2008年11月24日

Jazzanova『Of All The Things』

世界のクラブ・シーンを牽引するユニット!待望の2nd☆Jazzanova『Of All The Things』
Of All the Things
発表年:2008年
ez的ジャンル:Sonar Kollektiv系Nu Jazz
気分は... :少しだけのんびり...

クラブ・ミュージックやNu Jazzがお好きな方にはお馴染みのユニットJazzanovaの新作『Of All The Things』です。

Jazzanovaは、1995年頃ドイツのベルリンで結成されたプロデューサー/DJユニット。メンバーは、Axel Reinemer、Jurgen Knoblauch、Claas Brieler、Stefan Leisering、Alexander Barck、Roskow Kretschmannの6名。Axel ReinemerとStefan Leiseringの2人はExtended Spiritとしての活動でも知られていますね。

Jazzanova自身の活動に加え、他アーティストのプロデュース/リミックス、自らのレーベルSonar Kollektivの運営、様々なコンピ・アルバムの編纂などクラブ・シーンでの存在感は増すばかりです。

本作『Of All The Things』 は、2002年にリリースした1stアルバム 『In Between』 に続く2ndアルバムとなります。

エレクトリック・ソウル的な色合いが強かった『In Between』と比較すると、本作『Of All The Things』ではアコースティックなサウンドを前面に打ち出し、大きな変貌を遂げています。また、60年代、70年代ソウルへのオマージュを感じる作品も目立ちます。

本作がリリースされる前のクッションとして、彼らが手掛けたサントラ『Belle et Fou』(2007年)があったので、今回の変化はそれほど驚くものではないのかもしれませんね。

全曲ヴォーカル入りであり、Phonte(Little Brother)、Paul Randolph、Ben Westbeech、Thief、Jose James、Leon Ware、Dwele、Joe Dukie(Fat Freddy's Drop)、Bembe Segueといった多彩なヴォーカリスト/ラッパーがフィーチャーされています。

Nu Jazzの現在が凝縮されている1枚なのでは?

全曲紹介しときやす。

「Look What You're Doin' to Me」
Phonteをフィーチャー。PhonteはLittle BrotherのMCであり、NicolayとのコラボThe Foreign Exchangeでもお馴染みですね。軽くラテン・フレイヴァーの効いた歯切れの良いミッド・グルーヴに仕上がっています。

「Let Me Show Ya」
アルバムからの先行シングルはPaul Randolphをフィーチャー。70年代ソウルへのオマージュといった仕上がりですね。セクシーなPaul RandolphのヴォーカルはモロにMarvin Gayeモードです。勿論、大のお気に入り曲です。Paul Randolphは、Carl CraigのInnerzone Orchestra等と共演したり、MoodymannのMahogani Musicからアルバムをリリースしているデトロイトのシンガー/ギタリスト/ベーシスト。
http://jp.youtube.com/watch?v=qDNdFugsw1o&feature=related

「I Can See」
Ben Westbeechをフィーチャー。Ben WestbeechはGilles Peterson主宰のBrownswood Recordsに所属するシンガーです。60年代ソウル風の仕上がりがグッド!
http://jp.youtube.com/watch?v=JXDdXFeo7ck&feature=related

「Lie」
Thiefをフィーチャー。Thiefはドイツ人シンガーソングライターSasha Gottschalkを中心としたプロジェクトであり、JazzannovaのExtended Spiritチームがプロデュースを手掛けています。1stアルバム『Sunchild』はその方面では話題になりましたね。本曲はストリングスを効果的に使ったエレガントなポップ・チューンに仕上がっています。

「Little Bird」
Jose Jamesをフィーチャー。Nicola Conte『Rituals』の記事でも紹介したようにGilles Peterson主宰のBrownswood Recordsに所属し、あのGilles Petersonに"15年に 一人の逸材"と言わしめた現在大注目のシンガーです。ここでは哀愁モードのバラッドを聴かせてくれます。激シブですな!

「Rockin' You Eternally」
Leon Wareの名曲カヴァーであり、 Leon Ware本人とデトロイトのD'Angeloと呼ばれるシンガーDweleをフィーチャー。

Leon Ware自身のヴァージョンはアルバム『Rockin' You Eternally』(1981年)に収録されています。また、本曲の共作者であるMarcos Valleのヴァージョンは「Velhos Surfistas Querendo Voar」として本ブログでも紹介した『Vontade De Rever Voce』(1981年)に収録されています。

本ヴァージョンはオリジナルに近い雰囲気のカヴァーですが、Jazzanovaならではのエスプリも十分感じ取ることができます。

「So Far from Home」
再びPhonteをフィーチャー。先の「Look What You're Doin' to Me」はラップを封印してヴォーカリストに徹していましたが、ここでは前述の先行シングル「Let Me Show Ya」をサンプリングしたトラックをバックにスムーズなフロウを聴かせてくれます。同じアルバムの収録曲をサンプリング・ネタにしてしまうあたりが面白いですね。

「What Do You Want?」
Joe Dukieをフィーチャー。Joe Dukieはニュージーランドの人気レゲエ・バンドFat Freddy's Dropのメンバーです。なので、思い切りレゲエ/ダブ・モードの仕上がりになると思いきや、実に落ち着いたソウル・チューンに仕上がっています。

「Lucky Girl」
Paul Randolphをフィーチャー。ブラジリアン・フレイヴァーの軽快なメロウ・グルーヴに仕上がっています。このパターンを期待していた人も多いのでは?

「Gafiera」
Pedro Martins & Azymuthをフィーチャー。Azymuthはブラジルを代表するジャズ・ファンク/クロスオーヴァー・グループですね。本ブログではベーシストAlex Malheirosの娘Sabrina Malheirosの作品を今夏紹介しましたね。当然ながらブラジリアン・クロスオーヴァーに仕上がっています。冬に突入という時期ですが夏に逆戻りしそうですな。

「Morning Scapes」
Bembe Segueをフィーチャー。Bembe Segueはロンドンのクラブ・ミュージック・シーンではお馴染みの女性ヴォーカリスト。以前にMark De Clive-Lowe『Journey 2 The Light』でも紹介しました。Bembe Segueの個性的なヴォーカルを生かしたミステリアスな仕上がりがいいですね。

「Dial a Cliche?」
Paul Randolphをフィーチャー。哀愁モードのエレピの響きが心地好いソウル・チューンです。サウンドは70年代風、ヴォーカル・スタイルは現代モードといった感じがいいですね。

国内盤にはボーナス・トラックとして「Let Me Show Ya」のリミックスが収録されています。

ご興味のある方は彼らのレーベルSonar Kollektivの作品やコンピ作品もお試し下さい。いくつか挙げておきますね。

Thief『Sunchild』
前述のThiefの1stアルバム
Sunchild
Sunchild

『The Kings of Jazz』
Gilles PetersonとJazzanovaの編纂による新旧ジャズのコンピ
The Kings of Jazz
The Kings of Jazz

『10 Years, Who Cares?: Mixed by Jazzanova』
Sonar Kollektiv設立10周年を記念してリリースされたレーベルのベスト盤
Sonar Kollektiv: 10 Years, Who Cares?: Mixed by Jazzanova
Sonar Kollektiv: 10 Years, Who Cares?: Mixed by Jazzanova
posted by ez at 11:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする