発表年:1963年
ez的ジャンル:初期Beatles
気分は... :やはりBeatlesは偉大ですな
ここ数年のグラミーを観ていると何らかのかたちでBeatles絡みのコーナーがありますね。
今年のグラミー賞ではPaul McCartneyが2部門でノミネートされました。惜しくも受賞を逃しましたが、他アーティストが受賞スピーチでわざわざPaulへ最大級の賛辞を送ったり、 パフォーマンスでFoo FightersのDave Grohlをドラムに従えて「I Saw Her Standing There」を演奏したり存在感を示してくれました。
Paul McCartney Grammys 2009
http://www.youtube.com/watch?v=y0zsnFdUGRA
正直、現役アーティストとしてのPaul McCartneyは僕の興味の対象外ですが、今なお他の現役アーティストに絶大な影響を与え続けるBeatlesの偉大さを再認識させられました。
と言うことで、久々にBeatlesです。
これまでBeatlesの作品は以下の6枚を紹介してきました。
『A Hard Day's Night』(1964年)
『Beatles For Sale』(1964年)
『Rubber Soul』(1965年)
『Revolver』(1966年)
『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967年)
『Abbey Road』(1969年)
7枚目の紹介となるのはデビュー・アルバム『Please Please Me』(1963年)です。
前述のようにPaulがグラミーで演奏した「I Saw Her Standing There」収録ということで今回本作をセレクトしました。
僕の場合、Beatlesファンですが熱狂的マニアではないので、デビュー・アルバムとなる本作のレコーディングまでの詳しい経緯や細かなレコーディング・データ等にはあまり興味がないのでご勘弁を!
デビュー・アルバム『Please Please Me』は全14曲のうち、8曲がオリジナル(Lennon/McCartney作品)、6曲がカヴァーという構成です。プロデュースは勿論George Martin。
以前の僕であれば、初期作品であれば『A Hard Day's Night』のように全曲オリジナルのアルバムを好んで聴いていたのですが、ある時点から本作や『Beatles For Sale』のようにカヴァー曲を含むアルバムを聴く頻度が多くなった気がします。
きっとBeatlesの本質を黒人音楽から影響を受けたロックン・ロール・バンドと捉え、そんなBeatlesの原点がカヴァー曲に色濃く反映されているからだと思います。
本作収録の6曲のカヴァーも多くが黒人音楽のカヴァーであり、オリジナル曲にも黒人音楽からの影響が窺えます。そのような点を意識して改めて聴き直すと、昔は気付かなかった新たな発見が数多くありました。
本作はたった1日でレコーディングされた作品ですが、そんな急ごしらえだからこそBeatles本来の姿が浮かび上がってくる作品なのではと思います。
全曲紹介しときやす。
「I Saw Her Standing There」
前述のとおり、今年のグラミーでPaulが演奏したナンバー。Lennon/McCartney作品(Paul主導)。♪ワン!ツー!スリー!フォー!Paulのカウントがキマりすぎですね!ドライブ感がカッチョ良いストレートなR&Rチューンです。Beatlesを聴き始めた頃はメロディ重視の曲が好きだったので、それほど特別な曲という印象を持っていませんでしたが、こういったChuck BerryスタイルのR&RチューンこそBeatles本来の姿と言えるのかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=VpCdDwvhgcw
本来、Paulの曲と言える本曲をJohnがElton Johnのライブで共演したのは興味深いですね。それ以外のカヴァーでは、アメリカの女性ポップ・シンガーTiffanyが「I Saw Him Standing There」と改題したヴァージョンが印象に残っています。
Elton John & John Lennon「I Saw Her Standing There」
http://www.youtube.com/watch?v=XkS1ozgUYv0
「Misery」
Lennon/McCartney作品。元々は女性アイドル・シンガーHelen Shapiroのために書かれた曲ですが、結局彼女はレコーディングしませんでした。その後黒人シンガーKenny Lynchがレコーディングしています。このBeatlesヴァージョンはJohnとPaulのユニゾン・ヴォーカルで歌っています。今になって聴き返すと結構R&Bテイストに仕上がっている気がします。George Martinによるピアノがアクセントになっていてグッドですね。
「Anna (Go to Him)」
ソウルシンガーArthur Alexanderによる1962年のシングルのカヴァー。レコーディング当日風邪だったJohnですが、そのせいで声がいい感じで潰れてソウルフルなヴォーカルに仕上がっていると思います。
「Chains」
黒人女性コーラスグループThe Cookiesのカヴァー。作者はJerry Goffin/Carole Kingの黄金コンビです。ヴォーカルはGeorge。本作の中ではついついスキップしてしまう曲の1つです。Georgeゴメン!
「Boys」
黒人女性コーラスグループThe Shirellesのカヴァー(Luther Dixon/Wes Farrell作品)。ヴォーカルはRingoが担当しています(元々はオリジナルメンバーPete Bestがヴォーカルを務めていました)。この曲も昔はイマイチな印象だったのですが、今聴き返すとR&Bテイストが実にカッチョ良いですね。特にPaulのベースラインがグッド!
「Ask Me Why」
Lennon/McCartney作品(John主導)。昔も今もアルバムで一番好きな曲ですね。オールディーズ・ムード満点のメロディとJohnの甘酸っぱいヴォーカルがサイコーですな。軽くラテン・フレイヴァーの効いたRingoのドラムもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=aCd8PGoJiO4
竹内まりやが本曲をカヴァーしていますが、彼女がこの曲を取り上げるのって妙に納得してしまいますね。エヴァーグリーンな魅力を持ったJohnの名曲だと思います。
「Please Please Me」
Beatles初のUKシングルチャートNo.1に輝いた大ヒット2ndシングル。Lennon/McCartney作品(John主導)。当初George Martinがシングル用に用意した曲「How Do You Do It?」(Mitch Murray作)をメンバーが拒否して、本曲をシングルにした話は有名ですね。
Beatles「How Do You Do It」(Demo)
http://www.youtube.com/watch?v=gOm3GMLwOBI
誰しもが一度は聴いたであろう、Johnのハーモニカと♪カモン♪カモン〜♪カモン♪カモン〜♪のフレーズは、まさに200%Beatles印といった感じですよね。僕はこの曲を聴くと三ツ矢サイダーを思い浮かべてしまいますが、そのような方も多いのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=W9cbMZZTRQQ
ボツになった「How Do You Do It?」はGerry & The Pacemakersのデビュー・シングルとなり、こちらも見事UKシングルチャートNo.1に輝きました。めでたし、めでたし...
Gerry & The Pacemakers「How Do You Do It?」
http://www.youtube.com/watch?v=2zs7OtsvvT4
ここまでオリジナルLPのA面です。
「Love Me Do」
ご存知のとおり記念すべきBeatlesのデビューシングル(但し、アルバム・ヴァージョン)。本ヴァージョンでドラムを叩いているのはAndy White。Lennon/McCartney作品(Paul主導)。聴き慣れた愛着のある曲ですが、冷静に今聴き直すとBeatlesの魅力が十分に反映されいるのか?という気もします...
http://www.youtube.com/watch?v=GwbOp8mqD7g
「P.S. I Love You」
Lennon/McCartney作品(Paul主導)。この曲もドラムはAndy Whiteです(Ringoはマラカス)。Paulらしいロマンティックなラブソング。昔は気づきませんでしたが、黒人コーラス・グループからの影響が窺える作品です。ノスタルジック&ムーディーな魅力がありますね。
「Baby It's You」
「Boys」に続き、The Shirellesのカヴァー2曲目。本曲はBurt Backarach作品(共作)です。♪シャラ・ラ・ラ・ラ・ラ・ラ〜♪というコーラスが印象的ですね。この曲も風邪で潰れ気味のJohnのヴォーカルが逆にいい味を出していると思います。
「Do You Want to Know a Secret」
Lennon/McCartney作品(John主導)。リード・ヴォーカルはGeorge。そのせいか貧弱な印象を受ける曲ですが、メロウな雰囲気が結構好きだったりします。本曲はBilly J. Kramer with the Dakotasのデビュー・シングルとなり、大ヒットを記録していますね。
「A Taste of Honey」
ミュージカル『A Taste Of Honey(邦題:蜜の味)』の主題曲(Bobby Scott/Ric Marlow作)。Herb Alpert & The Tijuana Brassのヴァージョンも有名ですね。僕は映画『A Taste Of Honey』を通じてこの曲を初めて知った記憶があります。僕の場合、洋楽を聴く以前に外国映画の主題曲集をずっと聴いていたという変な子供だったもので(笑)。なので、Paulの二重唱になっているBeatlesヴァージョンを初めて聴いた時はかなり違和感を覚えました(笑)
「There's a Place」
Lennon/McCartney作品(John主導)。「Ask Me Why」と並ぶ僕のお気に入り曲。ハーモニカが入るあたり、「Please Please Me」と似たタイプの曲かもしれませんね。Johnがモータウンを意識して作った楽曲ですが、どことなく寂しげなメロディがJohnらしいのでは?JohnとPaulのヴォーカル&ハーモニーもいい感じです。一般的には地味な扱いの曲ですが、たまらなく愛着を感じるBeatlesナンバーです。
http://www.youtube.com/watch?v=7MvcUfxGfsc
「Twist and Shout」
カヴァー曲(Phil Medley/Bert Russell作)ですが、オリジナル以上にBeatlesヴァージョンが有名な曲ですね。アメリカではシングル・リリースされ、チャートの第1位に輝きました。ライブで大盛り上がりする曲ですね。
よくオリジナルがThe Isley Brothersと説明されている記事を目にしますが、オリジナルは1961年のTop Notesです。確かにBeatlesヴァージョンはIsley Brothersヴァージョン(1962年シングル)を手本にしているものだと思いますが。
The Top Notes「Twist and Shout」
http://www.youtube.com/watch?v=LsDpc-8iR8g
The Isley Brothers「Twist and Shout」
http://www.youtube.com/watch?v=5eDwSfO3WmQ
この曲と言えば、Johnががに股姿でシャウトし、PaulとGeorgeが寄り添ってコーラスをつける映像が脳裏に焼きついている方が多いのではと思います。オリジナルではありませんがBeatlesを代表する1曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=eiB66wRtKG8
デビュー作ということもあって、数あるBeatles作品の中でも最も清々しい印象が残るアルバムなのでは?