2009年02月17日

Pete La Roca『Basra』

異色ドラマー唯一のBlue Noteリーダー作☆Pete La Roca『Basra』
バスラ
録音年:1965年
ez的ジャンル:エキゾチック&モーダル・ジャズ
気分は... :This is it !

今日は"弁護士"ドラマーPete La Rocaによる1965年の作品『Basra』です。

Pete La Rocaは1938年N.Y.生まれのジャズ・ドラマー。1950年代後半にSonny Rollinsのグループに抜擢されてデビューを果たし、その後Jackie McLean、Art Farmer、John Coltrane、Kenny Dorham、Freddie HubbardJoe Hendersonらと共演するなど活躍しますが、1960年代後半に突如弁護士に転身し、さらに80年代に入りドラマーに復帰したという異色の経歴の持ち主です。

当ブログで紹介した作品では、Sonny Rollins『A Night At The Village Vanguard, Vol. 1』(1957年)、Joe Henderson『Page One』(1963年)の2枚にPete La Rocaが参加しています。

彼が残したリーダー作は『Basra』(1965年)、『Turkish Women at the Bath』(1968年)の2枚のみです。

そのうち、今日紹介する『Basra』はLa Rocaの初リーダー作です。

メンバーはPete La Roca(ds)以下Joe Henderson(ts)、Steve Kuhn(p)、Steve Swallow(b)というワンホーン・カルテット編成です。当時のArt Farmerのグループから親分が抜けてJoe Hendersonが加わったメンバーです。La Roca以外では、どうしてもJoe Hendersonを注目してしまいますね。実際、Hendersonのプレイは素晴らしく、ついつい彼のプレイが気になってしまうのですが、KuhnとSwallowの両Steveもそれぞれ魅力的なプレイを聴かせてくれます。

学生時代にはラテン・バンドでティンバレスを演奏し、インド音楽やヨーガにも傾倒していたLa Rocaらしく、エキゾチックな魅力に溢れた演奏が目立ちます。

インド音楽からの影響のせいか、スピリチュアルな魅力も指摘されているようですが、あまり"スピリチュアル"なアルバムという印象は受けませんね。

エキゾチックな演奏のみならず新主流派的なスマートな演奏もあり、個人的にはそのコントラストがアルバム全体の魅力になっている気がします。

全曲紹介しときやす。

「Malaguena」
キューバの作曲家Ernesto Lecuonaの作品スペイン組曲(Suite Espanola)の中の1曲。「Malaguena("マラガ風"といったニュアンス)」とはスペイン南部の港町マラガ(サッカー・ファンにはお馴染みの地名ですね)で発達したフラメンコ音楽の一種です。

マラガはかつてはカルタゴ領(現在のチュニジア)だったこともあり、スパニッシュなフラメンコ・テイストとイスラム圏のエスニックなテイストが感じられるテーマが印象的です。そんなテーマに続き、Joe Hendersonによるフラメンコを舞うように情熱たっぷりのソロを存分に堪能できます。続くKuhnのピアノ・タッチも迫力がありますね。そして何よりLa Rocaの叩き出すリズムが演奏全体のインパクトを高めてくれます。

「Candu」
La Rocaオリジナルのブルース作品。出だしは小粋なブルース作品ですが、Hendersonのソロ・パートの途中から急にテンションが上がります。Kuhnのピアノ・ソロに続くSwallowのベース・ソロが短いながらもカッチョ良いですな。

「Tears Come From Heaven」
La Rocaのオリジナル。モーダルな疾走感がカッチョ良い1曲。La Roca、Swallowのドラム&ベースがグイグイと引っ張ってくれる感じがいいですね。La Rocaのソロも迫力満点です。

「Basra」
タイトル曲もLa Rocaのオリジナル。バスラとはイラク南部の都市です(一時期、戦争関連のニュースでこの地名を多く耳にしたのではないでしょうか)。中近東のエキゾチックかつミステリアスな雰囲気がよく出た曲です。出だしのSwallowのベース、続くHendersonのテナーと実に雰囲気があっていいですね。オリエンタルな演出が抜群のKuhnのピアノもいい味出しています。そして最大の聴きどころは後半のLa Rocaのドラムでしょうね。こんなに語りかけてくるドラムも珍しいのでは?La Rocaのインド音楽からの影響も感じることができ、実に興味深い演奏です。

「Lazy Afternoon」
1954年のミュージカル『The Golden Apple』の挿入歌(John Latouche/Jerome Moross作品)。個人的にはBarbra Streisandのカヴァーで慣れ親しんでいる曲ですね(アルバム『Lazy Afternoon』収録)。La Rocaのフェイバリット・チューンの1つなのだとか。

実に美しく感動的なバラードに仕上がっています。他の曲とはガラリと変わってリリカルなプレイを聴かせてくれるHendersonにうっとりです。Bill Evansからの影響が大きいKuhnにとっては、この手の美しいピアノは大得意といったところなのでしょうね。

「Eiderdown」
Steve Swallow作品。実にスマートな仕上がりの演奏です。作者のSwallowが渾身のソロを聴かせてくれます。Swallowを主役に据えて書かねばいけない曲なのですが、個人的にはKuhnの上品なピアノにグッときてしまいます。Hendersonもここではソフトな演奏に徹しています。

もう1枚のリーダー作『Turkish Women at the Bath』(1968年)は未聴ですが、機会があればぜひ聴いてみたいと思います。
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2009年02月16日

The Jesus & Mary Chain『Honey's Dead』

JAMCサウンドの完成を示した4thアルバム☆The Jesus & Mary Chain『Honey's Dead』
Honey's Dead
発表年:1992年
ez的ジャンル:ハッピーヴァレー系デジタル&ノイジー&ポップ・ロック
気分は... :普段の反動で...

今日はThe Jesus & Mary Chainの4thアルバム『Honey's Dead』(1992年)です。

The Jesus & Mary Chainは、Jim(弟)とWilliam(兄)のReid兄弟を中心にスコットランドで結成されたグループ。

1984年にシングル「Upside Down」でデビュー。その後ドラマーとしてPrimal ScreamBobby Gillespieが加入し、1985年にデビュー・アルバム『Psychocandy』をリリースします。その後Bobby GillespiePrimal Screamに専念するため、グループを脱退してしまいます。

フィードバック・ノイズによるノイジーなギター・サウンドとポップなメロディを融合させた『Psychocandy』はUK音楽シーンに大きな衝撃を与えました。また、暴れまくって10分ほどで終わってしまうステージも話題となりました。

その後、『Darklands』(1987年)、『Automatic』(1989年)、『Honey's Dead』(1992年)、『Stoned & Dethroned』(1994年)、『Munki』(1998年)といったアルバムをリリースするものの、Reid兄弟の関係が修復不能となり1999年に解散します。近年になり再結成している模様です。

僕は特にThe Jesus & Mary Chain(以下JAMC)のファンという訳ではありません。なので、『Psychocandy』や今日紹介する『Honey's Dead』などアルバムを何枚か持っていますが、歯抜けコレクション状態です。

また、今回記事を書くに際してリサーチする中で初めて知ったのですが、彼らのようなフィードバック・ノイズとポップなメロディを融合させたサウンドを"シューゲイザー"と呼ぶみたいですね("ハッピーヴァレー"という呼び方は聞いたことがありましたが)。

"シューゲイザー"の原点がJAMCの『Psychocandy』であり、"シューゲイザー"の金字塔が以前に当ブログでも紹介したMy Bloody Valentine『Loveless』ということらしいです。他にCocteau TwinsSlowdiveThe Verveなども当該ジャンルのアーティストらしいです。僕はこれらのアーティストのアルバムも持っていますが、全く知りませんでした。

JAMCに話を戻すと、僕が持っているJAMC作品の中で最も聴く頻度が多いアルバムが今日紹介する4thアルバム『Honey's Dead』(1992年)です。

デジタルビートを前面に打ち出した前作『Automatic』(1989年)に比較すると、あまり語られることが少ない地味なアルバムというのが当時の僕の印象でした。しかし、ネットの評判を読んでいると、近年では最高傑作の呼び声も高いアルバムとして評価されているみたいですね。

前作からのデジタル路線を継承しつつも、彼ららしいノイジーなギター・サウンドをダークなポップ・センスでまとめ上げたアルバムです。このバランスの良さが後に評価されるようになったのかも?加えて、次作『Stoned & Dethroned』(1994年)のアコースティック路線が『Honey's Dead』の出来栄えを際立たせる結果になったのかもしれません。

今の僕の音楽嗜好とは対極に位置づるアルバムですが、普段耳障りの良い音楽を聴きすぎている反動で、こういったダークでノイジーな音楽を欲するのかもしれません。

全曲紹介しときやす。

「Reverence」
アルバムからの先行シングルとしてリリースされました。"キリストのように死にたい"、"JFKのように死にたい"という過激な歌詞が話題になりました。ダークなダンスビートとノイジーなギターサウンドとキャッチーなメロディによるインパクト十分なオープニングです。
「Reverence」 (Live 1992)
http://www.youtube.com/watch?v=nx_qEBhvUbE

「Teenage Lust」
退廃的なロック・チューン。ノイジーなサウンドとこの気だるいテンポ感が実にマッチしています。

「Far Gone and Out」
前曲から一転してダンス・ビートにのったスマートかつキャッチーな仕上がりです。この時期こうしたダンスビートを導入したロック・サウンドを数多く聴くことができましたが、前作での経験値がある分かなりこなれている気がします。
「Far Gone and Out」(live on letterman)
http://www.youtube.com/watch?v=T6ogWgG0UOY

「Almost Gold」
この曲はシングルにもなりました。磨きがかかったJAMCのメロディ・センスを実感できる1曲です。優しいメロディの中にもどこか儚さが漂うところが好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=aCU4e8SuSg4

「Sugar Ray」
ダークでへヴィーなギター・サウンドにグイグイ惹きこまれます。そんなダークな音空間を浮遊するライトなメロディ&ヴォーカルもいい感じです。

「Tumbledown」
スピード感が魅力の1曲。個人的にはもっと気だるく退廃的な曲の方が好きなのですが...

「Catchfire」
これは僕が好きな退廃的なロックです。タイトルのように実にキャッチーです(笑)

「Good for My Soul」
ポップでメロディアスですが、ダークなトーンでうまくまとめ上げているところがいいですね。

「Rollercoaster」
この曲はアルバム・リリース前にシングルとして発表されていた曲です。「Reverence」と並ぶ人気曲なのでは?エッジの効いたポップでスリリングな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=8GrcWnx6f38

「I Can't Get Enough」
この曲もJAMCのポップ・センスが光る1曲ですね。ノイジーなギターも聴けてコンパクトにまとまっています。

「Sundown」
アコースティックな味わいの退廃チューン。この美しく儚い感じが僕好みです。

「Frequency」
「Reverence」再登場といったエンディングです。

次作『Stoned & Dethroned』(1994年)ではアーシーなアコースティック路線を打ち出しますが、従来からのファンからは不評だったようですね。熱心なファンではない僕などはそれほど悪い作品だとは思いませんでしたが...
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2009年02月15日

Stevie Wonder『Fulfillingness' First Finale』

三部作のフィナーレを飾る名盤☆Stevie Wonder『Fulfillingness' First Finale』
Fulfillingness' First Finale
発表年:1974年
ez的ジャンル:ミラクル・ソウル/R&B
気分は... :Stevieはミラクルな存在であって欲しい!

久々にStevie Wonderの紹介です。

これまで紹介してきたStevie作品は以下の3枚。
 『Talking Book』(1972年)
 『Innervisions』(1973年)
 『Songs In The Key Of Life』(1976年)

4枚目に紹介する作品は『Fulfillingness' First Finale』(1974年)です。

『Talking Book』(1972年)、『Innervisions』(1973年)と並ぶ三部作の1枚です。

多くのファンが指摘する通り、この三部作と『Songs In The Key Of Life』あたりがStevieの音楽的ピークであったと思います。

とにかく出す作品全てがミラクル!というのがこの時期のStevieであったと思います。

それだけに最近のSteveを観るたびに寂しい思いがしてしまいますね。
数日前にも書きましたが、今年のグラミーでJonas Brothersと共演するStevieの姿は、かつてのオーラは薄れ、イベントの客寄せパンダのようにしか観えませんでした。

そんな思いもあって、ミラクルなStevie作品を紹介したくなった次第です。

『Fulfillingness' First Finale』(1974年)は、"ファースト・フィナーレ"のタイトル通り、三部作の締め括りとなるStevie劇場第1幕のフィナーレを飾る作品です。

1年前に交通事故に遭い、瀕死の重傷を負ったStevieでしたが、見事に復活して本作のリリースにこぎつけました。精神性の高い崇高な楽曲が目立つのは、そういった体験も影響しているのかもしれませんね。

プロデュースはStevie Wonder自身とRobert MargouleffMalcolm Cecilという三部作不動の布陣です。

ゲストにはPaul AnkaJackson 5The PersuasionsMinnie RipertonDeneice WilliamsSyreeta Wrightらがバック・ヴォーカルとして参加しています。

本作はグラミー賞の最優秀アルバムおよびベスト・ポップ男性ボーカルの2部門を受賞しています。
他の三部作同様に捨て曲ナシ全曲クラシックという充実作です。

全曲紹介しときやす。

「Smile Please」
邦題「やさしく笑って」。タイトルの通り、優しく穏やかなStevieの歌声とメロディに癒されます。♪Bum bum di ti bum〜♪の部分のコーラスが印象的ですね。パーカッシヴな仕上がりが僕好みです。
http://www.youtube.com/watch?v=eR6PKtgEL_w

「Heaven Is 10 Zillion Light Years Away」
邦題「1000億光年の彼方」。普通のアーティストが1000億光年なんて歌うと陳腐に聴こえてしまうかもしれませんが、この時期の神がかりなStevieならば壮大なスケール感がフィットしますよね。Stevieらしいシンセ・サウンドが印象的ですし、Paul Anka、Syreeta Wrightらが参加しているパワフルなバック・ヴォーカル陣もグッド!Richard Pageがカヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=yIE6unjkXmc

「Too Shy to Say」
ピアノとスティール・ギターの絡みが素晴らしい美バラード。聴いているだけで心が浄化され、ピュアな気持ちに戻ることができます。
http://www.youtube.com/watch?v=d_j-MxKALFU

Walter Jackson、Diana Rossがカヴァーしています。

Diana Ross「Too Shy to Say」
 http://www.youtube.com/watch?v=IViuJCDgPCc

「Boogie on Reggae Woman」
アルバムからの2ndシングル。全米ポップチャート第3位、R&Bチャート第1位の大ヒットとなりました。タイトルから想像てきるように、Stevieがジャマイカ旅行中に作った曲です。でもレゲエではなくファンク・チューンに仕上がっているところが面白いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=ylQMhYqSntk

Pat Rhoden、Yami Bolo, Sly & Robbie といったレゲエ・カヴァーをはじめ、Stanley Turrentine、Marcus Miller、Chuck Brown & The Soul Searchers(「Boogie On Go-Go Woman」のタイトルでカヴァー)、Phish等がカヴァーしています。

Marcus Miller「Boogie On Reggae Woman」 (Live)
 http://www.youtube.com/watch?v=EWg1D-TwBrk

「Creepin'」
フリーソウル・ファンにも人気の1曲ですね。このミステリアスな雰囲気がたまらく好きです!バック・コーラスはMinnie Ripertonです。
http://www.youtube.com/watch?v=6gkqGCnK-nw

Kenny Rankin、Tamiko Jones、Luther Vandrossあたりのカヴァーが有名だと思います。個人的にはフリーソウル・クラシックとなっているTamiko Jonesのヴァージョンをよく聴きます。それ以外にもKenia、Danny Williams、Blue Michell、Herbie Mann、Laura NyroStanley Turrentineらもカヴァーしています。ブラジリアンAORなKeniaやBlue Michellのヴァージョンもグッド!だと思います。

Kenny Rankin「Creepin'」
 http://www.youtube.com/watch?v=jA0z5gpjB8w

Luther Vandross「Creepin'」
 http://www.youtube.com/watch?v=RFR0tq8laQ4

「You Haven't Done Nothin'」
アルバムからの1stシングル。全米ポップ・チャート、R&Bチャート共に第1位の大ヒットとなりました。「Superstition」と同タイプのファンク・チューン。Jackson 5がバック・コーラスで参加しています。イントロのシンセの音色を聴いただけでStevieワールド全開といった感じですよね。初めてStevieを聴いた頃、本曲の邦題「悪夢」は「迷信(Superstition)」と並んでインパクトありました。Stevieから見て当時のニクソン政権は悪夢だったのでしょうね。
http://www.youtube.com/watch?v=Ji2ma2mfyhU

3rd Bass「Pop Goes The Weasel」、Strange Fruit Project「Makin' My Way」、Pete Rock & 9th Wonder「Watch Me」等のサンプリング・ネタになっています。

Strange Fruit Project「Makin' My Way」
 http://www.youtube.com/watch?v=mHu4rEMEPH8

Pete Rock & 9th Wonder「Watch Me」
 http://www.youtube.com/watch?v=sqFNDC8fcAA

「It Ain't No Use」
味わい深いバラード。切ないメロディにグッときます。Minnie Riperton、Deneice Williamsらの女性コーラズ陣による♪Bye bye bye bye bye〜♪のパートが印象的ですね。それだけに「愛あるうちにさよならを」という邦題が妙にしっくりきますな。
http://www.youtube.com/watch?v=WBVD24d7V5E

当ブログで紹介したKenny Lattimoreのカヴァー(アルバム『Timeless』収録)やRainbow feat.Will Boulwareのクロスオーヴァーなカヴァーもグッド!
Rainbow feat.Will Boulware
 http://www.youtube.com/watch?v=LWFsFhjCGuM

「They Won't Go When I Go」
邦題「聖なる男」。Stevieの高い志を象徴する1曲。この頃のミラクルStevieがこのような曲を歌うとホント、ハマりすぎですな。
http://www.youtube.com/watch?v=H5tT3JS4myE

George Michael、Kevin Max等がカヴァーしています。

George Michael「They Won't Go When I Go」
 http://www.youtube.com/watch?v=6UmoCbWIZBY

「Bird of Beauty」
ブラジリアン・フレイヴァーなボッサ・チューン。歌詞の一部がポルトガル語ですが、その部分はSergio Mendesが訳したらしいです。この時期のStevieは積極的に他ジャンルのエッセンスを取り込んでいましたが、本曲もそういったアプローチの仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=zuy6QSVPsus

この曲は数多くのカヴァーがありますね。主なところを挙げると、SOL、Herbie Mann、Rune Gustafsson、Esther Satterfield、Ernestine Anderson、Hank Marvin、Stanley Turrentine、Svante Thuresson、Eliane Elias、Mash feat.Hazel Fernandes、Marilyn Scott、Nnenna Freelon、Cecil Brooks III with Gene Ludwig、Catia、Angelique等。 個人的にはSOLのラテン・カヴァーやEliane Eliasによるブラジリアン・ジャズ・カヴァーがお気に入りです。

Ernestine Anderson「Bird Of Beauty」
 http://www.youtube.com/watch?v=A9_h-4L0Hyw

Eliane Elias「Bird Of Beauty」
 http://www.youtube.com/watch?v=xdVNpuORQcw

「Please Don't Go」
ラストはヒューマンな感動に溢れる1曲。三部作の締め括りに相応しいミラクルなパワーに満ちた出来栄えだと思います。Stevieの素晴らしいハーモニカも存分に堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=Rf71XpAot8I

本作で華々しく第1幕のフィナーレを迎えたStevieは、更なる進化を遂げ『Songs In The Key Of Life』(1976年)という、さらにミラクルな大作で第2幕をスタートさせます。
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2009年02月13日

Fishbone『Fishbone』

破天荒な悪ガキ6人組のデビューミニアルバム☆Fishbone『Fishbone』
Fishbone
発表年:1985年
ez的ジャンル:スカ/パンク系ミクスチャー・ロック
気分は... :今日はミニアルバムが限界(泣)

昨日から今日にかけて、バッドな出来事続き...
最悪なのはPCの調子がイマイチなこと(泣)
記事を書く気力もなかなか湧いてきません。

今日はアルバム1枚紹介するとエンジン切れになりそうなのでミニアルバムをセレクトしてみました。

ということで、Fishboneのデビュー・ミニアルバム『Fishbone』(1985年)です。

LAで結成された黒人ミックスチャー・ロック・バンドFishboneの紹介は、『Truth and Soul』(1988年)に続き2回目になります。

本作『Fishbone』は彼らのデビューEPであり、僕が最初に聴いたFishbone作品も本作でした。とんでもないバンドが登場したものだと大興奮した記憶があります。

当時、僕の中では"今後の音楽シーンを方向づけるのはFishbone(ロック)とFull Force(R&B)!"という確信があったのですが、見事に外れましたね(笑)。

それでもこのデビューEPは今聴いても痛快です。
欲求不満を解消するにはサイコーのアルバムですね。

まずはジャケがいいですよね。
バンドの持つエネルギッシュかつ破天荒な魅力を見事に表現したフォトだと思います。

ジャケに写る6人のメンバーはAngelo Moore(s、vo)、Walter A. Kibby II(tp、vo)、Kendall Jones(g、vo)、Chris Dowd(tb、vo)、John Norwood Fisher(b、vo)、Philip "Fish" Fisher(ds)。プロデュースはDavid Kahneが手掛けています。

内容の方もジャケ同様、イケイケ・モードの勢いで突っ走ります。スカ/レゲエ、パンク、へヴィメタル、ファンク、ジャズ等を取り込んだミクスチャーな音楽スタイルを構築していく彼らですが、本作ではスカ/レゲエをベースにした楽曲が多いですね。さらに悪ガキ軍団らしいユーモア感覚も彼らの魅力だと思います。

わずか6曲ですが、彼らの魅力がコンパクトに凝縮されたエネルギッシュなミニアルバムです。

全曲紹介しときやす。

「Ugly」
オススメその1。Fishboneの全楽曲の中で一番好きな曲です!彼らの破天荒な悪ガキぶりが存分に堪能できるスカ/パンク・チューン。まさにジャケの姿そのまんまでハジけまくりです。さぁ、みんなでパーティ・モードでダイブしましょ!馬鹿やって嫌なことを忘れたいたい気分に打ってつけの1曲。
Fishbone「Ugly」(Live)
http://www.youtube.com/watch?v=5dlz0LjqW8Y

「Another Generation」
ダークな雰囲気がいい感じの仕上がり。真面目なのか、真面目なフリなのかビミョーな感じが彼ららしいですが(笑)

「? (Modern Industry) 」
この曲はシングルにもなりました。レゲエを基調にしつつも、一筋縄ではいかない彼らのミクスチャーぶりが窺える1曲ですね。ヴォーカルというよりもおしゃべりという感じですよね(ラップでもないし)。Fishboneしてはいささか大人しい気もしますが...
http://www.youtube.com/watch?v=YF5RVIrm8go

「Party at Ground Zero」
オススメその2。この曲もシングルになりました。陽気でお馬鹿モードのスカ・チューン。ホーン隊やギターもバッチリきめてくれます!PVで観られるP-Funk的なお馬鹿ぶりがサイコーです。日本で言うチンドン屋のような魅力もありますよね。
http://www.youtube.com/watch?v=MJCaFe1yamg

「V.T.T.L.O.T.F.D.G.F.」
オススメその3。Fishboneのパンク/ロック的な側面が良く出た1曲。突き抜けるカッチョ良さのあるブラック・ロックに仕上がっています。同時期に活躍していたLiving Colour、Bad Brainsといった他のブラック・ロック・グループと比較してみるのも楽しいのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=AGzl5olLVSI

「Lyin' Ass Bitch」
オススメその4。タイトルからしてFishboneらしいスカ・チューン。この曲では女性シンガーとしてLisa Grantが参加しています。そのせいか最初は抑えた感じですが、曲が進むうちに破天荒モードになってくるのがグッド!

今日はこのくらいで勘弁してぇ!
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2009年02月12日

Tortured Soul『Did You Miss Me』

Gilles Petersonも"The Future of House Music"と絶賛!☆Tortured Soul『Did You Miss Me』
DID YOU MISS ME
発表年:2008年
ez的ジャンル:R&B/クロスオーヴァー系生音ハウス
気分は... :ライブパフォーマンスが観てみたい!

昨日はサッカーW杯最終予選大一番、対オーストラリア戦がありましたが、盛り上がらない内容でしたね。アウェーでの引き分けOKだったオーストラリアの術中に見事にはまった気がします。

観ていて全く点が取れる気がしませんでしたよね。相手が守備重視の布陣だったので救われましたが、もっと攻撃重視の布陣で積極的に攻められたら、引き分けさえ危うかった気がします。やはり地力ではオーストラリアが一枚上だと思い知らされた気がします。

ホームでこのような戦いしかできない今の日本代表が"本大会ベスト4"という目標を掲げるのは、今の日本政府の景気対策と同じくらい信用できませんよね。本大会の出場切符を手にするまでは茨の道が待っているのでは?

さて、今日はそんなモヤモヤ気分を晴らすために、ハウスでも聴いてスカッとしましょうか!そこでソウルフルなハウスサウンドで人々を魅了する"ハウス・バンド"Tortured Soulをセレクト!

Tortured Soulは、John-Christian Urich(ds、vo)、Ethan White(key)、JKriv(b)から成るN.Y.のトリオバンド 。各メンバーが多様なキャリアを持つ実力派3人組です。元々はChristianのスタジオ・プロジェクトとしてスタートしましたが、2001年に現在のトリオ編成になっています。

Christianは女性R&BシンガーAngela Johnson等とのR&BユニットCooly's Hot Boxも有名ですね。特に「Make Me Happy」DJ Spinnaのリミックスも含めて人気があるのでは?Angela Johnsonはソロ作品もリリースしていますね。僕も愛聴しています。
Cooly's Hot Box「Make Me Happy」
 http://www.youtube.com/watch?v=E4P-OsPdRDU
Cooly's Hot Box「Make Me Happy (DJ Spinna Remix)」
 http://www.youtube.com/watch?v=Irba2bMnJ8s

話をTortured Soulに戻すと、"No DJ's"、"No Loops"、"No Sequence"というコンセプトの通り、ハウス・サウンドを生音でクリエイトするのが最大の特徴です。また、基本はハウス・ミュージックですが、その生音サウンドはオーガニック・ソウル、ジャズファンク/クロスオーヴァーなどの要素も含まれ、懐の深いクラブ・ミュージックを聴かせてくれます。

これまで当ブログで紹介してきたハウス作品で言えば、Joe Claussell『Language』あたりも生音重視のハウスですが、Tortured Soulのように"バンドサウンド"を感じさせるハウス作品は実にユニークだと思います。

彼らのユニークさを実感するにはライブ映像を観ていただくのが一番だと思います。
Tortured Soul「Fall In Love」(Live @ Southpaw, Brooklyn NY)
http://www.youtube.com/watch?v=ba3TXx82ViE

スキンヘッドのChristianがドラムを叩きながら歌う姿は、音を聴かなければロックサウンドを想像しますが、実際に奏でているサウンドはハウスというのが意外です(笑)。まさに"人力ハウス"という感じがしますよね!

今日紹介する『Did You Miss Me』は、1stアルバム『Introducing Tortured Soul』(2004年)に続く2ndアルバムであり、昨年末にリリースされました。

前作『Introducing Tortured Soul』がそれまでリリースしたシングル・コレクション的なアルバムだったのに対して、本作はよりトータルな仕上がりを意識したアルバムになっています。

トータルという観点で言えば、ハウス・ファンのみならず、R&Bファン、ジャズ/クロスオーヴァー・ファンも楽しめる内容になっていますよ。

かのGilles Petersonが彼らを称して"The Future of House Music"と絶賛したらしいですが、それが頷ける充実のアルバムとなっています。

全曲紹介しときやす。

「Home To You」
オススメその1。歌ものガラージが好きな人であればど真ん中な1曲だと思います。メロディ&ヴォーカルがしっかりしているキャッチーな仕上がりなのでハウスを聴かない人でも惹きつけられると思います。聴いていると自然と幸せモードになりますよー!
Live Performance「Home To You」
 http://www.youtube.com/watch?v=JE_bn7ItZN4

「In My Fantasy」
オススメその2。ディスコ・モードのドリーミー&スペイシーな仕上がりです。レトロ&フューチャーな感じがたまらなく好きですね!風貌と全く似つかわしくないChristianの中性的なヴォーカルもサウンドにマッチしています。

「Did You Miss Me (intro) 」
「Did You Miss Me」
オススメその3。イントロに続きタイトル曲です。この曲はフューチャー・ノーザン・ソウルといった趣ですね。Christianのドラム&ヴォーカルは完璧ノーザン・ソウルしてます。"オーガニック・ソウル・バンド"としてのTortured Soulを堪能できます。

「Your Dream is My Dream」
オススメその4。歌ものガラージが好きな人であれば間違いなく気に入る1曲だと思います。よくわかりませんが、打ち込みではない人力ドラムの心地好さが伝わってきます。
Live Performance「Your Dream Is My Dream」
 http://www.youtube.com/watch?v=g8cjUY5VRY4

「Time To Make Up Your Mind」
オススメその5。軽くブラジリアン・フレイヴァーの効いた哀愁メロウ・グルーヴ。この曲はハウスというよりもジャスファンク/クロスーヴァーですね。Nu Jazz好きの人も気に入るのでは?

「Another Lover」
オススメその6。アゲアゲのハウス・チューン!ミステリアスな雰囲気がいいですね。

「Unsteady」
オススメその7。ロッキン・テイストのダンス・チューン。キャッチーでポップな仕上がりはTortured Soulの懐の深さを感じます。

「We Like Tequila」
オススメその7。女性ヴォーカルとのデュエット、というよりも殆ど会話って感じですね。ラテン・フレイヴァーのテキーラ賛歌です(笑)。思わずテキーラを飲みながら聴きたくなる1曲?

「Special Lady」
オススメその8。UKジャズファンクとの共通性を感じる仕上がりです。初期Jamiroquaiが好きな方は気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=vPZwDJ1Gs4g

「In Motion」
休憩モードのインストです。少しチルアウトしましょう。

「See You More」
オススメその9。ラストスパートに向けて一気に加速といった感じのハウス・チューン。この曲も人力ドラムならでは心地好さが伝わってきます。同じ腹に響き渡るビートでも"優しいけど奥まで浸透する"って感じですかね。

「At The Bottom」
ラストはベースラインがカッチョ良いダンス・チューン。フレンチの語りも入る哀愁感がグッド!

ということで、結局殆どの曲がオススメになってしまいました(笑)
僕の場合、オススメ基準が緩いのは事実ですが...
ええ加減な奴め!なんて怒らず、それだけいいアルバムということでご勘弁を!

昨年末にAngela Johnsonと共に来日し、充実のライブを披露してくれた模様です。観たかったですね!
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