2008年12月03日

Bobby Hutcherson『Montara』

有名サンプリング・ソース「Montara」収録のラテン・ジャズ・アルバム☆Bobby Hutcherson『Montara』
Montara
発表年:1975年
ez的ジャンル:ラテン系ジャズ・ヴァイヴ
気分は... :単品だけではなく全体で楽しめまっせ!

Jazzシーンを代表するヴァイヴ奏者Bobby Hutchersonの3回目の登場です。

『Happenings』(1966年)、『Stick-Up!』(1966年)に続いて紹介するのは、1975年リリースの作品『Montara』です。

『San Francsico』(1970年)と『Montara』(1975年)のどちらにしようか迷った末、後者を選びました。『San Francsico』の方が冬っぽいですけどね(笑)

Bobby Hutchersonと言えば、どうしても60年代が絶頂期で70年代は低迷期というのがジャズ・ファンの評価かもしれませんね。70年代の作品はむしろジャズ・ファン以外からの評価が高いかもしれませんね。

今日紹介する『Montara』(1975年)もそんな作品の代表格だと思います。ジャズ・ファン以上にHip-Hopファンからの評価が高い作品ですね。

その理由はタイトル曲「Montara」が、スチャダラパー「サマージャム '95」をはじめ、Precise Hero「Upswing Social」、K-Otix「Falling Behind II」、L.「Check The Flow」、Brian Green「That's Right」、John Forty「Vernal Sunshine」、The Roots「Montara(Remix)」、Madlib「Montara(Madlib Remix)」等数多くのHip-Hopアーティストに取り上げられているからです。

Bobby Hutcherson「Montara」
http://jp.youtube.com/watch?v=riYBxOjLK2w
スチャダラパー「サマージャム '95」
http://jp.youtube.com/watch?v=I5phkgaAQj4
Precise Hero「Upswing Social」
http://jp.youtube.com/watch?v=E-Z2JoiMLSo
K-Otix「Falling Behind II」
http://jp.youtube.com/watch?v=51HBw5L6Tf4
L.「Check The Flow」
http://jp.youtube.com/watch?v=CFCQNiP_bOk
Brian Green「That's Right」
http://jp.youtube.com/watch?v=TECdgJKvdhE
The Roots「Montara(Remix)」
http://jp.youtube.com/watch?v=aS39Gkfz81A
Madlib「Montara(Madlib Remix)」
http://jp.youtube.com/watch?v=po_mA52c0Hc&feature=related

ただし、有名サンプリング・ネタが収録されているのはアルバムの楽しみ方の一部であり、基本はアルバム全体が魅力的であるというのが紹介している理由です。先週紹介したThe Incredible Bongo Band『Bongo Rock』も同様です。

本作『Montara』で言えば、アルバム全体を貫くラテン・フレイヴァーがいいですね。

メンバーはBobby Hutcherson(vib、marimba)以下、Blue Mitchell(tp)、Oscar Brashear(tp)、Ernie Watts(ts、fl)、Plas Johnson(ss、fl)、Dennis Budimir(g)、Larry Nash(key)、Eddie Cano(key)、Chuck Domanico(b)、Dave Troncoso(b)、Harvey Mason(ds)、Ralph McDonald(per)、Willie Bobo(per)、Johnny Paloma(per)、Victor Pantoja(per)等です。

ジャズ・ファンよりもラテン・グルーヴ好きの人の方が興味深く聴くことができるかもしれませんね。

全曲紹介しときやす。

「Camel Rise」
ジャズ・ピアニストGeorge Cablesの作品。ミステリアスなミッド・チューンに仕上がっています。パーカッシヴなノリが僕好みです。

「Montara」
タイトル曲は前述の通り有名サンプリング・ソースです(Hutchersonオリジナル)。曲自体が大人のメロウ・チューンとして魅力的ですね。夜のしじまといったムードがサイコー!Hutchersonのマリンバとエレピの絡み具合がいい感じですね。

「 (Se Acabo)La Malanga」
Eddie Palmieriの演奏でお馴染み、キューバン・モードのラテン・グルーヴ(Rudy Calzado作品)。ラテン好きの人であれば素直に楽しむことができます。

「Love Song」
この曲もGeorge Cables作品。アーバン・ナイトな仕上がりがグッドです。甘すぎないシブめの雰囲気がグッド!

「Little Angel」
Mongo Santamaria『Up from the Roots』収録のヴァージョンで有名な曲ですね(Eddie Martinez作品)。「Montara」と同タイプの大人のメロウ・チューン。Hutchersonのヴァイヴにうっとりですな。

「Yuyo」
Hutchersonのオリジナル。JazzanovaがコンパイルしたMix CD『Lookin Back:Movin On』収録曲としてご存知の方も多いのでは?スピーディーな疾走感と爽快感が魅力のアップテンポなラテン・グルーヴ!

「Oye Como Va」
NYラテンの帝王Tito Puenteの名曲。Santanaのカヴァーで有名な曲ですよね(アルバム『Abraxas』収録)。Santanaヴァージョンを聴き慣れていると、アップテンポな展開に戸惑うかもしれませんね(笑)。Blue Mitchellのトランペット・ソロも抜けがいい感じです!

タイトル曲以外にも注目すると、かなり楽しめる作品だと思います。
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2008年12月02日

Murs『Murs For President』

西海岸インディーHip-Hopシーンの注目ラッパーが遂にメジャー作品をリリース☆Murs『Murs For President』
Murs for President
発表年:2008年
ez的ジャンル:西海岸系Hip-Hop
気分は... :何とか踏ん張った!

海外スポーツ大好きの僕ですが、目下の一番の関心事はNFL(アメフトのプロリーグ)です。

昨シーズンは地区最下位に甘んじた我がマイアミ・ドルフィンズが、今シーズンは第13週が終わった時点でプレイオフの可能性が残っている位置で踏ん張っています。激戦のAFC東地区ですが、逆に混戦模様になった方がドルフィンズにチャンスが巡ってくる気がします。

今日はHip-Hopファン注目の1枚。
Mursのメジャー・デビュー作『Murs For President』です。

Murs(本名Nick Carter)は1978年生まれのラッパー。MursとはMaking Underground Raw Shitの略称らしいです。

1996年頃から西海岸インディー・Hip-Hopシーンで活動を開始し、これまでソロ作品以外にSlugや9th Wonderとのコラボ・アルバムもリリースしています。

また、オークランド、ベイエリアのアーティスト集団The Living Legendsのメンバーでもあり、Living Legends名義や同じLiving LegendsのメンバーであるScarub、Elighと組んだユニット3 Melancholy Gypsys名義でも作品をリリースしています。

長年インディー・シーンで活躍してきたMursでしたが、今回Warner Brothersと契約し、遂にメジャー作品をリリースしました。Will.I.AmSnoop Doggといった大物ゲストが参加しているあたりもメジャー作品ならではでしょうか。

本作がリリースされる直前にコラボ第3作『Sweet Lord』をリリースしたばかりの9th Wonderをはじめ多彩なプロデューサー達が起用されています。

全体的に吹っ切れた痛快なHip-Hopアルバムに仕上がっています。

Kanye WestCommon等の大物作品が続々とリリースされますが、こういった作品も聴き逃さないでくださいね。

オススメ曲を紹介しときやす。

「I'm Innocent」
9th Wonderプロデュース。Common「Testify」でもお馴染みHoney Cone「Innocent 'Til Proven Guilty」ネタのソウルフルなトラックに合わせて、Mursも粘っこいフロウを聴かせてくれます。

「Lookin' Fly」
Will.I.Amをフィーチャー。Al Hirt「Theme from Green Hornet」ネタの軽快なトラックが印象的です。Keith Harris & Will.I.Amプロデュース。

「The Science」
僕の一番のお気に入り曲。妖しいフルートの調べとMursのラップの絡み具合がサイコーです!DJ Quikのスクラッチ入りです。Scoop DeVilleプロデュース。
http://jp.youtube.com/watch?v=kfwH0D9ZiF4&feature=related

「Can It Be (Half a Million Dollars and 18 Months Later) 」
Michael Jackson「I Wanna Be Where You Are」ネタで注目の1曲。Michael Jacksonの声ネタを大胆に使ったトラックは反則技ですね(笑)Scoop DeVilleプロデュース。
http://jp.youtube.com/watch?v=da8VvgCJNT8

「Everything」
James Blunt「I'll Take Everything」を大胆にサンプリングしたトラックに合わせて、Mursが印象的なフロウを聴かせてくれます。LT Moeプロデュース。
http://jp.youtube.com/watch?v=mcGVuT8btqw&feature=related

「Sooo Comfortable」
エキゾティック&エレクトロなトラックがいい感じです。Josef Leimbergプロデュース。このダラダラした感じが大好き!

「Time Is Now」
Snoop Doggをフィーチャーした話題曲。SnoopはNiggaracciとしてプロデュースも手掛けています。MursとSnoopのマイクリレーに、小洒落たピアノのループとLatoiya Williamsの女声ヴォーカルがいい感じで絡んできます。ゴスペル・タッチのコーラス隊もいい感じです。
http://jp.youtube.com/watch?v=dNe5TmYdfpA

「Think You Know Me」
チープなファンク調トラックがMursのラップを際立たせていい感じです。Nottzプロデュース。The Originals「Moment Of Truth」ネタ。

「Me and This Jawn」
Isley Brothers「For the Love of You(Part1 & 2)」ネタ。「For the Love of You(Part1 & 2)」ネタというだけで僕は満足です(笑)Nottzプロデュース。
http://jp.youtube.com/watch?v=GlcCRfZwI9s&feature=related

「Love and Appreciate II」
Tyler Woodsをフィーチャーした9th Wonderプロデュース曲。Freda Payne「Now Is the Time to Say Goodbye」をサンプリングしたソウルフル・トラックにグッときます。

「A Part of Me」
Terrace Martinプロデュース。哀愁のピアノ・ループとロック・テイストのギターが印象的です。Mursのラップにも力が入っていますな。
http://jp.youtube.com/watch?v=pBLAc01k8kI&feature=related

「Break Up (The OJ Song)」
Anthony Hamilton「Charlene」ネタの早回しトラックに合わせて、Mursの巧みなフロウを堪能できます。

関連して久々にAnthony Hamilton「Charlene」を聴きたくなりました。
Anthony Hamilton「Charlene」
http://jp.youtube.com/watch?v=Jst0qnDhQRw

「Breakthrough」
ラストは9th Wonderプロデュース曲。9th WonderのキャッチーなトラックとMursのラップは相性バッチリですね。The Main Ingredient「Just Once」ネタ。
http://jp.youtube.com/watch?v=xYFzwQbCGFQ

Hip-Hopアルバムで言えば、個人的にはEPMDの復活作『We Mean Business』も楽しみにしています。
posted by ez at 09:03| Comment(2) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月01日

Small Faces『From The Beginning』

寄せ集めだけど、カッチョ良いモッズ・アルバム☆Small Faces『From The Beginning』
From the Beginning
発表年:1967年
ez的ジャンル:元祖モッズ
気分は... :寄せ集めだけど、カッチョ良い!

久々に2日連続で更新をサボってしまいました。
土日に仕事が目一杯入ってしまうと、完全にパワー不足になってしまいますね(泣)

さて、元祖モッズ・バンドSmall Facesの2回目の登場です。
『Small Faces』(1966年)に続き紹介するのは、1967年リリースのアルバム『From The Beginning』(1967年)です。

Small Facesの2ndアルバムとなる本作はビミョーな位置づけのアルバムですね。

マネージャーやレコード会社(Decca)との対立により、グループはDeccaからImmediateへの移籍を決意します。これに慌てたDeccaが既存音源(一部新曲も含む)を編集してリリースしたアルバムが本作『From The Beginning』であり、同時期にリリースされたImmediateからの移籍第1弾アルバム『Small Faces』に対抗したかたちになりました。

グループの意向とは無関係に編集され、1st『Small Faces』からの再収録曲などもあり、寄せ集め的なアルバムの印象は拭えません。それでも『Small Faces』のモッズ・フィーリングにハマった人であれば、本作でも同様のカッチョ良さを堪能できると思います。

個人的にはSmall Facesと言えば、『Small Faces』『From The Beginning』の2枚で決まり!という気がします。

悪名高きマネージャーDon Ardenによって推進されたアイドル/ポップ路線に不満を持ち、本来の自分達のスタイルを追求するために新天地を求めた彼らですが、一方でポップ路線と彼ら本来のR&B志向がうまく融合し、キャッチーなモッズ作品になっているのが『Small Faces』『From The Beginning』だという気がします。

モッズ・ヒーローとしてのSmall Facesを聴くことができる最後のアルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「Runaway」
お馴染みDel Shannonの全米No.1ソングのカヴァー。オープニングの雄叫びは当時のマネージャーDon Ardenらしいです。パーカッシヴな仕上がりがヒップですな。

「My Mind's Eye」
UKシングル・チャート第4位となったヒット曲。フォーク・ロック的なテイストを取り入れた美しいメロディが印象的ですね。

「Yesterday, Today and Tomorrow」
「That Man」
エフェクトを駆使したサイケ・モード仕上がり。時代の流れですな。

「My Way of Giving」
この曲はImmediateからの『Small Faces』にも収録されています。
http://jp.youtube.com/watch?v=BeiWo1h-3b0&feature=related

「Hey Girl」
UKシングル・チャート第10位となったヒット曲。ポップな味わいとR&Bテイストのバランスがいい感じ!

「(Tell Me) Have You Ever Seen Me」
この曲もImmediateからの『Small Faces』にも収録されています。従来のSmall Facesのカッチョ良さを残しつつ、新たな側面を聴かせてくれる仕上がりですね。

「Take This Hurt off Me」
Don Covayのカヴァー。この手のカヴァーは実にハマりますね。

「All or Nothing」
UKシングル・チャートNo.1となった大ヒット曲。Small Faces唯一のNo.1ヒットですね。哀愁のメロディとMarriottのソウルフルのヴォーカルがサイコーです!名曲!
http://jp.youtube.com/watch?v=WOAs7qLMZJA&feature=related

「Baby Don't You Do It」
Marvin Gayeの1964年のヒット曲のカヴァー。Small FacesのみならずThe Whoも同時期にカヴァーしていました。その意味ではモッズ・クラシックと呼べる曲ですね。オリジナル曲も好きですが、個人的にはこうしたR&Bカヴァーにグッときてしまいましね。

Marvin Gayeのオリジナル、Small Faces、The Whoのヴァージョンを聴き比べるのも楽しいのでは?

Marvin Gaye「Baby Don't You Do It」
http://jp.youtube.com/watch?v=ck9rFmi3gZ4&feature=related
Small Faces「Baby Don't You Do It」
http://jp.youtube.com/watch?v=-nYGk5HEF-A&feature=related
The Who「Baby Don't You Do It」
http://jp.youtube.com/watch?v=EzRumslHuY8&feature=related

「Plum Nellie」
R&Bテイスト溢れるインスト曲。

「Sha-La-La-La-Lee」
『Small Faces』からのヒット曲の再収録です。最近、スズキの軽自動車ラパン(Lapin)のCMで本曲が流れていますね。
http://jp.youtube.com/watch?v=2nbZiAdfE5Q

「You've Really Got a Hold on Me」
Smokey Robinson & The Miracles、1962年のヒット曲カヴァー。Beatlesのカヴァーでもお馴染みの曲ですね。個人的にはBeatlesヴァージョン以上にカッチョ良いと思います。Marriottのヴォーカルが絶品ですな。

「What'cha Gonna Do About It?」
『Small Faces』からの再収録です。以前にも書いたようにSolomon Burkeの「Everybody Needs Somebody to Love」のリズムパターンを拝借したドライブ感がたまりませんね。

この後、グループはImmediateから『Small Faces』に続き、コンセプト・アルバム『Ogdens' Nut Gone Flake』をリリースすることになります。
posted by ez at 11:31| Comment(2) | TrackBack(4) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする