発表年:1983年
ez的ジャンル:地方都市の青春系ロックン・ロール
気分は... :もっと再評価されても良い気がします!
今日はJohn (Cougar) Mellencampの1983年のヒット作『Uh Huh』の紹介です。
John Cougar Mellencampのアルバムを取り上げるのは気恥ずかしい気もします。最近の僕の音楽嗜好とは大きく異なる人ですからね、一方で今日もう少し評価されても良いロック・アーティストという気もします。
John Mellencampは1951年インディアナ州シーモア生まれ。一度は電話会社に就職したもののロックへの夢を捨てられず、24歳の時にデモ・テープを携えてN.Y.へ向かいます。
そこでDavid BowieのマネージャーTony Defriesに認められ、レコード・デビューを果たします。しかしながら、本人の承諾なしにJohnny Cougarの芸名が使われ、しかもBowieのような(グラム・ロック風)メイクを強いられ...といったように本人の描いていた姿とはかなりギャップがあったようです。
このためDefriesとはすぐに決別し、その後数枚のアルバムをリリースしますが全く鳴かず飛ばずの状態が続きました。転機が訪れたのはSteve Cropperがプロデュースした1980年のアルバム『Nothing Matters And What If It Did』です。同作はアルバム・チャート第37位の中ヒットとなり、シングル「Ain't Even Done With The Night」は全米ポップ・チャート第17位まで上昇しました。
そして、1982年リリースの『American Fool』で遂に大ブレイクします。ご存知のように全米アルバム・チャート第1位となった同アルバムからは、「Hurts So Good」(全米ポップ・チャート第2位)、「Jack and Diane」(全米ポップ・チャート第1位)という大ヒット・シングル2曲が生まれ、一躍人気ロッカーの仲間入りを果たしました。
それ以降も『Uh-Huh』(1983年)、『Scarecrow』(1985年)、『The Lonesome Jubilee』(1987年)、『Big Daddy』(1989年)とヒット・アルバムを連発し、アメリカを代表するロッカーの地位を確立しました。
僕の場合、Bruce Springsteenあたりとの比較で当時John Cougar Mellencampを聴いていました。"田舎のSpringsteen"ってイメージでしたね。
今日紹介する『Uh-Huh』は出世作『American Fool』に続いてリリースされたアルバムであり、個人的には彼の最高傑作だと思っています。正直、『American Fool』の頃は一発屋という気もしたのですが、本作『Uh-Huh』を聴いてガキの耳ながら"この人は本物かもしれない"と思ったものです。アルバムの名義も前作までのJohn CougarからJohn Cougar Mellencampへ改めています。
大ヒット作の次のアルバムって、売れ線狙いの無難でつまらない作品も少なくないのですが、『Uh-Huh』にはそのような守りの姿勢は見られず、逆にMellencamp本人が目指すサウンドへぐっと近づいた印象を受けます。
Kenny Aronoff(ds)、Larry Crane(g)、Toby Myers(b)、Mike Wanchic(g)という基本メンバーと、The Brothers JohnsonのLouis Johnson(b)、Willie Weeks(b)等数名のゲストのみで生み出されたサウンドは、ルーツ色の濃いシンプルなロックン・ロールです。
特に本作ではクレジットでRolling Stonesへの賛辞が述べられており、『Sticky Fingers』、『Exile on Main St.』等70年代初めのStones作品からの影響が窺えます。
久々に"田舎のSpringsteen"が歌うロックン・ロールを聴くとアドレナリンがえらく分泌してくるのがわかります(笑)
全曲紹介しときヤス。
「Crumblin' Down」
アルバムからの1stシングルとして全米ポップチャート第8位のヒットとなりました。前作以上の力強さと土臭さが目立つこの曲を聴いて、"守りに入らず、攻めてるなぁ"という気がしましたね。今聴くとモロにStonesな気がしますが(笑)
「Pink Houses」
アルバムからの2ndシングルとして全米ポップチャート第8位のヒットとなりました。この曲を初めて聴いた時、当時大好きだったBruce Springsteenよりも格好良いかも?と興奮した記憶があります。アメリカの田舎町の光景が目に浮かんでくる、本アルバムを象徴する曲なのでは?
「Authority Song」
当時も今も一番好きなロックン・ロール・チューン。アルバムからの3rdシングルとして全米ポップチャート第15位を記しました。テンポの良さとドライブ感がサイコーですね。♪俺は権威と戦う♪と歌う"ロックな"歌詞にも共感したものです。
「Warmer Place to Sleep」
聖書絡みの歌詞の内容がなかなか興味深いですね。曲はStones『Sticky Fingers』『Exile on Main St.』あたりに収録されていそうな切れ味鋭いロック・チューンです。
「Jackie O」
オープニングから一気に飛ばしまくってきたので小休止って雰囲気の仕上がり。チープでノスタルジックな感じが和みます。
「Play Guitar」
僕の嫌いな商業ロックの臭いも多少しますが、豪快なギターリフに免じて我慢しましょう(笑)
「Serious Business」
この曲が一番Stonesっぽいかもしれませんね。70年代Stonesが好きな方ならば気に入ると思います。「It's Only Rock'n Roll」とセットで聴くとピッタリなのでは?
「Lovin' Mother Fo Ya」
この曲もStonesが演奏していても違和感がないですね。アーシーなドライブ感がたまりません。
「Golden Gates」
最後は力強く味わい深いアコースティック・バラードです。♪簡単に開くゴールデンゲートなんてないのさ♪苦労の末にゴールデンゲートを開いたMellencampだからこそ説得力がありますね。
最近の作品は正直ノーチェックでしたが、昨年リリースの『Freedom's Road Universal』が全米アルバム・チャート第5位、今年リリースの『Life, Death, Love and Freedom』が同チャート7位になっていることを知り、正直驚きました。
やっぱりアメリカ人はこういうのが好きなんでしょうね。