発表年:1969年
ez的ジャンル:エモーショナル女性シンガーソングライター
気分は... :この迫力に圧倒されます!
Laura Nyroの2回目の紹介です。
『Eli And The Thirteenth Confession(イーライと13番目の懺悔)』(1968年)に続いて紹介するのは、『New York Tendaberry』(1969年)です。
『Eli And The Thirteenth Confession』と並び、Lauraの代表作として語られることの多い『New York Tendaberry』ですが、両者はかなり異なる印象を受けます。
『Eli And The Thirteenth Confession』が黒人音楽に傾倒していたというLauraのルーツがよく伝わってくる"楽しい"アルバムだとすれば、『New York Tendaberry』はLauraの心情を生々しくさらけ出した"孤高"のアルバムという感じでしょうか。音楽的にも前者がスタイリッシュでエキセントリックなサウンドを聴かせてくれていたのに対して、後者はバックは最低限のシンプルな演奏に止めてLauraの歌をじっくり聴かせる作りになっています。
個人的には『Eli And The Thirteenth Confession』が圧倒的に好きですが、シンガーソングライターLaura Nyroの本質に迫るためには『New York Tendaberry』をしっかり聴き込まないといけないのかもしれませんね。
バックがこれだけシンプルであるにも関わらず、これだけ豊かな音楽表現ができるという点に驚かされます。あとは魂のヴォーカルの魅力ですね。その生々しさ、迫力・臨場感に圧倒されてしまいます。これだけヴォーカルが音空間を完璧に支配しているアルバムも少ないのでは?
N.Y.の寒空の下で目を閉じるLauraの表情が、そのまま歌になったような感情剥き出しのアルバムです。
Lauraの心の叫びが聴く者の魂を揺さぶりますよ!
全曲紹介しときやす。
「You Don't Love Me When I Cry」
まさに心の叫びといった感じのオープニング。恋人に去られたやるせない心情が剥き出しで迫ってきます。ジャケ写真そのままの孤独で寂しい雰囲気です。
「Captain for Dark Mornings」
表現力豊かなLaura Nyroのヴォーカルの魅力を堪能できる1曲。一瞬にして張り詰めた空気感をもたらすLaura Nyroのヴォーカルにハッとします。Tuck & Pattiがカヴァーしています。
「Tom Cat Goodbye」
静と動を行き来するLauraらしい1曲。このテンポのアップダウンを聴くと、Lauraファンはニンマリしてしまうのでは?
「Mercy on Broadway」
N.Y.らしい雰囲気が漂う1曲ですね。地味ながらも、なかなか洒落た仕上がりだと思います。
「Save the Country」
The Fifth Dimensionのカヴァーでもお馴染みの1曲ですね。親しみやすい軽快なメロディとメッセージ性の高い歌詞を持つ名曲ですね。中盤から終盤にかけての迫力あるサウンドもいいですね。Fifth Dimension以外にJulie Driscoll,Brian Auger & The Trinity、Thelma Houston、George Dukeもカヴァーしています。
Laura Nyro「Save the Country」
http://jp.youtube.com/watch?v=19bUcrWwXJg
The Fifth Dimension「Save the Country」
http://jp.youtube.com/watch?v=pTuwAo5sUik
「Gibsom Street」
ミステリアスな歌詞が印象的です。この曲でもLauraらしい静と動の行き来を堪能できます。
「Time and Love」
「Save the Country」と並んで有名な曲ですね。Labelle、Barbra Streisand、The Supremes、Diana Ross、Free Design、Kenny Rankin等がカヴァーしています。本作の中では一番ポップで親しみやすい曲かもしれませんね。
Laura Nyro「Time and Love」
http://jp.youtube.com/watch?v=oHZsAV2b5vQ
Barbra Streisand「Time and Love」
http://jp.youtube.com/watch?v=cATxVqHQWPU
Diana Ross「Time and Love」
http://jp.youtube.com/watch?v=WiJy-vIPLAQ
「The Man Who Sends Me Home」
ピアノの弾き語りによるバラード。個人的にはアルバムで一番グッときますね。バックがシンプルなだけにLauraの切々とした歌がダイレクトに伝わってくる感じがいいですね。
「Sweet Lovin' Baby」
この曲もLauraの叫びが剥き出しで伝わってきます。この生々しさはLauraにしか表現できないでしょうね。
「Captain Saint Lucifer」
「The Man Who Sends Me Home」と並ぶお気に入り曲。様々な表情に変化するLauraの音楽の自由さを楽しむことができます。
「New York Tendaberry」
エンディングはLauraのN.Y.への想いがひしひしと伝わってきます。
聴いた後に、鍋と熱燗を欲するアルバムですね(笑)