録音年:1970年
ez的ジャンル:アフロ・アメリカン系スピリチュアル・ジャズ
気分は... :崇高な気持ちで自分を見つめ直す!
僕の場合、急に思い立って平日の昼間に1人で鎌倉へ寺巡りに行ったりします。比較的人の少ない平日に1人で寺巡りをしていると、忙しない日常から解放されると同時に、崇高な気持ちで自分を見つめ直す良い機会になるんですよね。
そんな寺巡りと同じような感覚を抱かせてくれるアーティストがPharoah Sandersです。
ということで最も好きなジャズ・サックス奏者Pharoah Sandersの久々の登場です。
『Elevation』(1973年)、『Rejoice』(1981年)、『Izipho Zam』(1969年)に続き紹介するのは『Thembi』(1970年)です。
以前にも書きましたが、僕にとってのPharoah Sandersはかなり特別なジャズ・アーティストであり、我が家のCD棚においてMiles DavisやJohn Coltraneと共にジャズ・コーナーのVIPエリアに収納しています。
彼のスピリチュアル&コズミック&アフリカンな演奏を聴いていると、他のアーティストでは感じられない解放感で満たされます。
個人的には『Karma』(1969年)、『Jewels Of Thought』(1969年)、『Thembi』(1970年)、『Deaf Dumb Blind (Summun Bukmun Umyun)』(1970年)、『Black Unity』(1971年)、『Elevation』(1973年)、『Love In Us All』(1974年)といったImpulse時代の作品がPharoah Sandersの魅力を最も堪能できると思っています。
でも、Impulse時代の作品って曲数が少ないものが多く、意外とブログで紹介しづらいですんよね。
そんな理由もあってPharoah Sanders絶頂期の作品を後回しにしてきたのですが、今回は比較的曲数が多く紹介しやすい『Thembi』(1970年)をセレクトしてみました。そんな聴きやすさも手伝って、Impulse時代のベストに挙げる方も結構いるのでは?
メンバーはPharoah Sanders(ts、ss、per)、Lonnie Liston Smith(p、el-p、per)、Michael White(vln、per)、Cecil McBee(b、per)、Clifford Jarvis(ds、per)、Roy Haynes(ds)、James Jordan(per)、Nat Bettis(per)、Chief Bey(per)、Majid Shabazz(per)、Anthony Wiles(per)といった布陣です。本ブログでも度々紹介してきたLonnie Liston Smithの貢献が大きいですね。
季節の変わり目で、一度自分をリセットしたい方にはオススメです!
心が解放されますよ!
全曲紹介しときヤス。
「Astral Traveling」
Lonnie Liston Smith作品。ジャジー系Hip-Hopのサンプリング・ネタにも使われていますね。浮遊感漂うLonnieのエレピを中心に幻想的なコズミック・ワールドへ誘ってくれます。Pharoah作品らしい各種パーカッションがトラベリング・モードを高めてくれます。
後にLonnie Liston Smithは本曲をタイトルに冠したアルバム『Astral Traveling』(1973年)をリリースし、再演しています。
「Red Black and Green」
John Coltraneの流れを汲むフリー・ジャズな演奏です。タイトルになっている赤、黒、緑という色はアフリカを意識したものでしょう。アフロ・アメリカンの苦闘の歴史や母なる大地アフリカへの思いが、激しくもスピリチュアルな演奏によって表現されている気がします。
「Thembi」
心地好いグルーヴ感と暖かいメロディが僕の心を虜にします。安らぎを与えてくれるPharoahのソプラノ・サックス、美しく響くLonnieのピアノ、カッチョ良すぎるCecil McBeeのベース、全てがサイコーです!。
ちなみにタイトルの「Thembi」とは当時の奥方の名前なのだとか。そう言えば、80年代の作品である「Shukuru」も当時の奥さんの名を冠したものでしたよね。結構、わかりやすい性格の人なのかもしれませんね(笑)
「Love」
ベースのCecil McBeeのソロ演奏です。ベース・ソロの可能性について認識を新たにした素晴らしいソロです。後半の弓弾きの官能的な響きがたまりませんな。
「Morning Prayer」
Lonnie Liston Smith/Pharoah Sanders作品。アフロなグルーヴ感とスピリチュアル&コズミックな世界が融合した、まさにPharoah Sandersな演奏ですね。出だしは一聴するとオリエンタルな雰囲気にも聴こえますが、アフリカの民族音楽を意識したものでしょうね。アフロ・グルーヴにのったLonnieのコズミックなピアノがいいですね。聴いているうちに心が解放され高揚感がどんどん増してきます。
「Bailophone Dance」
ラストはアフリカン・パーカッションを前面に打ち出しています。最後の部分はまさにジャケ写真のPharoahの姿そのものですね。
Impulse時代のPharoah作品を一度聴いてしまうと1枚では終わらず、必ず4〜5枚まとめて聴く羽目になってしまいます。今日は1日Pharoah三昧になりそうです。