2009年03月19日

Chase『Chase』

有名曲「Get It On(黒い炎)」収録のデビュー・アルバム☆Chase『Chase』
追跡
発表年:1971年
ez的ジャンル:ファンキー・ブラス・ロック
気分は... :どこまでも追いかけるぜ...

今日は70年代前半に活躍したグループChaseのデビュー・アルバム『Chase』(1971年)です。

Chaseは、Woody Hermanのビッグバンド等で活躍していたトランペット奏者Bill Chaseを中心にした結成されたブラス・ロック・グループ。

1971年に含む1stアルバム『Chase』をリリースします。デビューシングルであり、グループの代表曲でもある「Get It On(邦題:黒い炎)」のヒットと共にアルバムも成功を収め、ChicagoBlood, Sweat & Tears(BST)に続く"ブラス・ロック"の人気グループとして注目を浴びます。

この時点のメンバーはBill Chase(tp)、Ted Piercefield(tp、vo)、Alan Ware(tp)、Jerry Van Blair(tp、vo)、Phil Porter(key)、Dennis Johnson (b) 、Angel South(g)、Jay Burrid (per)、Terry Richards(vo)の9名。トランペット4本という編成が特徴的ですね。

その後メンバーチェンジを経ながら、2nd『Ennea』(1972年)、3rd『Pure Music』(1974年)といったアルバムをリリースます。しかし、1974年8月9にミネソタ州ジャクソン空港へ向かっていたバンド専用機が墜落し、Bill Chaseを含むメンバー4名とパイロット2名が死亡。グループの歴史は悲劇とともに幕を閉じました。

その後、生き残ったメンバーの一人Jim Peterik(2ndから加入)は、元メンバーのDennis Johnson、Gary Smithらと共に"生存者"という名の新バンドを結成します。そうです!全米No.1となった「Eye of the Tiger」(映画『Rocky III』の主題歌)の大ヒットを放った、あのSurvivorです。

僕の場合、Chicagoで一番好きなアルバムが『Hot Streets』であり、Blood, Sweat & Tears(BST)のアルバムも我が家のCD棚から10年近く手にしたことがないという人なので、"ブラス・ロック"自体にさほど興味はありません。リアルタイムでそれらを体験していないのが大きいのかもしれませんが...

そんなブラス・ロックに縁遠い僕でも『Chase』は大好きな作品です。

何と言っても代表曲「Get It On」ですね。この曲のフレーズはTV番組等でもよく使われるので、曲名は知らずとも曲の一部は聴いたことがあるという人も多いのでは?

この曲があったためにT.Rexの超有名な同名異曲「Get It On」が、アメリカでは「Bang a Gong」のタイトルでリリースされたというのは有名な話ですね。

「Get It On」をはじめ、ブラス・ロックという括りのみでは説明できない魅力があるアルバムだと思います。「Get It On」の邦題が「黒い炎」であるように、サウンドにもブラック・フィーリングが感じられます。きっと僕が本作に惹かれるのはそのあたりでしょうね。

本作のプロデュースはFrank Rand、Bob Destockiの2名。彼らは1970年に全米シングル・チャート第2位になったブラス・ロックの大ヒットThe Ides Of March「Vehicle」を手掛けたコンビです。The Ides Of Marchには前述の生存メンバーJim Peterikが在籍していました。

The Ides Of March「Vehicle」
http://www.youtube.com/watch?v=AZSfaxWuP50

オールド・ファンの中には愛読者も多いかもしれないレコードガイド本『The Rolling Stone Record Guide』の中で、著名な評論家Dave Marshは本作を■と評価しています。■とは★1つ〜5つ(★★★★★が最高評価)で評価する同ガイドの中で★1つにも至らない最低の評価(=無価値)です。ちなみにそこでのMarshのコメントは"(追ってくるなら)逃げちまえ!"

かつてBruce Springsteenに熱狂した僕としては、Dave Marshを悪く言いたくありませんが、本作を無価値と評価してしまうのは???ですな。これだからガイド本の評価を鵜呑みにしてしまうのは危険ですね。

まぁ、Rolling Stone誌の評価やブラス・ロック云々を抜きにて十分楽しめるアルバムだと思います。

変な先入観のない若いリスナーの方が、今時の視点で新鮮に聴くことができるのでは?
Hip-Hopのサンプリング・ネタに使われている曲もありますよ!

全曲紹介しときやす。

「Open Up Wide」
Bill Chaseのトランペットを他の3人のトランペットがチェイスするまさにChaseらしいオープニング。ジャズ・ファンも納得のトランペット・バトルなのでは?ファンキーなオルガン・サウンドも含めてカッチョ良いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=MGeshSW3k10

当ブログで紹介したBlack Sheep「North South East West」等でサンプリングされています。

「Livin' In Heat」
ファンキーな味わいがいい感じのミッド・グルーヴ。猛進する感じがいいですね。Angel Southのギター・ソロもなかなか。
http://www.youtube.com/watch?v=68fIAtHMBkA

「Hello Grocerries」
ブラック・ムービーのサントラあたりにピッタリなファンキー・グルーヴ。ワウワウ・ギターとソウルフルなオルガンにパワフルなトランペット隊が絡むカッチョ良さがたまりません。リード・ヴォーカルはJerry Van Blair。

「Handbags And Gladrags」
Rod Stewart等多くのアーティストがカヴァーしている曲ですね。作者はManfred Mannの元リード・シンガーMike d'Abo、オリジナルは1967年のChris Farloweのバージョンです。Chaseはこの曲をソウル・テイストで聴かせてくれます。この曲ではTed Piercefieldがリード・ヴォーカルを務めています。

YouTubeにChaseバージョンが無かったので、オリジナルとRod Stewartバージョンを紹介します。

Chris Farlowe「Handbags and Gladrags」
 http://www.youtube.com/watch?v=X3yN0JvG5co

Rod Stewart「Handbags and gladrags」
 http://www.youtube.com/watch?v=lv6_TSTy27o

「Get It On」
邦題「黒い炎」前述のデビュー・シングルであり、グループの代表曲。実際のチャート・アクション(全米シングル・チャート第24位)以上にインパクトがあった曲のようです。豪快なブラス・アンサンブル、Terry Richardsの言い回しがカッチョ良いヴォーカル、ファンキーなリズム隊が一体となったダイナミックなサウンドは一度聴いたら忘れられません。最後の決めフレーズもサイコー!
http://www.youtube.com/watch?v=guM-I-8CQ74

Manhattan Jazz Orchestra、和田アキ子、Tops等がカヴァーしています。アッコさんはこの曲を相当お気に入りのようですね。

Tops「Get It On (Japanese cover) 」
 http://www.youtube.com/watch?v=UsHL8Pt4U7g

「Boys And Girls Together」
次作からメンバーに加わるJim Peterikの作品。どこかの記事で西城秀樹「激しい恋」のホーン部分は本曲のイントロをモチーフにしているという説明を拝見しましたが、確かにそうですね。この2曲でマッシュ・アップすると面白いかもしれませんね。Ted Piercefieldがリード・ヴォーカルを務めています。

西城秀樹「激しい恋」
 http://www.youtube.com/watch?v=EtqRr_BS_Ks

「Invitation To A River」
エンディングは14分を超える大作。「Two Minds Meet」、「Stay」、「Paint It Sad」、「Reflections」、「River」という5曲から成る組曲です。このあたりはプログレ・ロック/ジャズ・ロックの影響かもしれませんね。

Talib Kweli & Rubix「Millionaires」の元ネタです。

Talib Kweli & Rubix「Millionaires」
 http://www.youtube.com/watch?v=xj0WqFy51NU

昨日のWBCは残念でしたね。
結局、打ち合わせのため殆どTV中継を観ることができませんでしたが、あの結果だったら観なくて正解でした。

今日のキューバ戦を勝ち抜いて、韓国へリベンジするチャンスを得てほしいですね。今日も試合開始時間の前後は打ち合わせなのですが心ここにあらず状態かも(笑)
posted by ez at 04:32| Comment(0) | TrackBack(1) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする