2008年10月07日

Wayne Shorter『Adam's Apple』

Herbie Hancockらを従えたワン・ホーン作品☆Wayne Shorter『Adam's Apple』
Adam's Apple
録音年:1966年
ez的ジャンル:新主流派Jazz
気分は... :ウェイン・パーマー...

『24 シーズンVI』を観ています。
シーズンVIにおける重要な登場人物の一人が合衆国大統領ウェイン・パーマーです。

そんなTVを観ていたら何故かウェインつながりのWayne Shorterを聴きたくなりました。
ということで、ジャズ界を代表するサックス奏者Wayne Shorterの2回目の登場です。

『Night Dreamer』(1964年)に続いて紹介するのは、1966年作品『Adam's Apple』です。

『Night Dreamer』を紹介したのは1年半以上前ですが、Weather ReportMiles Davisの第二期黄金クインテットの作品を紹介しているので、それ程久々という感じがしませんね。

そもそも僕の場合、リーダー作よりもWeather ReportMiles Davis作品を通じてWayne Shorterの演奏を聴く時間が多いので...特別な存在ではないが気付くとリーダー作以外で結構聴いているというのが、僕の中でのWayne Shorterなのかもしれません。

僕が所有するWayne Shorter作品は、殆どが60年代半ばから後半にBlue Noteで録音したものです。Milesの第二期黄金クインテット在籍期間とほぼ重なっていますね。やはり、新主流派という流れで聴いているのでしょうね。

本作『Adam's Apple』ですが、メンバーはWayne Shorter(ts)、Herbie Hancock(p)、Reginald Workman(b)、Joe Chambers(ds)というワン・ホーン構成です。

名コンポーザーShorterならではのモーダルな名曲「Footprints」の初演が収録されている一方で、タイトル曲はジャズ・ロックしていますし、ブラジリアン・フレイヴァーな曲もあります。バラエティに富んでいるというか、異色作といった見方もできる1枚なのでは?

やはりShorterとHancockの組み合わせは強力ですね。

全曲紹介しときヤス。

「Adam's Apple」
タイトル曲はジャズ・ロックしています。このファンキーな展開は好き/嫌いが分かれるかもしれませんが、僕はなかなか楽しめました。特にHancockもこういったピアノを聴かせてくれるところが興味深いですね。ただし本作に求めるのはこういったジャズ・ロック路線ではないのですが(笑)

「502 Blues (Drinkin' and Drivin') 」
Jimmy Rowles作品。ミッドナイトな雰囲気がいいですね。「Adam's Apple」の後に聴くと、"やっぱりコレだよね"と少しホッとします。特にHancockのエレガントなピアノにうっとりです。

「El Gaucho」
タイトルからもおわかりの通り、ブラジリアン・フレイヴァーの軽快な仕上がり。ブラジリアン・フレイヴァーにモーダルな格好良さも加わりサイコーですね。

「Footprints」
本作のハイライト。作曲家としての評価も高いWayne Shorterですが、本曲もそんな名曲の1つですね。抑制の効いたエレガントかつミステリアスな演奏はモーダル・ジャズの格好良さを存分に堪能できます。この曲がジャズ・アーティストのみならずテクノ系アーティストからもリスペクトされるのは、モーダルな要素に加えて、スピリチュアルな要素もあるからでしょうね。

本曲については、同じ1966年にレコーディングされたShorter、Hancockを含むMiles Davisの第二期黄金クインテットによる演奏と聴き比べると楽しいですよね。以前に紹介した『Miles Smiles』に収録されています。『Miles Smiles』版の方がテンション高めかもしれませんね。また、Lonnie Liston Smith & the Cosmic Echoesが『Cosmic Funk』(1974年)でカヴァーしています。

「Teru」
アルバムの中では一番地味な印象のバラード。この寂しげな雰囲気は秋にピッタリなのでは?

「Chief Crazy Horse」
かなり僕好みの演奏。モーダルながらも激しくダークな雰囲気がいいですね。特にワン・ホーンならではのShorterのカッチョ良さを堪能できる演奏なのでは?Hancockの力強いピアノタッチも素晴らしいです!

「The Collector」
この曲はCDのボーナス・トラック。Herbie Hancock作品です。ボーナス・トラックですが、スピード感と緊張感のあるモーダルな演奏はサイコーです。

未入手の作品では 『Super Nova』 (1969年)、 『Odyssey of Iska』 (1970年)あたりはぜひ手元に置きたいですね。
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2008年10月06日

Stetsasonic『Blood, Sweat & No Tears』

Stetsasonicの3rdアルバムにしてラスト作☆Stetsasonic『Blood, Sweat & No Tears』
Blood, Sweat & No Tears
発表年:1991年
ez的ジャンル:オールドスクール系元祖Hip-Hopバンド
気分は... :涙はいらない!

元祖Hip-HopバンドStetsasonicの2回目の登場です。
今回は『Blood, Sweat & No Tears』(1991年)をセレクト。

現在のHip-HopシーンでもThe Rootsをはじめ魅力的なHip-Hopバンドは存在しますが、僕の中ではHip-Hopバンドというスタイルを広く世に知らしめたStetsasonicの印象が今でも強いですね。

本作『Blood, Sweat & No Tears』は、『On Fire』(1986年)、『In Full Gear』(1988年)に続く3rdアルバムにして彼らのラスト・アルバムです。

本作におけるメンバーは、Prince Paul、Wise、Daddy-O、D.B.C、MC Delite、Bobby Simmonsの6名。Prince Paul、Daddy-O、Bobby Simmonsの3人が各4曲をプロデュースしているのをはじめ、全曲メンバーがプロデュースしています。

個人的には「Talkin' All That Jazz」「Float On」というキラーチューンがある分、『In Full Gear』を聴く機会の方が多いのですが、「The Hip Hop Band」「No B.S. Allowed」「Speaking of a Girl Named Suzy」「So Let the Fun Begin」をはじめ『Blood, Sweat & No Tears』もなかなかの充実作だと思います。

ジャケのように男気溢れる肉体派の楽曲が揃っています!
老舗Hip-Hopバンドの心意気がここに...

オススメ曲を紹介しときやす。

「The Hip Hop Band」
Stetsasonicに相応しいタイトル。Kool & the Gang「Chocolate Buttermilk」ネタというよりも、そのまんまHip-Hopヴァージョンといった感じですが、ファンキーなカッチョ良さはサイコーです。Bobby Simmonsプロデュース。

「No B.S. Allowed」
シングルにもなった曲です。 定番ブレイクLowell Fulsom「Tramp」を使ったタイトなトラックがいいですな。Bobby Simmonsプロデュース。

「Uda Man」
Prince Paulプロデュース曲。Hip-Hopバンドとしての印象が強い彼らですがPrince PaulのDJセンスも見逃してはいけませんね。

「Speaking of a Girl Named Suzy」
P-Funkモードのアッパーな仕上がりがサイコーです。大音量でみんなで盛り上がりたい曲ですね。Bobby Nunn「She's Just a Groupie」、James Brown「Soul Power Pt I」ネタ。Bobby Simmonsプロデュース。

「Gyrlz」
この曲もファンクネスに溢れた仕上がりですね。EPMDあたりと一緒に聴きたくなる僕好みの曲。Daddy-Oプロデュース。

「Blood, Sweat and No Tears」
タイトル曲はPrince Paulプロデュース。ルーズ&ファンキーなグルーヴ感がグッド!

「So Let the Fun Begin」
この曲もシングル曲。Bobby Simmonsプロデュースによる一瞬にしてみんな熱狂させるファンキー・チューン。Kool & the Gang「N.T.」、Blackbyrds「Do it Fluid」、Mahavishnu Orchestra「Planetary Citizen」Isley Brothers「Take Me to the Next Phase」ネタ。

「Go Brooklyn 3」
とってもオールドスクールな感じが逆に新鮮です。Ralph Macdonald「Jam On The Groove」ネタ。Bobby Simmonsプロデュース。

「Walkin' in the Rain」
タイトルから想像できるようにLove Unlimited「Walkin' In The Rain With The One I Love」ネタの哀愁チューン。名曲「Float On」がお好きな方はこのスロウ・ラップも気に入るはずDaddy-O、Bobby Simmonsの共同プロデュース。

「Don't Let Your Mouth Write a Check That Your Ass Can't Cash」
タイトル長すぎ!Chocolate Milk「Action Speaks Louder than Words」ネタのファンク・モードがご機嫌です。Daddy-Oプロデュース。

「Ghetto Is the World」
男気溢れる雰囲気が印象的です。ファンキーな女性コーラスもいい感じ。

「Paul's a Sucker」
男女ヴォーカルをフィーチャーした軽快な仕上がり。

「Free South Africa(Remix)」
Norman Cookがリミックスしている異色作。Special AKA「Nelson Mandela」ネタも織り交ぜ、Norman Cookらしいダビーな仕上がりです。

本作を最後にStetsasonicは解散してしまいます。
もっと作品をリリースして欲しかったですねぇ。残念!
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2008年10月05日

Jesse Colin Young『Light Shine』

思わず微笑んでしまう爽快感が魅力☆Jesse Colin Young『Light Shine』
Light Shine
発表年:1974年
ez的ジャンル:微風系SSW
気分は... :スマイルは大事だね

今日は心のリセットをしたい気分

そんな状況で手にしたのはスマイルが印象的なこのアルバム...
ということで、Jesse Colin Young『Light Shine』(1974年)です。

Jesse Colin Young(本名Perry Miller)は1941年N.Y.生まれの男性シンガーソングライター。

1964年『The Soul of a City Boy』でソロ・デビュー。その後ボストンでYoungbloodsを結成。拠点をサンフランシスコに移した後、1969年に「Get Together」が全米ポップチャート第5位のヒットとなりました。

『High on a Ridgetop』(1972年)を最後にYoungbloodsは解散し、Jesse Colin Youngは本格的なソロ活動に入ります。そして、『Song for Juli』(1973年)、『Light Shine 』(1974年)、『Songbird』(1975年)、『On the Road』(1976年)、『Love on the Wing』(1977年)とコンスタントにアルバムをリリースしました。

Youngbloodsについては、これまで『Elephant Mountain』(1969年)、『RIde The Wind』(1971年)の2枚を紹介してきましたが、Jesse Colin Youngの紹介は初めてとなります。

というかJesse Colin Youngのソロで所有しているのは『Light Shine 』だけなんですよね。『Song for Juli』『On the Road』あたりもぜひゲットしたいのですが(泣)

さて『Light Shine 』ですが、ジャケにおけるJesseの笑顔が全てを物語っているように思います。

Jesse Colin Young以下、Jeff Myer(ds、per)、Scott Lawrence(key)、Kelly Bryan(b)、Jim Rothermel(s、fl、cla)、妻Suzi Youngという6名のツアー・メンバーを中心にレコーディングが行われており、気心知れたメンバーとのアットホームで一体感ある演奏を楽しむことができます。

Youngbloodsもそうでしたが、微風のような爽やかさを持った歌とサウンドがいいですよね。このホッとさせてくれる感じが大好きです。

全曲紹介しときやす。

「California Suite: California Child」
「California Child」、「Grey Day」、「Light Shine」という冒頭の3曲(オリジナルLPのA面)は"California Suite"という組曲になっています。
「California Child」はタイトルの通り、カリフォルニアで生まれた子供たちへの思いを綴った1曲。前作『Song for Juli』の裏ジャケには愛娘Juliちゃん、本作の裏ジャケには愛息Cheyenne君を登場させている子煩悩なパパらしい1曲なのでは?多分、Cheyenne君の名前ってCheyenne族(アメリカの先住民族)から付けたものなのでしょうね。

「California Suite: Grey Day」
シスコ特有の曇り空と霧について歌った、いかにも組曲って感じの大作。CDではPt.1とPt.2に分かれて収録されています。Pt.1はフルートとギターの絡みがいい感じの"曇った"メロウ・サウンドに仕上がっています。Pt.2はサックス、ピアノさらにはスティール・ドラムらも加わったジャズ風の小粋な仕上がりです。

「California Suite: Light Shine」
タイトル曲は元々『Good & Dusty』(1971年)に収録されていた曲ですね。"内なる光を輝かせよう"という力強いメッセージが歌われています。テンポアップする後半の盛り上がりがいい感じです。

「Pretty and the Fair」
名曲「Get Together」と似た雰囲気を持った仕上がりです。コンガの響きが心地好いですね。

「Barbados」
西インド諸島のバルバドスについて歌ったものです。なので仕上がりもカリブ風...フルートやスティール・ドラムも加わり開放的な仕上がりです。

「Motorcycle Blues」
バイク好きのJesseらしい曲なのでは?Jesse自身が楽しんでいる様子が伝わってきます。

「The Cuckoo」
カッチョ良いファンキー・グルーヴ。歌の内容はかなり辛辣なのでは?

「Susan」
奥方Suziについて歌ったラブ・ソング。爽やかなライト・グルーヴに仕上がっています。

気分をリセットしたら、あとひと踏ん張りしてみよう。
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2008年10月03日

Raphael Saadiq『The Way I See It』

60年代、70年代ソウルへの想いを込めたヴィンテージ・サウンド☆Raphael Saadiq『The Way I See It』
The Way I See It
発表年:2008年
ez的ジャンル:ヴィンテージ系ソウル・ミュージック
気分は... :夢をかなえるゾウ!

水川あさみ主演のドラマ『夢をかなえるゾウ』が昨日からスタート!
『33分探偵』でもグッドだった水川あさみコミカル・キャラ全開という感じで楽しみです。

あとはガネーシャ役の古田新太がサイコーですね。

さて、元Tony! Toni! Tone!のメンバーであり、人気プロデューサーでもあるRaphael Saadiqの4年ぶりの新作『The Way I See It』です。

Raphael Saadiqの紹介は、『Instant Vintage』(2002年)、『Ray Ray』(2004年)に続き3回目です。

とにかく"ヴィンテージ"という言葉が良く似合う人ですよね。

『Instant Vintage』はタイトルの通りですし、前作『Ray Ray』では“ブラック・シネマ”からインスパイアされてアルバムを1枚制作してしまいました。

本作『The Way I See It』では、60年代、70年代ソウルへの想いをヴィンテージ・サウンド&ヴォーカルで具現化しています。特に60年代ソウルへの憧れがモロに反映されています。

ジャケのアートワークからして気合い入っていますよね。
『Ray Ray』もそうでしたが、アートワークからインスパイアされて音作りをしたのかもしれませんね。

他アーティストをプロデュースする感覚で自身のアルバムを制作すればいいのに!と思うのですが、自身のアルバムは思い切り趣味の世界に入り込んでしまうようです(笑)

個人的にはもっとコンテンポラリーなアルバムを作って欲しいと思いますが、ここまで徹底して制作されると認めざるを得ないといったところでしょうか。十分に楽しめる内容だと思います。

Stevie WonderJoss Stone等がゲスト参加しています。

全曲紹介しときやす。

「Sure Hope You Mean It」
60年代ヴィンテージ感に満ちたオープニング。StaxサウンドにのったMotownヴォーカル・グループって雰囲気ですね。

「100 Yard Dash」
Booker T. & the MG'sモードの仕上がりですね。このグルーヴ感はRaphaelにピッタリって感じですね。

「Keep Marchin'」
Miracles風の仕上がりが小粋なソウル・チューン。Raphael本人が楽しんでいる感じがいいですね。

「Big Easy」
「Never Give You Up」と並ぶお気に入り曲。The Infamous Young Spodie & the Rebirth Brass Bandをフィーチャーしたご機嫌なダンス・チューン。思わず体が動いてしまいますね。

「Just One Kiss」
Joss Stoneをフィーチャー。60年代のThe Temptationsあたりをイメージさせるスウィートな仕上がり。恋人と噂されるJoss Stoneのヴォーカルは相変わらずパワフルだし、60年代風サウンドと実にマッチしますねぇ。

「Love That Girl」
この曲のRaphaelはSmokey Robinsonモードといった感じでしょうね。 シャッフル・ビートが実に心地よく響いてきますね。

「Calling」
いきなりスパニッシュで歌われる意外な展開!でも内容は正攻法のヴォーカル・チューンに仕上がっています。

「Staying In Love」
Jackson 5あたりをイメージさせる小気味良いモータウン・サウンドがいいですね。

「Oh Girl」
シングルにもなった本曲はThe Stylisticsを思い起こさせるフィリーソウル・モードの仕上がりです。オリジナル以外にJay-Zをフィーチャーしたリミックスも収録しています。ヴィンテージ感たっぷりのオリジナルを聴くとJay-Zのラップはミスマッチだと予想したのですが、聴いてみると案外ハマっており、あ〜ら不思議!

「Let's Take A Walk」
この曲もかなり好き!60年代ならではのセクシーなグルーヴ感が腰にガンガン伝わってくるのがいいですね!

「Never Give You Up」
僕の一番のお気に入り曲はStevie WonderとCJ Hiltonをフィーチャー。Stevieが参加していますが、仕上がりはモロにMarvin Gaye風のセクシーなミッド・チューンです。

「Sometimes」
ラストはSam Cookeモードのオールド・ソウル。ジャケのようなシブさがいいですね。聴けば聴くほど味が出る感じですね。

新作R&B秋の陣!まだまだ続きます。
posted by ez at 02:41| Comment(4) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月02日

Angela Bofill『Something About You』

Narada Michael Waldenプロデュースの人気作☆Angela Bofill『Something About You』
サムシング・アバウト・ユー(紙ジャケット仕様)
発表年:1981年
ez的ジャンル:ラティーナ系コンテンポラリーR&B
気分は... :このジャケの変貌ぶりは???!

今日は70年代〜80年代にR&Bシーンで活躍したラティーナ・シンガー Angela Bofill の紹介です。

Angela Bofill は1954年N.Y.生まれの女性シンガー。父はフランス系キューバ人、母親はプエリトリカンというラティーナです。Wikiを見ていたら、Angela Bofillのことを"R&Bマーケットで成功した最初のラティーナ・ミュージシャン"と紹介されていました。へぇ〜って感じでしたね。

1978年フルート奏者Dave Valentinの仲介で、活動を開始したばかりの名門フュージョン・レーベルGRPとの契約に成功します。そして、レーベルの総帥Larry Rosen & Dave Grusinのプロデュースにより、デビュー・アルバム 『Angie』 (1978年)、2ndアルバム 『Angel of the Night』 (1979年)をリリースしました。Larry Rosen & Dave GrusinにとってAngela Bofillは"第二のPatti Austin"のような存在だったのでしょうね。

それらのアルバムからは 「This Time I'll Be Sweeter」 (全米R&Bチャート第23位)、 「What I Wouldn't Do (For The Love Of You)」 (全米R&Bチャート第18位)、 「Angel of the Night」 (全米R&Bチャート第67位)といったR&Bでのチャート・アクションがありました。

その後Aristaへ移籍し、『Something About You』(1981年)、『Too Tough』(1983年)などのアルバムをリリースしました。

今日紹介する『Something About You』(1981年)はArista移籍第一弾アルバムとなります。当時のAristaはAretha FranklinDionne Warwickが在籍し、BuddahからPhyllis Hymanを引き抜きといった具合に女性シンガーを相当プッシュしていた時期みたいですね。

ジャズ/フュージョン系レーベルGRPからAristaへの移籍は、Angela BofillにとってもR&B/Soulシンガーとして飛躍する絶好のチャンスだったのかもしれません。

ジャケの雰囲気からして、GRP時代から相当若返った感じで気合い入っていますよね。この変貌ぶりは何なのでしょうか(笑)

プロデュース&アレンジは Narada Michael Walden 。当時はStacy Lattisaw等を手掛けていたものの、まだプロデューサーとしての知名度は高くなかったはずだと思います。本ブログでも紹介したように、かつてはMahavishnu Orchestra等フュージョン畑で活躍し、その後R&B/Soulマーケットで活躍するようになったNaradaの起用は、同じくジャズ・フュージョン路線からポップ・ソウル路線へ軌道修正を図っていたAngelaにとっては適任だったのでは?

参加ミュージシャンはNaradaのバンド・メンバーを中心に、Tower of Power、Earl Klugh、Patrick Cowley、Andy Narell、Scherrie Payne、Jim Gilstrap等のゲストが参加しています。

GRP時代のクロスオーヴァーの雰囲気も残しつつ、ポップ・ソウル路線を強く意識した仕上がりになっています。彼女のルーツであるラテン・フレイヴァーが効いている楽曲がちゃんと用意されているのも嬉しいですね。

全曲紹介しときやす。

「Something About You」
ハイライト曲その1。アルバムからの1stシングルとして全米R&Bチャート第21位となりました。Cheryl Lynn「Got To Be Real」系のご機嫌なスウェイ・ビートです。本曲のオリジナルはBobbi Walkerのデビュー・アルバム『Diamond In The Rough』(1980年)に収録されています。

「Break It to Me Gently」
スケールの大きい感動的なラブ・バラード(Doug Frank/Doug James作品)。同じくNaradaがプロデュースしたデビュー当時のWhitney Houstonを思い出します。しみじみとしたエンディングがいいですね。

「On and On」
ハイライト曲その2。シングル曲ではありませんが、この曲が一番好き!という人は案外多いのでは?甘く切ない胸キュンのスロウです。80年代ソウルらしい込み上げ感がいいですねぇ。Tower of Powerのホーン隊も盛り上げてくれます。「Love On A Summer Night」でお馴染みThe McCrarysのメンバーLinda McCrary/Alfred McCraryの作品です。McCrarys自身のヴァージョンもあるようですが未聴です。

「Tropical Love」
タイトル通りトロピカルなメロウ・チューン。涼しげなフルートにスティール・ドラムが絡んでくるサウンドは思い切り夏モードですが、ロマンティックな仕上がりにうっとりです。

「You Should Know by Now」
Earl Klugh作品。彼自身のギターをバックに、Angelaがしっとりと歌い上げるロマンティックなラブ・ソングです。Angelaは大のEarl Klughのファンだったらしいですね。夢の共演実現といったところでしょうか。

「Only Love」
ハイライト曲その3。フリーソウル・クラシックとしてお馴染みですね(『Free Soul Impressions』収録)。この曲でAngela Bofillと出会った方も多いのでは?Angela自身がソングライティングも手掛けています。ラテン・フレイヴァーの効いたメロウ・グルーヴにのって、Angelaのキュートのヴォーカルを堪能できます。個人的にはこの曲のようにラティーナらしい魅力が引き出された曲に惹かれます。

「Holdin' Out for Love」
Tom Snow/Cynthia Weil作品。Angela以外にもCher(アルバム『Prisoner』収録)、Dan Seals(アルバム『Stones』収録)、Pointer Sisters(シングル「Slow Hand」のB面)のヴァージョンで愛聴されている方もいるかもしれませんね。Angelaヴァージョンは可愛くキュートな仕上がりです。アルバムからの2ndシングルとして全米R&Bチャート第26位となりました。

「Stop Look Listen」
Stylistics1971年のヒット曲カヴァー(Thom Bell、Linda Creed作品)。ポップ・ソウル路線を印象付けるためには有名曲カヴァーが必要だったのでしょうね。

「I Do Love You」
Narada Michael Walden作品。ラテン・フレイヴァーの効いたポップ・ソウルに仕上がっています。

「Three Blind Mice」
「Time to Say Goodbye」
インタールード「Three Blind Mice」に続き、感動的なエンディング「Time to Say Goodbye」です。Angela自身のペンによるオリジナル曲です。

CDにはボーナス・トラックとして、「Never Wanna Be Without Your Love」「Esperando Al Amor」「Love Light」「Rhythm of Your Mind」 の4曲が追加されています。

「Never Wanna Be Without Your Love」はNarada Michael Walden のアルバム『Looking at You, Looking at Me』 (1983年)に収録されている曲のデモ・ヴァージョンです。「Esperando Al Amor」は「Holdin' Out for Love」のスペイン語ヴァージョンです。
posted by ez at 00:39| Comment(2) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする