発表年:1969年
ez的ジャンル:トリップ系プログレ・ロック
気分は... :馬熊?
相変わらず『夢をかなえるゾウ』の水川あさみ&古田新太コンビはサイコーですな。
古田演じる人間の体にゾウの鼻を持つ関西人の神様"ガネーシャ"が面白すぎ!
でもって、唐突にPink Floydです。
『Dark Side Of The Moon(邦題:狂気)』(1973年)、『Wish You Were Here(邦題:炎)』(1975年)に続き3回目に紹介するのは4thアルバム『Ummagumma』(1969年)です。
ガネーシャは「人間+象」の神様でしたが、"Ummagumma"は「馬+熊」の仏様のことです...というのは大嘘で(笑)、『Ummagumma』とはヤバい系のスラングです。
個人的にはPink Floydの永遠の名作『Dark Side Of The Moon』が生まれるスタート地点に位置するアルバムが本作だと思っています。
オリジナル・アルバム、CD共に2枚組です。Disc1は1969年6月のバーミンガムおよびマンチェスターでのライブ録音、Disc2がスタジオ録音という構成になっています。
Disc1のライブ録音は、この時代にこれだけのトリップ・ミュージックをライブで演奏していたという事実に驚きですね。このサウンドを聴きつけて、Syd Barrettも月の裏側から顔を覗かせている気がします(この頃のSydはまだ音楽活動を行っていましたが)。
Disc2のスタジオ録音は曲名と共にメンバー名が記され、役割分担が明示されています。Roger Waters(b)、David Gilmour(g)、Richard Wright(key)、Nick Mason(ds)という4人のメンバーの個性が浮き彫りになり、興味深いですね。
『Dark Side Of The Moon』にヤラれた方は、その原型を本作『Ummagumma』に見出すことができます。乱暴な言い方をすれば、『Dark Side Of The Moon』の世界を5つのレイヤー(ライブとメンバー4人のリーダー・パートの5つ)に分けて聴かせてくれた作品という印象を受けます。
Pink Floyd作品ではお馴染みのアート集団Hipgnosisによるジャケも相変わらず素晴らしいですね。
全曲紹介しときヤス。
「Astronomy Domine」
1967年のデビュー・アルバム『The Piper at the Gates of Dawn』のオープニングを飾っていた曲ですね(邦題「天の支配」)。しかもSyd Barrett作品です。Syd作品をアタマに持ってくるところにグッと惹かれます。
『The Piper at the Gates of Dawn』での"ペインテッド・サウンド"とは多少雰囲気が異なりますが、このライブ・ヴァージョンもコズミックな音世界へ誘ってくれます。
「Careful With That Axe, Eugene」
「ユージン、斧に気をつけろ」という邦題でお馴染みの曲ですね。元々は1968年のシングル「Point Me at the Sky」のB面としてリリースされた楽曲です(David Gilmour/Roger Waters作品)。
Disc1のライヴの中ではこの曲の人気が高いのでは?妖しく不穏な静けさに包まれた前半から、狂気の雄叫びと共に激しくスリリングな中盤へなだれ込みます。David Gilmourのギターがいいですねぇ。この妖しくダイナミックな展開こそがSyd亡き後のPink Floydの魅力であり、Sydの幻影があるからこそ一層魅力的に映るという複雑な結果になっている気もします。
「Set the Controls for the Heart of the Sun」
2ndアルバム『A Saucerful of Secrets』(1968年)収録曲(邦題「太陽讃歌」)。個人的にはDisc1ではこの演奏が一番好きですね。スリリング&コズミック&ミステリアスな演奏がたまりません。アヴァンギャルドな映画のサントラにぴったりなインスト・チューンですね。
「A Saucerful of Secrets」
2ndアルバム『A Saucerful of Secrets』(1968年)のタイトル曲。アヴァンギャルドなPink Floyd全開といった感じです。しかもこれがライブというのが凄いですね。ライブ会場にいたら、Sydがいるかもしれない月の裏側の世界へとトリップしてしまいそうです。David Gilmourのスキャットは『Dark Side Of The Moon』を予感させますね。
ここまでDisc1(ライブ録音)です。
「Sysyphus」
ここからがDisc2(スタジオ録音)です。「Sysyphus」はRichard Wrightがリーダーの作品です。作品はさらにPart IからIVまでの四部構成となっています。クラシックと現代音楽の影響が強く反映されています。特にPart IIIには本ブログでも紹介した『猿の惑星(Planet of the Apes)』(1968年)との共通点を見出すことができ惹かれますね。
「Grantchester Meadows」
この曲の主役はRoger Waters。70年代以降の諸作で聴かれるようなフォーキーなテイストです。Watersがグループの主導権を握るに従い、Pink Floyd作品に占めるこのフォーキー感覚のウェイトは高まっていくことになりますね。
「Several Species of Small Furry Animals Gathered Together in a Cave and Grooving with a Pict」
このやたら長いタイトルの曲もRoger Watersがリーダーです。これは演奏というよりもサウンド・コラージュですね。
「Narrow Way」
この曲のリーダーはDavid Gilmour。Part IからIIIまでの三部構成となっています。アコースティック・サウンドとアヴァンギャルド・サウンドのコラボといった趣ですな。『Dark Side Of The Moon』収録曲のプロトタイプと思われる演奏ですね。その意味では最もPink Floydらしい仕上がりかも?
「The Grand Vizier's Garden Party」
最後はNick Masonが主役。この曲もPart IからIIIまでの三部構成となっています。現代音楽の要素が強い内容ですね。正直僕には理解不能です。でも聴いていると明和電機が思い浮かぶのは何故だろう(笑)
多分、次にPink Floydを聴くのは1年くらい先でしょうねぇ。
こんな音楽ばかり聴いていたら、知らぬ間にあっちの世界へいるかもしれないから...