2008年12月14日

Brian Auger's Oblivion Express『Second Wind』

独自のクロスオーヴァー・サウンドを楽しめる1枚☆Brian Auger's Oblivion Express『Second Wind』
Second Wind
発表年:1972年
ez的ジャンル:クロスオーバー系ジャス・ロック
気分は... :バルサに追い風は吹くのか?

今日はサッカー伝統のクラシコ「バルセロナ対レアル・マドリード」ですね。

グアルディオラ監督のもと、リーガ首位を突っ走る絶好調のバルサに対して、9日にシュスター監督が解任され、フアンデ・ラモス新監督が就任したばかりというドタバタ状態のマドリーという対照的な両チームですが...

普通に考えれば、ホームのバルサが圧倒的に有利ですが、そうは簡単に行かないのがクラシコ。バルサ・ファンの僕は勿論バルサを応援しますが、両者の意地と意地のぶつかり合いを期待しています。

さて、Brian Auger率いるBrian Auger's Oblivion Expressの3回目の登場です。

Brian Augerに関しては、これまで以下の3作品を紹介しました。
Brian Auger & The Trinity
 ・『Streetnoise』(1969年)
Brian Auger's Oblivion Express
 ・『Closer to It!』(1973年)
 ・『Straight Ahead』(1975年)

今日紹介するのは1972年の作品『Second Wind』です。Oblivion Expressとしての3rdアルバムになります。

本作におけるメンバーは、Brian Auger(org、p、el-p)、Jim Mullen(g)、Barry Dean(b)、Robbie McIntosh(ds、per)、Alex Ligertwood(vo、tambourine)の5人。

僕の場合、パーカッシヴな『Closer to It!』やエレピの比重が高まった『Straight Ahead』あたりの方がど真ん中なのですが、Oblivion Expressらしいサウンドを楽しむという点では本作『Second Wind』も外せません。

当時"プログレ・ジャズロック"と呼ばれたジャズ/ロック/ファンクを上手く融合した独自のクロスオーヴァー・サウンドを堪能することができます。

ジャズ・ロック的視点、フリーソウル的視点、クラブ・ジャズ的視点など様々な角度から楽しむことができる作品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Truth」
ソウルフルなヴォーカルとグルーヴィーなオルガン、ブルージーなギターの絡みがカッチョ良いオープニング。ソウルとジャズとロックがいい塩梅で融合しています。後半のピアノ・プレイも小粋でグッド!

「Don't Look Away」
幻想的な雰囲気を醸し出すファンキー・チューン。洗練されているんだけど、どこか土臭い感じが残っているのがいいですね。スタカン好きにはお馴染みTalbot & Whiteがカヴァーしていました。

「Somebody Help Us」
個人的には一番のお気に入り。Oblivion Expressらしいスピード感溢れるファンキー・グルーヴ。聴いていると、ゾクゾクしてアドレナリンが出まくってきます。カッチョ良いオルガン・サウンドが聴きたい方ばぜひ!

「Freedom Jazz Dance」
当ブログで紹介したMiles Davis(アルバム『Miles Smiles』収録)やWoody Hermanのヴァージョン(アルバム『Giant Steps』収録)でお馴染みのダンス・クラシック(オリジナルはEddie Harris)。

本ヴァージョンはヴォーカル入りのソウルフルかつ落ち着いた仕上がりです。自由に踊りまくるというよりも、ウィスキー片手に聴きたい雰囲気ですね。

「Just You, Just Me」
「Somebody Help Us」と並ぶお気に入り曲。小気味良い展開が爽快ですね。ロックでもファンクでもジャズでもないOblivion Expressならではの音という気がします。

「Second Wind」
タイトル曲はオルガン・サウンドを堪能できるロック・テイストの仕上がり。

クラシコ、僕の予想は願望も込めて「2対0」でバルサの勝利!
得点者はメッシとエトー!
なんて展開にならないのかなぁ。
(12/14 9:00追記)
僕の予想がドンピシャ的中!
エトー、メッシのゴールでバルサが「2対0」で勝利しました!やったー!でも試合はマドリー・ペースでしたね。かなり苦戦しましたなぁ。
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2008年12月13日

Mtume『You, Me And He』

『Juicy Fruit』に負けない充実作☆Mtume『You, Me And He』
You, Me and He
発表年:1984年
ez的ジャンル:官能系エレクトリック・ファンク
気分は... :君と僕と彼ってどんな関係???

James Mtume率いるファンク・グループMtumeの久々の登場です。

代表作『Juicy Fruit』(1983年)を当ブログで紹介したのが2005年11月でした。約3年ぶりに紹介するのは『You, Me And He』(1984年)です。

相棒だったReggie Lucasが脱退し、一人でグループの舵取りをすることになったJames Mtumeが選んだのはエレクトリック・ファンク路線でした。新生Mtumeを代表する作品と言えば、どうしても『Juicy Fruit』(1983年)ということになりますね。大ヒットしたタイトル曲は、サンプリング・ネタとして若いリスナーからも大人気ですね。

その『Juicy Fruit』(1983年)に続きリリースされたアルバムが今日紹介する『You, Me And He』(1984年)です。

『Juicy Fruit』と比較すると、スポットライトを浴びることが少ない『You, Me And He』ですが、内容は『Juicy Fruit』に負けない官能的な大人のはエレクトリック・ファンクに仕上がっています。

本作におけるグループのメンバーは、James Mtume(vo、key、per)、Tawatha Agee (vo) 、Raymond Jackson(b) 、Philip Field(key)の4人です。 それ以外のサポート・メンバーの中にはBernie Worrellの名前もあります。

個人的には80年代らしいアーバン・ナイトなシンセ・サウンドにグッときます。あとはTawathaのヴォーカルがサイコーですね。

『Juicy Fruit』の次にぜひお聴き下さい!

全曲紹介しときやす。

「C.O.D. (I'll Deliver)」
シングルにもなったエレクトリック・ファンクらしいミディアム・スロウ。シンセの調べとTawathaのヴォーカルが実に雰囲気ありますね。
http://jp.youtube.com/watch?v=rblmfjthHQ8&feature=related

「You Are My Sunshine」
アーバン・ナイトな大人のスロウ・チューン。シンセの音色がロマンティックなんだけどエロいんですよね。サックスがさらにムードを盛り上げてくれます。80年代らしさに溢れていて大好き!
http://jp.youtube.com/watch?v=gRSFh6_V974&feature=related

「You, Me and He」
タイトル曲はシングルとしてR&Bチャート第2位のヒットとなりました。タイトルからわかるように男女の三角関係を歌ったものです。せつないシンセ・サウンドとTawathaのヴォーカルが実にマッチしていますね。「Juicy Fruit」に迫る名曲だと思います。
http://jp.youtube.com/watch?v=-in5ZRs90WA

「I Simply Like」
甘く危険な夜の街の香りが漂うミディアム・ファンク。低く重いビートがクセになります。ヴォコーダーが使われているあたりも僕好み。

「Prime Time」
アーバン・ナイトなミディアム・スロウ。週末に夜の街へ繰り出したくなる雰囲気がグッド!
http://jp.youtube.com/watch?v=QT0HvqUejiE&feature=related

「Tie Me Up」
夜遊びモードのミディアム・ファンク。男女がディスコへ遊びに行き、店員とやりとりしながら店内へ入っていく演出がサイコー!
http://jp.youtube.com/watch?v=2IoeUzDg8lY&feature=related

本曲をネタに使ったBootsy collins「Wind Me Up」(アルバム『Fresh Outta P University』収録)も僕のお気に入りです。

「Sweet for You & Me(Monogamy Mix)」
「You, Me and He」のインスト・ヴァージョンです。

「To Be or Not to Be That Is the Question (Whether We Funk or Not)」
ご機嫌なホーンが目立つファンキーなインスト・チューン。また見逃せないのはスクラッチ音が随所に聴こえることです。前年にHerbie Hancockがスクラッチを取り入れた「Rock it」をヒットさせていたとは言え、なかなか興味深いですね。

80年代サウンドを聴いていると、懐かしさと同時に"80年代の日本は豊かな時代だったなぁ"とついつい思ってしまいます。なんでこんな国に成り下がってしまったのでしょうかねぇ。
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2008年12月12日

The Foreign Exchange『Leave It All Behind』

Hip-Hopの次なる可能性を示してくれたアングラ作品☆The Foreign Exchange『Leave It All Behind』
Leave It All Behind
発表年:2008年
ez的ジャンル:ネクストレベル・アングラHip-Hop
気分は... :立ち止まるな!突き進め!

今日はアングラHip-Hopの注目新作The Foreign Exchange『Leave It All Behind』です。

The Foreign Exchangeは、オランダ出身のトラックメイカーNicolayとアメリカ・ノースカロライナ出身のHip-HopグループLittle BrotherのMCであるPhonteの二人から成るユニット。

Nicolayについては、今年前半にテキサス州ヒューストン出身のMC/プロデューサーKay(Kay Jackson)とのユニットNicolay & Kayのアルバム『Time:Line』を当ブログでも紹介しました。

また、ソロ名義でもミックステープ・アルバム『The Dutch Masters, Vol. 1 Mix Tape』(2005年)、全編インストの『City Lights, Vol. 1.5』(2005年)、MCやヴォーカルが加わった『Here』(2006年)といったアルバムをリリースしています。

PhonteLittle Brotherとして、『The Listening』(2003年)、『The Minstrel Show』(2005年)、『Get Back』(2007年)、『...and Justus for All』(2008年)といったアルバムをリリースしています。

当ブログで最近紹介したJazzanovaの新作『Of All The Things』でも2曲でPhonteがフィーチャーされていましたね。

今日紹介する『Leave It All Behind』は、『Connected』(2004年)に続く2ndアルバムとなります。

『Connected』は、ソウルフルでジャジーで美しく気持ちの良いアングラHip-Hopファン大絶賛の1枚でしたね。本作『Leave It All Behind』では更に進化し、Nicolayの創り出すトラックはもはやHip-Hopの領域には収まりきらず、Phonteに至っては殆どラップせずに歌いまくっています。

Hip-Hopの領域には収まりきらず、ラップせずに歌いまくるというは、3日前に紹介したKanye West『808s & Heartbreak』と共通していますよね。

メジャー作品とアンダーグラウンド作品という違いはあるにせよ、この2枚を聴くとHip-Hopの次なる可能性に触れることができるのでは?

ゲストのうち、ノースカロライナのクルーJustus League(Little Brotherも所属)に所属する男性シンガーDarien Brockington、ワシントンDC出身の女性シンガーYahZarahは前作『Connected』に続いての参加です。また、NYを拠点に活動し、今年1stアルバム『Pre.lude』をリリースしたシンガーMuhsinahも参加しています。

シンガー以外ではデトロイトで活躍するキーボード奏者Zo!、Justus Leagueの同僚Khrysis、4HeroのMarc Mac等が参加しています。

ネクストレベルのアングラHip-Hopとして聴くも良し、新感覚のR&B作品としても聴くも良しといったところでしょうか。

メジャー作品では聴けないHip-Hopの奥深さ、芸術性の高さを堪能できる作品だと思います。普段Hip-Hopを聴かない人にこそ、ぜひ聴いて欲しい1枚ですね。

全曲紹介しときやす。※Disc1のみ

「Daykeeper」
Muhsinahをヴォーカルをフィーチャー。PhonteのヴォーカルはNicolayの創り出すユラユラ揺れる浮遊感たっぷりのトラックの相性はバッチリですね。中盤でのテンポの変化も美しすぎます。モノクロな雰囲気の中にMuhsinahのヴォーカルが彩りを加えてくれます。Bobbi Humphrey「Chicago, Damn」ネタ。
http://jp.youtube.com/watch?v=FAT9ZsbIh30&feature=related

「Take Off The Blues」
Darien Brockingtonのヴォーカルをフィーチャー。この曲なんて完全にHip-Hopというよりジャジー・テイストのR&Bですな。Stan Grahamによるトランペットがジャジー感を高めてくれます。
http://jp.youtube.com/watch?v=89-4jbpPgCY&feature=related

「All Or Nothing/Coming Home To You」
この曲もDarrien Brockingtonをフィーチャー。ここでようやくPhonteの"ラップ"を聴くことができます(笑)。70年代テイストのシンセ・サウンドが魅力ですね。このアナログな感じがたまりません。
http://jp.youtube.com/watch?v=ofC3I7WZfSo&feature=related

「I Wanna Know」
ニューソウル・テイストのソウルフル・チューン。 R&Bシンガー(?)Phonteの魅力を堪能しましょう。Nicolayの創り出す人肌の温もりを感じるトラックもグッド!
http://jp.youtube.com/watch?v=AyjY9Yjmv2Q&feature=related

「House Of Cards」
Nicolay本人が最も気に入っている曲として挙げているのがコレ。本人曰く"ジェットコースターみたいな"曲だそうです。まさに2008年現在進行形の新感覚R&Bサウンドといった仕上がりですね。Nicolayの創り出す不思議な音空間に引き込まれます。
http://jp.youtube.com/watch?v=Rt1gbQ41ECk&feature=related

「Sweeter Than You」
Nicolayの天才トラックメイカーぶりが発揮されています。美しく心地好いトラックに昇天してしまいます。Chris Boernerのギターもいいアクセントになっています。
http://jp.youtube.com/watch?v=WdLSYuuX088&feature=related

「Valediction」
美しく深い哀愁感が漂ってきます。Phonteのヴォーカルって哀愁トラックにハマりますね。
http://jp.youtube.com/watch?v=Q5Uz9tf8ezc&feature=related

「If She Breaks Your Heart」
Stevie Wonderのカヴァー(オリジナルはアルバム『Jungle Fever』収録)。Phonteの亡くなった義父がいつもこの曲をプレイしていたのだとか。Zo!がプロデュースを担当し、4 HeroのMarc Macがストリングス・アレンジを手掛け、Yahzarahのヴォーカルをフィーチャーするという気合いの入った制作陣になっています。そんな思い入れもの強さも手伝ってか素晴らしいカヴァーに仕上がっています。
http://jp.youtube.com/watch?v=XxehYxBWzjk

「If This Is Love」
この曲もYahzarahのヴォーカルをフィーチャー。ブラジリアン・フレイヴァーの効いたクロスオーヴァー・チューンに仕上がっています。かなり僕好みです。
http://jp.youtube.com/watch?v=R7ELR-W7BKs

「Something To Behold」
Darien BrockingtonとMuhsinahをフィーチャー。ここで久々にPhonteのラップを聴くことができます。男女ヴォーカル&ラップという三者の息の合った絡みがサイコーです。僕の一番のお気に入り曲。
http://jp.youtube.com/watch?v=onxi35uiuAM&feature=related

「Leave It All Behind」
エンディング曲はさり気ないエレガントさが魅力です。
http://jp.youtube.com/watch?v=glaGq5pMFAg&feature=related

Disc2はインスト集になっています。また、国内盤にはボーナス・トラックとしてMuhsinahによる「Sweeter Than You」のリミックス、Nicolayによる「If This Is Love」のリミックスが収録されています。
posted by ez at 02:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月11日

Airto Moreira『Identity』

ブラジル人としてのアイデンティティを強く打ち出したリズムシャワー☆Airto Moreira『Identity』
アイデンティティー
発表年:1975年
ez的ジャンル:ブラジリアン・クロスオーヴァー
気分は... :リズムシャワーを浴びて前向きになろう!

毎年恒例になっている「今年の漢字(日本漢字能力検定協会)」が12日に発表されますね。

予想では「変」「乱」「崩」といった字の前評判が高いようです。
予想ではなく、実感という意味で個人的には「弱」という字を推したいですね。

今年ほど日本社会・経済が抱える問題のしわ寄せが社会の「弱者」に回ってきた年はなかったのでは?高齢者の医療制度・年金記録、金融機関による中小事業者への貸し渋り・貸しはがし、新卒者の内定取り消し、派遣労働者等の雇用問題など苦しむのは社会の弱者ばかり...世の中何かがおかしいですよね。

日々暗いニュースばかり目にしていると気持ちが塞ぎこんでしまうので、こんな時にはブラジル音楽でも取り上げましょう!ブラジル音楽って、聴いていると生きる勇気と喜びが湧いてきますからね。

と言うことで、ブラジル人ドラマー/パーカッション奏者Airto Moreiraの2回目の登場です。

『Samba de Flora』(1988年)に続き紹介するのは、1975年の作品『Identity』です。

プロデューサーはHerbie HancockAirto(per、ds、vo)、Hancock(key)以外のメンバーは、Flora Purim(vo)、David Amaro(g)、Robertinho Silva(ds、per)、Raul de Souza(tb)、John Heard(b)、John Williams(b)、Louis Johnson(b)、Ted Lo(org)、Wayne Shorter(ss)、Egberto Gismonti(g、key、arr)といった布陣です。

中でもブラジル音楽の鬼才Egberto Gismontiの全面参加が目立ちます。ソングライター&アレンジャー&プレイヤーとして大活躍であり、ある意味AirtoとGismontiのコラボ・アルバムと呼べるのかもしれませんね。

タイトルの通り、ブラジル人としてのアイデンティティを強く意識した作品に仕上がっています。具体的にはブラジル北東部独特のリズム/ダンスなどを取り入れた多彩なリズム・シャワーを聴かせてくれます。

このリズムシャワーを聴いて、前向きに日々頑張りましょ!

全曲紹介しときヤス。

「The Magicians (Bruxos)」
いきなり一番のお気に入り曲です。AirtoとGismontiががっぷり四つに組んだ白熱のブラジリアン・グルーヴ。特に後半のテンションの高さは格別です。Airtoのヴォーカルはご愛嬌ですが、本職のパーカッションでは活気に溢れた豊かなリズムを聴かせてくれます。負けじとGismontiのギター&ピアノも絶好調です!土の匂いが感じられるのがいいですね。

「Tales From Home (Lendas)」
めまぐるしく変化する展開が印象的です。プログレとフュージョンとブラジル音楽がカオス状態になっている濃密な仕上がりです。

「Identity」
タイトル曲はビリンバウ(ブラジルの伝統的な打弦楽器)を駆使し、まさにアイデンティティを全面に打ち出した仕上がりです。

「Encounter (Encontro no bar)」
「The Magicians (Bruxos)」と並ぶ僕のお気に入り。クラブ系のブラジリアン・グルーヴがお好きな人は気に入る曲だと思います。凄まじいリズム・シャワーに圧倒されてしまいます。リズム大国ブラジルのアイデンティティを感じずにはいられません。Gismontiのピアノもテンション高いです。

「Wake Up Song (Baiao do acordar/cafe)」
Gismonti作品のメドレーです。前半はブラジル北東部の伝統的なリズムを打ち出した軽快なグルーヴ。中盤はHerbie Hancockのアープ・ソロ、後半はWayne Shorterのソプラノ・ソロを堪能できます。正直、AirtoとGismontiだけで十分なのでHancockやShorterのソロではどうでもいい気もするのですが、アルバム中のアクセントとして楽しむことにしています。

「Mae Cambina」
Hermeto Pascoal作品。ビリンバウも入って、どことなくMilton Nascimentoテイストな仕上がりです。大地の歌って感じがいいですね。

「Flora On My Mind」
最後はロック・テイストのクロスオーヴァー・チューン。

このジャケのAirtoはかなりハンドパワーがありそうですね(笑)
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2008年12月10日

U2『Achtung Baby』

ターニング・ポイントとなった意欲作☆U2『Achtung Baby』
アクトン・ベイビー
発表年:1991年
ez的ジャンル:ダンス・ビート系ロック
気分は... :U2も聴くんです!

遂に大物ロック・バンドU2の登場です。

今更説明不要のグループですね。アイルランド出身のBonoThe EdgeAdam ClaytonLarry Mullen, Jr.の4人からなるU2は、80年代以降に登場したロック・グループの中でも最強でしょう。長い期間シーンの最前線で活躍し、コンスタントな成功を収めているバンドとしては、Rolling Stonesに次ぐ存在なのでは?

これまで1000回以上記事投稿してきて1度も取り上げたことがありませんでしたが、『War』(1983年)以降のアルバムは殆どリアルタイムで聴いています。熱心なU2ファンというわけではありませんが、ロックシーンの牽引者としての彼らの動向はやはり気になりますね。

基本的には駄作など存在しないグループですが、個人的には『Achtung Baby』(1991年)、『Zooropa』(1993年)、『Pop』(1997年)という俗に言う"シンセ・ポップ三部作"が今でも一番好きですね。逆に彼らの人気を不動のものとした大ヒット作『The Joshua Tree』(1987年)あたりは今聴くとちょっと厳しい気がします(というか最近は全く聴いていませんが)。

上記3枚の中でも特に好きなのが今日紹介する『Achtung Baby』(1991年)です。それまでの硬派ロック・グループのイメージを払拭し、ダンス・ビートを取り入れた新機軸を打ち出したアルバムですね。

"時代に迎合した軟派なロック・アルバム"と否定的な意見を持つ方もいるかもしれませんが、今日もU2が音楽シーンのトップに君臨しているのは、この大胆な路線変更があったからだと思っています。Rolling Stonesもそうですが、最前線で活躍し続けているグループって時代へのアジャストと自分たちの個性発揮をうまく両立させていますよね。

東西冷戦の終焉、湾岸戦争といった当時の社会的背景も踏まえて聴くべきアルバムなのかもしれませんが、単純に当時のダンスカルチャーをうまく吸収したカッチョ良いロック・アルバムとしても十分楽しめるアルバムだと思います。

今回久々に聴きましたが、このカッチョ良さは色褪せないですね。

全曲紹介しときやす。

「Zoo Station」
90年代モデルのU2サウンドを印象付けるオープニング。タイトルの"Zoo Station"とはベルリンの動物園駅のこと。ベルリンの壁崩壊とリンクするかのように、大物ロック・グループとしての自縛状態から一気に解き放たれた開放感に満ちています。

「Even Better Than the Real Thing」
この曲でもリズミックに飛ばしまくってくれます。Edgeのギターが絶好調なのがいいですね。シングルにもなりました。
http://jp.youtube.com/watch?v=EjRapZVwpqs&feature=related

「One」
シングルとして全米シングル・チャート第10位のヒットとなりました。そんなチャート・アクション以上にバラードの名曲として人気の高い曲ですね。この曲に限っては従来通りのU2というイメージですが、 逆に本作の中にこういった曲があると目立ちますね。
http://jp.youtube.com/watch?v=JFWPeVfWB9o&feature=related

以前に当ブログで紹介したようにMary J. BligeがU2との共演によるカヴァーをリリースしています(アルバム『The Breakthrough』収録)。
http://jp.youtube.com/watch?v=be0j4PbrQOI&feature=related

「Until the End of the World」
Wim Wenders監督の映画『Until the End of the World(邦題:夢の涯てまでも)』の主題歌。この曲もEdgeのギターがいいですね。

「Who's Gonna Ride Your Wild Horses」
この曲もシングルになりました。まさにワイルドホースのような突き抜ける疾走感がいいですね。
http://jp.youtube.com/watch?v=URqcVTp4zO4&feature=related

「So Cruel」
静かなる哀愁感で迫ってきます。Bonoのヴォーカリストとしての魅力を堪能できる1曲なのでは?

「The Fly」
アルバムからの1stシングル。個人的にはダンスビートとロックの融合をいとも簡単にやり遂げてしまったこの1曲で完全にKOされました。これぞU2のカッチョ良さが凝縮された1曲ではないかと思います。アメリカではシングル・ヒットしませんでしたが、U2の大胆な変化にリスナーが戸惑ったのかもしれませんね(笑)。
http://jp.youtube.com/watch?v=Nc2nMTnQFvo

「Mysterious Ways」
2ndシングルとして全米シングル・チャート第9位のヒットとなりました。「The Fly」同様、U2の新機軸を印象づけてくれましたね。Bonoのヴォーカルは素晴らしいのですが、この曲はEdgeのギターをはじめとするバックのサウンドに耳を奪われてしまいます。
http://jp.youtube.com/watch?v=_ZLjE_wuRE0&feature=related

「Tryin' to Throw Your Arms Around the World」
刺激が強い2曲のあとの小休止といったところでしょうか。この音空間はDaniel Lanoisらしい感じですね。

「Ultra Violet (Light My Way)」
この曲もダンサブルな仕上がり。こういう曲を演奏しても全くU2らしさを失わないところが彼らの凄いところですな。
http://jp.youtube.com/watch?v=nKK5YfkEimQ&feature=related

「Acrobat」
悪くはないけど、アルバム全体の中でやや印象が薄いですね。

「Love Is Blindness」
ラストは胸が締め付けられそうなバラード。当時は大していい曲だとは思わなかったのですが、以前に紹介したCassandora Wilsonのカヴァー(アルバム『New Moon Daughter』収録)を聴いてから、この曲の良さがわかってきました。

次は『Zooropa』(1993年)、『Pop』(1997年)あたりを紹介したいと思います。
posted by ez at 11:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする