2009年03月14日

Rosalia De Souza『D'Improvviso』

今年のマイフェイバリット候補!こんなアルバムを求めていた!☆Rosalia De Souza『D'Improvviso』
D'improvviso
発表年:2009年
ez的ジャンル:Schema系ブラジリアン・クラブジャズ
気分は... :今年のマイフェイバリット候補!

現在の僕にとって、クラブジャズ/クロスオーヴァー、ジャジーHip-Hopと並び最も面白いジャンルがブラジル音楽です。

結果として、僕の音楽ライフに占めるブラジル音楽のウエイトがここ2、3年で年々高くなってきています。特定の音楽ジャンルに縛られることが嫌いな僕ですが、今年は新旧問わずブラジル音楽にかなりロックオンされている状態です。

そんなブラジル音楽の新譜から今年のマイフェイバリット・アルバムになりそうな超オススメの1枚、Rosalia De Souza『D'improvviso』です。イタリアを拠点とするブラジリアン・シンガーということで、純粋なブラジル音楽とは呼べないかもしれませんが。

Rosalia De Souzaはブラジルのリオ・デ・ジャネイロ生まれ。Rosaliaは、音楽理論、ジャズを学ぶため、1989年にイタリアのローマへ渡ります。そこで音楽活動を開始したRosaliaは、1994年にイタリアのクラブジャズ・シーンを牽引する人気DJ/プロデューサーNicola Conteと出会い、彼のプロジェクトQuintetto X のアルバム『Novo Esquema Da Bossa』でリード・ヴォーカルに抜擢されます。同アルバムはイタリア、ヨーロッパのクラブジャズ・シーンでヒットし、Rosaliaにも注目が集まるようになります。

その後もNicola Conteとの活動で評価を高め、2003年にはSchemaよりNicola Conteプロデュースによるデビュー・アルバム『Garota Moderna』をリリースします。2005年にリリースした2nd『Brasil Precisa Balancar』ではRoberto Menescalがプロデュースし、Marcos Valleがゲスト参加していました。今回紹介する『D'Improvviso』は3rdアルバムとなります。

とにかく僕にとって、ど真ん中のアルバムです。

最近CDショップでブラジル・コーナーとクラブジャズ・コーナーに居る時間が一番長い僕にとって、ブラジル音楽とクラブジャズが融合した本作『D'Improvviso』にハマらないはずがありません。しかも、Schemaレーベルとくればまさに鉄板な1枚です。

リリース前から期待値がかなり高い作品でしたが、実際に聴くと期待以上の出来栄えに歓喜の雄叫びをあげたくなりました。

基本はブラジル音楽のエッセンスを上手に取り入れたクラブジャズです。ラウンジ感覚もバッチリなのがいいですね。

プロデュースはSchemaの総帥Luciano Contone、バックにはFabrizio Bosso(tp)、Luca Mannutza(p)、Pietro Ciancaglini(b)、Lorenzo Tucci(ds)というHigh Fiveのメンバー(Bossoを除く3人はLTCのメンバー)やSchemaのボッサ・シンガーToco等が名を連ねます。Luca Mannutzaはアレンジも担当しています。

2007年はMario Biondi & The High Five Quintet『A Handful Of Soul』、2008年はNicola Conte『Rituals』といったSchema作品に魅了されましたが、今年はコレで決まり!だと思います。

Nina Ricciのサングラスでキメキメのジャケ写真もサイコー!

全曲紹介しときやす。

「Banzo」
オープニングはMarcos Valle作品。クラブジャズ然としたミッドナイト・ワルツ。LTCが好きな人にはぴったりのオープニングなのでは?

「Candomble」
オススメその1。Mario Castro Neves & Samba S.A.のヴァージョンでお馴染みのクラシックをカヴァー(Antonio Paulo/Danilo Caymmi/Edmundo Souto作品)。このクラシックをTocoとのデュエットによる21世紀モードのブラジリアン・クラブジャズで聴かせてくれます。

「D'Improvviso」
オススメその2。アルバム・タイトル曲はベネズエラ出身のコンポーザーAldemaro Romeroの作品。エレガントなボッサ・ジャズで聴かせてくれます。Schemaらしいスキのない作りがサイコー!
http://www.youtube.com/watch?v=GpDVFPOwn2w

「Carolina Carol Bela」
オススメその3。Jorge Benの名曲をカヴァー。本作の"新しさ"を象徴する1曲なのでは?ブラジル、ブーガルー、クラブ・ジャズ、ラウンジが融合した進化するニュー・ブラジリアン・クラブジャズってカンジです。サイコー!
http://www.youtube.com/watch?v=zs1-VpBqC8c

「O Cantador」
オススメその4。Elis Regina等でお馴染みのクラシック(Dory Caymmi作品)をカヴァー。ボッサ好きならば誰もが気に入るであろうオーソドックスな作りです。こういったスタンダードな演奏になるとLTCメンツのセンスの良さが光りますね。

「Opiniao」
クールな疾走感がカッチョ良い1曲。歌詞の♪Daqui do morro〜♪の部分が♪だけども〜♪と日本語の歌詞のように聴こえてしまうのは僕だけしょうか(笑)。

「Sambinha」
オススメその5。Cesar Mariano作品のカヴァー。個人的にはアルバムで一番好きな曲。キュートなスキャットと小粋なボッサ・ジャズ・サウンドでラウンジ気分を満喫できます。サイコー!

「Luiza Manequim」
オススメその6。ブラジル人シンガーソングライターAbilio Manoelのカヴァー。 ブラジリアン・ドラムンベースDrumagick「Malandaragem」の元ネタ。腰をグイグイさせるグルーヴ感がいいですな。クラブ系リスナーの方は気に入ると思います。

「Samba Longe」
オススメその7。ラウンジ好きの人にはグッとくるソフトなボッサ・ジャズに仕上がっています。

「Amanha」
オススメその8。サンバ・テイストの仕上がりと、リズムがチェンジするスリリングな展開がカッチョ良いですね。このセンスの良さが並みの作品ではないと思います。

「Quem Quiser Encontrar O Amor」
小気味良いクラブジャズ。Fabrizio Bossoのトランペットもいい感じ。

「5 Dias De Carnaval」
オススメその9。クールな疾走感が印象的な1曲。イタリア経由のブラジリアン・ジャズならではのスタイリッシュさがいいですね。

「Bossa 50」
オススメその10。正統派ブラジル音楽ファンも安心して聴けるボッサ・ジャズ。浜辺の夕陽が思い浮かぶ仕上がりです。

「Ondina」
ラストはサウダージ・モードの1曲。アルバムの余韻に浸りましょう。

こんな素晴らしい作品にも関わらず、国内盤の販売は未定で、Amazon.co.jpでも扱いがありません(今回のジャケ写真はAmazon.comから)。いかにも日本人好みの作品だと思うのですが...
posted by ez at 03:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする