Q-Tipの新作が無事リリースされることを祈って...☆
A Tribe Called Quest『People's Instinctive Travels And The Paths Of Rhythm』♪
発表年:1990年
ez的ジャンル:Native Tongues系ニュースクールHip-Hop
気分は... :これぞQ-Tipの原点!
90年代Hip-Hopシーンを大きく変えたグループ
A Tribe Called Quest(ATCQ)のフロントマン
Q-Tipの久々の新作
『Renaissance』が来月発売される予定らしいです。
ATCQの大ファンである僕としては、期待しつつも実際に店頭で手に取るまでは安心できないといった心境ですね。
『Renaissance』が無事リリースされることを祈って、久々にマイ・フェイバリットHip-Hopグループ
A Tribe Called Quest(ATCQ)を取り上げます。
これまで
ATCQについては以下の3枚を紹介してきました。
『The Low End Theory』(1991年)
『Midnight Marauders』(1993年)
『Beats Rhymes & Life』(1996年)
4回目となる今回はデビュー・アルバム
『People's Instinctive Travels And The Paths Of Rhythm』(1990年)です。
この1stの時点ではJarobiも在籍しており、
Q-Tip、
Phife Dawg、
Ali Shaheed Muhammad、
Jarobiというオリジナル・メンバー4人全員が参加した唯一のアルバムです。
ATCQの代表作と言えば、
『The Low End Theory』または
『Midnight Marauders』のいずれかを選ぶ人が多いと思いますが、Hip-Hopシーンに与えたインパクトという点では
『People's Instinctive Travels And The Paths Of Rhythm』も負けてはいないと思います。
De La Soul『3 Feet High And Rising』(1989年)と並んでHip-Hopに対するイメージを大きく変えたアルバムと位置づけられるのでは?
僕の場合、ATCQは
『The Low End Theory』から入り、
『People's Instinctive Travels And The Paths Of Rhythm』を少し遅れてゲットしたというパターンでした。
かなり完成度の高いジャジーHip-Hopを完成させた
『The Low End Theory』を聴いた後に
『People's Instinctive Travels And The Paths Of Rhythm』を聴くと、かなり初々しい印象がありましたね。
僕の場合、ATCQは無条件に何でも好きなので、かなり偏った意見になるかもしれませんが、
「Luck of Lucien」、
「I Left My Wallet in el Segundo」、
「Bonita Applebum」、
「Can I Kick It?」 、
「Description of a Fool」といったクラシックを含めて全曲楽しめます。
ネタ師として
Jungle Brothers等と付き合いのあった
The Beatnutsも<おそらくサポートしていたのでは?また、当時
Deee-Liteのメンバーであった
TOWA TEI(テイ・トウワ)も楽しい日本語を聞かせてくれます。
Q-Tipの原点ここにあり!
全曲紹介しときヤス。
「Push It Along」 ミステリアスなSE&赤ちゃんの鳴き声に続き、Junior Mance「Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)」ネタのドラムブレイク、さらには
Grover Washington, Jr.「Loran's Dance」ネタの上モノが重なった後にQ-Tipが登場!それまでのHip-Hopに無かった脱力系ラップを聴かせてくれます。
「Luck of Lucien」 本作のクラシックその1。 Billy Brooks「Forty Days」のブレイクにのって、ルシエンの幸運?がQ-Tipらしいリリックで語られてます。
「After Hours」 夜遊びモードの仕上がりがいいですな。Aliのスクラッチが印象的です。
Sly Stone「Remember Who You Are」等がサンプリングされています。
「Footprints」 いきなり
Stevie Wonder「Sir Duke」ネタで始まり、すかさず
Donald Byrd「Think Twice」へなだれ込む展開がサイコーですね。
Cannonball Adderley「Walk Tall」が声ネタで使われています。
「I Left My Wallet in el Segundo」本作のクラシックその2。シングルにもなりましたね。The Chambers Brothers「Funky」ネタのトラックがメキシカン・テイストのほんわかムードを醸し出してくれて好きです。
The Young Rascals「Sueno」もサンプリングされています。ATCQが明らかに他のHip-Hopグループと異なる個性を持っていたことが実感できる1曲なのでは?
Beats InternationalのNorman CookがリミックスしたVampire Mixも好きです。
「Pubic Enemy」 タイトルを当時人気だったHop-Hopグループの名と同じ「Public Enemy」と間違えている人がいますが、"Public"ではなく"Pubic"です。それにしても一字違うだけで硬派から軟派へ一変してしまうのが面白いですね。スピード感のあるトラックにのったLuther Ingram「Pity for the Lonely」ネタの上モノが印象的です。Billy the Baron & His Smokin Challengers「Communications is Where It's At」、Vaughan Mason & Crew「Bounce, Rock, Skate, Roll」、Rufus Thomas「Do the Funky Penguin」ネタ。リミックスのSaturday Night Virus Disco Mixも好きでした。
「Bonita Applebum」本作のクラシックその3。シングルにもなったATCQを代表する名曲ですね。とぼけた軽さがサイコーですな。僕もボニータの恋人リストに載りた〜い!
Ramp「Daylight」、Rotary Connection「Memory Band」を使ったオリジナルも大好きですが、この曲といえばやはり
The Isley Brothers「Between The Sheets」ネタのHootle Mixですよね。数ある
「Between The Sheets」ネタの曲の中でも最高峰だと思っています。さらに
Carly Simon「Why?」ネタのWhy? Remixもありましたね。これらを聴き比べるのも楽しいと思います。
「Can I Kick It?」 本作のクラシックその4。「Bonita Applebum」と並ぶ人気曲ですね。シングルにもなりました。この曲と言えば、
Lou Reed「Walk on the Wild Side」ネタのベースラインですよね。初めて聴いた時にはかなりのインパクトでした。他にもDr. Buzzard's Original Savannah Band「Sunshower」、Lonnie Smith「Spinning Wheel」がネタとして使われています。
♪Can I Kick It?♪とコールされたら、みんな大声で♪Yes,You Can!♪とレスポンスしましょう!
「Youthful Expression」 Reuben Wilson「Inner City Blues」モロ使いのトラックですがATCQならば許せちゃう!ファンキーなテイストがいいですね。
「Rhythm (Devoted to the Art of Moving Butts) 」日本人にとって、この曲はかなり聴きものですね。なんと
TOWA TEI(テイ・トウワ)がQ-Tipに向かって"でもさでもさQちゃん"と日本語で話しかけるのです。さらに"
J.B.'s(Jungle Brothers)とかうちの
Deee-Liteとか...70年代のP-Funkがさぁ....いけそうな気がするんだよね。なんちゃったりして..."と延々日本語で喋り続けます。サイコー!トラックもハウスのテイストも加わったスペイシーな仕上がりで好きです。
Funkadelic「Get Off Your Ass and Jam」ネタ。
「Mr. Muhammad」みんな大好き
Earth Wind & Fire「Brazillian Rhyme」ネタで始まるラブリー・チューン。
Kool & The Gang「Electric Frog Pt 1」ネタの使い方もカッチョ良いですね。この曲でも"Weather Reportのレコードだ!"という(意味不明の)日本語が挿入されていますが、ネタ元
Weather Report「Vertical Invader」の日本語紹介部分をサンプリングしたものです。
「Ham 'N' Eggs」 コレストロールが高いからハムエッグは食べない!というメタボ対策の曲(笑)Freda Payne「We've Gotta Find A Way Back To Love」のリズムと
Funkadelic「Nappy Dugout」ネタのベースラインがマッチしています。最後にEugene McDaniels「Jagger The Dagger」ネタも聴けます。
「Go Ahead in the Rain」Slave「Slide」を使ったトラックがカッチョ良すぎですね。脱力系ラップとのマッチングもグッド!
「Description of a Fool」本作のクラシックその5。ATCQの記念すべきデビュー・シングルです。
Roy Ayers「Running Away」ネタの疾走するトラックが初々しいですね。トロい奴と呼ばれないためには...
個人的には本作とセットで
『Revised Quest For The Seasoned Traveller』(1992年)を聴くことをオススメします。
『People's Instinctive Travels And The Paths Of Rhythm』と2ndアルバム
『The Low End Theory』(1991年)収録曲のリミックス集です。
曲紹介で書いた
「Bonita Applebum」のHootle MixやWhy? Remix、
「I Left My Wallet in el Segundo」のVampire Mix、
「Pubic Enemy」のSaturday Night Virus Disco Mixなどを聴くことができます。
リヴァイズド・クエスト・フォー・ザ・シーズンド・トラヴェラー