2008年11月04日

The Doobie Brothers『One Step Closer』

Doobiesのラスト作。今聴くと案外悪くない!☆The Doobie Brothers『One Step Closer』
One Step Closer
発表年:1981年
ez的ジャンル:AOR系ウエストコースト・ロック
気分は... :今聴くと...

70年代ウエストコーストを代表するロック・バンドThe Doobie Brothersの4回目の登場です。

これまでDoobiesについては以下の3作品を紹介してきました。

 『The Captain And Me』(1973年)
 『Livin' On The Fault Line』(1977年)
 『Minute by Minute』(1978年)

今回は(再結成前の)グループのラスト・アルバムとなった作品『One Step Closer』です。また後期作品ですね。僕自身の意識の中では前期も後期も共に好きなのですが、無意識の部分では後期作品を欲することが多いのかもしれません?

前作『Minute by Minute』(1978年)は、大ヒットを記録し、グラミー賞を受賞するなどMichael McDonaldをフロントマンとした後期Doobiesを決定的に印象付けた作品となりました。

そんな勢いに乗ったDoobiesのはずでしたが、オリジナル・メンバーのJohn Hartman(ds)と存在感抜群であったJeff "Skunk" Baxter(g)の二人が脱退してしまいます。これに対応するため、グループはツアーのサポート・メンバーであったJohn McFee、Cornelius Bumpus、Chester McCrackenを正式メンバーとして迎え入れます。

本作におけるメンバーを整理すると、Patrick Simmons(g、vo)、Michael McDonald(key、vo)、Tiran Porter(b)、Keith Knudsen(ds)、John McFee(g)、Cornelius Bumpus(ts、org、vo)、Chester McCracken(ds、vib)という布陣になります。とうとうオリジナル・メンバーはPatrick Simmonsただ一人となってしまいました。

本作はそこそこヒットはしたものの、『Minute by Minute』のような大ヒットには至らず、結局グループは本作を最後に解散する道を選びます。

発売当時は"前作を超えていない"、"もはやDoobiesの音ではない"等々イマイチ評判が良くなかったアルバムですね。

僕もリアルタイムで聴きましたが、『Minute by Minute』と比較してパンチが効いていないような印象を受けました。きっと「What a Fool Believes」級の楽曲や、いかにもウエストコーストしている爽快なロック・チューンを期待していたのでしょうね。なので当時は『Minute by Minute』ほど熱心に聴き込んだ記憶はありません。

ただし、今聴くと当時とはかなり異なる印象を受けます。
ラテン・フレイヴァーの効いたパーカッシヴなサウンドをはじめ、今の僕の嗜好にかなりフィットする楽曲が揃っていますね。

"Doobiesの音"云々といった先入観を除いて聴くと、なかなかグッドなAORアルバムだと思います。

全曲紹介しときヤス。

「Dedicate This Heart」
オープニングはMichael McDonald作品(Paul Ankaとの共作)。Michael節が炸裂するウエストコースト・サウンド。いかにも後期Doobiesらしい仕上がりですね。この曲は当時から好きでした。

「Real Love」
アルバムからの1stシングル。全米ポップ・チャート第5位のヒットとなりました。Michael McDonaldとPatrick Hendersonの共作。イントロのキーボードが印象的でしたね。当時アルバムからの1stシングルということで「What a Fool Believes」級のミラクルな出来栄えを期待していたため、多少肩透かしを喰った記憶があります。今聴くと洗練された佳作だと思いますが...

「No Stoppin' Us Now」
Patrick Simmonsがリード・ヴォーカルをとるファンキー・チューン(Patrick Simmons/Michael McDonald/Chris Thompson共作)。唯一のオリジナル・メンバーPatがリード・ヴォーカルをとり、彼ららしいコーラスワークを堪能でき、ギター中心のサウンド...ということでこの曲が一番Doobies!って感じかもしれませんね。

「Thank You Love」
新メンバーCornelius Bumpusの作品(ヴォーカルもBumpus)。今聴くとこの曲が一番好きですね。ラテン・タッチのAORって雰囲気が僕好みです。ウエストコーストというよりマイアミあたりの情景が浮かんできます。そう思わせるのは、ヴォーカルがBobby Caldwellっぽいからでしょうね。Chester McCrackenによるおおよそDoobiesらしくないヴァイヴも今聴くとなかなか楽しいです。

「One Step Closer」
タイトル曲もシングル・カットされました(John McFee/Keith Knudsen/Carlene Carter共作)。からっとした明るくキャッチーな仕上がりが当時は好きでした。今聴くと昔聴いたほどグッとこないのが残念ですが...

「Keep This Train A-Rollin'」
Michael McDonald作品。どことなく「You're Made That Way」『Livin' On The Fault Line』収録)を思い出させる曲調です。こちらの方がソウルフルな仕上がりですが。

「Just in Time」
Patrick Simmons作品。軽くラテン・フレイヴァーが効いていますが、Patrickらしい仕上がりなのでは?個人的にはNicolette Larsonのコーラスにグッときます。

「South Bay Strut」
思い切りフュージョンしているインスト(Chester McCracken/John McFee共作)。こういった楽曲を聴くと、やはり解散しかなかったのかなぁと思ってしまいますね。

「One By One」
ラストはMichael McDonaldとBobby LaKindの共作。今聴くと好きな曲の1つ。さり気ない疾走感とパーカッシヴな仕上がりが僕好みなのかもしれません。本作におけるDoobiesのメンバー構成を考えれば、意外にらしい演奏なのかもしれません。

今夜からアメリカ大統領選ですね。
米国民の選択はいかに?
どこかの国における国民の選択機会はいつになることやら...
posted by ez at 10:21| Comment(4) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月02日

Raydio『Rock On』

Ray Parker, Jr.率いるRaydioの2nd☆Raydio『Rock On』
ロック・オン(紙ジャケット仕様)
発表年:1979年
ez的ジャンル:ファンキー&メロウR&B
気分は... :どうにでもなれ!

今日はRay Parker, Jr.率いるRaydioの2ndアルバム『Rock On』(1979年)です。

Ray Parker, Jr.は1954年ミシガン州デトロイト生まれ。70年代はStevie Wonder、Barry WhiteのLove Unlimited Orchestra、Herbie Hancock等のバックでギタリストとして活躍します。

Herbie Hancockの進言で、自己のグループRaydioを結成し、『Raydio』(1977年)、『Rock On』(1979年)といったアルバムをリリースします。

80年代に入ると、RaydioはRay Parker Jr. & Raydioとなり、3rdアルバム『Two Places at the Same Time(邦題:誓いのセイム・タイム)』(1980年)、そして大ヒット4thアルバム『A Woman Needs Love』(1981年)をリリースすることになります。特に後者のタイトル曲は「A Woman Needs Love(Just Like You Do)」は全米ポップ・チャート第4位、R&Bチャート第1位の大ヒットとなり、R&Bファンのみらず多くの音楽ファンを魅了しました。

「A Woman Needs Love」で自信をつけたのか、Rayはその後Raydioを解散させ、ソロ活動に入り、『The Other Woman』(1982年)、『Woman Out of Control』(1983年)、『Ghostbusters(Soundtrack) 』(1984年)、『Sex and The Single Man』(1985年)、『After Dark』(1987年)といったアルバムをリリースします。

特に映画の大ヒットも手伝って「Ghostbusters」が全米ポップ・チャート、R&Bチャート共に第1位の大ヒットとなったことは印象的でしたね。

僕の場合、Ray Parker, Jr.と言えば、やはり最初に聴いた大ヒット曲「A Woman Needs Love(Just Like You Do)」の印象が強いですね。なので、その後「Ghostbusters」がヒットした時には、正直"なんじゃこりゃ"と思いました。

個人的には『After Dark』からのシングル「I Don't Think That Man Should Sleep Alone」も大好きでした。何故かアルバムではなくアナログ・シングルで持っています。

ということで、僕にとってのRay Parker, Jr.体験は全て『A Woman Needs Love』以降のもので、今日紹介する『Rock On』を含むRaydio時代の作品は全く聴いたことがありませんでした。

今回のCD化でようやくゲットし、聴くことができましたぁ!
というか今まで未CD化だったのですね。意外な気がします。

『Rock On』を聴いた印象ですが、思っていた以上にファンキーなダンス・チューンが並んでいるという感じでしたね。あとははStevie WonderHerbie Hancock等これまで関わってきたアーティストの良い点をうまく吸収している気がします。

本作におけるRaydioメンバーは、Ray Parker, Jr. 以下Charles Fearing、Larry Tolbert、Arnell Carmichael、Darren Carmichaelの5名。Ray自身とヴォーカルのArnell Carmichael以外は前作『Raydio』から代わっているメンバー。

ブレイクする前のRay Parker, Jr.ですが、イケイケの勢いを感じるアルバムです。

全曲紹介しときヤス。

「What You Waitin' For」
Rayの軽快なギター・カッティングが印象的なファンキー・チューン。個人的にはギター・カッティングが目立つ曲って大好きです。

「Hot Stuff」
ファンキーなダンス・チューンが続きます。Arnell Carmichaelのヴォーカルもいい感じです。George Dukeのダンス・クラシック「Shine On」と一緒に聴きたくなりますね。

「You Can't Change That」
シングルカットされ、ポップ・チャート第9位、R&Bチャート第3位のヒットとなりました。イントロは後の大ヒット曲「A Woman Needs Love (Just Like You Do)」を予感させます。やっぱり胸キュンのメロウ・チューンを作ると天下一品ですな。

「Rock On」
威勢良い♪Rock On〜♪の掛け声が印象的なファンキー・チューン。ボコーダー使いやパーカッシヴな仕上がりが僕好みです。

「More Than One Way to Love a Woman」
邦題「愛は複雑」。シングルカットされ、R&Bチャート第25位を記録しています。出だしのアコースティック・ギターとシンセが絡む感じはStevie Wonderっぽいところがありますね。その後は哀愁メロディのミッド・グルーヴへ展開していきます。Arnell Carmichaelのファルセット・ヴォーカルがいいですね。

「When You're in Need of Love」
「Goin' Thru School and Love」
EW&Fっぽい印象の2曲。Arnell Carmichaelの高音ヴォーカルとRayの低音ヴォーカルのコントラストが余計にそんな印象を与えるのかもしれませんね。「When You're in Need of Love」はシンセが印象的なダンス・チューン。「Goin' Thru School and Love」はメロウ好きにはたまらないスロウ・チューン。

「Honey I'm a Star」
Rayの自信の表れか(笑)。Ray自身のヴォーカルが堪能できるポップ・チューン。

今日、明日と仕事関連の合宿です。
ということで殆ど寝る間もなく出発の準備中...完全にガス欠気味ですっ(泣)
posted by ez at 03:12| Comment(4) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月01日

Velvet Crush『Free Expression』

再びMatthew Sweetをプロデュースに迎えた4th☆Velvet Crush『Free Expression』
Free Expression
発表年:1999年
ez的ジャンル:USインディー系パワーポップ
気分は... :スタミナつけないと...

バタバタ・モードが続き、更新さぼりがちです。
心身共にぐったり...スタミナつけるために昨晩はうな串で一杯やりましたが、まだパワー不足気味です(泣)

今日は90年代USインディー・ポップの中からVelvet Crushの4thアルバム『Free Expression』(1999年)をセレクト。

Velvet Crushは、Choo Choo Trainというバンドで活動していたRic MenckPaul ChastainとHoneybunchのギタリストJeffrey Borchardtが1989年に結成したUSパワー・ポップ・バンド。

Matthew Sweetがプロデュースした1stアルバム『In the Presence of Greatness』(1991年)とTeenage FanclubとのUKツアーにより、注目されるようになります。ちなみに『In the Presence of Greatness』はUKを代表するインディーズ・レーベルCreation Recordsからリリースされました。

その後2nd『Teenage Symphonies to God』(1994年)、3rd『Heavy Changes』(1998年)をリリースした後、再びMatthew Sweetをプロデュースに迎えて制作された4thアルバムのが本作『Free Expression』(1999年)です。本作時点でのメンバーはRic Menck、Paul Chastainの二人。

僕の場合、Matthew Sweetプロデュースということで本作を購入した記憶があります。

Velvet Crushと言えば、同じくMatthew Sweetプロデュースの1st『In the Presence of Greatness』が有名ですが、本作もなかなか良質のギター・ポップ・アルバムに仕上がっていると思います。

レコーディングはカリフォルニアにあるMatthewの自宅スタジオで行われた模様です。気心知れたメンツによるリラックスした雰囲気の中で、楽しげに演奏している様子が伝わってくるのがいいですね。音楽好きが純粋に自分たちが楽しめるものを作ったという感じが好感持てます。

この方面のUSインディー・ポップに明るい訳ではありませんが、たまに聴きたくなるんですよね。疲れている時に甘いものが食べたくなるような感覚に似ているのかも?

オススメ曲を紹介しときやす。

「Kill Me Now」
"カモン!"の掛け声と共にギター・ポップの始まり、始まり!キャッチーなメロディとPaul Chastainの線の細いスウィート・ヴォーカルがいいですね。

「Worst Enemy」
僕の一番のお気に入り曲。2分強の短い楽曲ですが、Matthew Sweetにも通じる甘く切ない展開がたまりません。

「Between the Lines」
メランコリックな仕上がり。甘すぎないビター・スウィートな感じがいいですね。

「Goin' to My Head」
適度にハードなUSインディー・ポップらしい仕上がりですね。サビの♪Goin' to My Head〜♪Goin' to My Head〜♪ってところがいいですな。

「Heaven Knows」
ポップ・カントリー調の仕上がり。ペダル・スティールによる味付けがいい感じです。

「Roman Candle」
青春のホロ苦さといった雰囲気があっていいですね。Paul Chastainの頼りないが実にハマっていますな。

「Melody No.1」
胸キュンなメロディと少年のようなPaul Chastainのヴォーカルが印象的です。

「Things Get Better」
よく言われるように、これはBeatles「Blackbird」直系といった仕上がりですね(笑)鳥の囀りに加え、Matthew Sweetの飼い猫の鳴き声入りです。

「Gentle Breeze」
まさに優しい微風といった感じのさり気ない仕上がり。ビター・スウィートなソフトさが僕好みです。

「All Together」
ホーンセクションが効果的に鳴り響くギターポップ。

「Ballad of Yesteryear」
ピアノを中心としたバラード。アルバム中のアクセントとしていい感じです。

「On My Side」
コーラスが素敵なアコースティック・チューン。

パワー不足のため、曲紹介もあっさりめになってしまいました。
1日何もせずに音楽聴きながら、ボ〜ッと過ごしたい!
posted by ez at 09:38| Comment(2) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする