録音年:1972年
ez的ジャンル:ファンキー・オルガン・ジャズ
気分は... :今年はどんな音楽を聴こうかなぁ?
毎年、年明けに今年はどんな音楽を聴こうかなぁ?と考えます。
ここ数年は基本的にR&B/Hip-Hopの新譜を中心に聴いてきましたが、今年は自分の気分として、クラブ・ジャズ/クロスオーヴァー、ブラジル、ラテンあたりを聴く頻度が多くなる気がします。R&Bは女性シンガーの充実作を聴きたいですね。Hip-Hopはアングラ・シーンから掘り出しものを見つけるのが楽しみです。
ロックの話題が全く出てこないのが今の僕の嗜好を反映しているのかもしれません。でも、全くロックに興味がないわけではないんですよ(笑)。例えばThe Mars Voltaあたりは機会があれば全作品制覇したいし、ロックの枠に収まらないロック作品に期待はしています!
ジャズ・オルガンの神様Jimmy Smith(1925-2005年)の2回目の登場です。
『Crazy! Baby』(1960年)に続き紹介するのは、1972年発表のライブ・アルバム『Root Down』です。
僕の場合、『The Sermon!』(1958年)、『Midnight Special』(1960年)、『Back At The Chicken Shack』(1960年)、『Crazy! Baby』(1960年)、『I'm Movin' On』(1963年)、『The Cat』(1964年)、『Dynamic Duo』(With Wes Montgomery)(1966年)といった50年代後半から60年代後半の作品を中心に聴いてきました。
ただし、ジャズ好き以外の人であれば本作『Root Down』の方が聴きやすいかもしれませんね。特に70年代ソウル・ファン、70年代のエレクトリック・マイルスやジャズ・ファンク好きの方が一番フィットする作品だと思います。
本作におけるメンバーは、Jimmy Smith(org)、Arthur Adams(g)、Wilton Felder(b)、Paul Humphrey(ds)、Buck Clarke(per)、Steve Williams(hca)というラインナップです。CrusadersのWilton Felderの参加が目を引きますね。
ジャケ写真同様、演奏もカッコ良くキメてくれます。
オルガン・グルーヴ極めつけの1枚だと思います!
全曲紹介しときやす。
「Sagg Shootin' His Arrow」
僕のオススメその1。オープニングからファンクネス十分のオルガン・グルーヴを堪能できます。個人的にはタイトル曲、「Slow Down Sagg」と並ぶ本作のハイライトだと思います。同時期のMiles Davis作品のファンク・グルーヴが好きな方ならば気に入ると思います。不穏な空気を醸し出す重心の低いファンク・グルーヴの中でSmithのハモンドが唸りを上げて駆け巡ります!Arthur Adamsのワウワウ・ギターもカッチョ良いですね。Smithのオリジナル。
http://jp.youtube.com/watch?v=O9n-eYidtPk
「For Everyone Under the Sun」
Peter Chase作のバラードをソウルフルなテイストで聴かせてくれます。パーカッシヴながらも抑えたバッキングの中でSmithのハモンド・ソロを堪能できます。しみじみと腹にしみてくる感じが好きですね!
「After Hours」
1940年にピアニストAvery ParrishがErskine Hawkins Orchestraのために書いた曲です。Glenn Miller、Dizzy Gillespie、Woody Herman、Ray Bryant等も数多くのアーティストがレコーディングしています。ここではブルージーにキメてくれます。Steve Williamsのハーモニカがシブすぎますな。
「Root Down (And Get It) 」
僕のオススメその2。やはり本作のハイライトはこのタイトル曲(Smithのオリジナル)なのでは?最高にファンキーなオルガン・グルーヴを満喫しましょう。
Hip-Hopファンにとって本曲はBeastie Boys『Root Down』(アルバム『Ill Communication』収録)の元ネタとして有名ですね。それ以外に3rd Bass「Steppin' To The A.M.」でもサンプリングされています。
Beastie Boys『Root Down』
http://jp.youtube.com/watch?v=XUrBt0VSjlA
「Let's Stay Together」
僕のオススメその3。ご存知Al Greenの全米チャートNo.1ヒットのカヴァー。メロディが流れた瞬間、オーディエンスから歓声が起こるのが臨場感あっていいですね。オリジナルのソウルフルな雰囲気を損なわずにSmithならではのオルガン・グルーヴを聴かせてくれます。
「Slow Down Sagg」
僕のオススメその4。ラストはSmithオリジナルのファンキー・チューン。「Sagg Shootin' His Arrow」同様ファンクネス溢れるグルーヴでヒート・アップしまくり!スロウダウンなど全くせずにアゲアゲで突っ走ってくれます(笑)
ジャズ・ミュージシャンと言えば、昨年末にトランペット奏者Freddie Hubbardが亡くなってしまいましたね。当ブログでも『Hub Tones』、『Breaking Point』といった作品を紹介しましたが、僕にとっては洋楽を聴き始めて間もない頃に聴いたBilly Joel「Zanzibar」でのプレイが鮮烈でした。謹んでご冥福をお祈りいたします。