2009年03月24日

Ralph MacDonald『Sound Of A Drum』

僕のパーカッション好きはこの人のせいかも?☆Ralph MacDonald『Sound Of A Drum』
サウンド・オブ・ア・ドラム
発表年:1976年
ez的ジャンル:パーカッシヴ・ジャズ/フュージョン
気分は... :僕のパーカッション好きはこの人のせい...

今日は大好きなパーカッション奏者Ralph MacDonaldの1stソロ『Sound Of A Drum』(1976年)です。

Ralph MacDonaldは1944年N.Y.ハーレム生まれ。彼の両親は共にカリプソの母国トリニダード・トバゴ出身。特に父親Patrick MacDonaldは"Macbeth the Great"と呼ばれ、N.Y.ラテン業界では名の通ったミュージシャンでした。その父親からスティール・ドラムを習い、それ以外に様々なパーカッションを演奏するようになりました。

17歳の時には「Banana Boat Song」でお馴染みのHarry Belafonteのバンドに参加します。Belafonteのグループで6年間を過ごした後、スタジオ・ミュージシャンとして活動するようになります。

Ralphが注目されるようになったのは1970年にRoberta Flackのバンドに参加してからです。特に彼がソングライティング(William Salterとの共作)を手掛けた「Where Is the Love」は、Roberta Flack & Donny Hathawayのデュエットにより、1972年に全米ポップ・チャート第5位、全米R&Bチャート第1位の大ヒットとなりました。

その後もパーカッション奏者、コンポーザー、プロデューサーとして幅広く活躍しています。

特にコンポーザーとしては、Grover Washington Jr. feat.Bill Withersで大ヒットした「Just the Two of Us」をはじめ、「Mister Magic」Grover Washington Jr.)、「Trade Winds」Rod Stewart)、 「In the Name of Love」Grover Washington Jr.Roberta FlackBill Withers)等の名曲を生み出しています。日本人にとっては渡辺貞夫作品でもお馴染みですね。

また、自身のソロ・アルバムとして『Sound of a Drum』(1976年)、『The Path』(1978年)、『Counterpoint』(1979年)、『Universal Rhythm』(1984年)等の作品をリリースしています。

基本的に僕はパーカッシヴな音楽が大好きですが、それはRalph MacDonaldというミュージシャンの影響かもしれません。

学生の頃から彼のパーカッションや楽曲に魅了され、Ralph MacDonald参加というだけで購入したレコードも何枚かありましたね。中でもGrover Washington Jr.『Winelight』(1980年)、Roberta Flack『I'm The One』(1982年)、Ralph MacDonald『Universal Rhythm』(1984年)の3枚はよく聴きました。

その意味では今日も『Universal Rhythm』(1984年)を紹介したいのですが、未CD化なので『Sound of a Drum』(1976年)をセレクトしました。客観的に考えれば、『Universal Rhythm』以上に今時リスナーの方へフィットする作品だと思います。

「Where Is the Love?」「Jam on the Groove」「Mister Magic」「Calypso Breakdown」と目玉曲が多いのが魅力ですね。

さらにGrover Washington Jr.、Chuck Rainey、Eric Gale、Richard Tee、Rick Marotta、Toots Thielemans、Bob James、Nicholas Marrero、Patti Austin、Gwen Guthrie等の参加ミュージシャンの顔ぶれも期待できます。

フュージョン/AOR好き向け作品と思われるかもしれませんが、クラブジャズ好き、Hip-Hop好きの方をはじめ、いろんな嗜好の方が楽しめる作品に仕上がっていると思います。

Ralphとその仲間たちが織り成すリズム・ワールドに酔いしれましょう!

全曲紹介しときやす。

「Sound Of A Drum」
Grover Washington Jr.『Winelight』のソプラノ&テナーに先導され、Ralphのリズム・ワールドが展開されます。エレガント&メロウな仕上がりもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=Sepbb9QgzX8

「Where Is the Love?」
Roberta Flack & Donny Hathawayへ提供した大ヒット曲のセルフカヴァー。オリジナルと比べて、パーカッシヴで躍動感のある仕上がりです。Toots Thielemansのハーモニカがフィーチャーされ、いい味出しています。Patti Austin、Gwen Guthrie、Frank Floyd等によるパワフルなヴォーカル隊もサイコー!

YouTubeにオリジナル、Ralphヴァージョン共に無かったので、本曲のカヴァー作品の中から、Dana、Jesse & Trina(Jesse Campbell & Trina Barnette)、John Legend & Corinne Bailey Raeのヴァージョンを紹介しておきますね。

Dana「Where Is The Love」
 http://www.youtube.com/watch?v=Zv0EtfOonro

Jesse & Trina「Where Is The Love」
 http://www.youtube.com/watch?v=OAepi4leA3o

John Legend & Corinne Bailey Rae「Where Is The Love」
 http://www.youtube.com/watch?v=eb7u7ixkzLw

「The Only Time You Say You Love Me (Is When We're Making Love) 」
Chuck Rainey、Rick MarottaにRalphが絡むリズム隊がグイグイ前進するグルーヴ感がいいですね。本曲の作者であり、アレンジも担当しているArthur Jenkinsのクラビネットもいいアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=6h4yHBNGn6Q

「Jam on the Groove」
おそらく若いリスナーの方にとっての本作のハイライトは、定番ブレイクビーツとしてお馴染みの本曲かもしれませんね。Ralphのパーカッションの洪水を存分に堪能しましょう。Chuck Raineyのベースもカッチョ良い!シンセはBob Jamesです。
http://www.youtube.com/watch?v=VHFfo8DkkTE

本ブログでも紹介したStetsasonic「Go Brooklyn 3」をはじめ、DJ Spinna「Rock」、Del「Money for Sex」、Double D & Steinski「Lesson 3」等でサンプリングされています。

DJ Spinna「Rock」
 http://www.youtube.com/watch?v=FbLWm4rZAGA

Del「Money for Sex」
 http://www.youtube.com/watch?v=bGIPRTwVHvE

Double D & Steinski「Lesson 3」
 http://www.youtube.com/watch?v=xTo_fJ8itk0

「Mister Magic」
僕の一番のお気に入り!Grover Washington Jr.でお馴染みの名曲のセルフカヴァー。Hip-Hopネタとしても有名ですね。ここではティンバレスのNicholas Marreroも加わり、サルサ・フレイヴァーのラテン・チューンに仕上がっています。ラテン/クラブ・ジャズ好きの方は必聴!YouTubeにRalphヴァージョンが無いのが残念!

Grover Washington, Jr.「Mister Magic」
 http://www.youtube.com/watch?v=B0RfJB41Dds

「Calypso Breakdown」
この曲はBee Gees「Stayin' Alive」、「Night Fever」等でお馴染みの超有名サントラ『Saturday Night Fever』にも収録されていたアノ曲です(William Eaton作)。タイトルの通り、カリビアンをルーツに持つRalphらしいパーカッシヴなインスト・チューンに仕上がっています。

さぁ、いよいよWBC日韓決戦ですね。
今日は何とかTV観戦したいなぁ...
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2009年03月23日

The Rolling Stones『Aftermath』

全曲Jagger/Richards作品で占められた初期Stonesの名作☆The Rolling Stones『Aftermath』
アフターマス(UKヴァージョン)(紙ジャケット仕様)
発表年:1966年
ez的ジャンル:全曲オリジナルStones
気分は... :WBC観ないとね!

もうすぐWBC「日本対米国」戦です。
今日の午前中は皆さん仕事にならないのでは?
僕もゆっくり観戦したいのですが、10時から客先でヒアリング....タイミング悪すぎ!早めに終わらせてワンセグ観戦するつもりです(泣)

さて、久々のThe Rolling Stonesです。

これまで本ブログで紹介してきたStones作品は以下の7枚(発売年順)。

 『December's Children (And Everybody's)』(1965年)
 『Between the Buttons』(1967年)
 『Beggars Banquet』(1968年)
 『Let It Bleed』(1969年)
 『Sticky Fingers』(1971年)
 『Black And Blue』(1976年)
 『Emotional Rescue』(1980年)

8枚目の紹介となる作品は『Aftermath(UK盤)』(1966年)です。

ご存知の通り、初期Stones作品はUKとUSとでアルバムが異なるため、非常にコレクションしづらいですね。アルバム・タイトルが異なる作品ならばまだいいのですが、本作『Aftermath』のように、同タイトルで収録曲が異なるパターンのもは特にややこしいですな。

僕の場合、基本的に初期作品はUSリリース作品でコレクションしていますが、本作『Aftermath』のみはUK盤で持っています。

『Aftermath』は初の全曲オリジナル(Jagger/Richards作品)で占められた作品であり、Beatlesで言えば、『Rubber Soul』(1965年)のような位置づけの作品です。その意味でアルバム全体の統一感を意識したアルバムであり、メンバーの意向をより反映しているUK盤を聴くべし!というのが僕の嗜好です。

ちなみにUS盤の『Aftermath』のジャケはこんな感じです。
Aftermath

収録曲としてはオープニングの「Mother's Little Helper」が大ヒット・シングル「Paint It, Black」へと差し替えられ、「Out of Time」「Take It or Leave It」「What to Do」の3曲がカットされています。

この内容ならばUK盤が欲しくなりませんか?
僕の場合、「Paint It, Black」『Through The Past, Darkly(Big Hits Vol. 2)(US盤)』で聴いています。

全曲Jagger/Richards作品ということで、Mick JaggerKeith Richardsの二人に注目が集まってしまうかもしれませんが、本作の主役はBrian Jonesだ!と主張するファンの方は多いはず、僕もそんな一人です。

マリンバ、アパラチアン・ダルシマー、ハープシコード、スライド・ギター等Brian Jonesの奏でる楽器の音色が各曲を魅力的なものしている気がします。

さらにR&BなStones、サイケなStones、アーシーなStonesがミックスされ、Stonesとしてのオリジナリティを強烈に主張している作品だと思います。

数あるStones作品の中でも早めに聴くべき1枚なのでは?

全曲紹介しときやす。

「Mother's Little Helper」
USでは「Lady Jane」とのカップリングでシングルにもなりました(最高8位)。何と言ってもBrianの12弦ギターのリフが印象的ですね。この曲をオープニングに持ってくるあたりに、オリジナリティを強く打ち出したいメンバーの思いが反映されているのでは?Tesla、Arno等のカヴァーがあります。
http://www.youtube.com/watch?v=EL_ygXeLbdU

「Stupid Girl」
大ヒット・シングル「Paint It, Black」のB面曲(US盤)。モータウン風のリズムが印象的です。同じくモータウン風の「Under My Thumb」と並ぶ僕のお気に入りの1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=6pn5amiMcM8

Ellen Foleyがカヴァーしています。
Ellen Foley「Stupid Girl」
 http://www.youtube.com/watch?v=m9MOy1Wzvcg

「Lady Jane」
美しく物悲しいメロディがサイコーの名バラード。Jagger/Richardsコンビのソングライティングの充実ぶりを窺える1曲ですね。クラシカルな雰囲気のアレンジもいいですね。Brianがアパラチアン・ダルシマー(打弦楽器のダルシマーとは別物)を演奏してアクセントを加えています。前述のようにUSでは「Mother's Little Helper」とのカップリングでチャートインしています。
http://www.youtube.com/watch?v=GlPC2bR6YAY

「Under My Thumb」
ライブレパートリーとしてお馴染みの名曲ですね。ライブ・アルバム『Still Life』(1982年)のヴァージョンを良く聴いたという方も多いのでは?オリジナルはBrianのマリンバをフィーチャーしたモータウン風の仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=XW2F8ZPOqVw

この曲と言えば、数あるStonesナンバーの中でもカヴァー数が多い楽曲の1つですね。Del Shannon、Wayne Gibson、The Who、Blind Faith、Tina Turner、Social Distortion、Terence Trent D'Arby等数多くのアーティストがカヴァーしています。個人的には歯切れの良いWayne Gibsonのヴァージョンが好きですね。

Del Shannon「Under My Thumb」
http://www.youtube.com/watch?v=4jO3AJDL1bE

Wayne Gibson「Under My Thumb」
http://www.youtube.com/watch?v=DXYZWNguDD0

The Who「Under My Thumb」
http://www.youtube.com/watch?v=EeMC9VjtVag

Blind Faith「Under My Thumb」
http://www.youtube.com/watch?v=g_vQ-64MagM

「Doncha Bother Me」
邦題「邪魔をするなよ」。オリジナル曲でスライド・ギターとハープをフィーチャーしたブルージーな演奏を聴かせるあたりが、その後のStonesの方向を示唆しています。その意味で実に興味深いですな。

「Going Home」
11分を超えるルーズなブルース・チューン。この手の曲を11分の尺で入れるあたりにもStonesの自己主張が窺えますね。

「Flight 505」
「High And Dry」
60年代後半のStonesを示唆している2曲。「Flight 505」はホンキー・トンクなピアノが印象的です。「High And Dry」はカントリー・ブルース。僕の苦手なイモ臭いカントリーの一歩手前で踏みとどまっている感じかな?ビミョー(笑)

「Out Of Time」
本曲の中でも人気の高い1曲なのでは?イントロだけ聴くと、続けてRonettes 「Be My Baby」を歌いたくなりますよね(笑)。 Brianのマリンバがポップな味わいを醸し出しており印象的です。

この曲と言えば、UKシングル・チャートNo.1に輝いたChris Farloweのカヴァーも忘れられませんね。Chris FarloweはMickやKeithの友人であり、Mickがバック・ヴォーカルで参加している点でオリジナルとセットで聴くと楽しいと思います。特にChris Farloweヴァージョンを聴くと、この曲の持つPhil Spector的な雰囲気をより実感できるのでは?

Chris Farlowe「Out of Time」
 http://www.youtube.com/watch?v=GNyAzuB1-rE

Chris Farlowe以外にもRamones、Manic Street Preachers等がカヴァーしています。

「It's Not Easy」
Chuck Berryテイストのロックン・ロール。「It's Only Rock 'n' Roll」あたりのプロトタイプといった雰囲気ですね。

「I Am Waiting」
美しいアコースティックな響きの中に不思議なムードが漂うフォーキー・チューン。Larry Norman等がカヴァーしています。

「Take It Or Leave It」
The Searchersのカヴァーでもお馴染みの1曲。メロディアスながらもどこか物悲しいのがStonesらしいのでは?Brianがハープシコードを聴かせてくれます。

The Searchers「Take It Or Leave It」
 http://www.youtube.com/watch?v=bKm0F5p_zNI

「Think」
R&Bからの影響をStones流にいまく調理している1曲なのでは?この曲もChris Farloweがカヴァーしています。

「What To Do」
このコーラスはBeach Boys風?(笑)というよりはドゥーワップ風なのでしょうね。僕的にはパンチに欠ける印象ですが...

WBC準決勝のもう一試合「韓国対ベネズエラ」は韓国の圧勝でした。
アブレイユのお粗末なプレーで一気に流れが韓国へ行ってしまいましたね。先発シルバがベンチでブチ切れたのもわかります。あんなプレーをしているからアブレイユはヤンキースから放出されたのでしょう。

そんな状況でも韓国打線の破壊力は素晴らしかったですね。
素直に韓国野球の実力を認めないといけませんね。

その意味でも日韓のプライドを賭けた決勝戦を観たいですね。

なんて書きながら、サッカーのリーガエスパニョーラを観ていたら、メッシのスーパーゴール!メッシ凄すぎ!
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2009年03月22日

Crystal Winds『First Flight』

爽快なシカゴ産メロウ・ソウル!☆Crystal Winds『First Flight』
First Flight
発表年:1982年
ez的ジャンル:シカゴ系メロウ・ソウル
気分は... :ファースト・フライトに向けて...

あっという間に桜の季節が到来しそうですね。
来週末には都内某所でお花見の予定です。

音楽も冬物から春物へ衣替えならぬ、ディスク替えする時期です。
新年度の始まりに相応しい、爽快で期待感の膨らむ音が聴きたくなりますね。

今年は年明けに僕好みの新譜が少なかったので、春先の新譜に期待している面もあります。特にChrisette Micheleをはじめ女性R&Bの新譜に注目しています。

さて、今日はシカゴのメロウ・ソウル・グループCrystal Windsが1982年にリリースしたアルバム『First Flight』の紹介です。UKでの再評価が高まり、注目されるようになった1枚です。

Crystal Windsは、サックス奏者M. Cortez Brownとキーボード奏者Paul N. Colemanによる男性2人組ユニット。二人共にヴォーカルもこなします。本作『First Flight』ではソングライティング&アレンジ、プロデュースも殆ど自分達で手掛けています。

僕がCrystal Windsについて知っていることはこの程度です。
確か5、6年前に購入したと思いますが、何がきっかけで購入したのか全く記憶がありません(笑)

ジャケだけ見るとかなり暑苦しいイメージですが、中身は意外にも爽快サウンドのアーバン・ソウルに仕上がっています。ファンキーな楽曲もありますが、タメの効いた大人のファンク・チューンといった感じがいいですね。

"First Flight"のタイトルも含めて、間もなく到来する桜の時期にピッタリなメロウ・ソウルなのでは?

全曲紹介しときやす。

「So Sad」
電話での男女の会話から始まるメロウ・ソウル。ソウル・ヴォーカルという見方をするのであれば、この曲が最も王道スウィート・ソウルな仕上がりだと思います。

「Love Ain't Easy」
僕の一番のお気に入り。カクテル片手に聴きたくなる軽快なビートのメロウ・チューンです。ファルセット・ヴォーカルとアーバン&エレガントなグルーヴがたまりません。ジャケの野暮ったいイメージとは正反対の爽快な仕上がりにサプライズ!(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=yday9aGqUhQ

「Love Ain't Easy II」
「Love Ain't Easy」のパートIIはパーカッシヴなインスト・チューン。スキャットがいい感じ。

「Signs Of Winters Time」
UKで本作の再評価が高まるきっかけとなった1曲。アーバン・ナイトなジャジー・ソウルといった仕上がりです。Paul N. Colemanのデュエット・パートナーを務める女性ヴォーカリストTheresa Davisとの息もピッタリ!M. Cortez Brownのサックスも雰囲気を盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=dhywo914f3s

「It's A Wondrous Thing」
チョッパーベースがブリブリのミディアム・チューン。ファンキーながらも、あくまで大人のアーバン・ナイトな雰囲気がいいですね。

「Lover's Holiday」
「Love Ain't Easy」と並ぶお気に入り。アーバン・メロウなミディアム・ファンクに仕上がっています。この曲でもPaul N. ColemanとTheresa Davisの絡みがいい感じ!

「Signs Of Winters Time(Instrumental)」
「Signs Of Winters Time」のインスト・ヴァージョンです。エレガントなホーン&ストリングスを楽しみましょう。

「Funk Ain't Easy」
アルバムの余韻を楽しむかのような1分強のメロウ・ファンク...

Crystal Winds名義で他にも作品をリリースしているのか不明です。ゴメンナサイ...
posted by ez at 01:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月21日

Move.Meant『Meant To Move』

アングラHip-Hop新譜でお気に入りの1枚☆Move.Meant『Meant To Move』
Meant To Move
発表年:2009年
ez的ジャンル:メロウ&ソウルフル系アングラHip-Hop
気分は... :ムーヴメントを巻き起こせ!

スポーツネタはWBC一色ですが、サッカーUEFAチャンピオンズリーグの準々決勝の組み合わせも決まりました。

「リヴァプール対チェルシー」、「バルセロナ対バイエルン・ミュンヘン」の2カードは決勝でもおかしくない好カードですね。一方、マンチェスターUは上記の4チームと決勝まで対戦せず、かなり有利な組み合わせとなりました。組み合わせだけ眺めると、マンチェスターU連覇の条件が揃ったように見えますが、個人的には準決勝で「マンチェスターU対アーセナル」が実現し、アーセナルに連覇を阻止して欲しいですね。

さて、今年の新譜の中からアングラHip-Hopでお気に入りの1枚、Move.Meant『Meant To Move』です。

Move.Meantは2000年にカリフォルニアで結成されたHip-Hopユニット。メンバーはDJ SpiderJust BeatsChampの3人。

2002年にシングル「The Rebirth」でデビュー。その後2003年に「Move.Meant EP」、2005年に「The Good Money EP」をリリースします。特に「The Good Money EP」収録された「Problems」は、第78回アカデミー賞作品賞に輝いた映画『Crash』でも使用されました。2006年にはオーストラリアのレーベルから1stアルバム『The Scope of Things』がリリースしています。

本作『Meant To Move』は彼らにとっての2ndアルバムとなります。まぁ、本作を実質的な1stアルバムと呼んでも構わないのかもしれませんが...

本作に関して、"Sound Providersあたりがお好きな人にオススメ!"といった説明をよく目にします。

本作にSound Providersと共通するメロウ&ジャジーなトラックが含まれていることは事実ですが、個人的にはメロウ&ジャジーと言うよりメロウ&ソウルフルという表現の方がMove. Meantには似合う気がします。本ブログで紹介した作品で言えば、Nicolay & Kay『Time:Line』あたりに通じる魅力がありますね。

彼ら自身は白人のHip-Hopユニットですが、ポジティブなメッセージとピアノを中心にした胸揺さぶるサウンドは、ヒューマンな温もりに溢れ、十分ソウルフルだと思います。

アングラHip-Hopの良作を探し始めると限りがありませんが、こういった作品に巡り会えるから止められませんね。

全曲紹介しときやす。

「Shoestrings」
プロローグ的な1曲目。メロウな仕上がりにアルバム全体への期待が高まります。

「What Goes Around(radio edit)」
アルバムからの先行シングル。この1曲を聴けば、本作およびMove.Meantの魅力を実感できると思います。Move.Meantらしいピアノを基調としたメロウなHip-Hopチューンに仕上がっています。ピアノHip-Hop好きの日本人にはかなりグッとくるのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=4jsftOax-vI

「Myself In You」
この曲もピアノ・リフが効果的に使われています。メロウなアングラHip-Hop好きにとって、ど真ん中の1曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=OsJkrbKsK6A

「Relax」
Mike Anthonyのヴォーカルをフィーチャー。哀愁を帯びた美しきソウルフル・チューンに仕上がっています。

「Sunset Sunrise」
感動的なピアノHip-Hop。この曲も日本人の感性にマッチしそうな仕上がり。タイトルの通り、サンセット・モードの仕上がりですが、メロウ&ジャジーでは片付けられないプラスαがありますな。

「Alphabeta」
ピアノを基調としたトラックが多いアルバムですが、この曲はジャズ・ギターのループを中心にした攻撃的なトラックが印象的です。

「Someday」
Silo & Trek Lifeをフィーチャー。オーケストレーションも聴かれるヒューマンなテイストの仕上がり。

「Git It Now」
Blu & Trek Lifeをフィーチャー。ピアノを基調にしながらも、硬質なビート感が目立つ仕上がりです。メロウ一辺倒ではないのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=F0f-HCgdEDo

「Miracle」
メロウ&ソウルフルといった表現がピッタリのソウルフルな魅力に溢れた1曲。こういった歌心のあるHip-Hopチューンって大好き!
http://www.youtube.com/watch?v=swoz03kcLvI

「Problems」
シンセ・サウンドを取り入れた力強いトラックはアルバムの中でも異質ですね。でも、重くうねるビート感とヤバそうな疾走感がサイコー!

「Aaron's Joint」
この曲はSound Providers好きの人向け。ジャジーHip-Hopとして間違いない1曲です。アーバン・ナイトなジャジーHip-Hopを堪能しましょう。

「Rock Steady」
タイトルの通り、オールドスクール・テイストの仕上がりです。白人メンバーがこういった曲に挑む限界はありますが、その姿勢は買いましょう。

本曲は日本が誇るプロデュースチームVolta Mastersのリミックスでもお馴染みですね。Dave Brubeck Quartetでお馴染み「Take Five」ネタのジャジーでパーカッシヴな仕上がりで、オリジナルとは全く異なる印象です。
Move.Meant & Volta Masters「Rock Steady Remix」
http://www.youtube.com/watch?v=D6keGs51vCM

「Heather」
アーシーなトラックが印象的です。切なくソウルフルな味わいを堪能しましょう。

「Yesterday」
哀愁漂うコズミックなトラックがいい感じです。Champのメッセージもグイグイ迫ってきますね。
http://www.youtube.com/watch?v=UkKe4u48p2g

「Can't Call It」
彼ららしいヒューマン・テイストに溢れた1曲。単にメロウで心地好いHip-Hopで終わらないところがMove.Meantの魅力でしょうね。

国内盤にはボーナス・トラックとして「Myself In You(Michitaro from Cradle Orchestra Remix)」が収録されています。Cradle OrchestraのメンバーMichitaroによるリミックスです。感動的なオーケストレーションが素晴らしいリミックスに仕上がっています。
「Myself In You(Michitaro from Cradle Orchestra Remix)」
http://www.youtube.com/watch?v=fuvaYbcVUUA

Cradle Orchestraは、瀬戸智樹とDJ ChikaによるジャパニーズHip-HopユニットCradleによるオーケストラ編成のプロジェクトです。今年1stアルバム『Velvet Ballads』をリリースしています。

Cradle Orchestra『Velvet Ballads』
Velvet Ballads
Velvet Ballads
posted by ez at 03:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月19日

Chase『Chase』

有名曲「Get It On(黒い炎)」収録のデビュー・アルバム☆Chase『Chase』
追跡
発表年:1971年
ez的ジャンル:ファンキー・ブラス・ロック
気分は... :どこまでも追いかけるぜ...

今日は70年代前半に活躍したグループChaseのデビュー・アルバム『Chase』(1971年)です。

Chaseは、Woody Hermanのビッグバンド等で活躍していたトランペット奏者Bill Chaseを中心にした結成されたブラス・ロック・グループ。

1971年に含む1stアルバム『Chase』をリリースします。デビューシングルであり、グループの代表曲でもある「Get It On(邦題:黒い炎)」のヒットと共にアルバムも成功を収め、ChicagoBlood, Sweat & Tears(BST)に続く"ブラス・ロック"の人気グループとして注目を浴びます。

この時点のメンバーはBill Chase(tp)、Ted Piercefield(tp、vo)、Alan Ware(tp)、Jerry Van Blair(tp、vo)、Phil Porter(key)、Dennis Johnson (b) 、Angel South(g)、Jay Burrid (per)、Terry Richards(vo)の9名。トランペット4本という編成が特徴的ですね。

その後メンバーチェンジを経ながら、2nd『Ennea』(1972年)、3rd『Pure Music』(1974年)といったアルバムをリリースます。しかし、1974年8月9にミネソタ州ジャクソン空港へ向かっていたバンド専用機が墜落し、Bill Chaseを含むメンバー4名とパイロット2名が死亡。グループの歴史は悲劇とともに幕を閉じました。

その後、生き残ったメンバーの一人Jim Peterik(2ndから加入)は、元メンバーのDennis Johnson、Gary Smithらと共に"生存者"という名の新バンドを結成します。そうです!全米No.1となった「Eye of the Tiger」(映画『Rocky III』の主題歌)の大ヒットを放った、あのSurvivorです。

僕の場合、Chicagoで一番好きなアルバムが『Hot Streets』であり、Blood, Sweat & Tears(BST)のアルバムも我が家のCD棚から10年近く手にしたことがないという人なので、"ブラス・ロック"自体にさほど興味はありません。リアルタイムでそれらを体験していないのが大きいのかもしれませんが...

そんなブラス・ロックに縁遠い僕でも『Chase』は大好きな作品です。

何と言っても代表曲「Get It On」ですね。この曲のフレーズはTV番組等でもよく使われるので、曲名は知らずとも曲の一部は聴いたことがあるという人も多いのでは?

この曲があったためにT.Rexの超有名な同名異曲「Get It On」が、アメリカでは「Bang a Gong」のタイトルでリリースされたというのは有名な話ですね。

「Get It On」をはじめ、ブラス・ロックという括りのみでは説明できない魅力があるアルバムだと思います。「Get It On」の邦題が「黒い炎」であるように、サウンドにもブラック・フィーリングが感じられます。きっと僕が本作に惹かれるのはそのあたりでしょうね。

本作のプロデュースはFrank Rand、Bob Destockiの2名。彼らは1970年に全米シングル・チャート第2位になったブラス・ロックの大ヒットThe Ides Of March「Vehicle」を手掛けたコンビです。The Ides Of Marchには前述の生存メンバーJim Peterikが在籍していました。

The Ides Of March「Vehicle」
http://www.youtube.com/watch?v=AZSfaxWuP50

オールド・ファンの中には愛読者も多いかもしれないレコードガイド本『The Rolling Stone Record Guide』の中で、著名な評論家Dave Marshは本作を■と評価しています。■とは★1つ〜5つ(★★★★★が最高評価)で評価する同ガイドの中で★1つにも至らない最低の評価(=無価値)です。ちなみにそこでのMarshのコメントは"(追ってくるなら)逃げちまえ!"

かつてBruce Springsteenに熱狂した僕としては、Dave Marshを悪く言いたくありませんが、本作を無価値と評価してしまうのは???ですな。これだからガイド本の評価を鵜呑みにしてしまうのは危険ですね。

まぁ、Rolling Stone誌の評価やブラス・ロック云々を抜きにて十分楽しめるアルバムだと思います。

変な先入観のない若いリスナーの方が、今時の視点で新鮮に聴くことができるのでは?
Hip-Hopのサンプリング・ネタに使われている曲もありますよ!

全曲紹介しときやす。

「Open Up Wide」
Bill Chaseのトランペットを他の3人のトランペットがチェイスするまさにChaseらしいオープニング。ジャズ・ファンも納得のトランペット・バトルなのでは?ファンキーなオルガン・サウンドも含めてカッチョ良いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=MGeshSW3k10

当ブログで紹介したBlack Sheep「North South East West」等でサンプリングされています。

「Livin' In Heat」
ファンキーな味わいがいい感じのミッド・グルーヴ。猛進する感じがいいですね。Angel Southのギター・ソロもなかなか。
http://www.youtube.com/watch?v=68fIAtHMBkA

「Hello Grocerries」
ブラック・ムービーのサントラあたりにピッタリなファンキー・グルーヴ。ワウワウ・ギターとソウルフルなオルガンにパワフルなトランペット隊が絡むカッチョ良さがたまりません。リード・ヴォーカルはJerry Van Blair。

「Handbags And Gladrags」
Rod Stewart等多くのアーティストがカヴァーしている曲ですね。作者はManfred Mannの元リード・シンガーMike d'Abo、オリジナルは1967年のChris Farloweのバージョンです。Chaseはこの曲をソウル・テイストで聴かせてくれます。この曲ではTed Piercefieldがリード・ヴォーカルを務めています。

YouTubeにChaseバージョンが無かったので、オリジナルとRod Stewartバージョンを紹介します。

Chris Farlowe「Handbags and Gladrags」
 http://www.youtube.com/watch?v=X3yN0JvG5co

Rod Stewart「Handbags and gladrags」
 http://www.youtube.com/watch?v=lv6_TSTy27o

「Get It On」
邦題「黒い炎」前述のデビュー・シングルであり、グループの代表曲。実際のチャート・アクション(全米シングル・チャート第24位)以上にインパクトがあった曲のようです。豪快なブラス・アンサンブル、Terry Richardsの言い回しがカッチョ良いヴォーカル、ファンキーなリズム隊が一体となったダイナミックなサウンドは一度聴いたら忘れられません。最後の決めフレーズもサイコー!
http://www.youtube.com/watch?v=guM-I-8CQ74

Manhattan Jazz Orchestra、和田アキ子、Tops等がカヴァーしています。アッコさんはこの曲を相当お気に入りのようですね。

Tops「Get It On (Japanese cover) 」
 http://www.youtube.com/watch?v=UsHL8Pt4U7g

「Boys And Girls Together」
次作からメンバーに加わるJim Peterikの作品。どこかの記事で西城秀樹「激しい恋」のホーン部分は本曲のイントロをモチーフにしているという説明を拝見しましたが、確かにそうですね。この2曲でマッシュ・アップすると面白いかもしれませんね。Ted Piercefieldがリード・ヴォーカルを務めています。

西城秀樹「激しい恋」
 http://www.youtube.com/watch?v=EtqRr_BS_Ks

「Invitation To A River」
エンディングは14分を超える大作。「Two Minds Meet」、「Stay」、「Paint It Sad」、「Reflections」、「River」という5曲から成る組曲です。このあたりはプログレ・ロック/ジャズ・ロックの影響かもしれませんね。

Talib Kweli & Rubix「Millionaires」の元ネタです。

Talib Kweli & Rubix「Millionaires」
 http://www.youtube.com/watch?v=xj0WqFy51NU

昨日のWBCは残念でしたね。
結局、打ち合わせのため殆どTV中継を観ることができませんでしたが、あの結果だったら観なくて正解でした。

今日のキューバ戦を勝ち抜いて、韓国へリベンジするチャンスを得てほしいですね。今日も試合開始時間の前後は打ち合わせなのですが心ここにあらず状態かも(笑)
posted by ez at 04:32| Comment(0) | TrackBack(1) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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