録音年:1965年
ez的ジャンル:ワンホーン・モーダル・ジャズ
気分は... :勝ち抜くのは...
今日、明日はサッカーのUEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦2ndレグです。
1stレグ以上に勝負をかけた積極的な采配が観られると思うので、楽しみです。
今日の注目はやはり、「リヴァプール対レアル・マドリード」 、「ユヴェントス対チェルシー」の2試合でしょうね。特に追い詰められたレアル・マドリードがアウェーでどのような戦いをするのか興味深いです。
今回はJackie McLean『Right Now!』(1965年)です。
Jackie McLean(1931-2006年)はN.Y.出身のジャズ・サックス奏者。
Miles Davis『Dig』(1951年)のレコーディング参加などを経て、
1955年には初リーダー作『The New Tradition』(通称「猫のマクリーン」)をリリース。
その後、Charlie Mingus『Pithecanthropus Erectus(直立猿人)』(1955年)、Sonny Clark『Cool Struttin'』(1958年)といった話題作のレコーディングに参加します。
1959年にはBlue Noteとの契約に成功し、『Swing Swang Swingin'』(1959年)、『Bluesnik』(1961年)、『One Step Beyond』(1963年)、『Action』(1964年)、『Right Now!』(1965年)などハード・バップ〜新主流派ジャズの作品をリリースします。さらにはフリー・ジャズにも接近し、『New and Old Gospel』(1967年)ではOrnette Colemanとの共演を実現させています。
また、McLeanの名演として有名なのが「Left Alone」です。Mal WaldronとBillie Holidayの共作曲ですが、Holidayがレコーディングすることなく死去してしまい、McLeanが参加したMal Waldronのリーダー作『Left Alone』が初レコーディングとなりました。ここでのMcLeanのバラード演奏は評判となり、以来McLeanの重要レパートリーとなります。
Mal Waldron「Left Alone」
http://www.youtube.com/watch?v=VNE8eXDsP5Q
レフト・アローン(紙ジャケット仕様)
僕の場合、Jackie McLeanのリーダー作は今日紹介する『Right Now!』しか持っていません。サイドメンとしての参加作として、当ブログではSonny Clark『Cool Struttin'』(1958年)、Lee Morgan『Charisma』(1966年)、Jack Wilson『Easterly Winds』(1967年)を紹介していますが、改めて我が家のジャズ・コレクションを眺めてみると、McLean参加作品をそれ程多く持っていないことに気付かされます。
その意味では、まだまだMcLeanの演奏を聴いていないのかもしれませんね。
それでも唯一持っているリーダー作『Right Now!』(1965年)は、かなり気に入っている作品です。
本作のメンバーはJackie McLean(as)、Larry Willis(p)、Bob Cranshaw(b)、Clifford Jarvis(ds)という編成です。Bob Cranshaw以外はあまり聞き慣れない名前かもしれませんね。
Larry Willisは本作でMcLeanで抜擢されたピアニストであり、70年代にはBlood, Sweat & Tearsのサポート・メンバーとしても活躍しています。本作でも4曲中2曲がWillisの作品であり、演奏も含めてMcLeanの期待に見事に応えているのでは?
Clifford JarvisはFreddie Hubbardのグループ等で知られるドラマーです。かつて、10代のTony Williamsを自身のグループへ誘ったり、先月紹介した異色ドラマーPete La Rocaを起用したりと、McLeanのドラマー起用には興味深いものがあります。その意味で本作でのJarvisのプレイも注目だと思います。
全体としてはモーダルなカッチョ良さを堪能できる1枚であり、クラブ・ジャズ世代の若いリスナーの方にも気に入ってもらえる作品だと思います。
ワンホーンで吹きまくるMcLeanのプレイを堪能しましょう!
全曲紹介しときやす。
「Eco」
僕のお気に入りはこのオープニング。McLeanのオリジナル。モーダルなカッチョ良さに溢れたアップテンポの演奏がサイコーです。何よりMcLeanのフレージングがキマりすぎ!McLeanのアルトを十二分に堪能できます。McLeanに負けずエキサイティングなJarvisのドラミングもグッド!
「Poor Eric」
Larry Willis作品。前年に亡くなったサックス奏者Eric Dolphyに捧げられたバラード。McLeanの陰りのあるプレイは、類稀な才能を持ちながら、経済的には恵まれなかった天才ジャズ・ミュージシャンへのレクイエムにぴったりです。作者であるWillisの美しくリリカルなピアノも素晴らしいの一言ですね。
「Christel's Tune」
この曲もLarry Willis作品。疾走感溢れるストレートな演奏が印象的です。このモーダル感はクラブ・ジャズ好きの若いリスナーの方にフィットするのでは?McLeanのサックス、Willisのピアノもノリノリですが、全体をグイグイと引っ張るCranshawのベースとJarvisのドラムが実にキマっています。
「Right Now」
タイトル曲はCharles Tolliver作品。Charles Tolliverと言えば、当ブログでも紹介したStanley Cowellとの双頭ユニットMusic Inc.やStrata-East Recordsの設立者としてお馴染みのトランペット奏者ですね。本作ではジャズ・ロック風のテーマが印象的なモーダル・チューンに仕上がっています。McLeanのアルトは絶好調だし、変拍子によるアクセントもバッチリのリズム隊もかなり目立っています。
CDには別テイクも収録されています。
僕自身もう少しMcLean作品を勉強したいと思います。