発表年:1974年
ez的ジャンル:ミラクル・ソウル/R&B
気分は... :Stevieはミラクルな存在であって欲しい!
久々にStevie Wonderの紹介です。
これまで紹介してきたStevie作品は以下の3枚。
『Talking Book』(1972年)
『Innervisions』(1973年)
『Songs In The Key Of Life』(1976年)
4枚目に紹介する作品は『Fulfillingness' First Finale』(1974年)です。
『Talking Book』(1972年)、『Innervisions』(1973年)と並ぶ三部作の1枚です。
多くのファンが指摘する通り、この三部作と『Songs In The Key Of Life』あたりがStevieの音楽的ピークであったと思います。
とにかく出す作品全てがミラクル!というのがこの時期のStevieであったと思います。
それだけに最近のSteveを観るたびに寂しい思いがしてしまいますね。
数日前にも書きましたが、今年のグラミーでJonas Brothersと共演するStevieの姿は、かつてのオーラは薄れ、イベントの客寄せパンダのようにしか観えませんでした。
そんな思いもあって、ミラクルなStevie作品を紹介したくなった次第です。
『Fulfillingness' First Finale』(1974年)は、"ファースト・フィナーレ"のタイトル通り、三部作の締め括りとなるStevie劇場第1幕のフィナーレを飾る作品です。
1年前に交通事故に遭い、瀕死の重傷を負ったStevieでしたが、見事に復活して本作のリリースにこぎつけました。精神性の高い崇高な楽曲が目立つのは、そういった体験も影響しているのかもしれませんね。
プロデュースはStevie Wonder自身とRobert Margouleff、Malcolm Cecilという三部作不動の布陣です。
ゲストにはPaul Anka、Jackson 5、The Persuasions、Minnie Riperton、Deneice Williams、Syreeta Wrightらがバック・ヴォーカルとして参加しています。
本作はグラミー賞の最優秀アルバムおよびベスト・ポップ男性ボーカルの2部門を受賞しています。
他の三部作同様に捨て曲ナシ全曲クラシックという充実作です。
全曲紹介しときやす。
「Smile Please」
邦題「やさしく笑って」。タイトルの通り、優しく穏やかなStevieの歌声とメロディに癒されます。♪Bum bum di ti bum〜♪の部分のコーラスが印象的ですね。パーカッシヴな仕上がりが僕好みです。
http://www.youtube.com/watch?v=eR6PKtgEL_w
「Heaven Is 10 Zillion Light Years Away」
邦題「1000億光年の彼方」。普通のアーティストが1000億光年なんて歌うと陳腐に聴こえてしまうかもしれませんが、この時期の神がかりなStevieならば壮大なスケール感がフィットしますよね。Stevieらしいシンセ・サウンドが印象的ですし、Paul Anka、Syreeta Wrightらが参加しているパワフルなバック・ヴォーカル陣もグッド!Richard Pageがカヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=yIE6unjkXmc
「Too Shy to Say」
ピアノとスティール・ギターの絡みが素晴らしい美バラード。聴いているだけで心が浄化され、ピュアな気持ちに戻ることができます。
http://www.youtube.com/watch?v=d_j-MxKALFU
Walter Jackson、Diana Rossがカヴァーしています。
Diana Ross「Too Shy to Say」
http://www.youtube.com/watch?v=IViuJCDgPCc
「Boogie on Reggae Woman」
アルバムからの2ndシングル。全米ポップチャート第3位、R&Bチャート第1位の大ヒットとなりました。タイトルから想像てきるように、Stevieがジャマイカ旅行中に作った曲です。でもレゲエではなくファンク・チューンに仕上がっているところが面白いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=ylQMhYqSntk
Pat Rhoden、Yami Bolo, Sly & Robbie といったレゲエ・カヴァーをはじめ、Stanley Turrentine、Marcus Miller、Chuck Brown & The Soul Searchers(「Boogie On Go-Go Woman」のタイトルでカヴァー)、Phish等がカヴァーしています。
Marcus Miller「Boogie On Reggae Woman」 (Live)
http://www.youtube.com/watch?v=EWg1D-TwBrk
「Creepin'」
フリーソウル・ファンにも人気の1曲ですね。このミステリアスな雰囲気がたまらく好きです!バック・コーラスはMinnie Ripertonです。
http://www.youtube.com/watch?v=6gkqGCnK-nw
Kenny Rankin、Tamiko Jones、Luther Vandrossあたりのカヴァーが有名だと思います。個人的にはフリーソウル・クラシックとなっているTamiko Jonesのヴァージョンをよく聴きます。それ以外にもKenia、Danny Williams、Blue Michell、Herbie Mann、Laura Nyro、Stanley Turrentineらもカヴァーしています。ブラジリアンAORなKeniaやBlue Michellのヴァージョンもグッド!だと思います。
Kenny Rankin「Creepin'」
http://www.youtube.com/watch?v=jA0z5gpjB8w
Luther Vandross「Creepin'」
http://www.youtube.com/watch?v=RFR0tq8laQ4
「You Haven't Done Nothin'」
アルバムからの1stシングル。全米ポップ・チャート、R&Bチャート共に第1位の大ヒットとなりました。「Superstition」と同タイプのファンク・チューン。Jackson 5がバック・コーラスで参加しています。イントロのシンセの音色を聴いただけでStevieワールド全開といった感じですよね。初めてStevieを聴いた頃、本曲の邦題「悪夢」は「迷信(Superstition)」と並んでインパクトありました。Stevieから見て当時のニクソン政権は悪夢だったのでしょうね。
http://www.youtube.com/watch?v=Ji2ma2mfyhU
3rd Bass「Pop Goes The Weasel」、Strange Fruit Project「Makin' My Way」、Pete Rock & 9th Wonder「Watch Me」等のサンプリング・ネタになっています。
Strange Fruit Project「Makin' My Way」
http://www.youtube.com/watch?v=mHu4rEMEPH8
Pete Rock & 9th Wonder「Watch Me」
http://www.youtube.com/watch?v=sqFNDC8fcAA
「It Ain't No Use」
味わい深いバラード。切ないメロディにグッときます。Minnie Riperton、Deneice Williamsらの女性コーラズ陣による♪Bye bye bye bye bye〜♪のパートが印象的ですね。それだけに「愛あるうちにさよならを」という邦題が妙にしっくりきますな。
http://www.youtube.com/watch?v=WBVD24d7V5E
当ブログで紹介したKenny Lattimoreのカヴァー(アルバム『Timeless』収録)やRainbow feat.Will Boulwareのクロスオーヴァーなカヴァーもグッド!
Rainbow feat.Will Boulware
http://www.youtube.com/watch?v=LWFsFhjCGuM
「They Won't Go When I Go」
邦題「聖なる男」。Stevieの高い志を象徴する1曲。この頃のミラクルStevieがこのような曲を歌うとホント、ハマりすぎですな。
http://www.youtube.com/watch?v=H5tT3JS4myE
George Michael、Kevin Max等がカヴァーしています。
George Michael「They Won't Go When I Go」
http://www.youtube.com/watch?v=6UmoCbWIZBY
「Bird of Beauty」
ブラジリアン・フレイヴァーなボッサ・チューン。歌詞の一部がポルトガル語ですが、その部分はSergio Mendesが訳したらしいです。この時期のStevieは積極的に他ジャンルのエッセンスを取り込んでいましたが、本曲もそういったアプローチの仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=zuy6QSVPsus
この曲は数多くのカヴァーがありますね。主なところを挙げると、SOL、Herbie Mann、Rune Gustafsson、Esther Satterfield、Ernestine Anderson、Hank Marvin、Stanley Turrentine、Svante Thuresson、Eliane Elias、Mash feat.Hazel Fernandes、Marilyn Scott、Nnenna Freelon、Cecil Brooks III with Gene Ludwig、Catia、Angelique等。 個人的にはSOLのラテン・カヴァーやEliane Eliasによるブラジリアン・ジャズ・カヴァーがお気に入りです。
Ernestine Anderson「Bird Of Beauty」
http://www.youtube.com/watch?v=A9_h-4L0Hyw
Eliane Elias「Bird Of Beauty」
http://www.youtube.com/watch?v=xdVNpuORQcw
「Please Don't Go」
ラストはヒューマンな感動に溢れる1曲。三部作の締め括りに相応しいミラクルなパワーに満ちた出来栄えだと思います。Stevieの素晴らしいハーモニカも存分に堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=Rf71XpAot8I
本作で華々しく第1幕のフィナーレを迎えたStevieは、更なる進化を遂げ『Songs In The Key Of Life』(1976年)という、さらにミラクルな大作で第2幕をスタートさせます。