しています。サポート・メンバーとして、Tony Sales(b)とHunt Sales(ds)のSales兄弟、Jerry Scheff(b)、Norman D. Smart(ds)、John Guerin(ds)が参加しています。

ちなみに前作や本作のタイトルにある"Runt"とは、Patti Smithが名付けたToddの愛称であり、当初はToddとSales兄弟のグループ名として考えていたようです。

タイトルからは美しいバラッド集のような印象を受けるかもしれませんが、そこはTodd!しっかりヒネリを効かせています。大体ジャケがピアノに向ったまま首を吊っているToddの後姿ですからね(笑)

Todd作品の中でも内省的でシンガーソングライター的色合いの強いアルバムですよね。
美しいメロディやポップなサウンドにのって、人生の儚さや不条理がToddらしい語り口で描かれていると思います。
孤独な天才"Todd Rundgren"という雰囲気の仕上がりだと思います。

インナーの歌詞に添えられた写真はRon Mael(Sparks)によるものです。
このフォトと歌詞を眺めながら聴くのがいいですよねぇ!

全曲紹介しときやす。

「Long Flowing Robe」
「Wailing Wall」と並ぶお気に入り曲。学生の頃はこの2曲ばかり聴いていました。これぞToddワールド!といった感じのポップ・チューン。サビの♪In a long flowing robe〜♪の部分はサイコーですね!クラビネットの音色もグッド!

「The Ballad (Denny & Jean) 」
DennyとJeanの切ない恋の物語をToddらしい淡々した雰囲気で歌うバラッド。

「Bleeding」
能天気な雰囲気のロック・チューンと思いきや、なかなか泣ける歌詞です。スワンプ&ブルージーなギター・プレイがいいですね。

「Wailing Wall」
一番のお気に入り曲。"嘆きの壁"をモチーフにした、静けさの中で美しさと孤独感が同居する名バラッド。最初の♪There's a grand old maid〜♪という一節を聴いただけで胸に何かが込み上げてきます。その美しいメロディとToddの歌声に癒される一方で、人間がそれぞれ背負っている宿命のようなものに思いを巡らせてしまいます。

Nick DeCaroが名作『Italian Graffiti』の中でカヴァーしています。

「The Range War」
この曲も大好き!スワンプ・フレイヴァーのアーシーなサウンドと多重録音によるコーラスがいいですね。牧場主の親たちの対立を嘆く子供たちの歌ですが、前曲「Wailing Wall」からの流れで聴くといろいろと考えてしまいますね。

「Chain Letter」
Toddのポップ・センスを実感できる曲ですね。シンプルでアコースティックな出だしから、徐々にサウンドが厚みを増し、最後は大合唱と派手なギター・ソロでエンディングを迎えます。小さな部屋で1人で演奏を始めたのに、最後はバンドと大合唱隊をバックに大ホールで演奏していたって感じですね。

「A Long Time, A Long Way to Go」
短いながらも、美しいメロディとクセになるファルセット・ヴォーカルを堪能できます。SSWブームだったこの時代らしい仕上がりなのでは?

「Boat on the Charles」
次作『Something/Anything』を予感させるミステリアスなポップ・チューン。このひねり具合がToddらしい!

「Be Nice to Me」
哀愁モードの脱力感が魅力のバラッド。本気なのか、嫌味なのかわからない切ない歌詞に涙・涙・涙ですっ!ハンド・ベルの音色がチャーミング!

「Hope I'm Around」
美しいメロディとコーラスにグッとくる哀愁バラッド!隠れた名曲だと思います。

「Parole」
出ました!唐突にロックン・ロール!それまでのアルバムの流れが台無しっ!でも、これこそが僕らの大好きなTodd Rundgren!ストレス解消にロックしまくってくれ〜!

「Remember Me」
わずか50秒強ながらグッとくるバラッド!♪Please remember me♪

人生は短く、儚く、不条理だ...
だからこそ前向きに、楽しく、ポップに生きよう!
posted by ez at 01:10| Comment(24) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月16日

Michael Henderson『Wide Receiver』

べーシストとシンガーのバランスがグッドな1枚☆Michael Henderson『Wide Receiver』
Wide Receiver
発表年:1980年
ez的ジャンル:フュージョン/R&B/ファンク系べーシスト&シンガー
気分は... :やはりファンク魂が欲しい!

今日は長年のMiles Davisグループでの活動で知られるべーシスト/シンガーMichael Hendersonのアルバム『Wide Receiver』(1980年)の紹介です。

Michael Hendersonは1951年ミシシッピ生まれ。その後デトロイトで育った彼は、10代前半でプロのべーシストとしてキャリアをスタートさせます。

Aretha FranklinStevie Wonder等のツアー・メンバーを務めた後、1970年よりジャズの帝王Miles Davisのグループに参加します。以降1975年にMilesが引退するまでエレクトリック・マイルスを支える天才べーシストとして活躍します。『A Tribute to Jack Johnson』(1970年)、『Live-Evil 』(1970年)、『On the Corner』(1972年)、『In Concert』(1972年)、『Get Up with It』(1970-1974年)、『Dark Magus』(1974年)、『Agharta 』(1975年)、『Pangaea』(1975年)等エレクトリック・マイルスの主要アルバムで彼のベース・プレイを聴くことができます。

Miles引退と共にソロ・アーティストとしての活動を開始したHendersonは、Norman Connorsのアルバムに"フィーチャリング・ヴォーカリスト"として招かれます。それきっかけに、Norman Connorsの橋渡しでBuddahとの契約に成功します。

Buddahでは、『Solid』(1976年)、『Goin' Places』(1977年)、『In the Night-Time』(1978年)、『Do It All』(1979年)、『Wide Receiver』(1980年)等の作品をリリースしています。

ソロ・アーティストとしてのMichael Hendersonべーシストと言うよりも、ヴォーカリストとしての印象が強いかもしれませんね。『In the Night-Time』 のジャケ写真(マイクを片手に持ったHendersonの写真)なんて、どう見てもシンガーであり、とてもべーシストには見えません。

Hendersonの伸びやかで、スウィートで、ソウルフルな低音ヴォーカルは、"天才べーシスト"の肩書きが無くとも十分勝負できる魅力的なものだと思います。また、Hendersonのヴォーカリストとしての才能を見抜き、自身のアルバムに抜擢したNorman Connorsの眼力に驚かされますね。

と言いつつ、エレクトリック・マイルス大好きの僕としては、やはりMiles作品における"べーシスト"Michael Hendersonの印象が強いですね。なので、『In the Night-Time』Norman Connors『You Are My Starship』における、"ヴォーカリスト"Michael Hendersonが同一人物であるというのがいまいちピンと来ませんでしたね。もちろん、"ヴォーカリスト"Michael Hendersonも好きですが...

その意味で今日紹介する『Wide Receiver』(1980年)は、"べーシスト"Michael Hendersonと"ヴォーカリスト"Michael Hendersonをバランス良く楽しめる作品になっていると思います。

Norman Connorsとの蜜月時代の作品に比べて、ファンク・モードが格段にパワーアップしています。やはりMichael Hendersonにはファンク・チューンが似合う気がします。

"ヴォーカリスト"Michael Hendersonがお好きな方は、甘〜いヴォーカル・チューンもしっかり収録されていますのでご安心を!

全曲紹介しときやす。

「You're My Choice」
オープニングはHendersonの甘いヴォーカルを堪能できるメロウ・グルーヴ。同時期のGeorge Bensonあたりとイメージが重なりますね。べーシストとしてのHendersonも健在で、メロウ・グルーヴを下支えする骨太ベースをブイブイ聴かせてくれます。僕の一番のお気に入り曲。

「Make Me Feel Like」
ご機嫌モードのミッド・ファンク。メロウな雰囲気の中にもHendersonのファンク魂が感じられる仕上がりですね。キュートなヴォーカルでHendersonのデュエット・パートナーを務める女性シンガーは若き日のCherrelleです(ここでは本名のCheryl Nortonでクレジットされています)。この後、本ブログでも紹介したようにJam & Lewisプロデュースのもと80年代半ばからソロ・シンガーとして活躍することになります。

「Reach Out for Me」
Dionne Warwickのヒットで知られるHal David/Burt Bacharach作品のカヴァー。Hendersonの低音ヴォーカルを堪能できる、甘く感動的なスロウに仕上がっています。アレンジが少し仰々しい気もしますが...

「Wide Receiver」
タイトル曲は全米R&Bチャート第4位(Henderson最大のヒット)となった疾走するファンク・チューンです。P-FunkをHenderson流に調理した、少しお下劣モードの仕上がりがサイコーですね。大音量で聴くほどテンション上がる演奏だと思います。

「I Don't Need Nobody Else」
以前に紹介したLou Courtneyのカヴァー(オリジナルはアルバム『I'm In Need Of Love』収録)。Marvin Gayeに強く憧れていたHendersonがLou Courtneyをカヴァーするのって、とてもわかる気がしませんか?この曲はNorman Connorsも本作と同じ1980年のアルバム『Take It To The Limit』の中でカヴァーしていますね。これって単なる偶然なのでしょうか?

「What I'm Feeling (For You)」
この曲は正統派R&Bヴォーカル・チューンに仕上がっています。Hendersonのヴォーカルと女性コーラス陣の絡みは素晴らしいのですが、僕には少し真っ当すぎるかも?

「Ask the Lonely」
Four Tops、1965年のヒット曲のカヴァー。Hendersonが本当に気持ち良さそうに歌っているのがわかります。伸びやかで、スウィートなHendersonの低音ヴォーカルと哀愁のサックス・ソロが実にマッチしています。

「There's No One Like You」
レコーディング参加メンバーRandall Jacobsの作品。CDの原文ライナーノーツに"Doobie Brothers「What a Fool Believes」をディスコチックにした仕上がり"といった説明がなされていますが、確かにそんな感じかも?

「Prove It」
シングルとしてR&Bチャート第27位となったファンク・チューン。ロック・テイストのギターが唸りまくります。Ray Parker Jr.がギターで参加。Ray Parker Jr.とMichael Hendersonってギタリストとべーシストの違いこそあれ、とても共通するものを感じる2人ですよね。

次回は、"ヴォーカリスト"Michael Hendersonの魅力を堪能できる作品『In the Night-Time』(1978年)を紹介したいと思います。
posted by ez at 01:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月15日

The Kinks『Face To Face』

The Kinksが新しいステージへ突入したアルバム☆The Kinks『Face To Face』
Face to Face
発表年:1966年
ez的ジャンル:脱キンキー・サウンド系UKロック
気分は... :良薬は口に苦し...

今日はマッタリ気分...少し苦味のある音が聴きたい

The Kinksの4回目の登場です。

『Something Else』(1967年)、『The Village Green Preservation Society』(1968年)、『The Kink Kontroversy』(1966年)に続いて紹介するのは、『Face To Face』(1966年)です。

本作『Face To Face』は、Kinksが初めてトータルなアルバム作りに挑戦したアルバムです。結果として、Ray Daviesが意図したようなコンセプト・アルバムは実現しませんでしたが、Kinksはキンキー・サウンドを卒業して新しいステージへ突入しました。

個人的には、本作『Face To Face』(1966年)から『Something Else』(1967年)、『The Village Green Preservation Society』(1968年)あたりがKinksの音楽的な絶頂期だと思っています。

サウンド的には、フォーキーなアコースティック・サウンドが増えています。曇ったロンドンの空のような憂鬱モードのサウンドは、シニカルなKinksワールドにピッタリという感じですね。

本作ではRay DaviesDave DaviesPete QuaifeMick Avoryという4人のオリジナル・メンバーのうち、ベースのPete Quaifeが交通事故のため一時的に脱退扱いになり、代わりにJohn Daltonが参加しています(一部の録音はPete Quaifeが参加)。また、キーボードでお馴染みのNicky Hopkinsが参加し、さらに数曲でRay Daviesの奥方Rasaがバック・ヴォーカルを務めています。

グッと幅の広がったKinksサウンドを堪能しましょう!

全曲紹介しときやす。

「Party Line」
電話ベルのSEと共に始まるロック・チューン。この曲ではDave Daviesがリード・ヴォーカルをとっています。全体的にBeatlesっぽい雰囲気の仕上がりですね。

「Rosie Won't You Please Come Home」
メランコリックなアコースティック・チューン。英国らしさがプンプンするRay Daviesのヒネリの効いたメロディとハープシコードの音色が実にマッチしています。

「Dandy」
フォーキー・ロック・チューン。一歩間違えるとイモ臭くなってしまう曲調ですが、寸止めでそれを食い止めているのがKinksらしいところですな。モテ男Dandyを皮肉った歌詞は実にRay Daviesらしいのでは?Herman's Hermitsがカヴァーし、全米ポップ・チャート第5位のヒットを記録しています。

「Too Much on My Mind」
この曲大好き!美しくしも、憂鬱なメロディ&ヴォーカルがいいですね。アコースティック・ギターとハープシコードによるアレンジもグッド!

「Session Man」
まさに初期Kinksの"Session Man"であったキーボードのNicky Hopkinsに捧げられた1曲。そのNicky Hopkinsのハープシコードをフィーチャーしています。なかなかキャッチーな仕上がりです。セッション・マンのプロ意識と悲哀(?)が歌われています。

「Rainy Day in June」
雷鳴のSEが使われています。ダークな雰囲気が漂う仕上がり。このあたりはコンセプト・アルバムを意識して用意した曲なのでしょうね。

「House in the Country」
小気味良いロック・チューン。Rolling Stonesっぽい感じですね。ファンキーなNicky Hopkinsのピアノが効いています。やはり彼はハープシコードより、ピアノを弾いているのがいいのでは?後にPretty Thingsがカヴァーしています。

「Holiday in Waikiki」
アルバムの中でも異色の作品。タイトル通り、ハワイアン・フレイヴァーのロック・チューン。懸賞で当ったハワイ旅行の主人公の様子を皮肉たっぷりに描いています。思わず苦笑してしまう仕上がりです(笑)

「Most Exclusive Residence for Sale」
♪パァ、パァ、パァ〜♪のコーラスばかりが耳に残るメランコリック・チューン。労働者階級の目線を通じて、"最高級住宅"が売り出されている背景をシニカルに歌っています。

「Fancy」
この曲ではラーガ・ロックしていますね。Ray Daviesの作るメランコリックなメロディとインド・テイストは意外にマッチする気がします。

「Little Miss Queen of Darkness」
この曲はかなり好き!ジャズ調の小粋なアコースティック・チューンに仕上がっています。このセンスは良さには驚かされまね。

「You're Lookin' Fine」
この曲ではDave Daviesがリード・ヴォーカルです。ブルースのようでブルースではない(?)、何か不思議な感触の仕上がりですっ!

「Sunny Afternoon」
本作のハイライトと言えば、この曲でしょうね。シングルとして全英チャートNo.1に輝いたグループの代表曲です。ロンドンの曇り空のような、憂鬱で気だるい雰囲気を持ったKinksらしい名曲ですね。

よく言われるように「およげ!たいやきくん」は本曲にそっくりですね。
「Sunny Afternoon」
http://jp.youtube.com/watch?v=1h1oRP7FfBw
「およげ!たいやきくん」
http://jp.youtube.com/watch?v=Mqm89KdJ9DM

「I'll Remember」
キャッチーでポップなビート・ロック。Beatles「If I Needed Someone」に雰囲気が似ていますな。

オリジナルは「I'll Remember」までですが、CDにはボーナス・トラックが7曲追加されています。シングル・ヒット(全英チャート第5位)した「Dead End Street」の追加が嬉しいですね。
posted by ez at 00:22| Comment(4) | TrackBack(2) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月14日

Riff『To Whom It May Concern』

アップ良し、スロウ良し、ストリート色を強めた2nd☆Riff『To Whom It May Concern』
To Whom It May Concern
発表年:1993年
ez的ジャンル:NJS系男性R&Bグループ
気分は... :早くもプレミアが熱い...

久々に90年代男性R&Bグループの紹介です。
ということで今日はRiff『To Whom It May Concern』(1993年)をセレクト。

Riffは、Kenny Kelly、Anthony Fuller、Dwayne Jones、Steven Capers、Michael Bestの5人がニュージャージーで結成した男性R&Bグループ。

デビュー・アルバム『Riff』(1991年)からは、「My Heart Is Failing」(全米R&Bチャート第6位)、「If You're Serious」(全米R&Bチャート第7位)といったシングル・ヒットも生まれています。

1993年にはNJS色を強めた2ndアルバムを『To Whom It May Concern』(1993年)をリリース。その後、Anthony Fuller、Dwayne Jones、Michael Bestの3人がTeddy Rileyのサポートを受けていた男性R&BグループMen Of Vizionへ参加し、グループは消滅してしまいます。

個人的には、JodeciWhistleRiffの3組が90年代前半のお気に入り男性グループBest3でした。結局ブレイクしたのはJodeciのみでしたが...

Riffの2枚のアルバムはどちらもお気に入りですが、今回はAmazonにジャケ写真のあった2nd『To Whom It May Concern』(1993年)をセレクトしました。

正統派ヴォーカル・グループの印象が強かった1st『Riff』と比較して、ストリート色が強くなった印象の2nd『To Whom It May Concern』です。このあたりはジャケのメンバー5人の風貌を見ても想像がつきますね。

1stからのシングル「My Heart Is Failing」と、2ndからのシングル「Judy Had a Boyfriend」 のPVを見比べると、さらにその変化がわかると思います。
「My Heart Is Failing」
http://jp.youtube.com/watch?v=eZf_-hKVzoY&feature=related
「Judy Had a Boyfriend」
http://jp.youtube.com/watch?v=A6RjuJ_D7ro

本作『To Whom It May Concern』では、Bernard BelleTeddy Rileyのソングライティング・パートナー、Regina Belleの実弟)、Eric Williams(Blackstreetのメンバー)、The Characters(Troy Taylor/Charles Farrar)をはじめ5組のプロデューサー陣が制作に携わっています。

決して、ヒットしたアルバムではありませんが、アップとスロウのバランスがとれた90年代前半の男性R&Bグループらしい1枚に仕上がっていると思います。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Hold on Me」
Bernard Belleプロデュース。ジャケの雰囲気通り、ストリート感覚のアップ・チューンに仕上がっています。初めて聴いた時、1stとのギャップに少し戸惑いましたが、2ndで成長したグループの姿を見せるためには、この手のアップを配置したかったのでしょうね。

「Baby It's Yours」
アルバムからの2ndシングル。しっかり聴かせるミディアム・スロウ。1stでの初々しさを残しつつ、よりストロングな歌いっぷりがグッドです!Eric Williamsプロデュース。

「Voyage to Atlantis」
Isley Brothersのカヴァー(オリジナルはアルバム『Go For Your Guns』収録)。この曲がお目当てで本作をお聴きになった方もいるかもしれませんね。オリジナルの楽曲の素晴らしさを再認識すると同時に、さらにその魅力を高めてくれたRiffの素晴らしいヴォーカル&コーラスにうっとりです。Bernard Belleプロデュース。

「Adjust Your Love」
The Charactersプロデュース曲。「Judy Had a Boyfriend」に迫る魅力を持ったNJSなアップ・チューンに仕上がっています。1stの課題であったアップ・チューンの強化が見事にクリアされている気がします。

「Don't Leave」
じっくり聴かせる哀愁スロウ。1stと比べて、たくましくなった印象を受ける曲ですね。Eric Williamsプロデュース。

「To Whom It May Concern」
タイトル曲は泣ける映画のエンディング・テーマにぴったりな感動のスロウ・チューンに仕上がっています。正直面白みに欠けますが、ヴォーカル・グループとしての実力を見せつけるには、このタイプも必要だったのでしょうね。

「Judy Had a Boyfriend」
アルバムからの1stシングル(Bernard Belle作品)であり、本作のハイライト曲。シングルになったMucho Radio Mix w/rapではWalter"Mucho"Scottがリミックスを担当しました。Bernard Belleの魅力的なソングライティングとWalter"Mucho"Scottのストリート感覚のリミックスがうまく噛み合い、ご機嫌なNJSに仕上がっています。みんなでハネハネしましょう(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=N6o3XRh22bY

アルバムにはMucho Radio Mix w/rap以外にBernard BelleによるOriginal Mixも収録されています。

「Interlude」
「There'll Never Be」
The Charactersプロデュース2曲。「Interlude」は、もっときちんとしたタイトルを付けて欲しいくらい素晴らしいコーラス・ワークを聴かせてくれます。続く「There'll Never Be」はSwitchの1978年のヒット曲カヴァー。オリジナルには及ばないかもしれませんが、初々しい魅力でこの名曲をカヴァーしています。個人的にはオリジナルとは別の魅力があって気に入っています。

「There'll Never Be」はSwitchのオリジナルが良すぎますね。Switchは、Bobby DeBarge、Tommy DeBargeという人気グループDeBargeのメンバー達の兄2人が在籍していたグループとしてお馴染みですね(「There'll Never Be」のソングライティングはBobby DeBarge)。
http://jp.youtube.com/watch?v=DX1rfQLQr6s&feature=related

「Don't Go Nowhere」
この曲もThe Charactersプロデュース。聴けばきくほど、ヴォーカル・グループとしての彼らの素晴らしさが伝わってくるミディアム・スロウ。The Charactersは見事にRiffの魅力を引き出すことに成功していますね。

「Lift Every Voice and Sing」
エンディングは力強く、美しいアカペラで締めてくれます。気が早いけど、クリスマスあたりに聴きたくなる感動的なハーモニーです。サイコー!

サッカーのイングランド・プレミアリーグは、今週早くも注目カードが目白押しですね。

先ほどまで「リヴァプール対マンタチェスター・ユナイテッド」の4強直接対決をTV観戦。結果は「2対1」でホームのリヴァプールが勝利!ベニテス監督は鬼門であったマンU戦を何とか突破しましたな。マンUは開幕3戦でわずか1勝、期待の新加入ベルバトフはデビュー戦を勝利で飾ることはできませんでした。

アーセナル・ファンの僕としては、マンUが本調子に戻る前に大きく差をつけて欲しいですね。

もうすぐ「マンチェスター・シティ対チェルシー」が始まります。マンチェスター・シティに移籍したロビーニョがデビューを飾るのか楽しみですね。対戦相手チェルシーのスコラーリ監督との因縁対決は見ものですね!
posted by ez at 01:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月13日

Pat D『Take A Little Time』

昨年の衝撃作『Kind Of Peace』に続く待望の新作☆Pat D『Take A Little Time』
テイク・ア・リトル・タイム
発表年:2008年
ez的ジャンル:英国産ジャジーHip-Hop
気分は... :秋の味覚とPat D...

昨年聴いた新作アルバムの中で、最もインパクトのあったアルバムの1枚が、年末の『ezが選ぶ2007年の10枚』でもセレクトしたPat D & Lady Paradox『Kind Of Peace』でした。

『Kind Of Peace』は、自身のレーベルA Bridge Too Far Recordingsを立ち上げたトラックメイカーPat Dと20歳の女性MCであるLady Pardoxの2人がMySpaceを通じて意気投合し、作り上げた英国産ジャジーHip-Hopアルバムです。特にPat Dによるピアノ・ループを巧みに使った美しくジャジーなトラックの数々は、紅茶の国イギリスらしいHip-Hopという気がしました。

あれから約半年...Pat D待望の新作アルバムがリリースされました。
今回は単独名義での作品であり、1stソロ・アルバムということになります。

『Kind Of Peace』同様、至福のトラック満載でうっとりですな。
小粋なピアノ・ループを中心とした落ち着いた風情のジャジー・トラックは、まさに日本人好みでしょうね。

『Kind Of Peace』でのパートナーLady Paradox、Pat D & Melodiq名義で12インチEP 「This Is The Time」をリリースした米国ペンシルバニア出身のMCであるMelodiq等多彩なMC/ヴォーカルがゲスト参加しています。

リリース直後に即ゲットし、ここ数ヶ月ヘビロテ状態で聴いていたのですが、このセピア・モードのジャジーなピアノHip-Hopは夏よりも秋にピッタリだと思い、9月に入るまで紹介するのを待っていた次第です。

さんまの塩焼きや焼き茄子が食べたくなる秋味のHip-Hopです。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Relax Your Mind」
Melodiqをフィーチャー。ひたすら美しいピアノのループに思わずニンマリ!Pat DらしいピアノHip-Hopに仕上がっています。

「Laisse Couler L'encere」
共にフランス出身の女性シンガーElodie RamaとラッパーFistoをフィーチャー。Elodie Ramaの気だるいヴォーカルとFistoのフレンチ・ラップが、Pat Dのジャジー・トラックによくマッチしています。

「Retrospection」
UKのHip-HopユニットProseのMCであるEfeksをフィーチャー。遠い昔の記憶に思いを巡らしたくなるノスタルジックな仕上がりです。

「Need Me Around」
『Kind Of Peace』にも参加していたレーベルメイトLauren Jadeをフィーチャー。秋の空を舞うかのようなユラユラした雰囲気がグッド!

「In Control」
MelodiqとLady Paradoxをフィーチャー。 "カクテル・ピアノHip-Hop"とでも呼びたくなる小粋な雰囲気ですね。やはりLady ParadoxのラップとPat Dのトラックの相性はバッチリですな。

「Fly Away」
ニューオリンズ出身の女性MCであるVoiceをフィーチャー。軽くブラジリアン・フレイヴァーの効いた浮遊感溢れるトラックはUS西海岸アングラHip-Hopっぽいですね。爽やかな鳥のさえずりも印象的です。

「Moments」
Lady ParadoxとLauren Jadeをフィーチャー。秋らしい枯れたサックスのループが実に印象的ですね。クールの中にもキュートな魅力が漂うな女性ヴォーカル陣もグッド!

「Good Times」
僕の一番のお気に入り曲。ブリストル出身の女性シンガーEva Lazarusをフィーチャー。Pat Dらしいピアノ・ループとEvaのソウルフル・ヴォーカルでジワジワと高揚してくる感じはまさにグッド・タイムス!

「Come Along」
Melodiqをフィーチャー。男の哀愁感が滲み出た味わい深い仕上がりです。

「Joint Toughts」
Lady Paradoxをフィーチャー。どっぷりピアノHip-Hopって感じのミステリアスな仕上がりです。

「Sily Head」
Lauren Jadeをフィーチャー。50年代の映像が似合うスウィンギーな雰囲気がいいですね。

「Rockin' With The Best」
Melodiqをフィーチャー。美しいりピアノHip-Hopアルバムのエンディング・テーマ

3連休ですね。僕の場合はあまり関係ありませんが(泣)
でも時間を作って、本作のような秋味のアルバムを聴きながら、ゆっくり読書でもしたいですね。
posted by ez at 10:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。