2009年03月18日

The Aluminum Group『Pedals』

Jim O'Rourkeプロデュースによる極上ラウンジ・ポップ☆The Aluminum Group『Pedals』
ペダルス
発表年:1999年
ez的ジャンル:シカゴ系ラウンジ・ポップ
気分は... :日韓戦を観たいけど...

今日ははシカゴ音響派の作品が聴きたい気分で、CD棚からBrokeback『Field Recordings from Cook County Water Table』The Aluminum Group『Pedals』Archer Prewitt『White Sky』といういずれも1999年にリリースされた3作品を取り出してきました。

3枚のジャケを眺めながら最終的にセレクトしたのが The Aluminum Groupの3rdアルバム『Pedals』です。

本作の持つラウンジ・ポップ的な魅力が、ブラジル音楽を欲することが多い最近の僕の音楽嗜好にフィットしているのがセレクトの決め手だったのかも?

The Aluminum Groupの紹介は、5thアルバム『Happyness』(2002年)に続き2回目になります。

Frank & JohnのNavin兄弟を中心にしたシカゴのグループThe Aluminum Groupが注目されるきっかけとなった作品が本作『Pedals』でした。

何と言ってもシカゴ音響派の最重要人物Jim O'Rourkeプロデュースというのが話題でしたね。それ以外にもTortoise/BrokebackのDoug McCombs、Chicago Underground Orchestra/Chicago Underground DuoのRob Mazurek、女性シンガーソングライターEdith Frostとシカゴ音響派系のミュージシャンが参加しています。また、シカゴ音響派と関わりの深いHigh LlamasSean O'Haganもゲスト参加しています。

Jim O'Rourkeプロデュースということでシカゴ派らしい独特の音空間を堪能できるのは勿論のこと、High Llamasに通じる近未来とノスタルジーが同居するポップ感覚や、Stereolabのようなラウンジ感覚も堪能できるのがサイコーですね。

僕が持っているは国内盤CDですが、オリジナルとはジャケが異なります。
オリジナル・ジャケはこんな感じです。
Pedals

一歩間違えればオシャレなカフェ・ミュージックになってしまうところを、寸止めでヒネリの効いたラウンジ・ポップに仕上げているところに、彼らやJim O'Rourkeのセンスを感じます。

John McEntire共同プロデュースの4th『Pelo』(2000年)とセットで聴くと楽しさ倍増になるのでは?

あとはHappyness三部作の最終作『Little Happyness』が昨年ようやくリリースされたので、『Happyness』(2002年)、『More happyness』(2004年)と3枚セットで聴くのも楽しいと思います。

全曲紹介しときやす。

「Rose Selavy's Valise」
オープニングは9分を超える大作。基本はやや哀愁を帯びたネオアコ・チューンなのですが、途中にStereolabあたりを彷彿させるポストロック的な女性ヴォーカル・パートが入ったり、(多分、Sean O'Haganによる)バンジョーの音色が聴こえたりと一筋縄ではいきません。

「Lie Detector Test」
シンセによる電子音が飛び交うギター・ポップ。Aluminum Groupならではの乾いたラウンジ・ポップ感がたまりません。

「Paperback」
High Llamasあたりに通じるフューチャー・ノスタルジックな雰囲気が魅力です。リード・ヴォーカルはゲスト参加の女性ヴォーカリストAmy Warren。

「Easy on Your Eyes」
シカゴ系ならではの音空間の中で至極の哀愁ポップ・チューンが展開されます。ソフト・ロック好きの人にぜひ聴いて欲しい1曲。

「Miss Tate」
彼らのポップ・インテリジェンスの高さを実感できる1曲。High Llamasあたりが好きな人ならば絶対に気に入ると思います。

「Two-Bit Faux Construction」
男性ヴォーカルによるStereolabといった感じ。近未来的なラウンジ感がたまりません。

「A Blur in Your Vision」
独特の音空間をクリエイトするJim O'Rourkeの手腕が光る1曲。単に耳障りの良い音楽に終わらないクリエイティビティの高さが魅力です。

「Jinxed」
僕の一番のお気に入り曲。ブラジル音楽あたりに通じるウエットなポップ感覚がたまりません。先に述べたようにブラジル音楽にハマっている僕の音楽嗜好にジャストフィット!といった感じでしょうか。

「Impress Me」
哀愁のラウンジ・ポップ。どこまでもいってもクールなところがAluminum Groupらしいですね。この曲もStereolabと一緒に聴くとピッタリだと思います。

「$35」
ラストは映画音楽のようなエレガントな魅力に溢れる仕上がりです。

国内盤CDには「Paperback」のリミックスである「Paperback (John Herndon Mix)」がボーナス・トラックで追加収録されています。センス抜群のポストロックなエレクトロニカ・チューンに仕上がっています。

今日は皆さん同様、WBC「日本対韓国」戦をじっくり観たいのですが、午後一番で仕事の打ち合わせのためビミョーな状況です。打ち合わせの合間に、ワンセグでチェックするしかなさそうです(泣)
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2009年03月16日

Willie Colon『Cosa Nuestra』

オリジナルなN.Y.サルサを聴かせてくれるEl Maloコンビ4作目☆Willie Colon『Cosa Nuestra』
Cosa Nuestra
発表年:1969年
ez的ジャンル:ギャングスタ系N.Y.サルサ
気分は... :日本はチャップマンを攻略できるか!

間もなくWBC「日本対キューバ」戦ですね。
仮に敗れても敗者復活での可能性は残るため、"後のない一戦"とまでいかないのがビミョーですが...

そんな中で2組では、米国がプエルトリコにコールド負けするという予想外の展開となりました。なんて書くと、プエルトリカンに失礼ですね。

という流れで今日はサルサ気分です。
セレクトしたのはWillie Colon『Cosa Nuestra』(1969年)!

Willie Colonの紹介は、デビュー作『El Malo』(1967年)、Ruben Bladesとのコラボ作『Siembra』(1978年)、70年代絶頂期の1枚『Lo Mato』(1973年)に続き4回目となります。

今日紹介する『Cosa Nuestra』(1969年)はColonの4thアルバムであり、El Malo(悪党)イメージで一躍ニューヨリカンのヒーローとなった初期を代表する1枚です。

タイトルはイタリア語でマフィアを意味する"Cosa Nuestra"。一般にはMarlon Brando、Al Pacino主演の映画『The Godfather(ゴッドファーザー)』(1972年)で一般に知られるようになった言葉ですが、映画に先駆けてこの言葉をタイトルに冠するあたりは、さすがEl Maloですね。ちなみに、Mario Puzoによる『The Godfather』の原作が発表されたのが本作と同じ1969年です。

ジャケもColon作品ではお馴染みのギャングスタ・ジャケの中でも印象的な1枚です。どこから見てもCosa Nuestraの一員にしか見えないColonの姿は、『The Godfather Part II』で若き日のヴィトー・コルレオーネを演じたRobert De Niroと重なってしまいます。

肝心の内容もジャケのインパクトに負けない充実ぶりです。盟友Hector Lavoeをリード・ヴォーカルに据え、個性的なColonサウンドを聴かせてくれます。サルサ前夜のブーガルー的なサウンドであったデビュー作『El Malo』(1967年)と比較すると、本作『Cosa Nuestra』では、オリジナルなN.Y.サルサを確立していることを実感できるのでは?

全8曲捨て曲ナシ!Colon & LavoeコンビがEl Maloイメージだけの悪ガキではなく、N.Y.サルサの重要アーティストであることを音楽的に実感できる1枚です。

Colonの初期作品を聴くのであれば、有名なデビュー作『El Malo』よりも、本作あたりから入った方がColon本来の魅力に触れることができると思います。

全曲紹介しときやす。

「Che Che Cole」
ヒットしたオープニングは、陽気で軽やかなリズムがポスト・ブーガルーを強く印象づけてくれる小粋なN.Y.サルサ・チューン。Lavoeのヴォーカルも絶好調!今聴いても鮮度抜群!
http://www.youtube.com/watch?v=x-hg_ncuGcc

「No More Llores Mas」
軽快なホーン・アンサンブルがいい感じのサルサ・チューン。この1、2曲目のノリの良さで、みんなご機嫌になるはず!
http://www.youtube.com/watch?v=oPGvnhN9eEs

「Ausencia」
Lavoeのヴォーカルが光る哀愁バラード。この頃のラテン・バラードって一歩間違えるとかなり古臭く聴こえるのですが、この曲は大丈夫です。
http://www.youtube.com/watch?v=HEuQnbwWatE

「Te Conozco」
この曲もヒット曲。Colonのトロンボーンのカッチョ良さを堪能するには打ってつけの1曲だと思います。エレガントかつスタイリッシュなアレンジがサイコー!

「Juana Pena」
人気という点ではこの曲が一番かもしれませんね。哀愁のサルサ・グルーヴが激ヤバです。Colonの疾走するトロンボーン、力強いピアノ・リフ、Lavoeの哀愁ヴォーカル、乱舞するパーカッション、全てが揃ったキラー・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=x8PsN40jpSM

「Sonero Mayor」
ユニークなホーンアレンジ、歌謡サルサなLavoeのヴォーカルとColon & Lavoeのコンビの個性を実感できる1曲。

「Sangrigorda」
勢いだけではなない、小粋なセンスを感じさせるミディアム・スロウ。押しまくらない、引きの美学がカッチョ良すぎです。既に余裕たっぷりのEl Maloコンビですな。

「Tu No Puedes Conmigo」
ラストはEl Maloらしいルード・ボーイな雰囲気プンプンのバラード。この味わいはEl Maloコンビにしか出せないでしょうね。

話が脱線しますが、Cosa Nuestraと言えば、桜井鉄太郎氏率いる渋谷系ポップユニットCosa Nostraもありますね。実はJ-POPの中で一番好きなアーティストでした。特にAl Kooper「Jolie」のカヴァーは絶品でしたね(正直オリジナルよりも好きです)。

当ブログでは基本的にJ-POPをセレクトすることはありませんが、ぜひ多くの方に聴いて欲しいユニットです。

Cosa Nostra『World Peace』
World Peace
World Peace
posted by ez at 00:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月15日

Starpoint『Wanting You』

気分は80年代夜遊びモードで!☆Starpoint『Wanting You』
Wanting You
発表年:1981年
ez的ジャンル:80年代夜遊びモード系ソウル/ファンク
気分は... :気分は夜遊びモード!

今日はStarpoint『Wanting You』(1981年)の紹介です。

Starpointはメリーランド出身のPhillips兄弟を中心に結成されたグループ。当初は"J.R. & the Royals"、"Licyndianat"といったグループ名で活動していました。紅一点のメンバーとなる女性ボーカリストRenee Diggsをグループへ迎えた頃から評価が高まり、グループ名も覚えやすくキャッチーな"Starpoint"へと変更します。

プロデューサーLionel Jobに認められたグループは1980年にデビュー・アルバム『Starpoint』をリリースします。メンバーは、Ernesto Phillips(g、vo、key)、George Phillips(vo、key)、Orlando Phillips(b、vo)、Gregory Phillips(ds、per、vo)、Kayode Adeyemo(b、vo)、Renee Diggs(vo)の6名。

その後、『Keep On It』(1981年)、『Wanting You』(1981年)、『All Night Long』(1982年)、『It's So Delicious』(1983年)、『It's All Yours』(1984年)、『Restless』(1985年)、『Sensational』(1987年)、『Hot to the Touch』(1988年)、『Have You Got What it Takes』(1990年)と合計10枚のアルバムを残しグループは解散します。

僕の中ではMidnight StarAtlantic Starrと並ぶ3大"スター"ブラコン・グループといった位置づけです。3グループの中では最も地味で知名度が低いグループだとは思いますが。

僕がリアルタイムでStarpointを聴いたのは、8thアルバム『Sensational』(1987年)が最初でした。スロウ中心の内容で当時はそれ程悪くはないと思っていましたが、現在ネットでリサーチすると最悪の評価・評判ですね(笑)

きっとStarpointへ思い入れが強い方にとって、最大のヒット・シングル「Object of My Desire」を含む『Restless』前後のブラコンしているStarpointよりも、1st『Starpoint』から4th『All Night Long』あたりまでのサーファー・ソウルしているStarpointこそが魅力的なのでしょうね。"サーファー・ソウル"と聞いてもいまいちピンと来ない僕ですが...

確かに、今日紹介する3rdアルバム『Wanting You』(1981年)を聴くと、この頃のStarpointがサイコー!というのも納得してしまいます。

アップ、ミディアム、スロウとバランス良い曲構成であり、曲も粒揃いです。夜遊びモード全開ですが、イケイケ・モードだけではなく、込み上げ感にもグッときますね。

僕は特定ジャンルに縛られて音楽を聴くことはしませんが、70年代後半〜80年代前半あたりのソウル/ファンクをリアルタイムで体感した方が、抜け出せないほどズッポリその世界にハマってしまうのもわかる気がします。

ダサダサのジャケは内容充実の証なのでは?(笑)
みんな80年代のチョイ悪遊び人気分になって楽しみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Wanting You」
タイトル曲はアルバムからの1stシングルにもなりました。ダンサブルかつ込み上げ感もある80年代前半らしいファンク・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=2JocCCsS3uA

「Do What You Wanna Do」
アルバムからの2ndシングル。僕の大好きなB級感溢れるファンク・チューン。重量感溢れるベースラインにグッときます。ギター・カッティングのシャカシャカ感もグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=J3p0mytNniA

「Angel」
イントロを聴いた瞬間に心ト・キ・メ・クこと間違いなしのスロウ。80年代ソウル/ファンクでなければ味わえない胸キュンな感じがたまりません。特にReneeのヴォーカルはサイコー!

「Last Night」
軽快なリズム感のダンス・チューン。Reneeの元気一杯のヴォーカルが推進力となっています。

「Try Me」
アーバン・ナイトなスロウ・チューン。「Angel」同様Renee Diggsのキュート・ヴォーカルを堪能できます。

「Shake It Out」
小粋なアレンジが光るミッド・ファンク。夜遊びモードの週末に聴くとサイコーなのでは?70年代ソウル・マナーのオーソドックスなカヴァーに仕上がっています。悪くは無いけど、Starpointらしさかと聞かれると???

「Starnite You Nite」
ラストは哀愁感漂うミディアム・ダンサー。後半はブリブリのベース、乱舞するパーカッション、唸りを上げるギターブラコン・モードのキーボードと短いながらも各プレイヤーの演奏を楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=J3p0mytNniA

本作では随所で素晴らしいヴォーカルを聴かせてくれているRenee Diggsですが、2005年に50歳の若さで死去しています。
posted by ez at 00:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月14日

Rosalia De Souza『D'Improvviso』

今年のマイフェイバリット候補!こんなアルバムを求めていた!☆Rosalia De Souza『D'Improvviso』
D'improvviso
発表年:2009年
ez的ジャンル:Schema系ブラジリアン・クラブジャズ
気分は... :今年のマイフェイバリット候補!

現在の僕にとって、クラブジャズ/クロスオーヴァー、ジャジーHip-Hopと並び最も面白いジャンルがブラジル音楽です。

結果として、僕の音楽ライフに占めるブラジル音楽のウエイトがここ2、3年で年々高くなってきています。特定の音楽ジャンルに縛られることが嫌いな僕ですが、今年は新旧問わずブラジル音楽にかなりロックオンされている状態です。

そんなブラジル音楽の新譜から今年のマイフェイバリット・アルバムになりそうな超オススメの1枚、Rosalia De Souza『D'improvviso』です。イタリアを拠点とするブラジリアン・シンガーということで、純粋なブラジル音楽とは呼べないかもしれませんが。

Rosalia De Souzaはブラジルのリオ・デ・ジャネイロ生まれ。Rosaliaは、音楽理論、ジャズを学ぶため、1989年にイタリアのローマへ渡ります。そこで音楽活動を開始したRosaliaは、1994年にイタリアのクラブジャズ・シーンを牽引する人気DJ/プロデューサーNicola Conteと出会い、彼のプロジェクトQuintetto X のアルバム『Novo Esquema Da Bossa』でリード・ヴォーカルに抜擢されます。同アルバムはイタリア、ヨーロッパのクラブジャズ・シーンでヒットし、Rosaliaにも注目が集まるようになります。

その後もNicola Conteとの活動で評価を高め、2003年にはSchemaよりNicola Conteプロデュースによるデビュー・アルバム『Garota Moderna』をリリースします。2005年にリリースした2nd『Brasil Precisa Balancar』ではRoberto Menescalがプロデュースし、Marcos Valleがゲスト参加していました。今回紹介する『D'Improvviso』は3rdアルバムとなります。

とにかく僕にとって、ど真ん中のアルバムです。

最近CDショップでブラジル・コーナーとクラブジャズ・コーナーに居る時間が一番長い僕にとって、ブラジル音楽とクラブジャズが融合した本作『D'Improvviso』にハマらないはずがありません。しかも、Schemaレーベルとくればまさに鉄板な1枚です。

リリース前から期待値がかなり高い作品でしたが、実際に聴くと期待以上の出来栄えに歓喜の雄叫びをあげたくなりました。

基本はブラジル音楽のエッセンスを上手に取り入れたクラブジャズです。ラウンジ感覚もバッチリなのがいいですね。

プロデュースはSchemaの総帥Luciano Contone、バックにはFabrizio Bosso(tp)、Luca Mannutza(p)、Pietro Ciancaglini(b)、Lorenzo Tucci(ds)というHigh Fiveのメンバー(Bossoを除く3人はLTCのメンバー)やSchemaのボッサ・シンガーToco等が名を連ねます。Luca Mannutzaはアレンジも担当しています。

2007年はMario Biondi & The High Five Quintet『A Handful Of Soul』、2008年はNicola Conte『Rituals』といったSchema作品に魅了されましたが、今年はコレで決まり!だと思います。

Nina Ricciのサングラスでキメキメのジャケ写真もサイコー!

全曲紹介しときやす。

「Banzo」
オープニングはMarcos Valle作品。クラブジャズ然としたミッドナイト・ワルツ。LTCが好きな人にはぴったりのオープニングなのでは?

「Candomble」
オススメその1。Mario Castro Neves & Samba S.A.のヴァージョンでお馴染みのクラシックをカヴァー(Antonio Paulo/Danilo Caymmi/Edmundo Souto作品)。このクラシックをTocoとのデュエットによる21世紀モードのブラジリアン・クラブジャズで聴かせてくれます。

「D'Improvviso」
オススメその2。アルバム・タイトル曲はベネズエラ出身のコンポーザーAldemaro Romeroの作品。エレガントなボッサ・ジャズで聴かせてくれます。Schemaらしいスキのない作りがサイコー!
http://www.youtube.com/watch?v=GpDVFPOwn2w

「Carolina Carol Bela」
オススメその3。Jorge Benの名曲をカヴァー。本作の"新しさ"を象徴する1曲なのでは?ブラジル、ブーガルー、クラブ・ジャズ、ラウンジが融合した進化するニュー・ブラジリアン・クラブジャズってカンジです。サイコー!
http://www.youtube.com/watch?v=zs1-VpBqC8c

「O Cantador」
オススメその4。Elis Regina等でお馴染みのクラシック(Dory Caymmi作品)をカヴァー。ボッサ好きならば誰もが気に入るであろうオーソドックスな作りです。こういったスタンダードな演奏になるとLTCメンツのセンスの良さが光りますね。

「Opiniao」
クールな疾走感がカッチョ良い1曲。歌詞の♪Daqui do morro〜♪の部分が♪だけども〜♪と日本語の歌詞のように聴こえてしまうのは僕だけしょうか(笑)。

「Sambinha」
オススメその5。Cesar Mariano作品のカヴァー。個人的にはアルバムで一番好きな曲。キュートなスキャットと小粋なボッサ・ジャズ・サウンドでラウンジ気分を満喫できます。サイコー!

「Luiza Manequim」
オススメその6。ブラジル人シンガーソングライターAbilio Manoelのカヴァー。 ブラジリアン・ドラムンベースDrumagick「Malandaragem」の元ネタ。腰をグイグイさせるグルーヴ感がいいですな。クラブ系リスナーの方は気に入ると思います。

「Samba Longe」
オススメその7。ラウンジ好きの人にはグッとくるソフトなボッサ・ジャズに仕上がっています。

「Amanha」
オススメその8。サンバ・テイストの仕上がりと、リズムがチェンジするスリリングな展開がカッチョ良いですね。このセンスの良さが並みの作品ではないと思います。

「Quem Quiser Encontrar O Amor」
小気味良いクラブジャズ。Fabrizio Bossoのトランペットもいい感じ。

「5 Dias De Carnaval」
オススメその9。クールな疾走感が印象的な1曲。イタリア経由のブラジリアン・ジャズならではのスタイリッシュさがいいですね。

「Bossa 50」
オススメその10。正統派ブラジル音楽ファンも安心して聴けるボッサ・ジャズ。浜辺の夕陽が思い浮かぶ仕上がりです。

「Ondina」
ラストはサウダージ・モードの1曲。アルバムの余韻に浸りましょう。

こんな素晴らしい作品にも関わらず、国内盤の販売は未定で、Amazon.co.jpでも扱いがありません(今回のジャケ写真はAmazon.comから)。いかにも日本人好みの作品だと思うのですが...
posted by ez at 03:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月13日

Poco『Head Over Heals』

派手さはないけどウエストコースト・ロックの魅力がぎっしり詰まった1枚☆Poco『Head Over Heals』
Head over Heels
発表年:1975年
ez的ジャンル:爽快ハーモニー系ウエストコースト・ロック
気分は... :Poco a poco

UEFAチャンピオンズリーグはベスト8が出揃いました。

イングランド勢4チームが全てが勝ち上がったのに対して、イタリア勢3チームが全て敗れてしまったのは明暗はっきりしてしまいましたね。特に今年の決勝戦会場がローマだっただけに、イタリア国民には受け入れ難い結果でしょうね。

今年も決勝はイングランド勢対決になるのでしょうか?
個人的には「バルセロナ対マンチェスターU」が観てみたいなぁ。

今日はふと、Poco『Head Over Heals』(1975年)とAl Stewart『Time Passages』(1978年)のどちらかが聴きたいと思い、悩んだ末Poco『Head Over Heals』をセレクト。

Pocoは1970年代のカントリー・ロック/ウエストコースト・ロックを代表するグループ。1968年にスーパーグループBuffalo SpringfieldのメンバーであったRichie FurayJim Messinaの2人にRusty YoungRandy MeisnerGeorge Granthamの3人を加えた5名で結成されました(当初グループ名はPocoではなくPogo)。

1969年に1stアルバム『Pickin' Up The Pieces』をリリース。しかし、レコーディング中にRandy Meisnerが脱退してしまいます。1970年にRandyの後任としてTimothy B. Schmitが加入します(Timothyはグループ結成時のオーディションに参加しますが落選しています)。

70年代ロック・ファンはご存知の通り、Randyはその後Eaglesの結成メンバーとなりますが1977年に脱退してしまい、その後釜でTimothy B. Schmitが加入することになります。歴史は二度繰り返されたのでした...

話をPocoに戻すと、その後1970年にJim MessinaKenny LogginsLoggins & Messinaを結成するために脱退、さらに1973年にはRichie FurayがJ.D. Souther、Chris Hillman とのThe Souther-Hillman-Furay Band結成のために脱退と、主要メンバーの相次ぐ脱退によりグループは何度か危機を迎えます.しかし、何とか乗り切り1970年代のウエストコースト・ロック・シーンに確かな足跡を残しました。

商業的には決して大成功したグループではないPocoですが、ウエストコースト・ロックを代表するグループとしての認知度は高いグループですよね。

Eagles、Loggins & Messina等を経由してPocoに辿り着く人も多いのでは?

僕の場合、洋楽聴き始めの頃に買ったロック歴史本を通じて、Poco=ウエストコースト・ロックの代表的グループというすりこみがなされたようです。

ただし、僕が持っているPocoのアルバムは今日紹介する『Head Over Heals』とベスト盤『The Very Best of Poco』の2枚のみ。

そもそも現在の僕がカントリー・ロック系ウエストコースト・ロックを聴く頻度はあまり多くはありません。例えば、Eaglesのアルバム群はCD棚の奥の方で長い間眠ったままで、アルバムによっては10年以上聴いていないかもしれません。

それと比較すれば、『Head Over Heals』は以前に紹介したToby Beau『My Angel Baby』等と共に今でもたまに聴きたくなるカントリー・ロック系ウエストコースト・ロック作品です。

肩のこらない、明るく爽快な作りが気に入っています。
Timothy B. Schmitを中心にした爽快ハーモニーに惹かれている部分も大きいと思います。あとはアルバム構成にメリハリがあるところもポイントかもしれません。

本作におけるメンバーは、Paul Cotton(g、vo) 、Rusty Young(g、vo)、Timothy B. Schmit(b、vo)、George Grantham(ds、vo)の4名。Pocoファンの間でFab Fourと呼べれるメンバーです。名よりも実を重視したメンバー構成といったところでしょうか。

大ヒットしたわけでもなく、ヒット・シングルが収録されているわけでもなく、派手さもないアルバムですが、ウエストコースト・ロックの魅力がぎっしり詰まったアルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「Keep on Tryin'」
いきなりアルバムのハイライトです。シングルにもなったこの曲でPocoならではの素晴らしいハーモニーを堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=QfQp80S3tM4

「Lovin' Arms」
Pocoらしい爽快なコーラスが絶好調のカントリー・ロックその1。

「Let Me Turn Back to You」
アメリカン・リリシズムに浸れる1曲。アルバムで一番好きな曲かも?曲、アレンジ、ヴォーカル&コーラス全てが僕好みです。ウエストコーストらしい魅力が詰まっています。

「Makin' Love」
Pocoらしい爽快なコーラスが絶好調のカントリー・ロックその2。

「Down in the Quarter」
広大な大地で一人夕陽を眺めながら聴きたい1曲。雄大な雰囲気が魅力です。ドリーミーなイントロもグッド!

「Sittin on a Fence」
トロピカル・テイストも入った楽しい1曲。こういった曲をやってくれるから僕はEaglesよりもPocoを好んで聴くのかもしれません。

「Georgia, Bind My Ties」
スワンプ・テイストも入ったカントリー・ロック。僕の苦手なイモ臭いカントリー調のメロディが部分的に聴こえてくるのですが、カッチョ良いスワンプ・サウンドで帳消しにしてくれます(笑)

「Us」
本曲がRusty YoungのPocoにおける初リード・ヴォーカルなのだとか。ピュアな雰囲気が感動的なカントリー・ロックに仕上がっています。Breadあたりと一緒に聴きたくなる曲ですね。

「Flyin' Solo」
明るく爽快な曲が並ぶ中で、シブさが光るこの曲はアルバムのいいアクセントになっています。ウエストコースト・ロック好きの人ならば気に入ると思います。

「Dallas」
Steely Danののレア・シングル「Dallas」のカヴァー(Donald Fagen/Walter Becker作品)。オリジナルに忠実なカヴァーですが、完成度はコチラの方がはるかに高いです。ストリングスも実に効果的ですな。

「I'll Be Back Again」
ラストはリラックス・ムードの仕上がり。軽くトロピカルな感じが入っているのがいいですね。

記事作成しながら、当ブログで僕がEaglesを紹介できる日は来るのだろうか?と考えてしまいました。オリジナル・アルバムは殆ど持っているし、決して毛嫌いしているわけでもないのですが、"今日はEaglesが聴きたい!"という気分の日が長い間訪れていません。

その日が再び訪れることを待ってみます(笑)

その前に先日、レコードを整理していたら久々に見つけて懐かしくなったTimothy B. Schmitのソロ『Playin' It Cool』が聴きたい気分だったりして...
posted by ez at 07:48| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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