
発表年:2008年
ez的ジャンル:大人のセクシー男性R&B
気分は... :New Manになったジョー!
男性R&Bシンガー秋の陣の中からJoeの新作『Joe Thomas, New Man』です。
今日のR&Bシーンを代表する実力派シンガーJoeの紹介は、『All That I Am』(1997年)、『Ain't Nothin' Like Me』(2007年)に続き3回目となります。
前作『Ain't Nothin' Like Me』をリリースしたのが昨年ですから、わりと短いインターバルでの新作発表ということになりました。
長年所属してきたJiveを離れ、デビュー当時から彼をマネジメントしてきた敏腕マネージャー/プロデューサーKedar Massenburgが設立したKedar Entertainmentへ移籍したことが影響しているのでしょうね。Kedar Massenburgはかつてはモータウンの社長も務めた人物であり、Joe以外にD'Angelo、Erykah Badu、India Arieなどを世に送り出したことでも知られていますね。
Kedar Massenburgが総帥を務めているとはいえ、新興レーベルとしてまだまだ成長過程の状況にあるKedar Entertainmentであり、そんな中でレーベルの認知度を向上させる作品として本作がリリースされた気もしますね。
実際、インナーには今年デビューした期待の新人Algebraのデビュー・アルバム『Purpose』や来年リリース予定のChico Debargeの新作、さらにはJoeの次作『Signature』(来年2月リリース予定)の宣伝がなされています。
そんな新興レーベルで制作された新作『Joe Thomas, New Man』ですが、中身はさすがにJoe!といった感じです。
前作『Ain't Nothin' Like Me』も様々なプロデューサーが制作に関与していましたが、本作でもBryan-Michael Cox、Stereotypes、Dernst "D Mile" Emile II、Micayle "The Mack" Mckinney、Jerry "Fatz" Flowersといった多彩なプロデュース陣で制作されています。
従来からのJoeらしさのみならず、今時のエレクトリックな仕上がりの曲もあってなかなか楽しめます。タイトルの通り、New ManになったJoeに出会えるのでは?
全米アルバム・チャート第8位という滑り出しは、環境の変化を考慮すればまずまずといったところでしょうか。
次作『Signature』も気になるところですが、まずは目前にある本作を堪能しましょう。
全曲紹介しときやす。
「E.R.(Emergency Room)」
アルバムからのリード・シングル。心拍数の測定音に救急車のサイレン音という不穏な雰囲気で始まるですが、そこは実際のE.R.(緊急救命室)ではなく、恋のE.R.だった...というJoeらしい展開です。僕にはそれほどグッと来ない設定ですが(笑)。中身はJoeらしい濃厚なヴォーカルを堪能できるミディアム・スロウに仕上がっています。Dernst "D Mile" Emile IIがプロデュース。
「By Any Means」
今流行のエレクトロな仕上がり。Joeにこういったサウンドはあまり似合わないイメージがあったのですが、これが新鮮で案外悪くないんですよね。Bryan-Michael Coxプロデュース。
「Why Just Be Friends」
この曲もシングルカットされていますね。セクシーなファルセット・ヴォイスが魅力的なミッド・チューン。特に女性ファンにはJoeのセクシー・ヴォーカルが媚薬のように効いてくるのでは?男の僕でもグッとくる仕上がりです。Micayle "THE MACK" McKinneyとStereotypesがプロデュース。 個人的にはアルバムで一番のお気に入り。
「We Need to Roll」
この曲はMarioやTrey Songsの参加が噂されていた曲ですが、結局アルバムに収録されたのはJoe本人のみのバージョンが収録されています。中身はヴォコーダーも取り入れたエレクトリック・サウンドにのった哀愁ミディアム・スロウ。ゲストの不参加は残念ですが情熱的なJoeのヴォーカルは聴き応え充分です。Bryan-Michael Coxプロデュース。
MarioやTrey SongsがフィーチャーされたバージョンがYoutubeにアップされているので紹介しておきますね。
Joe Feat. Mario「We Need to Roll」
http://jp.youtube.com/watch?v=l6XfzyjMDYk&feature=related
Joe Feat. Trey Songs「We Need to Roll」
http://jp.youtube.com/watch?v=8hVnJfDwlPA&feature=related
「Man in Your Life」
この曲はいまいちピンと来ませんでした。Bryan-Michael Coxプロデュース。
「I Won't Let Him Hurt You」
琴のようなシンセの音がどうも好きになれないのですが、Joeらしい熱唱が聴ける感動的なスロウに仕上がっています。Bryan-Michael Coxプロデュース。
「New Man」
タイトル曲はStereotypesプロデュースによるエレクトロな哀愁ダンス・チューン。Joeらしいかと聞かれるとビミョーですが、キャッチーな仕上がりでグッドだと思います。
「Start Over Again」
「Sorry」
正攻法な大人のR&B2曲。共にJerry "Fatz" Flowersプロデュース。
「Heart Behind My Eyes」
Jerry "Fatz" Flowersプロデュース曲の中ではこの曲が一番好きです。アコースティックな味わいのメロウ・グルーヴに仕上がっています。しみじみ聴きたい1曲です。
「Chameleon」
ラストはJared Lee Gosselinプロデュースによるスムージーな美メロ・チューン。この曲もかなり好き!感動のドラマを観終えたような充実感がありますね。
個人的には感動的な「Chameleon」で締めて、"終わりよければすべてよし"という気がするのですが...この後に来年リリース予定の次作『Signature』収録予定曲が5曲ほどSnippet(1分半程度の抜粋)で収録されています。
正直、中途半端なかたちでしか聴けないSnippetは不要だと思います。
国内盤にはボーナス・トラック「Heavy」が収録されています。