2009年02月11日

The Beatles『Please Please Me』

デビュー作にこそBeatles本来の姿がある!☆The Beatles『Please Please Me』
プリーズ・プリーズ・ミー
発表年:1963年
ez的ジャンル:初期Beatles
気分は... :やはりBeatlesは偉大ですな

ここ数年のグラミーを観ていると何らかのかたちでBeatles絡みのコーナーがありますね。

今年のグラミー賞ではPaul McCartneyが2部門でノミネートされました。惜しくも受賞を逃しましたが、他アーティストが受賞スピーチでわざわざPaulへ最大級の賛辞を送ったり、 パフォーマンスでFoo FightersDave Grohlをドラムに従えて「I Saw Her Standing There」を演奏したり存在感を示してくれました。
Paul McCartney Grammys 2009
 http://www.youtube.com/watch?v=y0zsnFdUGRA

正直、現役アーティストとしてのPaul McCartneyは僕の興味の対象外ですが、今なお他の現役アーティストに絶大な影響を与え続けるBeatlesの偉大さを再認識させられました。

と言うことで、久々にBeatlesです。

これまでBeatlesの作品は以下の6枚を紹介してきました。

 『A Hard Day's Night』(1964年)
 『Beatles For Sale』(1964年)
 『Rubber Soul』(1965年)
 『Revolver』(1966年)
 『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967年)
 『Abbey Road』(1969年)

7枚目の紹介となるのはデビュー・アルバム『Please Please Me』(1963年)です。

前述のようにPaulがグラミーで演奏した「I Saw Her Standing There」収録ということで今回本作をセレクトしました。

僕の場合、Beatlesファンですが熱狂的マニアではないので、デビュー・アルバムとなる本作のレコーディングまでの詳しい経緯や細かなレコーディング・データ等にはあまり興味がないのでご勘弁を!

デビュー・アルバム『Please Please Me』は全14曲のうち、8曲がオリジナル(Lennon/McCartney作品)、6曲がカヴァーという構成です。プロデュースは勿論George Martin

以前の僕であれば、初期作品であれば『A Hard Day's Night』のように全曲オリジナルのアルバムを好んで聴いていたのですが、ある時点から本作や『Beatles For Sale』のようにカヴァー曲を含むアルバムを聴く頻度が多くなった気がします。

きっとBeatlesの本質を黒人音楽から影響を受けたロックン・ロール・バンドと捉え、そんなBeatlesの原点がカヴァー曲に色濃く反映されているからだと思います。

本作収録の6曲のカヴァーも多くが黒人音楽のカヴァーであり、オリジナル曲にも黒人音楽からの影響が窺えます。そのような点を意識して改めて聴き直すと、昔は気付かなかった新たな発見が数多くありました。

本作はたった1日でレコーディングされた作品ですが、そんな急ごしらえだからこそBeatles本来の姿が浮かび上がってくる作品なのではと思います。

全曲紹介しときやす。

「I Saw Her Standing There」
前述のとおり、今年のグラミーでPaulが演奏したナンバー。Lennon/McCartney作品(Paul主導)。♪ワン!ツー!スリー!フォー!Paulのカウントがキマりすぎですね!ドライブ感がカッチョ良いストレートなR&Rチューンです。Beatlesを聴き始めた頃はメロディ重視の曲が好きだったので、それほど特別な曲という印象を持っていませんでしたが、こういったChuck BerryスタイルのR&RチューンこそBeatles本来の姿と言えるのかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=VpCdDwvhgcw

本来、Paulの曲と言える本曲をJohnがElton Johnのライブで共演したのは興味深いですね。それ以外のカヴァーでは、アメリカの女性ポップ・シンガーTiffanyが「I Saw Him Standing There」と改題したヴァージョンが印象に残っています。

Elton John & John Lennon「I Saw Her Standing There」
 http://www.youtube.com/watch?v=XkS1ozgUYv0

「Misery」
Lennon/McCartney作品。元々は女性アイドル・シンガーHelen Shapiroのために書かれた曲ですが、結局彼女はレコーディングしませんでした。その後黒人シンガーKenny Lynchがレコーディングしています。このBeatlesヴァージョンはJohnとPaulのユニゾン・ヴォーカルで歌っています。今になって聴き返すと結構R&Bテイストに仕上がっている気がします。George Martinによるピアノがアクセントになっていてグッドですね。

「Anna (Go to Him)」
ソウルシンガーArthur Alexanderによる1962年のシングルのカヴァー。レコーディング当日風邪だったJohnですが、そのせいで声がいい感じで潰れてソウルフルなヴォーカルに仕上がっていると思います。

「Chains」
黒人女性コーラスグループThe Cookiesのカヴァー。作者はJerry Goffin/Carole Kingの黄金コンビです。ヴォーカルはGeorge。本作の中ではついついスキップしてしまう曲の1つです。Georgeゴメン!

「Boys」
黒人女性コーラスグループThe Shirellesのカヴァー(Luther Dixon/Wes Farrell作品)。ヴォーカルはRingoが担当しています(元々はオリジナルメンバーPete Bestがヴォーカルを務めていました)。この曲も昔はイマイチな印象だったのですが、今聴き返すとR&Bテイストが実にカッチョ良いですね。特にPaulのベースラインがグッド!

「Ask Me Why」
Lennon/McCartney作品(John主導)。昔も今もアルバムで一番好きな曲ですね。オールディーズ・ムード満点のメロディとJohnの甘酸っぱいヴォーカルがサイコーですな。軽くラテン・フレイヴァーの効いたRingoのドラムもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=aCd8PGoJiO4

竹内まりやが本曲をカヴァーしていますが、彼女がこの曲を取り上げるのって妙に納得してしまいますね。エヴァーグリーンな魅力を持ったJohnの名曲だと思います。

「Please Please Me」
Beatles初のUKシングルチャートNo.1に輝いた大ヒット2ndシングル。Lennon/McCartney作品(John主導)。当初George Martinがシングル用に用意した曲「How Do You Do It?」(Mitch Murray作)をメンバーが拒否して、本曲をシングルにした話は有名ですね。
Beatles「How Do You Do It」(Demo)
 http://www.youtube.com/watch?v=gOm3GMLwOBI

誰しもが一度は聴いたであろう、Johnのハーモニカと♪カモン♪カモン〜♪カモン♪カモン〜♪のフレーズは、まさに200%Beatles印といった感じですよね。僕はこの曲を聴くと三ツ矢サイダーを思い浮かべてしまいますが、そのような方も多いのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=W9cbMZZTRQQ

ボツになった「How Do You Do It?」はGerry & The Pacemakersのデビュー・シングルとなり、こちらも見事UKシングルチャートNo.1に輝きました。めでたし、めでたし...
Gerry & The Pacemakers「How Do You Do It?」
 http://www.youtube.com/watch?v=2zs7OtsvvT4

ここまでオリジナルLPのA面です。

「Love Me Do」
ご存知のとおり記念すべきBeatlesのデビューシングル(但し、アルバム・ヴァージョン)。本ヴァージョンでドラムを叩いているのはAndy White。Lennon/McCartney作品(Paul主導)。聴き慣れた愛着のある曲ですが、冷静に今聴き直すとBeatlesの魅力が十分に反映されいるのか?という気もします...
http://www.youtube.com/watch?v=GwbOp8mqD7g

「P.S. I Love You」
Lennon/McCartney作品(Paul主導)。この曲もドラムはAndy Whiteです(Ringoはマラカス)。Paulらしいロマンティックなラブソング。昔は気づきませんでしたが、黒人コーラス・グループからの影響が窺える作品です。ノスタルジック&ムーディーな魅力がありますね。

「Baby It's You」
「Boys」に続き、The Shirellesのカヴァー2曲目。本曲はBurt Backarach作品(共作)です。♪シャラ・ラ・ラ・ラ・ラ・ラ〜♪というコーラスが印象的ですね。この曲も風邪で潰れ気味のJohnのヴォーカルが逆にいい味を出していると思います。

「Do You Want to Know a Secret」
Lennon/McCartney作品(John主導)。リード・ヴォーカルはGeorge。そのせいか貧弱な印象を受ける曲ですが、メロウな雰囲気が結構好きだったりします。本曲はBilly J. Kramer with the Dakotasのデビュー・シングルとなり、大ヒットを記録していますね。

「A Taste of Honey」
ミュージカル『A Taste Of Honey(邦題:蜜の味)』の主題曲(Bobby Scott/Ric Marlow作)。Herb Alpert & The Tijuana Brassのヴァージョンも有名ですね。僕は映画『A Taste Of Honey』を通じてこの曲を初めて知った記憶があります。僕の場合、洋楽を聴く以前に外国映画の主題曲集をずっと聴いていたという変な子供だったもので(笑)。なので、Paulの二重唱になっているBeatlesヴァージョンを初めて聴いた時はかなり違和感を覚えました(笑)

「There's a Place」
Lennon/McCartney作品(John主導)。「Ask Me Why」と並ぶ僕のお気に入り曲。ハーモニカが入るあたり、「Please Please Me」と似たタイプの曲かもしれませんね。Johnがモータウンを意識して作った楽曲ですが、どことなく寂しげなメロディがJohnらしいのでは?JohnとPaulのヴォーカル&ハーモニーもいい感じです。一般的には地味な扱いの曲ですが、たまらなく愛着を感じるBeatlesナンバーです。
http://www.youtube.com/watch?v=7MvcUfxGfsc

「Twist and Shout」
カヴァー曲(Phil Medley/Bert Russell作)ですが、オリジナル以上にBeatlesヴァージョンが有名な曲ですね。アメリカではシングル・リリースされ、チャートの第1位に輝きました。ライブで大盛り上がりする曲ですね。

よくオリジナルがThe Isley Brothersと説明されている記事を目にしますが、オリジナルは1961年のTop Notesです。確かにBeatlesヴァージョンはIsley Brothersヴァージョン(1962年シングル)を手本にしているものだと思いますが。
The Top Notes「Twist and Shout」
 http://www.youtube.com/watch?v=LsDpc-8iR8g

The Isley Brothers「Twist and Shout」
 http://www.youtube.com/watch?v=5eDwSfO3WmQ

この曲と言えば、Johnががに股姿でシャウトし、PaulとGeorgeが寄り添ってコーラスをつける映像が脳裏に焼きついている方が多いのではと思います。オリジナルではありませんがBeatlesを代表する1曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=eiB66wRtKG8

デビュー作ということもあって、数あるBeatles作品の中でも最も清々しい印象が残るアルバムなのでは?
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2009年02月10日

Gang Starr『Moment of Truth』

やっぱりPrimoは凄すぎる!☆Gang Starr『Moment of Truth』
Moment of Truth
発表年:1998年
ez的ジャンル:名人芸系Hip-Hop
気分は... :グラミーが終わりましたが...

昨日はグラミー賞の授賞式でしたね。

主要3部門はRobert Plant & Alison KraussがRecord Of The Year、Album Of The Yearの二冠に輝き、Song Of The YearはColdplayが受賞しました。

今年の主役はRobert Plant & Alison Kraussになったわけですが、受賞スピーチで二人と共にプロデューサーのT-Bone Burnetteがエラく目立っていたのが印象的でしたね。

ここ数年毎年感じることですが、各年の優れた音楽作品を表彰する賞としてのグラミーの威厳は低下しているように思います。例えば、主要部門のノミネート一覧を見ても、音楽シーンの今は見えてこない気がします。その理由の1つには、現在のポピュラー音楽は多様化・細分化が一段と進展しており、ポップ、ロック、R&B、Hip-Hop、カントリー、ジャズ等の幅広いカテゴリーの音楽をグラミーという1つのイベントで扱うことが限界に達しているのだと思います。

2つ目には、ベテラン・アーティストやカントリー系アーティストのウケが良い、グラミーの保守化傾向があると思います。過去の音楽シーンへの功労も含めて賞を決めるのであれば納得できますが、そういった基準でもないと思うので...

なんて文句ばかり書いていますが、音楽イベントとしてのグラミーは楽しいと思います。新旧様々なアーティストのパフォーマンスや意外なコラボを観ることができるのは嬉しいですね。

今年のパフォーマンスの中では、Justin TimberlakeAl Greenによる「Let's Stay Together」が最高でした(バック・コーラスを務めていたBoyz II Menが寂しげでしたが)。Al Greenはプレゼンターも含めて、かなりノリノリでしたね(笑)

一方、Jonas Brothersと共演するStevie Wonderの姿を観ていて少し悲しくなりました。最近のStevieはイベントの客寄せパンダとして利用されすぎていると思うのは僕だけでしょうか。

受賞スピーチの中では、やはりJennifer Hudsonが感動的でしたね。スーパーボウルの国家斉唱に続いて涙ウルウルで観ていました。

あとミーハー感覚で言えば、プレゼンターで女優のEmily Procter(『CSI:マイアミ』のカリー役)が登場したのが嬉しかったですねぇ!

さて、今日はグラミーに全く関係なく、GuruDJ Premier(Primo)から成る90年代Hip-Hopシーンの最強ユニットGang Starrです。

Gang Starrの紹介は、4thアルバム『Hard to Earn』(1994年)、3rdアルバム『Daily Operation』(1992年)に続き紹介する作品は、5thアルバム『Moment of Truth』(1998年)です。

前作『Hard to Earn』(1994年)で頂点を極めてしまった感のある彼らだったので、本作まで約4年のブランクが開いたのは仕方が無かったのかもしれませんね。

その間、GuruJazzmatazzプロジェクトの第二弾『Jazzmatazz Vol II:The New Reality』(1995年)をリリースし、PrimoGroup Home『Livin' Proof』(1995年)、Jeru The Damaja『Wrath of the Math』(1996年)といったプロデュース・ワークで引っ張りだこでした。

そんな二人が再び集結し、創り上げたアルバムが『Moment of Truth』(1998年)です。相当のプレッシャーの中で制作されたと思いますが、出来上がった作品はそんなプレッシャーをはねのけ、さすがGang Starr!といった内容になっています。

特に数々のプロデュースワークで磨きのかかったPrimoのトラック作りは名人芸といった域なのでは?

全20曲、Primoの名人芸トラックとGuruの円熟ラップを堪能しましょう。

全曲紹介しときやす。

「You Know My Steez」
僕のオススメその1。アルバムからの1stシングル。ジャジーなループと硬質なリズムでカッチョ良くキメてくれます。クラシックの貫禄十分な仕上がりです。擦り具合いも相変わらずいい感じです。Joe Simon「Drowning in the Sea of Love」、Les McCann「Music Lets Me Be」、Grandmaster Flash「Flash is on the Beatbox」、 GZA「Shadowboxin'」、Greg Tate「What is Hip Hop?」、Big Noyd「Episodes of a Hustla」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=8O8oV1ATfH0&feature=related

「Robbin Hood Theory」
シンプルさが魅力の1曲。Guruの淡々としたラップとそれを際立てるPrimoのトラックとのバランスがグッド!George Duke「Capricorn」ネタ。

「Work」
僕のオススメその2。Big Lをフィーチャー。ソウルフルなテイストがカッチョ良い人気曲。Fleetwood Mac「Prove Your Love」ネタのドラムブレイクがカッチョ良すぎ!The Manhattans「Devil in the Dark」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=GSszWXkDHa8&feature=related

「Royalty」
僕のオススメその3。K-Ci & Jojoをフィーチャーしたクラシック。Gang Starrらしいクールなカッチョ良さとK-Ci & Jojoのホットな歌の組み合わせがグッド!Latimore「Let's Do it In Slow Motion」、Gang Starr「DWYCK」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=hDuoK-7nd6Y&feature=related

「Above the Clouds」
僕のオススメその4。Inspectah Deckをフィーチャー。John Dankworth「Two Piece Flower」ネタのループが印象的ですね。研ぎ澄まれたトラックには神の域に達したPrimo先生の凄みを感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=PxqUHp4YFL4&feature=related

「JFK 2 LAX」
The Supremes「It's Time to Breakdown」ネタのトラックがキマっていますね。

「Itz a Set Up」
Hannibalをフィーチャー。Les McCann「Beyond Yesterday」ネタのジャズ・ファンク・テイストのトラックがいい感じです。

「Moment of Truth」
僕のオススメその5。ノスタルジックなソウル・テイストと心地好いリズムが最高のタイトル・チューン。そんな抜群のトラックの雰囲気をうまくフロウにもつなげているGuruもグッド!Billy Paul「Let's Fall in Love All Over Again」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=lH3hrtp1T84&feature=related

「B.I. Vs. Friendship」
僕のオススメその6。M.O.P.をフィーチャーしたハードコア・チューン。M.O.P.が入った途端、こんなにもハードになるのが面白いですね。アルバムの中でいいアクセントになっていると思います。Isaac Hayes「Come Live With Me」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=kv44GeBMovk

「The Militia」
僕のオススメその7。アルバムからの2ndシングルにもなりました。Big Shug & Freddie Foxxxをフィーチャーした男気溢れる1曲。疾走するトラックがサイコー!スクラッチもばっちりキマっています。Robert Cobert「Dark Shadows (Main Theme)」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=nSh1dLlBaHw&feature=related

「The Rep Grows Bigga」
この曲はひたすらPrimoの素晴らしい仕事ぶりに耳を傾けましょう。Jeff Beck「Come Dancing」、The Beatnuts「Off The Books」、Wu-Tang Clan「C.R.E.A.M.」、I.N.I.「Fakin' Jax」 、Non Phixion「Refuse to Lose」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=IwRkpE2UDIE

「What I'm Here 4」
僕のオススメその8。Young-Holt Unlimited「Little Green Apples」ネタのエレガントなピアノにグッとくるトラックとGuruのラップの絡み具合がいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=C2xekkyEmJA

本曲をお好きな方は、本曲をサンプリングしたRoyce Da 5'9 & Common & Chino Xl「Enough Beef」もぜひチェックを!
Royce Da 5'9 & Common & Chino Xl「Enough Beef」
 http://www.youtube.com/watch?v=H-Jc3oJUAIk

「She Knowz What She Wantz」
僕のオススメその9。メロウネスで言えば、MFSB「Sunnin' and Funnin'」、De La Soul「Itzsoweezee (HOT)」ネタのこの曲が一番かもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=s9koEWoHu4c

まぁ、この曲に限って言えば、元ネタの2曲が良すぎる!という気もしますが...
MFSB「Sunnin' and Funnin'」
 http://www.youtube.com/watch?v=a88b5uWz5gk
De La Soul「Itzsoweezee (HOT)」
 http://www.youtube.com/watch?v=KaLxbByTdW0&feature=related

「New York Strait Talk」
EPMD「It's My Thang」、Ruthless Bastards「Bastards」ネタの重心の低いトラックが印象的です。

「My Advice 2 You」
「Make 'Em Pay」
メロウなトラックの2曲。「My Advice 2 You」はLydia Pense & Cold Blood 「I Love You More Than You'll Ever Know」、Special Ed「Think About It」ネタ。「Make 'Em Pay」(Krumbsnatchaをフィーチャー)はGroup Home「Livin' Proof」、Five Special「You're Something Special」ネタ。

「The Mall」
G-Dep & Shiggy Shaをフィーチャー。硬派な雰囲気に仕上がっています。

「Betrayal」
僕のオススメその10。Scarfaceをフィーチャー。War「Deliver the Word」ネタの哀愁トラックがいいですね。ScarfaceとGuruという個性の対比も面白いですね。。
http://www.youtube.com/watch?v=iRDkkldhPf4&feature=related

「Next Time」
Monk Higgins「A Good Man is Gone」ネタの哀愁トラックがいい感じです。LL Cool J 「I Shot Ya (Remix)」ネタ。

「In Memory Of...」
ラストはまったりモードで...Paul Horn「Here's that Rainy Day」、The Notorious B.I.G.「You're Nobody (Til Somebody Kills You)」ネタ。

これだけ曲数が多いと全曲コメントするのも一苦労ですな(笑)
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2009年02月09日

Cortex『Troupeau Bleu』

ブラジル/カフェ音楽好きに大人気のフレンチ・レア・グルーヴ☆Cortex『Troupeau Bleu』
Troupeau Bleu
発表年:1975年
ez的ジャンル:フレンチ・レア・グルーヴ
気分は... :フレンチの語感がたまりません!

今日はレア・グルーヴ好きにはたまらない1枚Cortex『Troupeau Bleu』(1975年)です。

昨年末に再発したのでゲットしたレア・グルーヴ・ファンも多いのでは?

Cortexは、リーダーのキーボード奏者Alain Mionを中心にフランスで結成されたクロスオーヴァー/フュージョン・グループ。Alain Mionは1960年代後半はジャズ・ピアニストとして、パリのBlue Noteのステージに立ち、Hank Mobley等と共演したキャリアを持つミュージシャンです。

1974年にMionはAlain Gandolfi(ds)らとCortexを結成し、『Troupeau Bleu』(1975年)、『Vol.2』(1977年)、『Pourquoi』(1978年)という3枚のアルバムをリリースしています。

彼らが残した3枚のアルバムのうち、最も知名度が高く人気も高い作品が今日紹介する1st『Troupeau Bleu』(1975年)です。

クラブ・サイドからの再評価が高まり、今ではフレンチ・レア・グルーヴの人気盤としてお馴染みの1枚ですね。ブラジル音楽のディスクガイド『Musica LocoMundo』、Cafe Apres-midiシリーズ等でご存知の方も多いと思います。僕もそんな流れでCortexおよび本作を知った次第です。

先日某CDショップへ行ったら、本作のPOPに"これを聴いていないレア・グルーヴ・ファンはもぐり!"と書いてありました。"そこまで書くかぁ?"と思いましたが(笑)

元々Cortexはジャズ・ロック/プログレのグループと位置付けられており、本作も一部の熱心なジャズ・ロック/プログレ・ファンが聴いていたマイナー作品だったはずです。昔は『青い群れ』という邦題だったようですが、いかにもプログレなタイトルですね(笑)。そんなマニアックな作品が、今では(ジャズ・ロック/プログレを殆ど聴かない)若いクラブ系リスナーが聴く"オシャレな"人気盤として脚光を浴びているわけですから、わからないものですねぇ。

本作における主要録音メンバーは、Mireille Dalbray(vo)、Alain Labib(sax)、Alain Mion(key)、Jean Grevet(b)、Alain Gandolfi(ds)の5人。それ以外にパーカッション、ギターのミュージシャンがサポートしています。

内容としては、『Musica LocoMundo』で紹介されたことからも察しがつくと思いますが、ブラジリアン・フレイヴァーのクロスオーヴァー/フュージョンという印象ですね。逆に、このサウンドがジャズ・ロック/プログレ・ファンの嗜好にマッチしていたのかなぁ???と不思議に感じてしまいます。

特に本作においては、(おそらくMireille Dalbrayによる)女声ヴォーカル&スキャットが肝になっていると思います。このセクシー&メロウ&ミステリアスなヴォーカル&スキャットが加わることによって、サウンドの魅力が倍増している気がします。

僕は某CDショップのように"これを聴いていないレア・グルーヴ・ファンはもぐり!"なんて高慢なことを言うつもりはありませんが、機会があれば聴いておいて損しない1枚だと思います。

フレンチの語感がたまらなくオシャレですよ!

全曲紹介しときやす。

「La Rue」
オススメ曲その1。人気のキラー・チューンですね。心地好いエレピの音色とお色気ムンムンの女声コーラスにグッとくるグルーヴィーなジャズ・ファンクに仕上がっています。女声コーラスのフレンチの語感とムーディーなサックスの組み合わせが妙にエロいです(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=sBAH-egRAh8

「Automne(Colchiques)」
オススメ曲その2。爽快なグルーヴ感が心地好いジャズ・ファンク。女声スキャットに思わず誘われてしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=iucbwXABCmU&feature=related

「L'enfant Samba」
オススメ曲その3。『Cafe Apres-midi Vigogne』にも収録されている人気曲。僕の一番のお気に入り曲です。その美しくスタイリッシュなサウンドに思わず心を奪われる、ブラジリアン・フレイヴァーのメロウ・グルーヴに仕上がっています。まさに午後にカフェでまったりと過ごすBGMにぴったりですね。
http://www.youtube.com/watch?v=qdMO84EBhBg

「Troupeau Bleu」
オススメ曲その4。タイトル曲は小粋なブラジリアン・フレイヴァーのクロスオーヴァー。女声ヴォーカル&スキャットが曲の魅力を倍増してくれます。エモーショナルなサックスもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=-mDumt9Nyes&feature=related

「Prelude A 60 Round」
70年代ジャズ/フュージョン好きの方は気に入るであろうムーディーな仕上がり。この曲も女声スキャットが魅力です。

「Go Round」
約1分半の小品。Alain Mionの美しいピアノを堪能しましょう。

「Chanson D'un Jour D'Hiver」
オススメ曲その5。ピアノ&女声スキャットによる美しい仕上がりの1曲。ミステリアスな雰囲気がたまりません。

「Mary Et Jeff」
オススメ曲その6。キャッチーなメロディのジャズ・ロックなリズムがカッチョ良いです。

「Huit Octobre 1971」
この曲はジャズ/フュージョン・ファン向けですね。終盤の演奏&スキャットがスリリングです。Hip-Hopファンの方は本曲をネタに使ったJaylib「No Games」、One Beer「MF Doom」あたりもチェックしてみて下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=iKCekd26AIE&feature=related

Jaylib「No Games」
 http://www.youtube.com/watch?v=BgZ4oygexPk

One Beer「MF Doom」
 http://www.youtube.com/watch?v=HUmZtvXXvgE

「Sabbat (1ere Partie) 」
「Sabbat (2eme Partie) 」
「Sabbat (3eme Partie) 」
3部構成の組曲。このあたりはプログレっぽいですね(笑)。グルーヴィーな第1部〜サンバのリズムが心地好いブラジリアン・フュージョンの第2部〜感動的なエンディングの第3部といった流れです。

「Madbass」
オススメ曲その7。この曲もレア・グルーヴ・ファンに人気が高いですね。重心の低いグルーヴ感がたまりません。

今回再発されたCDにはボーナス・トラック「Jazz Dance」が収録されています。
posted by ez at 00:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月08日

Christina Aguilera『Stripped』

真のアーティスト・イメージを確立させた意欲作☆Christina Aguilera『Stripped』
Stripped
発表年:2002年
ez的ジャンル:強い女性系過激ポップ・ミュージック
気分は... :グラミーの栄冠は誰に?

いよいよ明日はグラミー賞ですね。
僕は生放送で楽しもうと思っています。

主要3部門のノミネートを確認しておくと...

Record Of The Year
 Adele「Chasing Pavements」
 Coldplay「Viva La Vida」
 Leona Lewis「Bleeding Love」
 M.I.A「Paper Planes」
 Robert Plant & Alison Krauss「Please Read The Letter」

Album Of The Year
 Coldplay『Viva La Vida Or Death And All His Friends』
 Lil Wayne『Tha Carter III』
 Ne-Yo『Year Of The Gentleman』
 Robert Plant & Alison Krauss『Raising Sand』
 Radiohead『In Rainbows』

Song Of The Year
 Estelle「American Boy」
 Adele「Chasing Pavements」
 Jason Mraz「I'm Yours」
 Sara Bareilles「Love Song」
 Coldplay「Viva La Vida」

全体的にはUK勢のノミネートが目立ちますね。

正直、このメンバー、楽曲が今の音楽シーンを反映しているとは思えませんが、まぁ1つのイベントとして楽しみたいと思います。

そんな流れでグラミー関連作を取り上げようと思い、CD棚を眺めて取り出した1枚がChristina Aguileraの2ndアルバム『Stripped』(2002年)です。

本作収録の「Beautiful」で、2004年グラミー賞のBest Female Pop Vocal Performanceを受賞しています。

Christina Aguileraの紹介は、3rdアルバム『Back To Basics』(2006年)に続き2回目となります。

デビュー・アルバム『Christina Aguilera』(1999年)でいきなり大成功を収め、一躍トップ・スターの仲間入りを果たしたAguileraですが、デビュー作の成功は良く悪くも「Christina Aguilera=トップ・アイドル」というイメージを世間に定着させてしまいました。

僕なども当時はBritney Spearsらと同じカテゴリーのアイドル歌手という印象を持っていましたね。でも、このアイドル歌手イメージは必ずしもAguileraが望んでいたものではなかったようです。特に、同じMickey Mouse Club出身のBritneyと同じ扱いは嫌だったみたいですね。

そこで従来のアイドル・イメージをぶち壊し、アーティストChristina Aguileraとしてのイメージを前面に打ち出したアルバムが本作『Stripped』です。

Scott Storchをメイン・プロデューサーに据え、それ以外にもLinda PerryGlen BallardRockwilderAlicia Keys、Rob Hoffman等がプロデュースを手掛けています。自身もエグゼクティブ・プロデューサーを務めています。またゲストにはLil' KimRedmanAlicia Keysが参加しています。

アイドルではあり得ない過激な曲、赤裸々に自己をさらけ出した曲、歌手としての実力を見せつける曲、大人のシンガーを印象づける曲等々Aguileraのやりたい邦題にやったアルバムになっています。同時期にBritneyもR&B路線のアルバムで従来のイメージ打破を図っていたため、それ以上のイメチェンをせねばならない!といった思いがあったのかもしれませんね。

PinkLil KimMyaという歌姫3人と共演し、2001年に全米シングルチャートNo.1に輝き、2002年のグラミーのBest Pop Collaborationを受賞した「Lady Marmalade」Labelleのカヴァー、映画『Moulin Rouge』のサントラ収録、Missy Elliott/Rockwilderプロデュース)の大成功も、Aguileraの大イメチェン作戦にとって追い風になりましたよね。

Christina Aguilera、Lil Kim、Mya & Pink「Lady Marmalade」
http://www.youtube.com/watch?v=Y9V8uJnKBj8

全20曲は詰め込み過ぎの感もありますが、アーティストChristina Aguileraを強く印象づけてくれる作品です。聴けば聴くほどよく出来たアルバムだと感心させられます。

勿論、僕はアイドルAguileraよりも、本作のようなセクシーAguileraが好きです!
なんてふざけたことを言っていると、後ろからケリを喰らいそうですね(笑)

昨今の強い女性像にもつながる、女性からの支持が高い1枚だと思います。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Can't Hold Us Down」
Lil' KimをフィーチャーしたHip-Hopテイストの4thシングル(Scott Storchプロデュース)。女性から世の男どもに対する宣戦布告といった感じの過激な楽曲です。「Lady Marmalade」で共演したLil' Kimとの息もピッタリ!Lil' Kimに負けないビッチ・イメージのPVも含めて、脱アイドルを印象付けるには打ってつけの1曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=yDnyuDznEA0

「Walk Away」
ブルージーな仕上がりが印象的なバラード。デビュー2作目にしてこの成熟ぶりには驚かされます。Scott Storchプロデュース。

「Fighter」
アルバムからの3rdシングル。ゴシック・ファッションに身を包んだPVのイメージそのままに、ダークなロック・チューンに仕上がっています。こんなテイストの曲がScott Storchプロデュースというのが意外ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=xB7pQpNx-F4&feature=related

「Infatuation」
シングル曲以外ならば、ここから続く「Infatuation」、「Loving Me For Me」、「Impossible」、「Underappreciated」という4曲にグッときます。本曲は哀愁モードの情熱的なラテン・チューンに仕上がっています。ラテンの血をひくAguileraにはラテン・チューンがよく似合いますね。Scott Storchプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=e-ZiMhWixfI

「Loving Me For Me」
大人のスウィートネスといった仕上がりのスロウ・チューン。力まずしっとり、しなやかに歌っているのが僕好みです。Scott Storchプロデュース。ドラムは?uestlove(The Roots)です。
http://www.youtube.com/watch?v=0uhIr4VkOKA

「Impossible」
Alicia Keys作/プロデュース。ピアノ&バック・ヴォーカルもAliciaです。二人の才能ある女性アーティストの共演は聴き応え十分です。曲はいかにもAliciaらしい感動的なソウル・バラードです。それに応えるAguileraの堂々とした歌いっぷりは見事です。
http://www.youtube.com/watch?v=aWbdGwH_wDg

「Underappreciated」
Scott Storchプロデュースによるスタイリッシュなミッド・グルーヴ。サウンド・プロダクションがお見事!さすがはScott Storchですな。
http://www.youtube.com/watch?v=ZwwVE6NJ1Gk

「Beautiful」
アルバムからの2ndシングル(Linda Perry作/プロデュース)。全米シングル・チャート第2位の大ヒットとなりました。Aguileraの歌唱力を存分に堪能できる美しいバラード。1stシングル「Dirrty」がチャート・アクション的にはイマイチだったので、2ndシングルはバラードで巻き返しを図ったのかもしれませんね。Linda Perryの曲作りもさすがです。同性愛者が登場するPVはなかなか意味深ですな(Aguileraは同性愛者からの支持も高いみたいですね)。
http://www.youtube.com/watch?v=KNthqC2fsVw

「Make Over」
この曲も大好き!キャッチーなロック・チューンに仕上がっています。少しミステリアスな雰囲気もグッド!Linda Perryプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=kz3VsuccHng

「Soar」
ドラマティックなバラード(Rob Hoffmanプロデュース)。仰々しいバラードは苦手な僕ですが、ここまで完璧ならば許しちゃいます(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=a68At4jVM9I

「Get Mine, Get Yours」
僕好みのセクシーなミッド・グルーヴ。夜遊びモードの時に聴きたい1曲ですね。Steve Moralesプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=DDyPYh3xBh8

「Dirrty」
Redmanをフィーチャーしたアルバムからのリードシングル。「Lady Marmalade」を手掛けたRockwilderがプロデュースしています。まさにダーティーなロッキン・テイストのHip-Hopトラックがキマってます。従来のアイドル・イメージを払拭したいというAguileraの意気込みが感じられます。あとはエロエロ光線出しまくりのセクシーなPVに釘付けです。ホント、エロすぎっ(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=Kaej4Wjkj1Q&feature=related

「The Voice Within」
5thシングル。Glen Ballardプロデュースの王道バラード。聴き応え十分の感動的な仕上がりです。でも、Aguileraの実力を持ってすれば、これぐらい歌えるのは当たり前だし、あまりに正攻法すぎて面白みに欠ける気も...なんて言うのは聴き手の我がままですかね(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=NWixUIMTjYc

今年リリース予定の新作も楽しみですね!

さて、グラミーの栄冠は誰の頭上に輝くのでしょうか?
posted by ez at 00:57| Comment(2) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月07日

Cameo『She's Strange』

リストラしても頑張っています!10thアルバム☆Cameo『She's Strange』
She's Strange
発表年:1984年
ez的ジャンル:80年代エレクトリック・ファンク
気分は... :ようやく脳ミソが復活してきた!

昨日は勝手にオフにしてしまい、1日中寝ていました。
この1週間はハードワークであまり睡眠時間がとれなかったもので...

僕の場合、肉体以上に脳ミソに疲れがたまることが多く、そんな時には飯も食わずに、「寝ること&(音楽を)聴くこと」が一番の疲労回復になるみたいです。ちなみに昨日は起きている間は穏やかなブラジル音楽を聴きまくっていました。

その反動で今はファンクが聴きたい気分!
しかもエレクトリック・ファンクが聴きたい!

と言うことで、Larry Blackmon率いるファンク・グループCameoの3回目の登場です。

『Word Up!』(1986年)、『Cameosis』(1980年)に続いて紹介するのは、1984年リリースの10thアルバム『She's Strange』です。

『Alligator Woman』(1982年)を前に、リーダーLarry Blackmonはリストラを断行し、大所帯ファンク・グループから少数体制となったCameoですが、本作『She's Strange』『Alligator Woman』(1982年)、『Style』(1983年)に続く少数体制第3弾アルバムとなります。

本作におけるメンバーは、Larry Blackmon、Tomi Jenkins、Nathan Leftenant、Charlie Singletonの4名。このうちCharlie Singletonは本作を最後にグループの正式メンバーから外れます(その後もレコーディングには参加しています)。

エレクトリック・ファンク、メロウ・グルーヴ、レゲエ、ファンク・ロック、美メロ・スロウなど様々なタイプの曲が収録されており、そのバラエティ感を堪能するのが本作の楽しみ方だと思います。

その後、ソリッドなエレクトリック・ファンクを前面に打ち出した『Word Up!』(1986年)で大ブレイクする彼らですが、本作あたりはそこに向かう過程として聴くのも面白いかもしれませんね。

本作はリストラ後初の全米R&BアルバムチャートNo.1となり、タイトル曲もシングルとして全米R&BチャートNo.1に輝きました。その意味でLarry Blackmonが進むべき方向に自信を深めた作品になったのではと推察します。

本作で文句をつけるとすれば、何処から見てもB級なジャケですね。
『Alligator Woman』、本作『She's strange』『Single Life』と女性ジャケ・シリーズが続きますが(『Style』はさらに論外なジャケですが)、正直どれもダサダサですな(笑)。

まぁ、ジャケで内容を判断せずに聴いてみてください!
いい曲揃ってまっせ!

全曲紹介しときやす。

「She's Strange」
タイトル曲は全米R&Bチャート第1位となった大ヒット曲です。クール&スタイリッシュな格好良いエレクロック・ファンクに仕上がっています。下手くそなラップはご愛嬌ということで(笑)。前述のように、この曲の大ヒットはLarry Blackmonに自信を与えたように思います。
http://www.youtube.com/watch?v=phRORYSze3Q

本曲はサンプリング・ネタとしても定番ですね。2pac「Young Niggaz」、Jermaine Dupri feat. Da Brat & Usher「The Party Continues」、Rampage「We Getz Down」、Nate Dogg「She's Strange」、Boogiemonsters「Strange」等でネタ使いされています。

2pac「Young Niggaz」
 http://www.youtube.com/watch?v=2pJlEMq5rxA

Jermaine Dupri feat. Da Brat & Usher「The Party Continues」
 http://www.youtube.com/watch?v=GBkGBuSFmH8

「Love You Anyway」
前の曲とはうって変わって、ハッピー&ラブリーなメロウ・グルーヴです。本作を最後に正式メンバーから外れるCharlie Singletonのジャズ・テイストのギター&スキャットも聴きどころです。
http://www.youtube.com/watch?v=ty7BTMHsARw

「Talkin' Out the Side of Your Neck」
ギターとシンセが派手に鳴りまくるファンク・ロック。昔からのファンの方にとってはビミョーな感じかもしれませんが、僕はいかにも80年代半ばらしい派手なサウンドが結構好きだったりします。

「Tribute to Bob Marley」
タイトルからお察しの通り、Bob Marley調のレゲエ・チューン。他のレビューを拝見すると、正直ボロクソ言われている曲ですが、僕はアルバムの中のアクセントとして面白く聴けました。

「Groove With You」
アーバン&スタイリッシュなミッド・ファンク。グルーヴ感良し!コーラス良し!アレンジ良し!個人的には一番のお気に入り曲です。思わず夜遊びに行きたくなる曲ですな。
http://www.youtube.com/watch?v=GLdcbwC0AI4&feature=related

「Hangin' Downtown」
この曲を本作をハイライトに挙げる方も多いかもしれませんね。思わず胸キュン・モードになる美しすぎるスロウ。込み上げ感がたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=kvEAVGyZgwQ

この曲もGroup Home「Supa Star」、Shareefa「Fevah (He Don't Know)」等のサンプリング・ネタになっていますね。Hip-Hopファンは何と言ってもDJ Premierベストワークとの呼び声も高いGroup Home「Supa Star」ですよね。
Group Home「Supa Star」
 http://www.youtube.com/watch?v=OC_aFkfFpSY

「Le Ve Toi!」
最後は80年代ならではのレトロ感全開のファンク・チューン。最初は聴いていて、ダサダサで痛すぎる感じがしたのですが、何度も聴くうちこのチープさに愛着が湧いてきてしまいました。でもダサい曲には変わりありませんが(笑)

リストラ後の作品で言えば、『Machismo』(1988年)も大好きなアルバムです。
殆ど語られることのない地味な作品ですが...
posted by ez at 02:37| Comment(2) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする