発表年:1992年
ez的ジャンル:ハッピーヴァレー系デジタル&ノイジー&ポップ・ロック
気分は... :普段の反動で...
今日はThe Jesus & Mary Chainの4thアルバム『Honey's Dead』(1992年)です。
The Jesus & Mary Chainは、Jim(弟)とWilliam(兄)のReid兄弟を中心にスコットランドで結成されたグループ。
1984年にシングル「Upside Down」でデビュー。その後ドラマーとしてPrimal ScreamのBobby Gillespieが加入し、1985年にデビュー・アルバム『Psychocandy』をリリースします。その後Bobby GillespieはPrimal Screamに専念するため、グループを脱退してしまいます。
フィードバック・ノイズによるノイジーなギター・サウンドとポップなメロディを融合させた『Psychocandy』はUK音楽シーンに大きな衝撃を与えました。また、暴れまくって10分ほどで終わってしまうステージも話題となりました。
その後、『Darklands』(1987年)、『Automatic』(1989年)、『Honey's Dead』(1992年)、『Stoned & Dethroned』(1994年)、『Munki』(1998年)といったアルバムをリリースするものの、Reid兄弟の関係が修復不能となり1999年に解散します。近年になり再結成している模様です。
僕は特にThe Jesus & Mary Chain(以下JAMC)のファンという訳ではありません。なので、『Psychocandy』や今日紹介する『Honey's Dead』などアルバムを何枚か持っていますが、歯抜けコレクション状態です。
また、今回記事を書くに際してリサーチする中で初めて知ったのですが、彼らのようなフィードバック・ノイズとポップなメロディを融合させたサウンドを"シューゲイザー"と呼ぶみたいですね("ハッピーヴァレー"という呼び方は聞いたことがありましたが)。
"シューゲイザー"の原点がJAMCの『Psychocandy』であり、"シューゲイザー"の金字塔が以前に当ブログでも紹介したMy Bloody Valentine『Loveless』ということらしいです。他にCocteau Twins、Slowdive、The Verveなども当該ジャンルのアーティストらしいです。僕はこれらのアーティストのアルバムも持っていますが、全く知りませんでした。
JAMCに話を戻すと、僕が持っているJAMC作品の中で最も聴く頻度が多いアルバムが今日紹介する4thアルバム『Honey's Dead』(1992年)です。
デジタルビートを前面に打ち出した前作『Automatic』(1989年)に比較すると、あまり語られることが少ない地味なアルバムというのが当時の僕の印象でした。しかし、ネットの評判を読んでいると、近年では最高傑作の呼び声も高いアルバムとして評価されているみたいですね。
前作からのデジタル路線を継承しつつも、彼ららしいノイジーなギター・サウンドをダークなポップ・センスでまとめ上げたアルバムです。このバランスの良さが後に評価されるようになったのかも?加えて、次作『Stoned & Dethroned』(1994年)のアコースティック路線が『Honey's Dead』の出来栄えを際立たせる結果になったのかもしれません。
今の僕の音楽嗜好とは対極に位置づるアルバムですが、普段耳障りの良い音楽を聴きすぎている反動で、こういったダークでノイジーな音楽を欲するのかもしれません。
全曲紹介しときやす。
「Reverence」
アルバムからの先行シングルとしてリリースされました。"キリストのように死にたい"、"JFKのように死にたい"という過激な歌詞が話題になりました。ダークなダンスビートとノイジーなギターサウンドとキャッチーなメロディによるインパクト十分なオープニングです。
「Reverence」 (Live 1992)
http://www.youtube.com/watch?v=nx_qEBhvUbE
「Teenage Lust」
退廃的なロック・チューン。ノイジーなサウンドとこの気だるいテンポ感が実にマッチしています。
「Far Gone and Out」
前曲から一転してダンス・ビートにのったスマートかつキャッチーな仕上がりです。この時期こうしたダンスビートを導入したロック・サウンドを数多く聴くことができましたが、前作での経験値がある分かなりこなれている気がします。
「Far Gone and Out」(live on letterman)
http://www.youtube.com/watch?v=T6ogWgG0UOY
「Almost Gold」
この曲はシングルにもなりました。磨きがかかったJAMCのメロディ・センスを実感できる1曲です。優しいメロディの中にもどこか儚さが漂うところが好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=aCU4e8SuSg4
「Sugar Ray」
ダークでへヴィーなギター・サウンドにグイグイ惹きこまれます。そんなダークな音空間を浮遊するライトなメロディ&ヴォーカルもいい感じです。
「Tumbledown」
スピード感が魅力の1曲。個人的にはもっと気だるく退廃的な曲の方が好きなのですが...
「Catchfire」
これは僕が好きな退廃的なロックです。タイトルのように実にキャッチーです(笑)
「Good for My Soul」
ポップでメロディアスですが、ダークなトーンでうまくまとめ上げているところがいいですね。
「Rollercoaster」
この曲はアルバム・リリース前にシングルとして発表されていた曲です。「Reverence」と並ぶ人気曲なのでは?エッジの効いたポップでスリリングな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=8GrcWnx6f38
「I Can't Get Enough」
この曲もJAMCのポップ・センスが光る1曲ですね。ノイジーなギターも聴けてコンパクトにまとまっています。
「Sundown」
アコースティックな味わいの退廃チューン。この美しく儚い感じが僕好みです。
「Frequency」
「Reverence」再登場といったエンディングです。
次作『Stoned & Dethroned』(1994年)ではアーシーなアコースティック路線を打ち出しますが、従来からのファンからは不評だったようですね。熱心なファンではない僕などはそれほど悪い作品だとは思いませんでしたが...