2008年10月23日

Viktor Lazlo『Club Desert』

ヨーロピアン・テイストのオシャレ感覚が好き☆Viktor Lazlo『Club Desert』
Hot & Soul
発表年:1989年
ez的ジャンル:セクシー系ヨーロピアン・ポップ
気分は... :薄っぺらなオシャレ感覚が好き!

サッカー好きの方は昨日、今日とUEFAチャンピオンズリーグ観戦で早起きしている方も多いのでは?

僕も昨日は「ユベントス対レアル・マドリー」戦を観戦。
久々にユーべの試合を観ましたが、戦前の予想を覆した見事な勝利でしたね。デルピエロがまだ頑張っていたのには感動しました。

今日の試合の中では「チェルシー対ローマ」が楽しみですね。ぜひ生放送で観戦しようと思っています。

そんなチャンピオンズリーグ出場32チームの中で密かに注目しているのがフランス・リーグ・アンの強豪オリンピック・リヨンです。今年に限らず、ここ数年注目しているのですが...

目下フランス・リーグ・アン7連覇中!
近年、欧州の主要リーグでこれだけ連覇を続けているクラブは他にないと思います。主要メンバーを他国のビッグクラブに引き抜かれメンバーも入れ替わっても、これだけの好成績を維持し続けているというのは何か理由があるのだと思います。

今年のチームもフリーキックの名手ジュニーニョ・ペルナンブカーノ、フランス期待の星カリム・ベンゼマなど観ていてワクワクする選手を擁した好チームだと思います。イングランド、スペイン、イタリアのビッグクラブを切り崩すダークホース的な存在として面白いと思っています。

そんな流れで今日はフランス生まれの女性シンガーViktor Lazloによるヨーロピアンなアルバム『Club Desert』(1989年)をセレクト。

Viktor Lazlo(本名Sonia Dronier)は1960年フランスのロリアン生まれ。その後ベルギーで育ち、ブリュッセルでファッション・モデルとして活躍した後に歌手の道へ。『Canoe Rose』(1985年)、『Viktor Lazlo』(1987年)、『Club Dessert』(1989年)、『Poisons Delicieux』(1991年)などのアルバムをリリースしています。シングルとしては1987年リリースの「Breathless」が最大のヒットです。

Viktor Lazlo という芸名でピンと来るかたは映画通ですね。
この芸名は、Humphrey Bogart、Ingrid Bergman主演の不朽の名作『Casablanca』に登場する、Bergman演じるIlsa Lundの恋人で反ナチ運動の指導者Viktor Lazloに由来するものです。

今日はそんな Viktor Lazlo の作品の中から 『Club Dessert』 をセレクト。
というか僕が所有する唯一のViktor Lazlo作品です。

彼女のアルバムはオリジナルの仏語バージョンに加え、英語バージョンがリリースされているものが多く、本作 『Club Dessert』 の全編英語版は 『Hot & Soul』 のタイトルでリリースされています。

実は今回掲載しているジャケ写真も『Club Dessert』版がなかったので、『Hot & Soul』版のものを使用しています。両者はアーティスト名下のタイトルが異なるだけです。

ヨーロピアン・テイストのオシャレなアルバムです。
実力で聴かせるというよりも雰囲気で聴かせるタイプの作品ですが、バブリーだった当時の雰囲気にもマッチしていた感じが好きで愛聴していました。

僕自身も単にジャケがセクシーで、フレンチ・ヴォーカルがオシャレという軽いノリで購入した記憶があります。このアルバムを聴いていると、仕事はそこそこにおバカな日々を過ごしていた当時のことを思い出します。

薄っぺらな音楽かもしれませんが、時にはこんなのもいいでしょ?

全曲紹介しときやす。

「Solo (Club Desert)」
オープニングは完全にジャズ・スタンダードなムードです。バックにはJohnny Griffin(ts)も参加しており、なかなか本格的です。いかにもアーバンなジャジー・ナイトといった感じがグッド!フレンチ・ヴォーカルがジャジー・サウンドによく合いますな。

「Premier Role」
ジャズからクラブ・サウンドへ!この曲はヨーロピアン・ムードたっぷりのミッドナイトなメロウ・ダンサーに仕上がっています。バブリーだったあの当時を思い出しますな。

「Long Distance (Lautomne A Vienne)」
妖しく美しい哀愁バラッド。ヨーロピアンなエレガンス・ムードがいいですね。

「Amour Puissance Six」
この曲はシングルにもなりました。R&Bモードのダンサブルなミッド・グルーヴ。こうやって聴いているとフランス語の響きがやたらエロく聴こえるのがいいですね。

「Fever」
当時の僕のお気に入り曲その1。当時流行のGo-Go風のリズムのミッド・グルーヴ。とは言っても仕上がりはヨーロピアン・テイスト。このヒンヤリ感がいいですね。

「In The Midnight Sky」
当時の僕のお気に入り曲その2。アーバン・ナイトなメロウ・ダンサー。当時の単純ラブ・ストーリーのトレンディ・ドラマのようにチープで安易なんだけど、このわかりやすさが大好きです。

「Le Grisbi」
アコーディオンの音色がヨーロピアンな哀愁バラッド。ひとり哀愁モードに浸りたいときにピッタリ!

「La Cite」
ライト感覚のメロウ・チューン。昔よく行ったカフェバーを思い出します...

「Tell Me "Pourquoi Pas"」
80年代らしい打ち込みダンス・チューン。今聴くと少し古めかしい音ですが、フレンチ・ヴォーカルに救われている気がします。

「Maxime」
当時の僕のお気に入り曲その3。哀愁モードのメロウ・チューン。メロウの中に気だるさを感じます....何故か夜通し遊んで一睡もせずに通勤していたあの頃を思い出します。

「Baisers」
この曲はボッサ・テイスト。今聴くと、この曲が一番好きですかね。ボッサ・サウンドとアコーディオンの組み合わせがグッド!

「Pygmy World」
ラストはバブリー・モードのポップなダンス・チューン。80年代のマイナー・アイドルがカヴァーしていそうな雰囲気です(笑)

80年代後半って今日では考えられないくらいお気楽な世の中でしたよね。その分、世の中全体も明るかったし...

"あの頃に戻りたい"なんて言うつもりはありませんが、やっぱり今の世の中何かがヘンだよねぇ!
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2008年10月22日

Joe『Joe Thomas, New Man』

移籍第一弾アルバム、New ManになったJoe!☆Joe『Joe Thomas, New Man』
Joe Thomas, New Man
発表年:2008年
ez的ジャンル:大人のセクシー男性R&B
気分は... :New Manになったジョー!

男性R&Bシンガー秋の陣の中からJoeの新作『Joe Thomas, New Man』です。

今日のR&Bシーンを代表する実力派シンガーJoeの紹介は、『All That I Am』(1997年)、『Ain't Nothin' Like Me』(2007年)に続き3回目となります。

前作『Ain't Nothin' Like Me』をリリースしたのが昨年ですから、わりと短いインターバルでの新作発表ということになりました。

長年所属してきたJiveを離れ、デビュー当時から彼をマネジメントしてきた敏腕マネージャー/プロデューサーKedar Massenburgが設立したKedar Entertainmentへ移籍したことが影響しているのでしょうね。Kedar Massenburgはかつてはモータウンの社長も務めた人物であり、Joe以外にD'AngeloErykah Badu、India Arieなどを世に送り出したことでも知られていますね。

Kedar Massenburgが総帥を務めているとはいえ、新興レーベルとしてまだまだ成長過程の状況にあるKedar Entertainmentであり、そんな中でレーベルの認知度を向上させる作品として本作がリリースされた気もしますね。

実際、インナーには今年デビューした期待の新人Algebraのデビュー・アルバム『Purpose』や来年リリース予定のChico Debargeの新作、さらにはJoeの次作『Signature』(来年2月リリース予定)の宣伝がなされています。

そんな新興レーベルで制作された新作『Joe Thomas, New Man』ですが、中身はさすがにJoe!といった感じです。

前作『Ain't Nothin' Like Me』も様々なプロデューサーが制作に関与していましたが、本作でもBryan-Michael CoxStereotypes、Dernst "D Mile" Emile II、Micayle "The Mack" Mckinney、Jerry "Fatz" Flowersといった多彩なプロデュース陣で制作されています。

従来からのJoeらしさのみならず、今時のエレクトリックな仕上がりの曲もあってなかなか楽しめます。タイトルの通り、New ManになったJoeに出会えるのでは?

全米アルバム・チャート第8位という滑り出しは、環境の変化を考慮すればまずまずといったところでしょうか。

次作『Signature』も気になるところですが、まずは目前にある本作を堪能しましょう。

全曲紹介しときやす。

「E.R.(Emergency Room)」
アルバムからのリード・シングル。心拍数の測定音に救急車のサイレン音という不穏な雰囲気で始まるですが、そこは実際のE.R.(緊急救命室)ではなく、恋のE.R.だった...というJoeらしい展開です。僕にはそれほどグッと来ない設定ですが(笑)。中身はJoeらしい濃厚なヴォーカルを堪能できるミディアム・スロウに仕上がっています。Dernst "D Mile" Emile IIがプロデュース。

「By Any Means」
今流行のエレクトロな仕上がり。Joeにこういったサウンドはあまり似合わないイメージがあったのですが、これが新鮮で案外悪くないんですよね。Bryan-Michael Coxプロデュース。

「Why Just Be Friends」
この曲もシングルカットされていますね。セクシーなファルセット・ヴォイスが魅力的なミッド・チューン。特に女性ファンにはJoeのセクシー・ヴォーカルが媚薬のように効いてくるのでは?男の僕でもグッとくる仕上がりです。Micayle "THE MACK" McKinneyとStereotypesがプロデュース。 個人的にはアルバムで一番のお気に入り。

「We Need to Roll」
この曲はMarioやTrey Songsの参加が噂されていた曲ですが、結局アルバムに収録されたのはJoe本人のみのバージョンが収録されています。中身はヴォコーダーも取り入れたエレクトリック・サウンドにのった哀愁ミディアム・スロウ。ゲストの不参加は残念ですが情熱的なJoeのヴォーカルは聴き応え充分です。Bryan-Michael Coxプロデュース。

MarioやTrey SongsがフィーチャーされたバージョンがYoutubeにアップされているので紹介しておきますね。
Joe Feat. Mario「We Need to Roll」
http://jp.youtube.com/watch?v=l6XfzyjMDYk&feature=related
Joe Feat. Trey Songs「We Need to Roll」
http://jp.youtube.com/watch?v=8hVnJfDwlPA&feature=related

「Man in Your Life」
この曲はいまいちピンと来ませんでした。Bryan-Michael Coxプロデュース。

「I Won't Let Him Hurt You」
琴のようなシンセの音がどうも好きになれないのですが、Joeらしい熱唱が聴ける感動的なスロウに仕上がっています。Bryan-Michael Coxプロデュース。

「New Man」
タイトル曲はStereotypesプロデュースによるエレクトロな哀愁ダンス・チューン。Joeらしいかと聞かれるとビミョーですが、キャッチーな仕上がりでグッドだと思います。

「Start Over Again」
「Sorry」
正攻法な大人のR&B2曲。共にJerry "Fatz" Flowersプロデュース。

「Heart Behind My Eyes」
Jerry "Fatz" Flowersプロデュース曲の中ではこの曲が一番好きです。アコースティックな味わいのメロウ・グルーヴに仕上がっています。しみじみ聴きたい1曲です。

「Chameleon」
ラストはJared Lee Gosselinプロデュースによるスムージーな美メロ・チューン。この曲もかなり好き!感動のドラマを観終えたような充実感がありますね。

個人的には感動的な「Chameleon」で締めて、"終わりよければすべてよし"という気がするのですが...この後に来年リリース予定の次作『Signature』収録予定曲が5曲ほどSnippet(1分半程度の抜粋)で収録されています。

正直、中途半端なかたちでしか聴けないSnippetは不要だと思います。

国内盤にはボーナス・トラック「Heavy」が収録されています。
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2008年10月21日

Billy Wooten『In This World』

『Live』と並ぶレア・グルーヴ人気作☆Billy Wooten『In This World』
イン・ディス・ワールド
発表年:1979年
ez的ジャンル:メロウ・フュージョン系レア・グルーヴ
気分は... :インディアナポリスと言えば...

週明けはNFL情報から...

我がドルフィンズは...と言いたいところですが、レイブンズに完敗したのであまりその話題には触れません(泣)

昨日は「グリーンベイ・パッカーズ対インディアナポリス・コルツ」を生放送でTV観戦していました。AFCの強豪として長年安定した強さを見せているコルツですが、パッカーズに完敗して早くも3敗...

コルツ以外にペイトリオッツ、チャージャースといったシーズン前に下馬評の高かったチームがいずれも苦戦している今シーズン。かなり意外な展開になりそうですね。

今日はコルツに因んでインディアナ州を拠点に活動していたアーティストBilly Wootenの紹介です。レア・グルーヴ・ファンから再評価の高まるヴァイヴ奏者Billy Wootenの紹介は2回目になります。

前回はThe Wooden Glass名義の人気盤『Live』(1972年)を紹介しました。今回紹介するのは1979年録音の作品『In This World』です。

正式にはBilly Wooten And Special Friends Featuring Steve Weakley名義の作品となっています。Steve Weakleyはレア・グルーヴ・ファンにはお馴染みのグループFunk Inc.のメンバーであったギタリストです。Billy Wootenと同じくインディアナ州を拠点にしているということで接点があったのでしょうね。

『Live』あたりと比較すると、『In This World』はファンキー・グルーヴというよりブラジル/ラテン・フレイヴァーのメロウ・フュージョンという印象が強いかもしれませんね。

Roy AyersBobby HutchersonDave Pikeといったレア・グルーヴ・ファンに人気のヴァイヴ奏者と比較するとマイナーな感じですが、逆に惹かれますよね。

まずは『Live』だと思いますが、その次の1枚としてどうぞ!

全曲紹介しときやす。

「Narration」
「Somebody's Calling My Name」
まずはイントロダクションといった感じです。

「Chicango (Chicago Land)」
ナレーションに続き、爽快かつセクシーな魅惑のラテン・フュージョンが展開されます。フルートの音色とマリンバの響きが心地好いですね。「Dancing And Singing」と並ぶ僕のお気に入り曲です。

「Blues In The Pocket」
Steve Weakley作品。ブルージーなSteveのギターをフィーチャーしたファンキー・グルーヴに仕上がっています。メロウな味わいの作品が並ぶ本作ですが、ご機嫌なファンキー・チューンも忘れてはいません。

「Indy Cakewalk Rag」
ボードヴィル調のほんわかモードの演奏で小休止といった感じです。コミカルな要素もあって楽しいですね。

「Dancing And Singing」
メロウ・フュージョンという聴き方をするならば、男女ヴォーカルによるブラジリアン・フレイヴァーの効いたこのメロウ・ダンサーが一番かも!フルートやヴァイヴの音色が爽快な気分にさせてくれます。

「Steve's Song」
タイトル通りSteve Weakleyのギターが大きくフィーチャーされています。ソングライティングもSteveです。Funk Inc.を彷彿させるファンキー・グルーヴです。レア・グルーヴ好きの人であれば気に入るはずだと思います。

「Times Of Your Life」
Paul Ankaによるヒットで知られるRoger Nichols作品のカヴァー。オリジナルはいかにもポップスなバラードでしたが、ここでは落ち着いたメロウ・チューンに仕上がっています。ヴァイヴらしいメロウネスにホッとします。

「Summerlight」
タイトルの通り、秋よりも夏の浜辺が似合う爽快メロウ・フュージョン。ハワイアンAOR/フュージョンあたりと一緒に聴きたくなる仕上がりです。

「Crown Royale」
ニューヨーク・ラテン風味のファンキー・メロウ・グルーヴ。ライト感覚ですが足取りが軽くなるグルーヴ感がグッドです!

「In This World」
メロウ&ソウルフルなヴォーカル・チューン。ヴォーカルは正直ダメダメですが、そこはご愛嬌ということで(笑)

『Live』、本作から更に展開したい方は『Lost Tapes』The Nineteenth Whole『Smilin'』あたりをゲットしましょう!

『Lost Tapes』は未発表音源集、The Nineteenth Whole『Smilin'』はEmmanuel Riggins(org、vo)、Harold Cardwell(ds)らと組んだグループThe Nineteenth Wholeによる1972年のスタジオ録音作です。Cornell Dupree(g)も参加しています。

ロスト・テープス
ロスト・テープス

Smilin'
Smilin'
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2008年10月20日

Ambitious Lovers『Lust』

センス抜群ユニットのラスト作☆Ambitious Lovers『Lust』
Lust
発表年:1991年
ez的ジャンル:ブラジリアンDNA系ミクスチャー・ロック
気分は... :LastはLustで!

Arto LindsayPeter SchererによるユニットAmbitious Loversの久々の登場です。

『Greed』(1988年)に続いて紹介するのは、彼らのラスト・アルバム『Lust』(1991年)です。

以前にも書きましたが、洋楽のパラダイムが大きく変わったのが1990年前後だと思っています。もはやロック、ソウル/R&B、ジャズといった枠組みで全体像を捉えることができず、Hip-Hop、ハウス/テクノ、ワールド・ミュージック等が新ジャンルとして確立され、過去の埋もれた作品がレア・グルーヴとして再評価される動きが盛んになりました。

そんな新時代の到来を予感させるミクスチャー・サウンドを聴かせてくれたのが、Ambitious Lovers『Greed』(1988年)でした。

そのインパクトの強さのせいか、僕の中では『Greed』を聴く機会が圧倒的に多く、正直『Lust』の印象は年々薄れていく一方でした。

しかし、先週久々に聴いて"こんなに良かったっけ"と思うほど好印象だったので、今回取り上げることにしました。

Ambitious Loversの魅力の1つに、Arto Lindsayによるブラジル音楽のエッセンスの採りこみがあります。ブラジル人のDNAを持つアメリカ人によるブラジリアン・サウンドは表層的なものではなく、地に足がしっかりついていますよね。ここ数年再びブラジル音楽を聴く頻度が多くなってきている僕にとって、実にジャストなサウンドなのだと思います。

ブラジル音楽のみならず、パンク、ファンク、ジャズ、現代音楽などさまざまな音楽がカオス状態で詰め込まれ、それらがスタイリッシュ&エレガント&アヴァンギャルドにまとめられているのがいいですね。ホント、このミクスチャー・センスは卓越していますね。

本作のレコーディングにはArto Lindsay作品の常連Melvin Gibbs(b)、Marc Ribot(g)、Pat Metheny作品でもお馴染みのNana Vasconcelos(per)、ChicNile Rodgers(g)、Miles Davis作品にも参加しているBilly Patterson(g)等のミュージシャンが参加しています。

本作を最後にAmbitious Loversは解散します。
本作の充実度を考えれば、このユニットでやるべきことはやり尽くした感があるのでしょうね。

全曲紹介しときやす。

「Lust」
タイトル曲はサウダージ・テイストが加わった静かなるアヴァンギャルド・ロックといった感じです。ブラジル人DNAが組み込まれたアメリカ人Arto Lindsayらしい哀愁のメロディ&ヴォーカルが魅力です。エレガントな音作りもサイコー!

「It's Gonna Rain」
この曲もN.Y.らしいアヴァンギャルド感とブラジルらしいサウダージ感がミクスチャーした美しい仕上がり。ブラジル音楽ならではの味わい深さがいいですね。現代音楽のエッセンスはPeter Schererらしいですね。

「Tuck It In」
静かに幕開けの2曲に続き、Ambitious Loversらしいミクスチャー・ファンクの登場です。 『Greed』収録の人気曲「Copy Me」をお好きな方ならば気に入る1曲だと思います。

「Ponta de Lanca Africano(Umbabarauma)」
Jorge Benによるブラジリアン・クラシックのカヴァー。オリジナルに近い雰囲気に仕上がっていると思います。

「Monster」
N.Y.とブラジルのミクスチャー感覚抜群のロック・チューン。エッジの効いている感じがいいですね。

「Villain」
Arto Lindsay/Peter ScherertoとCaetano Velosoの共作。以前にCaetano Velosoの記事でも紹介したように80年代後半よりArto LindsayとCaetano Velosoは親密に交流しています。

気だるい哀愁感がいいですね。この曲を聴いているとRadiohead『OK Computer』が聴きたくなるのは何故だろう?

「Half Out of It」
Hip-Hopテイストのミクスチャー・ロック。 まさにカオス状態といった混沌感がいいですね。

「Slippery」
『Greed』収録の人気曲「Love Overlap」と同タイプのスタイリッシュでアヴァンギャルドなダンス・チューン。「Love Overlap」大好きの僕は勿論この曲もお気に入りです。カッチョ良いカッティング・ギターを聴かせてくれるのはNile Rodgersです。

「Make It Easy」
僕の一番のお気に入り曲はコレ。Nile RodgersとAmbitious Loversがお互いの個性を存分に発揮してシナジー効果を生むと、こんなファンク・チューンが出来上がるといった仕上がりです。Nile Rodgersサウンドの中にしっかりArto Lindsayらしいブラジリアン・テイストが融合しています。

「More Light」
品位あるエレガントな仕上がりがいいですね。現代音楽を学んでいたPeter Schererらしいセンスに溢れています。

「E Preciso Perdoar」
Carlos Coqueijo & Alcivando Luz作品。ブラジル音楽ファンの方は、Joao Gilbertoの代表作『Joao Gilberto(三月の水)』収録曲としてお馴染みですね。Peter SchererのピアノとArto Lindsayのヴォーカルのみのシンプルさがサイコーです。

本作と同じ1991年にリリースされたArto LindsayプロデュースによるMPBの歌姫Marisa Monteの2ndアルバム『Mais』(1991年)とセットで聴くと、さらに楽しめると思います。本作と同様Melvin Gibbs(b)、Marc Ribot(g)らがレコーディングに参加しています。詳しくは『Mais』の過去記事をどうぞ!
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2008年10月19日

One Way『Fancy Dancer』

One Wayらしいエレクトリック・ファンクを堪能できる1枚☆One Way『Fancy Dancer』
ファンシー・ダンサー
発表年:1981年
ez的ジャンル:クール・エレクトリック・ファンク
気分は... :ファンクへの一方通行Uターン禁止♪

今日は80年代ファンクから1枚と思いながら、CD棚を眺めていて一番ビビッときた作品を!
One Way『Fancy Dancer』(1981年)です。

One WayAl Hudsonを中心としたデトロイト出身のファンク・グループ。当初はAl Hudson & The Soul Partnersとして活動していました。Al Hudson & The Soul Partnersとして『Especially For You』(1977年)、『Cherish』(1977年)、『Spreadin' Love』(1978年)、『Happy Feet』(1979年)という4枚のアルバムをリリース。

1979年にグループをOne Wayと改め、ソウル・グループからファンク・グループの色合いを強めていきます。One Wayとしては『One Way featuring Al Hudson』(1979年)、『One Way featuring Al Hudson』(1980年)、『Love Is...One Way』(1981年)、『Fancy Dancer』(1981年)、『Who's Foolin' Who』(1982年)、『Wild Night』(1982年)、『Shine On Me』(1983年)、『Lady』(1984年)、『Wrap Your Body』(1985年)、『IX 』(1986年)、『A New Beginning』(1988年)といった作品をリリースしています。シングルとしては1982年に「Cutie Pie」がR&Bチャート第4位のヒットとなっています。
※追記
初回アップの時、『One Way featuring Al Hudson』(1980年)が抜けていました。ごめんなさい!

僕の場合、『IX 』(1986年)、『A New Beginning』(1989年)、さらにはAl Hudsonのソロ『Just To Be Close』(1994年)をリアルタイムで聴き、その後に初期作品に遡ったという変なパターンで聴いてきてしまいました。なので、語られることの少ない『IX 』、『A New Beginning』も意外と好きなんですよね。

でもOne Wayと言えば、まずは『One Way featuring Al Hudson』(1979年)、『Fancy Dancer』(1981年)、『Who's Foolin' Who』(1982年)といった80年代ファンクらしい魅力を堪能できるアルバムを聴くべきだと思います。

今日紹介する『Fancy Dancer』(1981年)時点でのメンバーは、Al Hudson(vo、per)、Dave Robertson(g)、Kevin McCord(b、key)、Cortez Harris(g)、Candyce Edwards(vo)、Gregory Green(ds)、Jonathan "Corky" Meadows(key)の7名。

グループの看板女性ヴォーカリストだったAlicia Myersがソロへ転向し、代わりに女性ヴォーカリストCandyce Edwardsが加わったこと、Al Hudsonらが自らのプロダクション・チームA.D.K(Al Hudson、Dave Robertson、Kevin McCordの三人の頭文字をとったもの)を作り、本作のプロデュースを手掛けていること(Al Perkinsとの共同プロデュース)が前作『Love Is...One Way』からの変化です。

そんな状況を踏まえると、よりOne Wayらしいファンク・アルバム作りを意識したアルバムなのでは?という気がします。中身は、贅肉を削ぎ落としたクールなエレクトリック・ファンクが目立つ構成となっています。

ファンクネスたっぷりのOne Wayを堪能したい方にオススメ!

全曲紹介しときやす。

「Pull Fancy Dancer/Pull」
シングル・カットもされ、R&Bチャート第12位となったファンク・チューン。P-Funkをスタイリッシュにした感じのクール・ファンクに仕上がっています。新生One Wayを印象づけてくれますね。

「Get Up」
僕の一番のお気に入りはコレ!ダンス・クラシックとしても人気のファンク・チューンです。みんなで聴けば夜遊びモードで盛り上がるに違いないファンクスに溢れていますね。これぞファンクって感じのベースラインがたまりませんな。

「Show Me」
Al HudsonとCandyce Edwardsのデュエットによるスロウ・チューン。こうした胸キュンのスロウもOne Wayの魅力です。Alicia Myersと比較されると分が悪いのかもしれませんが、Candyce嬢も頑張っています。

「Hold It」
この曲も夜遊びモードになる腰にくるファンク・チューンに仕上がっています。ストレート三球勝負みたいな潔さがいいですね。ライナーノーツにAverage White Band「School Boy Crush」に似過ぎ!と書かれているのですが、個人的にはそれほど似ているとは思いません...

「He Is My Friend」
Al Hudsonの哀愁ヴォーカルを堪能できるスロウ。ソウルなAl Hudsonがお好きな方は、こういったディープなバラッドにグッとくるのかもしれませんが僕にもどうも...

「Come Give Me Your Love」
ライト感覚のメロウ・ダンサー。他のファンク・チューンとは異なる雰囲気の曲ですが、アルバム全体の構成を考えると良いアクセントになっていると思います。

「Burn It」
哀愁バラッドとメロウ・ダンサーで一休みしたところで、再びブリブリのファンク・チューンへ!この曲なんかを聴くと、同時期の他のファンク・グループと比較してもエレクトリック・ファンクが相当フィットしている気がします。

「Your Love Is All Need」
哀愁スウィート・ソウル。悪くはないけどアルバムの中では地味な存在かも?

CDにはボーナス・トラックとして、ラスト・アルバム『A New Beginning』(1988年)に収録されていたスロウ・チューン「Let's Talk」が収録されています。

One Wayに関して、『Shine On Me』(1983年)、『Lady』(1984年)あたりもCD化して欲しいですね。
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