発表年:1975年
ez的ジャンル:ラテン系ジャズ・ヴァイヴ
気分は... :単品だけではなく全体で楽しめまっせ!
Jazzシーンを代表するヴァイヴ奏者Bobby Hutchersonの3回目の登場です。
『Happenings』(1966年)、『Stick-Up!』(1966年)に続いて紹介するのは、1975年リリースの作品『Montara』です。
『San Francsico』(1970年)と『Montara』(1975年)のどちらにしようか迷った末、後者を選びました。『San Francsico』の方が冬っぽいですけどね(笑)
Bobby Hutchersonと言えば、どうしても60年代が絶頂期で70年代は低迷期というのがジャズ・ファンの評価かもしれませんね。70年代の作品はむしろジャズ・ファン以外からの評価が高いかもしれませんね。
今日紹介する『Montara』(1975年)もそんな作品の代表格だと思います。ジャズ・ファン以上にHip-Hopファンからの評価が高い作品ですね。
その理由はタイトル曲「Montara」が、スチャダラパー「サマージャム '95」をはじめ、Precise Hero「Upswing Social」、K-Otix「Falling Behind II」、L.「Check The Flow」、Brian Green「That's Right」、John Forty「Vernal Sunshine」、The Roots「Montara(Remix)」、Madlib「Montara(Madlib Remix)」等数多くのHip-Hopアーティストに取り上げられているからです。
Bobby Hutcherson「Montara」
http://jp.youtube.com/watch?v=riYBxOjLK2w
スチャダラパー「サマージャム '95」
http://jp.youtube.com/watch?v=I5phkgaAQj4
Precise Hero「Upswing Social」
http://jp.youtube.com/watch?v=E-Z2JoiMLSo
K-Otix「Falling Behind II」
http://jp.youtube.com/watch?v=51HBw5L6Tf4
L.「Check The Flow」
http://jp.youtube.com/watch?v=CFCQNiP_bOk
Brian Green「That's Right」
http://jp.youtube.com/watch?v=TECdgJKvdhE
The Roots「Montara(Remix)」
http://jp.youtube.com/watch?v=aS39Gkfz81A
Madlib「Montara(Madlib Remix)」
http://jp.youtube.com/watch?v=po_mA52c0Hc&feature=related
ただし、有名サンプリング・ネタが収録されているのはアルバムの楽しみ方の一部であり、基本はアルバム全体が魅力的であるというのが紹介している理由です。先週紹介したThe Incredible Bongo Band『Bongo Rock』も同様です。
本作『Montara』で言えば、アルバム全体を貫くラテン・フレイヴァーがいいですね。
メンバーはBobby Hutcherson(vib、marimba)以下、Blue Mitchell(tp)、Oscar Brashear(tp)、Ernie Watts(ts、fl)、Plas Johnson(ss、fl)、Dennis Budimir(g)、Larry Nash(key)、Eddie Cano(key)、Chuck Domanico(b)、Dave Troncoso(b)、Harvey Mason(ds)、Ralph McDonald(per)、Willie Bobo(per)、Johnny Paloma(per)、Victor Pantoja(per)等です。
ジャズ・ファンよりもラテン・グルーヴ好きの人の方が興味深く聴くことができるかもしれませんね。
全曲紹介しときやす。
「Camel Rise」
ジャズ・ピアニストGeorge Cablesの作品。ミステリアスなミッド・チューンに仕上がっています。パーカッシヴなノリが僕好みです。
「Montara」
タイトル曲は前述の通り有名サンプリング・ソースです(Hutchersonオリジナル)。曲自体が大人のメロウ・チューンとして魅力的ですね。夜のしじまといったムードがサイコー!Hutchersonのマリンバとエレピの絡み具合がいい感じですね。
「 (Se Acabo)La Malanga」
Eddie Palmieriの演奏でお馴染み、キューバン・モードのラテン・グルーヴ(Rudy Calzado作品)。ラテン好きの人であれば素直に楽しむことができます。
「Love Song」
この曲もGeorge Cables作品。アーバン・ナイトな仕上がりがグッドです。甘すぎないシブめの雰囲気がグッド!
「Little Angel」
Mongo Santamaria『Up from the Roots』収録のヴァージョンで有名な曲ですね(Eddie Martinez作品)。「Montara」と同タイプの大人のメロウ・チューン。Hutchersonのヴァイヴにうっとりですな。
「Yuyo」
Hutchersonのオリジナル。JazzanovaがコンパイルしたMix CD『Lookin Back:Movin On』収録曲としてご存知の方も多いのでは?スピーディーな疾走感と爽快感が魅力のアップテンポなラテン・グルーヴ!
「Oye Como Va」
NYラテンの帝王Tito Puenteの名曲。Santanaのカヴァーで有名な曲ですよね(アルバム『Abraxas』収録)。Santanaヴァージョンを聴き慣れていると、アップテンポな展開に戸惑うかもしれませんね(笑)。Blue Mitchellのトランペット・ソロも抜けがいい感じです!
タイトル曲以外にも注目すると、かなり楽しめる作品だと思います。