2009年02月22日

Daniela Und Ann『Samba-Soul-Beat in Black & White』

ガールズ・ソフトロック/ボッサの激レア盤がまさかのリイシュー!☆Daniela Und Ann『Samba-Soul-Beat in Black & White』
Samba Soul Beat in Black and White
発表年:1969年
ez的ジャンル:ドイツ産超キュート!ガールズ・ポップデュオ
気分は... :死ぬほどオシャレ!死ぬほどキュート!

最近の僕のお気に入りTV番組の1つがWOWOWで土曜深夜に放送している『プロジェクト・ランウェイ/NYデザイナーズバトル』です。

現在放送しているのはシーズン4ですが、シーズン1から殆ど欠かさず観ています。

観ていない方のために簡単に説明すると、全米各地のオーディションで選ばれた無名デザイナーによる勝ち抜きバトルの番組です。毎回与えられたテーマに基づき服を制作し、有名デザイナー、ファッション雑誌編集長から審査を受けるという流れです。

僕がこの番組を好きな理由は、ファッション制作を介して、参加デザイナーのアイデア発想(Plan)とそれを形に仕上げる過程(Do)、審査員側の評価(Check)、勝者の次週に向けた改善(Action)というPDCAサイクルを見ることができる点ですね。

勝ち抜くためには、与えられたテーマやクライアントのニーズにしっかり対応しつつ、自分らしいデザインで個性をアピールしなければなりません。僕の好きな言葉で表現すれば、「相手軸」と「自分軸」をうまくリンクできているデザイナーが勝ち上がるって感じですね。これって音楽の選曲センスにも言えることですが...

ファッションに限らずビジネスの本質が見えてくる番組だと思います。

さて、そんな流れで今日はファッショナブルな作品をセレクトしてみました!
ということで、ドイツのガールズ・デュオDaniela Und Annによる1969年の作品『Samba-Soul-Beat in Black & White』です。

今年購入したCDの中で一番多く聴いている作品ですね。
これにハマったせいで、なかなか新譜に食指が動かない状態です(笑)。

Daniela Und Annは黒人のAnn(当時19歳)と白人のDaniela(当時18歳)からなる、まさにBlack & Whiteなドイツのガールズ・デュオ。

ドイツの大物ジャズ・プロデューサーHans Wewerkaが送り出したガールズ・デュオのようです。Dusko Goykovich(tp)、Olaf Kuebler(ts)、Siegfried Schwab(Sitar)等の名うてのミュージシャンがバックを務めています。

もしかしたら、ドイツ産のグループということでドイツ語の歌詞に不安を抱く方がいるかもそれませんが、基本的には英語の歌詞が多いので特に気になりません。

僕は購入するまで本作の存在を知りませんでしたが、ソフト・ロック・マニアの方の間では激レア盤としてCD化が待望されていた作品のようですね。

まずはこのオシャレなジャケにヤラれますよね。
僕の場合、CDショップでこのジャケを目にした瞬間、音も聴いていないのに購入したい衝動に駆られていました。そして、実際に音を聴いたら、ジャケ・イメージをさらに上回るオシャレな内容に正直ぶったまげましたね。

ソフト・ロック、ボサノヴァ、ラウンジ、ジャズ、ソウル、サイケといった要素をキュートでオシャレなガールズ・ポップにまとめ上げたという感じです。全体的にはボッサ・テイストが強いですね。実際、僕はCDショップのブラジル音楽コーナーで本作に出会いました。

某CD/レコード・ショップのサイトで本作を称して、
"死ぬほどオシャレ!死ぬほどキュート!死ぬほどポップ!"
と形容していました。

まさにそんな1枚だと思います。
聴きすぎて、僕はもう死にそう(笑)

全曲紹介しときやす。

「Somebody Somebody」
僕のオススメその1。このオープニングを聴いた途端に一発KOされてしまいました。ジャケのイメージそのままのキュート&スタイリッシュなガールズ・ポップ。60年代ならではのオシャレ感覚が見事に反映された1曲だと思います。Siegfried Schwabによるシタールもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=AxHlhntevGc

「Life Is Nothing But A Dream」
ボッサなソフト・ロック・チューン。爽快モードの中の哀愁感がいい感じです。ソフト・ロック好きの方ならば気に入ると思います。

「Je Moro Mi」
CDのボーナス・トラック。「All My Love Is Gone」のインスト・バージョンです。

「The Pain In My Heart」
僕のオススメその2。Dusko Goykovichのカヴァー。Goykovichはボスニア出身のトランペット奏者であり、本ヴァージョンではGoykovich自身も演奏に参加しています。ブラジル音楽好きの方が歓喜する哀愁ボッサ・チューンに仕上がっています。この曲におけるDaniela & Annのヴォーカルはかなり大人な感じで曲の雰囲気にピッタリです。Goykovichのトランペットも堪能できて文句ナシの出来栄えです。

「The Reason Why」
僕のオススメその3。ブラジリアン・フレイヴァー全開のスタイリッシュな仕上がり。センス抜群とはまさにこんな演奏なのでは?カフェ・ミュージック好きの方も気に入る1曲だと思います。

「La Samba D'Orphee」
僕のオススメその4。映画『Orfeu Negro(黒いオルフェ)』収録曲としてお馴染みの「オルフェのサンバ」(Luiz Bonfa作)のカヴァー。もちろんブラジリアン・フレイヴァー全開です。何よりも二人のロリロリ・モードのスキャット&ヴォーカルに野郎どもは卒倒すること間違いナシ(笑)

「No Mo Mi Sabi」
僕のオススメその5。キュートなガールズ・モード全開のボッサなポップ・チューン。バックのジャズ・ボッサな演奏も実に小粋でいいですな。

「All My Love Is Gone」
僕のオススメその6。アルバムの中でも異色なサイケ・モードの1曲。前2曲のロリ・モードとはうって変わり、大人の妖艶モードのヴォーカルがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=fpFx8ElBGto

「Aruba」
アダルト・モードのボッサな哀愁ソフト・ロック。Olaf Kueblerのサックスがいい感じです。

「A Man And His Girlfriend」
僕のオススメその7。エレガント&キュート&ボッサなポップ・チューン。オシャレ・モードのガールズ・ポップ好きの人ならば歓喜する1曲なのでは?あえてラフでぶっらぼうに歌っているヴォーカルと、それに絡むエレガントなハープ&フルートの音色のコントラストがお見事です!
http://www.youtube.com/watch?v=Af5_dMriSL0

「Mi Lobo Mi Libi」
CDのボーナス・トラック。「Life Is Nothing But A Dream」のインスト・バージョンです。

「When I Look At You」
僕のオススメその8。ソフト・ロック好きにはたまらない軽快なスウィンギー・チューン。Siegfried Schwabのシタールがムードも盛り上げてくれます。

最近、新旧問わずボッサなアルバムや曲を聴くことが多いです。
きっと僕のマインドがボッサ・モードなのでしょうね。
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2009年02月21日

Digable Planets『Blowout Comb』

ラスト・アルバムとなった2nd。ジャジーHip-Hopの方はぜひ!☆Digable Planets『Blowout Comb』
Blowout Comb
発表年:1994年
ez的ジャンル:オシャレな知的ジャジーHip-Hop
気分は... :画像メンテ大変だったぁ!

昨日、過去記事の画像を一気にメンテナンスしていました。
当ブログの場合、Amazonの画像とリンクしていますが、リンク切れで画像がきちんと表示されない記事が相当あったもので...

記事数が1,000本以上あるのでチェックするだけでも一苦労でした。やはり、こういった作業はこまめにやっておかないとダメですね。何事もまめさが大事ですな。

さて、今日は90年代Hip-Hop好きには忘れられないユニットDigable Planetsの2回目の登場です。

デビューアルバム『Reachin'』(1993年)に続いて紹介するのは、2ndアルバムでありラスト・アルバムである『Blowout Comb』です。

Butterfly(蝶)、Ladybug(てんとう虫)、Doodlebug(蟻地獄)という男2女1の3人組は、グラミー賞をゲットしたデビューアルバム『Reachin'』(1993年)の勢いに乗って、2ndアルバムとなる本作『Blowout Comb』となるリリースしますが、セールス不振で1996年には解散してしまいます。

虫の命のようにDigable Planetsの活動期間は非常に短命でしたが、生演奏を多用したスタイリッシュなジャジーHip-Hopという点で非常に大きなインパクトを残したHip-Hopユニットであったと思います。

ティーンというより大人がスーツ姿で聴くHip-Hopといった感じが好きでしたね。Lauryn Hillを擁したFugeesのように、紅一点のメンバーLadybugがいるおかげでソフトかつ華やかな雰囲気があるの魅力でした。

一般にはデビュー作『Reachin'』の人気が圧倒的に高いと思いますが、この2ndも地味ながらも極上のジャジーHip-Hopを聴かせてくれます。

ゲストとしてGuruGang Starr)、Jeru The Damajaらが参加しています。

必ずしもコアなHip-Hopファンが聴くとビミョーかもしれませんが、このスタイリッシュなジャジー感はオシャレ音楽好きな日本人の感性にはフィットしていると思います。

全曲紹介しときやす。

「The May 4th Movement Starring Doodlebug」
ATCQあたりに通じる浮遊感溢れるトラックが気持ちいいオープニング。

「Black Ego」
僕のオススメその1。The Meters「Here Comes The Meter Man」をサンプリングしたトラックに、Grant Green「Luanna's Theme」ネタのギターが絡むメロウ&クールな仕上がりがいいですね。Digable Planetsらしい知的なオシャレ感覚Hip-Hopといった感じですな。
http://www.youtube.com/watch?v=VQuyFfu1QRQ

「Dog It」
心地好い生演奏を中心にした、まさにジャジーなHip-Hop。最近のアングラ・ジャジーHip-Hopがお好きな人ならば気に入ると思います。The Headhunters「God Made Me Funky」ネタ。

「Jettin'」
僕のオススメその2。Bob James「Blue Lick」ネタのDave Darlingtonによるエレピが何とも気持ちいいメロウ・トラックがサイコーですね。そんなメロウな音空間を浮遊するメンバーのフロウも実にマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=TwIw97S6SYU

「Borough Check」
僕のオススメその3。Guru(Gang Starr)をフィーチャー。当時ジャズとHip-Hopの融合を試みたJazzmatazzプロジェクトを手掛けていたGuruとDigable Planetsの共演は実に自然な感じですね。本曲ではRoy Ayers「We Live In Brooklyn, Baby」ネタの不穏な雰囲気のトラックをバックに、Guruらしい少しハスキーなフロウを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=obOIA-zo1SI

「Highing Fly」
インタールード的な小品。小気味良いトラックはもっと長く聴いていたい気分!

「Dial 7 (Axioms of Creamy Spies) 」
僕のオススメその4。アルバムからの2ndシングルであり、Sarah Webbの女性ヴォーカルをフィーチャーしています。Tavares「Bad Times」ネタのトラックに、ヴォーカル&ラップ、ジャジーな上モノが絡んできます。Sarah Webbのキュートなヴォーカルにヤラれてしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=gfzuNeVCpwg

「Art of Easing」
Bobbi Humphrey「Blacks and Blues」ネタのトラックがグッド!

「K.B.'s Alley(Mood Dudes Groove)」
ホーン隊とスペイシーなキーボードを中心にした小品。

「Graffiti」
僕のオススメその5。Jeru The Damajaをフィーチャー。Jeru The DamajaとDigable Planetsという組み合わせが意外ですよね。Roy Ayers「Slow Motion」ネタのベースラインが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=mPRm3JXxMfU

「Blowing Down」
僕のオススメその6。Bobbi Humphrey「Jasper Country Man」ネタのトラックにメロウな上ものが絡む、ジャジーHip-Hop好きにはたまらない仕上がりだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=QJPWCoQzQjM

「9th Wonder (Blackitolism)」
僕のオススメその7。アルバムからの1stシングルとなった本曲が一般的にはハイライトでしょうね。Grandmaster Flash & The Furious Five「Supperrappin' Theme」、The JB's「Blow Your Head」、Ohio Players「Love Rollercoaster」Donny Hathaway「Magnificent Sanctuary Band」ネタ。Jazzy Joyceをフィーチャー。
http://www.youtube.com/watch?v=BTov9ZW4gY4

「For Corners」
僕のオススメその8。Monica Payneをフィーチャー。一番のお気に入り曲です。アーバン&スタイリッシュ&メロウな極上ジャジー・チューン。Skull Snaps「It's A New Day」ネタのリズムに、Shuggie Otis「Island Letter」ネタのメロウな上ものが乗っかり、Roy Ayers「Ebony Blaze」ネタのホーン隊が絡んできます。Monica Payneの舌足らずなヴォーカルも実にキュート!
http://www.youtube.com/watch?v=Mn-qn1yZGuU

画像をメンテしながら過去記事を最初から眺めてみると、ブログ開設から約3年半の間に自分の音楽嗜好がビミョーに変化していることに気付きました。特定ジャンルに縛られて音楽を聴くことが嫌いな僕らしいかもしれませんね。
posted by ez at 03:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月20日

Maria Rita『Maria Rita』

Elis Reginaの娘のデビュー作。第5回ラテングラミー賞「ベストMPBアルバム」受賞☆Maria Rita『Maria Rita』
Maria Rita
発表年:2003年
ez的ジャンル:新世代MPB
気分は... :もうすぐリオのカーニバル!

日本では相変わらず寒い日が続きますが、地球の裏側のブラジルではもうすぐリオのカーニバルが始まります。そんなことも手伝って、ここ1週間ほどブラジル音楽を聴く頻度が高くなっています。

ということで、Elis Reginaの娘Maria Ritaの2回目の登場です。

3rdアルバム『Samba Meu』(2007年)に続いて紹介するのは、デビューアルバム『Maria Rita』(2003年)です。

ブラジルの国民的女性シンガーであった故>Elis Reginaと名ピアニストCesar Camargo Marianoの娘として1977年サンパウロで生まれたMaria Ritaは、これまで1st『Maria Rita』(2003年)、2nd『Segundo』(2005年)、3rd『Samba Meu』(2007年)という3枚のアルバムをリリースしています。

前回紹介した3rdアルバム『Samba Meu』(2007年)は『ezが選ぶ2007年の10枚』にセレクトしたほどのお気に入りアルバムでした。このアルバムのおかげで僕のブラジル音楽への興味が久々に高まったと言っても過言ではありません。

サンバ・アルバムでカラフルな印象の『Samba Meu』と比較した場合、今日紹介するデビューアルバム『Maria Rita』は一聴すると少し地味な印象かもしれません。ジャケも少しオバちゃんぽいイメージだし(笑)

しかしながら、聴けば聴くほど味わい深くなり、ずっぽりMaria Ritaワールドにハマるアルバムだと思います。全体的にジャズ・テイストの演奏をバックに様々な表情を見せるMariaのヴォーカルの素晴らしさに魅了されるはずです。

また、母Elis Reginaと縁のあるMilton NascimentoRita Leeや、人気ロックバンドLos HermanosのリーダーMarcelo Camelo、シーンを牽引するトップランナーLenineといった楽曲提供者の顔ぶれを見るだけで、ブラジル音楽ファンはもグッとくるのでは?

本作は、第5回ラテングラミー賞で「最優秀新人賞」「ベストMPBアルバム」等3部門受賞に輝いています。

母親譲りの天賦の才に惚れ惚れする1枚です。

全曲紹介しときやす。

「A Festa」
オープニングはMilton Nascimento提供曲。第5回ラテングラミー賞「Best Brazilian Song (Portuguese Language)」受賞曲です。Nascimentoらしいナチュラルな魅力を持った楽曲ですね。Mariaも母親譲りのヴォーカルでNascimento作品に輝きを与えてくれます。ラテングラミー受賞も頷ける素晴らしい出来栄えですね。
http://www.youtube.com/watch?v=QKVKVgBnWjA

1966年、Mariaの母Elis Reginaが彼の楽曲「Cancao do Sal」を取り上げたことでNascimentoが脚光を浴び、その38年後、NascimentoがElisの娘Maria Ritaに手を貸し、彼女の華々しいデビューをアシストする...実に美しいストーリーですね。

「Agora So Falta Voce」
ブラジル・ロック界の女王Rita Leeの作品。Rita Leeは母Elis Reginaと親しい間柄ということもあり、取り上げたのかもしれませんね。Mariaの堂々とした歌いっぷりがいいですね。シンプルながらも小粋なバックもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=NCHzJtql6uU

Rita Lee「Agora So Falta Voce」(2008 Tour PIC NIC)
 http://www.youtube.com/watch?v=Osi2b7bvxPE

「Menininha Do Portao」
Nonato Buzar/Paulinho Tapajosというベテラン・コンビの作品。エレピをバックにやや抑えたMariaのヴォーカルにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=u8iSqZEY-1k

Paulinho Tapajos「Menininha Do Portao」
 http://www.youtube.com/watch?v=G-hRM1Ac1wU

「Nao Vale A Pena」
JeanとPauloのGarfunkel兄弟の作品。Garfunkel兄弟自身のバージョンは1994年にリリースされています。最近で言えば、Marcia Salomonも本曲を取り上げていますね。Mariaのバージョンはジャズ・スタンダード風な仕上がりです。
 http://www.youtube.com/watch?v=S1LtIULGGDM

「Dos Gardenias」
『Buena Vista Social Club』(1997年)収録曲としてお馴染みの曲ですね(Isolina Carrillo作品)。アルバムの中でもいいアクセントになっている1曲です。哀愁モードのラテン・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=DHS6h-aaMqo

「Cara Valente」
Marcelo Camelo作品。Marceloは若者から圧倒的な人気を誇るリオ出身の人気ロックバンドLos Hermanosのリーダーです(Los Hermanosは2007年より活動休止中)。おそらく本作で一番人気のある曲なのでは?MPBならではの不思議な爽快感を堪能できる仕上がりです。Mariaのヴォーカルがかなりお茶目です(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=Jcmdv6giRdA

昨年リリースされたMarcos Valleの新作ライブ『Conecta Ao Vivo No Cinemateque』の中でも本曲が取り上げられています(Marcelo Cameloとの共演)。

「Santa Chuva」
この曲もMarcelo Camelo作品。ジャジーなサウダージ気分を味わうことができる仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=7ADedu_HsOo

Marcelo Camelo自身のバージョンは『Nos』(2008年)に収録されています。
Marcelo Camelo「Santa Chuva」
 http://www.youtube.com/watch?v=V5m5OjNICSs

「Menina Da Lua」
美しいピアノをバックにリリカルなヴォーカルを堪能できるジャズ・テイストの仕上がり(Renato Mota作品)。
http://www.youtube.com/watch?v=I4mOPHFAObw

「Encontros e Despedidas」
2曲目のMilton Nascimento作品。Nascimento自身のオリジナルは『Encontros e Despedidas』(1985年)に収録されています。Simoneもカヴァーしていますね。壮大なスケール感を感じる1曲です。エレガントなアレンジも素晴らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=HxVQlk5XeII

Simone「Encontros e Despedidas」
 http://www.youtube.com/watch?v=NkOUYi54LaM

「Pagu」
2曲目のRita Lee作品。この曲は2000年にZelia Duncanと共作したもの。表情豊かなMariaのヴォーカルとジャズ・テイストの小粋なバックの一体感が抜群です。
http://www.youtube.com/watch?v=5CK620UTg5o

Rita Lee e Zelia Duncan「Pagu」
 http://www.youtube.com/watch?v=TmtLaFLa9vw

「Lavadeira Do Rio」
現在のブラジル音楽シーンを牽引するトップランナーLenine作品のカヴァー。Lenineのオリジナルは『Falange Canibal』(2002年)に収録されています。ミステリアスな躍動感がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=FUp7hC8uGGI

「Veja Bem Meu Bem」
Marcelo Camelo作品の3曲目。エレガントな大人の雰囲気に溢れた仕上がりです。思わずワインが飲みたくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=3dStUpEZ40Q

Los Hermanos「Veja Bem Meu Bem」
 http://www.youtube.com/watch?v=NDf_A02vH_Q

「Cupido」
MPBを代表する男性シンガーソングライターIvan Linsの息子Claudio Linsの作品。淡々とした中にも味わい深いものがあります。
http://www.youtube.com/watch?v=MnIK7hSH2JM

"Elis Reginaの娘"という説明が不要なほど素晴らしいアルバムだと思います。さすがラテングラミー賞「ベストMPBアルバム」受賞の充実作ですな。
posted by ez at 06:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月19日

Bruce Springsteen『Darkness On The Edge Of Town』

こんな時代だからこそBossの叫びが胸に響く!☆Bruce Springsteen『Darkness On The Edge Of Town』
闇に吠える街(紙ジャケット仕様)
発表年:1978年
ez的ジャンル:アメリカン・リリシズム系ロック
気分は... :バッドランドを立て直そう!

BossことBruce Springsteenの4回目の登場です。

先月最新作『Working on a Dream』をリリースし、健在ぶりを示してくれたBruce Springsteen & The E Street Band

ワーキング・オン・ア・ドリーム
ワーキング・オン・ア・ドリーム

2週間前のNFLスーパーボウルのハーフタイムショーでBruce Springsteen & The E Street Bandの演奏を観たのがきっかけで、ここじばらくSpringsteen作品を何度となく聴いています。
Superbowl XLIII Halftime Show
http://www.youtube.com/watch?v=qjbSD6OImjU

これまで当ブログで紹介したBoss作品は以下の3枚です。

 『Greetings From Asbury Park, N.J.』(1973年)
 『The River』(1980年)
 『Nebraska』(1982年)

今日紹介するのは1978年リリースの4thアルバム『Darkness On The Edge Of Town』です。

前作『Born To Run』(1975年)が大ヒットし、遂に大ブレイクしたSpringsteenでしたが、マネージャー&プロデューサーMike Appelから訴えられ、レコーディング延期を余儀なくされます。

こうしたゴタゴタを経て制作されたアルバムが『Darkness On The Edge Of Town』です。

プロデュースはBossとJon Landau。レコーディング・メンバーはBoss以下、Roy Bittan(p)、Clarence Clemons(sax)、Danny Federici(org)、Garry Tallent(b)、Steve Van Zandt(g)、Max Weinberg(ds)というThe E Street Bandのメンバーのみです。

その意味では、初めてライブのダイナミズム、臨場感をスタジオ・レコーディングに反映したアルバムと言えるのでは?

但し、曲調はダークなものが多く、サウンドも贅肉を削ぎ落としたシンプルなものが多くなっています。

それだけにBossの発する一言一言、E Street Bandの奏でる一音一音に魂が宿っている気がします。

僕が一番好きなBoss作品は昔も今もはダントツで『The River』(1980年)ですが、二番手以降は年月と共にビミョーに変化してきています。

本作『Darkness On The Edge Of Town』は正直ここ数年殆ど聴いていませんでした。しかし、前述のスーパーボウル・ハーフタイムショーの後、CD棚を眺めて一番最初に手にした作品が『Darkness On The Edge Of Town』でした。

きっと今のような世知辛い世の中に最もフィットする作品として、自然に本作に手が伸びたのでしょうね。

本作では辛い人生、虚しい人生、不条理な人生を送っている主人公が多く登場します。そういった人生の"闇"に焦点を当て、それらを代弁してくれるBossの歌声、メッセージに今だからこそ共感できるという方も多くいると思います。

どんなに辛くても、どんなに虚しくても、どんなに不条理でも人は生きていかねばならない...
Bossの雄叫びを聴いて、心の導火線に火をつけてみては?

全曲紹介しときやす。

「Badlands」
訴訟トラブルの作品への影響を懸念したファンへの一発回答。苦悩しつつも突き進む若者の心情を歌った力強いロックン・ロール。若者の思いを熱く代弁してくれるのが、BossのBossたる所以ですな。こんな世の中だからこそ、Bossのメッセージに勇気付けられる思いですね。シングルにもなりました。
http://www.youtube.com/watch?v=LxCsKw4J_Ws

さぁ、バッドランドを立て直すため、みんなで大合唱しましょう!
 ♪Badlands, you gotta live it everyday,
 ♪Let the broken hearts stand
 ♪As the price you've gotta pay,
 ♪We'll keep pushin' till it's understood,
 ♪and these badlands start treating us good

生きていることが素晴らしいと感じることが罪ではないと思いを胸の奥に刻んだ者たちのために...

「Adam Raised a Cain」
邦題「アダムとケイン」。親子の悲しいさだめを旧約聖書のアダムとケイン(ケインはアダムとイブの息子だが、弟のケイン殺しエデンを追放される)をなぞって描かれています。その歌詞内容に合わせて重苦しいロック・チューンに仕上がっています。

「Something in the Night」
やるせない若者の生き様を描いたSpringsteenらしいリリシズムに溢れたバラード。
Bossのウォーという雄叫びが全てを物語っている気がしますね。
Bossの発する一言、一言がズシリと心に響いてきます。
 ♪世間がまともに思われる瞬間を探して、
 ♪俺は夜の神秘の真っ只中へ裂け入っていく...
http://www.youtube.com/watch?v=az3nqPClKaU

「Candy's Room」
疾走するロック・チューン。Bossの溜めに溜めてから一気に噴き出すヴォーカルとE Street Bandの無駄なくシャープな演奏にグッときます。

「Racing in the Streets」
ファンの間では人気の高い名曲ですね。聴き終わる頃には涙腺がユルユルになる、人生の夢が破れた男女の物語です。♪しかし彼女の美しい夢のすべては破れ、生まれたことを呪う者が持つ目を持って夜を一人見つけている♪という一節には目を胸が締め付けられる思いです。歌の内容を邪魔しないシンプルなバックも大正解ですね。
 ♪今夜、彼女と俺は海へ行き、これらの罪をすべて洗い落とそう...
http://www.youtube.com/watch?v=0HFht4MPiPs

「The Promised Land」
この曲も定番の1曲ですね。BossとE Street Bandの一体感のある演奏が堪能できます。いつ聴いても勇気をパワーをもらえる名曲ですね!
 ♪吹き飛ばせ 俺を引き裂くすべての夢を
 ♪吹き飛ばせ 俺の望みを砕くすべての夢を
 ♪吹き飛ばせ 俺を打ちのめすすべての嘘を
 ♪俺は約束の地を信じている
ライブで聴きたい1曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=7lPzWPXhbVI

Youtubeに本曲をJackson Browneと共に歌うBossの映像がありました。僕が青春時代に最も影響を受けた二人の共演だけに今見ても感慨深いものがありますね。
Bruce Springsteen & Jackson Browne「The Promised Land」
http://www.youtube.com/watch?v=ONG5UOwbpu4

「Factory」
工場で働く労働者の歌。♪It's the working, the working, just the working life♪の歌詞が心に刺さります。

「Streets of Fire」
引きずられるような重苦しさが印象的な仕上がり。このどん詰まり感もBossらしいですね。

「Prove It All Night」
シングルにもなった人気曲。邦題「暗闇へ突走れ」。夢を持ちながらも、まっとうな生き方をすることができない男の物語。♪もし夢が実現したらなんていいことだろう♪でも今夜俺達がしていることは夢ではない♪生きるって難しいよね。
http://www.youtube.com/watch?v=xAzPaUxULyA

Bossのギターソロから始めるライブ映像もファンにはたまりませんね。
「Prove it all night」(Live)
http://www.youtube.com/watch?v=eGMPNGCrn5A&feature=related

「Darkness on the Edge of Town」
ラストはタイトル曲「闇に吠える街」。まさに闇の中からの叫びのようなBossのシャウトにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=c23Zh7HaNFc

先日のグラミー賞を観ていて初めて知ったのですが、The E Street BandのDanny Federici(org)が昨年亡くなっていたのですね。実に残念です。そのため、新作『Working on a Dream』は彼に捧げられています。
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2009年02月18日

Starvue『Upward Bound』

シカゴの8人組による系マイナーソウル/ファンク☆Starvue『Upward Bound』
アップワード・バウンド
発表年:1980年
ez的ジャンル:シカゴ系マイナーソウル/ファンク
気分は... :"謎のグループ"的な雰囲気がグッド!

先ほどまでWOWOWでCassandra Wilsonのライブを観ていました。

最新作『Loverly』が先日のグラミー賞でBest Jazz Vocal Albumに輝き、健在ぶりを示してくれたCassandraのライブ映像を久々に観ましたが、ディープかつミステリアスな低音ヴォーカルは相変わらず魅力的ですね。

ジャズという枠に収まりきらない、ソウル・ファンにも聴いて欲しいべきディーヴァです。

過去に『Blue Light 'Til Dawn』(1993年)、『New Moon Daughter』(1995年)という2枚のアルバムを当ブログで紹介していますが、また近々紹介しますね。

さて、今日はCassandra Wilsonとは全く関係のない、80年代初頭のマイナーなソウル/ファンク・アルバムStarvue『Upward Bound』(1980年)です。

Starvueはシカゴで結成されたソウル/ファンク・グループ。メンバーは、Keith Blake、Judy Davis、Andre Morgan、Anthony Hicks、Burton Fowler、Lester Falconer、Victor Hughes、Larry Horneの8人です。

そのStarvueが1980年に地元のマイナー・レーベルからリリースしたアルバムが本作『Upward Bound』です。プロデュースはThe Lovelites、Heaven & Earth、The Imaginations等を手掛けたシカゴの敏腕プロデューサーClarence Johnson。きちんと確認していませんが、多分彼らの唯一のアルバムなのでは(誤認だったらゴメンナサイ)?

僕がこのグループについて知っていることはこの程度。しかも殆どライナーノーツの受け売りです(笑)

しばらく聴いていなかったので、本作を持っていること自体すっかり忘れていました。多分、2004年に再CD化された直後にCDショップで衝動買いしたのだと思いますが、それすら全然記憶にありません。先日、CD棚を整理中に久々に発掘(?)しました(笑)。

改めて聴いてみると、ノリの良いファンク&ディスコ・サウンドと鮮やかなハーモニーを含めたヴォーカルがバランス良くまとまったアルバムですね。ただし、B級感は拭えませんが(笑)。でもそのB級感が逆に魅力なのかもしれませんね。

オリジナル盤はかなり高値がついていたらしいですが、そうしたレア度に伴う事前期待を過度に高めず、先入観なしに聴いた方が楽しめるアルバムなのでは?

ライナーノーツでジャケが酷評されていましたが、個人的にはこういったイラスト系のジャケって、"謎のグループ"的な雰囲気があり嫌いじゃありません(笑)

全曲紹介しときやす。

「Let's Hold on to What We've Got」
このオープニングは、オリジナルLP未収録で再CD化に際して追加された楽曲です。この追加曲が抜群の出来!個人的にはアルバムのハイライト曲という気さえします。ヴォーカル・グループとしての実力を堪能できる絶品スロウであり、バリトン・リードとスウィート・ハーモニーの絡みがサイコー!この1曲が追加されただけで、アルバム全体の満足度がかなり高くなるはず!

「Upward Bound」
軽快なファンク・チューン。ファルセット・ヴォーカルやホーン隊も含めてEW&F風のキャッチーさがありますね。(良い意味で)B級感の魅力に溢れた1曲なのでは?

「Love Affair」
この曲はかなり好き!カッティング・ギターのシャカシャカ感がたまらない疾走感溢れるファンク・チューン。♪Love Affai〜♪Love Affai〜♪というタイトル連呼パターンも僕好み(笑)

「Body Fusion」
一般的にはこの曲がハイライトなのかもしれませんね。レア・グルーヴのコンピやDJのミックステープにも収録されているクラシックということらしいです。エレガントなストリングスが印象的なスロウ・チューン。決して悪い曲ではないと思いますが、個人的にはこの曲だったら、「Put the BS Aside」や「Let's Hold on to What We've Got」に軍配を上げますね。
http://www.youtube.com/watch?v=ubvsKR-Gn7A

「Starvue」
忙しないファンク・チューン。アップものでは唯一イマイチな印象がします。せっかくグループ名がタイトルなのに(笑)

「Put the BS Aside」
メロウ・モードが最高のミディアム・チューン。「Body Fusion」に次ぐ人気を誇るのが本曲のようです(日本では本曲の方が人気が高いようですが)。個人的にはオリジナルLP収録曲の中では一番好きですね。テナーのリード・ヴォーカルが一番輝いている曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=43D61Oh4KK8

「Love Struck」
ブギー・ファンクな仕上がり。いかにもなベースのブリブリ感がいい感じです。適度にスペイシーな仕上がりもB級感が溢れて微笑ましいです(笑)

「You and Me」
ゴージャスなストリングスに包まれたディスコ・チューン。いかにも夜遊びモードな雰囲気が好きな方にはたまらないのでは?

こうやってアルバム全体を眺めると、グループ名をタイトルにした「Starvue」以外はかなり楽しめる構成になっていると思います。特に、「Let's Hold on to What We've Got」の追加収録で充実度が増したのがいいですね!
posted by ez at 01:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする