発表年:1975年
ez的ジャンル:豪華ゲスト系クロスオーヴァー/ロック
気分は... :やさしい嘘は許してね...
久々にSteely Danの紹介です。
これまで当ブログで紹介してきたSteely Dan関連作品は以下のとおりです。
『Pretzel Logic』(1974年)
『Aja』(1977年)
『Gaucho』(1980年)
Donald Fagen『The Nightfly』(1982年)
Walter Becker『11 Tracks Of Whack』(1994年)
今日紹介するのは4thアルバム『Katy Lied(邦題:うそつきケイティ)』(1975年)です。
次作『The Royal Scam』(1976年)から、一流ミュージシャンを豪華に使った完璧なレコーディングにより、都会的なスタイリッシュ・サウンドを聴かせてくれる後期Steely Danが本格的にスタートしますが、グループをそうした方向へ導く布石となった作品が本作『Katy Lied』だと思います。
前作『Pretzel Logic』のメンバーからJeff Baxter(g) 、Jim Hodder(ds)の二人が抜け、新たにJeff Porcaro(ds)、
Michael McDonald(back vo)が加わりました。
結果、Donald Fagen(p、key、vo)、Walter Becker(b、g、vo)、Denny Dias(g)の3人に新加入の2人を加えた5名が(形式上の)バンド・メンバーということになります。実質的には、『Pretzel Logic』の時点でバンドとしてのSteely Danは崩壊していましたが...
プロデューサーGary Katz、 エンジニアRoger Nicholsはいつも通り。ゲスト・ミュージシャンは、Larry Carlton(g)、Rick Derringer(g)、Hugh McCracken(g)、Dean Parks(g)、Elliott Randall(g)、Michael Omartian(key)、David Paich(key)、Wilton Felder(b)、Chuck Rainey(b)、Hal Blaine(ds)、Jimmie Haskell(horn)、Bill Perkins(horn)、Phil Woods(sax)、Myrna Matthews(back vo)、 Sherlie Matthews(back vo)、Carolyn Willis(back vo) といったメンバーが名を連ねます。
まだまだ曲によって仕上がりにバラツキがありますが、後期Steely Danを予感される楽曲、サウンドを数多く聴くことができます。過渡期の面白さこそが本作の魅力なのでは?
この気色悪い昆虫ジャケもSteely Danらしいですね。
ちなみにこのジャケを手掛けたのは当時FagenのガールフレンドDorothy White。
ファンの方はご存知の通り、本作のミックス・ダウン時にトラブルが発生し、リリースされた作品は必ずしもメンバーの満足するサウンドではありませんでした。そうした経緯もグループをより完璧なレコーディングへと向かわせたのかもしれませんね。
一般的には印象の薄いアルバムかもしれませんが、Steely Dan作品を一通り聴くと最終的にこのアルバムあたりに行き着くのではと思います。
全曲紹介しときやす。
「Black Friday」
僕のお気に入り1。アルバムからの1stシングルにもなりました。タイトなロック・チューンながらも、後期Steely Danを予感させる洗練された仕上がりになっています。Jeff Porcaroによるタイトなリズム、Walter Becker驚きの(?)ギター・ソロ、Donald Fagenのヴォーカルに絡むMichael McDonaldのコーラス等々聴きどころ満載のオープニングです。
http://jp.youtube.com/watch?v=Y6FzvWjQ_A0
「Bad Sneakers」
僕のお気に入り2。この曲もシングルになりました。Steely Danらしく、親しみやすいやすいけど軽くひねりが効いてメロディがいい感じですね。ここでもWalter BeckerがMichael Omartianのピアノの従えてギター・ソロをばっちりキメてくれます。Beckerやるねぇ!Fagenも字余りヴォーカルに絡むMichael McDonaldのコーラスもグッド!
http://jp.youtube.com/watch?v=R_fdJNeLlIs
「Rose Darling」
Steely Danらしいクセのあるメロディ&ヴォーカルが魅力の1曲。この曲で聴けるギター・サウンドはDean Parksによるもの。
「Daddy Don't Live in That New York City No More」
僕のお気に入り3。洗練されたブルース・チューン。ブルースが苦手な方もこのサウンドならばすんなり聴けるのでは?後期Steely Danを予感させる完成度の高い仕上がりですね。Larry Carltonのギター・プレイに耳を傾けましょう。
http://jp.youtube.com/watch?v=2Imdl_Qmt-o&feature=related
「Doctor Wu」
僕のお気に入り4。アルバム・タイトルにもなっている"Katy lied"という歌詞が登場する曲。この曲をハイライトとして挙げる方も多いのでは?僕も一番のお気に入り曲です。ちなみにDr. Wuとは当時Walter Beckerが診てもらっていた東洋医学の先生のことなのだとか。この曲もSteely Danらしいメロディを堪能できますし、サウンドも後期Steely Danの原型といった感じがします。Phil Woodsが素敵なサックス・ソロを聴かせてくれます。
http://jp.youtube.com/watch?v=ofhDF9ltv0M&feature=related
「Everyone's Gone to the Movies」
トロピカル・モードの仕上がりはアルバムの中でも少し異質な感じですね。
「Your Gold Teeth, Pt. 2」
2ndアルバム『Countdown to Ecstasy』収録の「Your Gold Teeth」のパート2です。レコーディングにかなり苦労した曲のようですがね。ワルツ調のリズムが実に小粋です。ここではようやくDenny Diasのギターがスポットを浴びます。俺だってSteely Danなんだぞ〜!
「Chain Lightning」
思い切りブルースしている曲なのですが、Fagenのヴォーカルが入ると都会的な雰囲気に聴こえてしまうから不思議ですね。ここではRick Derringerがギター・ソロを聴かせてくれます。
「Any World (That I'm Welcome To) 」
ここではHal Blaineがドラムを担当しています。この曲は初期〜中期の雰囲気がする仕上がりですね。そのせいかMichael McDonaldのコーラスが目立つのにあまり都会的な雰囲気を感じません。
「Throw Back the Little Ones」
(良い意味で)ヘンテコな雰囲気の仕上がりですね。説明するのが難しいけど面白い展開です(笑)
新加入のJeff Porcaro、
Michael McDonaldは共に本作1枚のみでグループを去ります。
そして次作『The Royal Scam』(1976年)からグループは本格的にDonald FagenとWalter Beckerによるレコーディング・ユニットへ変身していきます。
間もなくオバマ大統領の就任式ですね。
歴史的出来事ですから生放送で就任式から就任パレードまで見届けようと思います。