2009年04月19日

The Heat『Heat』

サックス奏者Tom Savianoによるファンキー・ユニット☆The Heat『Heat』
Heat
発表年:1980年
ez的ジャンル:ファンキー&メロウ系ファンク/AOR/フュージョン
気分は... :LAレイカーズの7季ぶり王者なるか?

いよいよNBAのレギュラー・シーズンが終了し、プレーオフに突入しますね。

僕の場合、毎年レギュラー・シーズンはあまり観ないくせに、プレーオフに突入すると急に気合い入れて観るようになるにわかファンなのですが(笑)

イースタン・カンファレンスはキャバリアーズ、ウエスタン・カンファレンスはレイカーズが本命のようですね。まぁ、単純にファイナルでレブロン対コービーのスーパースター対決を観たいですよね。

ウエスタン・カンファレンスは連覇を狙うセルティックも有力だと思っていたのですが、ガーネットがプレーオフ欠場になるみたいですね。ベストメンバーで臨めないのは残念な限りです。

個人的にはマイアミ・ヒートあたりにも頑張って欲しいのですが、第5シードでは難しいでしょうね。まぁ、レイカーズの7季ぶり王者なるか?といったあたりが見所でしょうか。

ということで、今日はウエスト・コースト系の作品をセレクト。
サックス奏者Tom Savianoによるファンキー・ユニットThe Heatの作品『Heat』(1980年)の紹介です。

グループ名とジャケだけから判断すると、へヴィ・メタ系っぽいですよね(笑)
でも、中身は80年代らしいファンキー&メロウな作品に仕上がっています。

The Heatは、サックス奏者Tom Savianoが奥方のJean Marie Arnold、セッション・シンガーJoe Pizzuloという男女ヴォーカルをフィーチャーしたユニット。プロデュース&アレンジもTom Savianoが手掛けています。Joe Pizzuloは、ヒット曲「Never Gonna Let You Go」をはじめとする80年代Sergio Mendes作品等でお馴染みの男性ヴォーカリストですね。

レコーディングには、Paul Jackson Jr.(g)、Thom Rotella(g)、Charles Fearing(g)、Eddy Watkins Jr.(b)、James Gadson(ds)、Ed Greene(ds)、Harvey Mason(ds)、David Foster(key)、Steve Porcaro(key)、Jai Winding(key)、Lenny Castro(per)、Jerry Hey(tp)、Chuck Findley(tp)、Bill Reichenbach(tb)、Nick De Caro(strings arr)等の実力派ミュージシャンが多数参加しています。

ファンク/ディスコ好き、AOR好き双方が満足する80年代らしい作品ですね。
シングル曲がポップ・チャートではなく、R&Bチャートにチャート・インしたというあたりがユニットの特徴を反映しているのでは?また、サックス奏者だけあって、ホーン隊の使い方が実に巧みです。

週末に聴くと、思わず遊びに出かけたくなる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Just Like You」
本作のハイライトと呼べるオープニング。シングル曲にもなりました。Cheryl Lynn「Got To Be Real」Emotions「Best of My Love」Alton McClain & Destiny「It Must Be Love」等のスウェイ・ビートがお好きな人であれば、間違いなく気に入る夜遊びモードの1曲です。ホーン・アレンジはEW&Fっぽいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=HXnVJr3uWBE

「It's Up To You」
ファンキーな中にもメロウな味わいを堪能できる小気味良いミッド・チューン。ホーン隊が大いに盛り上げてくれます。

「This Love That We've Found」
シングル曲にもなったバラード。僕には少し仰々しいかも?他にもシングル向きの曲があると思うのですが...

「Don't You Walk Away」
AORファン必聴の1曲。David Fosterのエレピに歓喜する方も多いはずのメロウ・チューン。Joe Pizzuloのヴォーカルの魅力を存分に堪能することができます。

「Pickin' And Choosin'」
ホーン隊のパワーが炸裂のするファンキー・ソウル。Average White Bandあたりがお好きな人ならば、かなりグッとくるはず!

「Whatever It Is」
「This Love That We've Found」と並び、メロウ好きにはたまらない1曲。アーバン・ムード満点のアレンジがサイコーだし、男女ツイン・ヴォーカルの魅力が一番いいかたちで出ている仕上がりだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=Qwud3Q9kPN4

「Side Steppin'」
疾走感が魅力のフュージョン・テイストなアップ・チューン。Tom Savianoのサックスが絶好調だし、Eddie Watkins Jr.のチョッパー・ベースもブリブリです。

「Billet Doux(Love Letter)」
ラストはフュージョン・アルバムっぽいインスト。

Joe Pizzuloは、ソロ・アルバムもリリースしています。
興味のある方は聴いてみると楽しいのでは?
posted by ez at 04:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月18日

Elis Regina『Em Pleno Verao』

ジャケ同様、眩しく輝くElisを堪能できる1枚☆Elis Regina『Em Pleno Verao』
エン・プレノ・ヴァラオン
発表年:1970年
ez的ジャンル:エネルギッシュ&キュートMPB
気分は... :♪クァクァラクァクァ〜♪

今日から映画『おっぱいバレー』が公開ですね。

不思議チャン大好きな僕としては、主演の綾瀬はるかチャンにグッとくるのは勿論ですが(笑)、こういう明るい映画が日本を元気にするのでは?

そんな流れで、今日は元気になる音楽が聴きたい気分...
セレクトしたのはMPBの女王Elis Regina

『Elis Regina in London』(1969年)に続いて紹介するのは、1970年リリースの『Em Pleno Verao』です。

1969年のElis Reginaは、ロンドン録音の『Elis Regina in London』、Toots Thielemans との共演作『Aquarela Do Brasil』、麦わらElis"の愛称でお馴染みの『Elis, Como e Porque』といった作品を発表し、まさに乗りにノッていた時期でした。そんな勢いは1970年4月にリリースされた本作『Em Pleno Verao』にも感じられます。

なんて書いていますが、本作を購入したのは正直ジャケ買いでした(笑)
キュートな笑顔のElisの豊かな表情に、相当グッときましたね。

内容的には、クラブ系リスナーに人気の高い作品であり、パーカッシヴでノリの良い楽曲が揃っているのがいいですね。ロック、ソウルの影響を感じる楽曲が収録されているのも興味深いです。

本作も含めて、Elisのアルバムは聴いているだけで元気になるのがいいですね。本当は夏に紹介するのが相応しい作品だと思っていたのですが、待ちきれず紹介してしまいました。夏には別のElis作品を紹介しますので....

音楽で元気になりたい人は、太陽のような明るさと輝きを放つElisの歌声を聴くことをオススメします。

Nelson Mottaがプロデュースを担当し、Erlon Chavesがオーケストラを率います。

全曲紹介しときやす。

「Vou Deitar e Rolar(Quaquaraquaqua)」
Baden Powell/ Paulo Cesar Pinheiro作品。ベスト盤に収録されることも多い代表曲の1つ。このオープニングを聴いた瞬間に、本作を購入して大正解であったと確信しました。まさにジャケのキュートの笑顔のように、楽しげに歌い、眩しく輝くElisを堪能できる1曲。聴いているだけで生きる喜びが湧いてきそうです。さぁ、みんなで歌いましょう!♪クァクァラクァクァ〜♪クァクァラクァクァ〜♪

YouTube映像を紹介しておきますが、オリジナルはこの映像以上に突き抜けた明るさに満ちていますよ!
http://www.youtube.com/watch?v=bKMSCyyOya4

「Bicho do Mato」
多くのアーティストによってカヴァーされているJorge Ben作品。表情豊かなElisの歌も躍動感溢れる演奏もサイコーです。Jorge Ben自身のヴァージョンは『10 Anos Depois』で聴くことができます。

「Verao Vermelho」
Nonato Buzar作品。1分40秒にも満たない曲ですが、何処かミステリアスな演奏をバックにElisのスキャットを聴くことができます。
http://www.youtube.com/watch?v=geGEBvRl6yI

「Ate Ai Morreu Neves」
この曲もJorge Ben作品。サンバ&ソウルなJorge Benらしい楽曲ですね。Elisのパンチの効いたヴォーカルも曲の雰囲気にピッタリですね。

「Frevo」
映画『Orfeu Negro(黒いオルフェ)』の挿入歌(Antonio Carlos Jobim作品)。Frevoとはカーニヴァル用の音楽スタイルの1つなのだとか。そんなカーニヴァル・ムードが伝わってくるノリノリの1曲です。ホーン隊も大いに盛り上げてくれます。

「As Curvas da Estrada de Santos」
Roberto Carlos/Erasmo Carlos作品。ライナーノーツによると、ブラジル人ならば知らない人がいないスタンダードなのだとか。ここでElisは、ロック・テイストのリズム・セクションをバックに、スケール感の大きな歌を聴かせてくれます。

「Fechado Pra Balanco」
「Nao Tenha Medo」
Gilberto Gil、Caetano Velosoというトロピカリズモの主要アーティスト2人の作品を取り上げています。Gilberto Gil作品「Fechado Pra Balanco」は小粋な仕上がりがグッド!Caetano Veloso作品「Nao Tenha Medo」はアレンジがいいですね。

「These Are the Songs」
本作のハイライトの1つであるTim Maiaとのデュエット(Tim Maia作品)。ブラジリアン・ソウルの牽引するTim Maiaですが、このデュエットでデビューのチャンスをつかみ、デビュー作『Tim Maia』(1970年)をリリースすることになります。英語で歌われていることもあり、かなりソウル色の強い仕上がりです。アルバムの中では少し異質ですが、その後のブラジル音楽史を考えるうえでも重要な共演を堪能しましょう。

「Comunicacao」
Helio Matheus作品。スウィンギーな仕上がりが印象的です。
画質、音質は相当悪いですが、PVが存在するという意味で貴重かもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=B1peRjNLYmc

「Copacabana Velha de Guerra」
ラストはJoyce作品。軽快なアップテンポが実に心地好いですね。
この曲も画質、音質は相当劣悪ですがPVが存在します。
http://www.youtube.com/watch?v=g16UnDIxb34

1979年のアルバム『Essa Mulher』のタイトル曲がJoyce作品であったことで、Joyceの名が広く知られるようになるなど、JoyceにとってElisは現在の地位を築くことができた恩人と言えるかもしれませんね。1998年にはElisに捧げたアルバム『Songs of Elis』をリリースしています。
posted by ez at 06:27| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月17日

D*Note『Coming Up』

ミニマル的アプローチが特徴的な3rd☆D*Note『Coming Up』
Coming Up
発表年:1996年
ez的ジャンル:ミニマル系フューチャー・ジャズ
気分は... :.知的サウンドを聴きたい気分......

先日TVでファッションモデルの杏さん(俳優、渡辺謙の娘)を取材する番組を観て、エラく感動してしまいました。

彼女は多分23歳になったばかりだと思うのですが、人間としての品性の高さに感心すると同時にとても刺激を受けました。最近、僕の中のテーマに「知的行動力」というのがあるのですが、彼女の言動はまさに「知的行動力」という言葉がピッタリな気がしましたね。

そんな流れで今日は知的なサウンドを聴きたい気分....
そこでセレクトしたのがD*Note
D*Noteの紹介は2回目になります。

D*Noteは、UKのインディ・レーベルDoradoの設立者Matt Winn (Matt Wienevski)が率いるユニット。

デビュー・アルバム『Babel』に続いて紹介するのは、3rdアルバムD*Note『Coming Up』(1996年)です。

D*Noteと言えば、クラブ・ジャズをベースにしつつも、Hip-Hop、ハウス、レゲエ、トリップ・ホップ、ファンク、現代音楽などUKクラブ・ミュージックを独自の視点で消化してしまうのが魅力だと思います。

前作『Criminal Justice』(1995年)ではジャングル/ドラムンベースへの急接近が目立ちましたが、本作『Coming Up』ではミニマム・ミュージック的アプローチが目立ちます。ミニマム・ミュージック的フューチャー・ジャズって感じでしょうか。

このミニマル感が久々に聴いたら、とても新鮮でした。
とても落ち着くし、心が浄化される気分になります。

Matt Winnの音楽的素養の高さとセンスの良さを実感できる1枚だと思います。

話が逸れますが、本作でヴォーカルを務めるPamela Andersonは、有名なセクシー女優Pamela Andersonとは別人です。このPamelaは女性シンガーJhelisa(Anderson)の姉妹であり、元Young DisciplesCarleen Andersonの従姉妹になります。

そりゃそうですよね。
セクシー女優Pamela Andersonがヴォーカルだったら、全てが台無しになってしまう(笑)

全曲紹介しときやす。

「Waiting Hopefully」
ドラマティックなオープニング。ジャズとハウスと現代音楽が融合したようなサウンドはD*Noteにしか創れないアーティスティックなものなのでは?クールなサウンドと対照的なPamela Andersonのエモーショナルなヴォーカルもグッド!

「Coming Up」
オススメその1。タイトル曲はピアノを中心にした現代音楽風のミニマル・チューン。聴いているだけで心が浄化されます。こうしたインストの素晴らしさが本作の魅力だと思います。

「Say What You Mean」
UKクラブ・ミュージックらしいキャッチーなミッド・グルーヴ。Pamela Andersonのヴォーカルがキュートでいいですな。

「The Long Goodbye」
オススメその2。ひたすら美しいピアノにうっとりのフューチャー・ジャズ。スピリチュアル・ジャズがお好きな方ならば気に入ると思います。徐々にサウンドが膨らんでいき、気づくとクラブ・テイストな展開に!

「Life's Too Short」
オススメその3。クラブ・ミュージック好きの人であれば気に入るジャジー・グルーヴ。Pamela Andersonのヴォーカルも含めて本作の中では一番売れ線な作りだと思います。

「Tri-Cyclic」
大自然を題材にしたドキュメンタリー・フィルムのBGMにピッタリなクラシカルなインスト。

「Black Dog」
下げモードの曲なのだとか(笑)メランコリックなサウンドをバックにPamela Andersonが哀愁ヴォーカルを聴かせてくれます。

「Minimal」
タイトルの通り、ミニマルな展開の1曲。アルバム全体を通じてフルートの音色が印象的ですが、本曲でもいいアクセントになっています。

国内盤CDにはボーナス・トラックとして「The Short Goodbye」が収録されています。

本作の翌年に今度は『Coming Down』というフィルムのサウンドトラック作品(EP)をリリースしています。
posted by ez at 02:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月16日

Wes Montgomery『A Day In The Life』

"イージーリスニング・ジャズ"では片付けれない魅力を持った作品☆Wes Montgomery『A Day In The Life』
ア・デイ・イン・ザ・ライフ
録音年:1967年
ez的ジャンル:CTI系ジャズ・ギター
気分は... :C.ロナウド凄かった!

UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝2ndが終了しました。

僕の予想に反して、マンUがポルトのホームで完璧な試合運びで見事勝利し、準決勝に進出しました。C.ロナウドの決勝ゴールは今大会のベストゴールと呼べるのでは?

これで準決勝は「バルセロナ対チェルシー」、「アーセナル対マンチェスターU」という組み合わせになりました。どちらも決勝で見たいようなゴールデンカードですね。

特にベンゲル対ファーガソンの指揮官対決が見ものの、「アーセナル対マンチェスターU」に注目したいですね。

さて、今回はジャズ・ギターの第一人者Wes Montgomeryの3回目の登場です。

Wynton Kellyとの共演作『Smokin' At The Half Note』(1965年)、『Full House』(1962年)に続いて紹介するのは、1967年リリースの『A Day In The Life』です。

本作はCreed Taylorが1967年に立ち上げたCTIからの第1弾アルバムであり、Creed Taylorがプロデュース、Don Sebeskyがアレンジ/オーケストラ指揮を手掛けています。ということで全体的にエレガントなムードが漂っています。

Verve時代から、『Bumpin'』(1965年、Don Sebeskyアレンジ/指揮)、『Goin' Out of My Head』(1965年、Oliver Nelsonアレンジ/指揮)、『Tequila』(1966年、Claus Ogermanアレンジ/指揮)、『California Dreaming』(1966年、Don Sebeskyアレンジ/指揮)とオーケストレーションを従えた作品をリリースしてきたWesですが、その決定版が本作『A Day In The Life』になるのでは?

これらVerve/CTI時代の作品を"イージーリスニング・ジャズ"ということで嫌う方もいますが、"永遠のジャズ初心者"の僕はその親しみやすさに魅力を感じます。それほど軟弱な作品にはなっていないと思いますよ(笑)

レコーディングにはHarbie Hancock(p)、Ron Carter(b)、Grady Tate(ds)らが参加しています。パーカッションにはラテン・グルーヴの帝王Ray Barrettoの名もあります。そのせいかパーカッシヴな仕上がりの曲も多く、パーカッション大好きの僕にはグッときます。

全10曲中9曲が有名曲のカヴァーです。ジャズ・スタンダードのみならず、Beatles、Percy Sledge、Associationなどお馴染みのヒット曲カヴァーもあり、なかなか楽しめます。

Wesがギターを弾きまくるという作品ではありませんが、円熟のギタープレイを十分満喫できるはずです。

"イージーリスニング・ジャズ"では片付けれない魅力を持った作品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「A Day in the Life」
オープニングはBeatlesの名曲カヴァー(オリジナルは『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』収録)。Don Sebeskyのストリングスも含めて、オリジナルの持つストレンジな雰囲気を受け継いでいます。この曲を聴けば、本作が単なるイージーリスニング・アルバムではないことがわかるはず!
http://www.youtube.com/watch?v=_ooeMXnPuIg

「Watch What Happens」
映画『The Umbrellas of Cherbourg(シェルブールの雨傘)』でお馴染みのMichel Legrand作品。当ブログではStanley TurrentineElis Reginaのカヴァーをこれまで紹介してきました。Wesヴァージョンは、Don Sebeskyの本領発揮といったCTIらしい仕上がりで、この曲の持つロマンティック・ムードを存分に堪能できます。。

「When a Man Loves a Woman」
Percy Sledge、1966年の全米No.1ヒットをカヴァー。ストリングス・アレンジは見事ですが、僕にはやや仰々しく感じます。

「California Nights」
Lesley Gore、1967年のヒット曲(Marvin Hamlisch/Howard Liebling作品)をカヴァー。同じくDon Sebeskyがアレンジを担当した「California Dreaming」(1966年)に続く、Californiaシリーズといったところでしょうか(笑)。CTIらしいエレガントな出来栄えです。

「Angel」
本作で唯一Wesのオリジナル曲です。有名曲カヴァーの中でこのオリジナルの存在感は抜群です。ゆったり落ち着いたムードが心地好いですね。アルバムの中でもかなりお気に入りの1曲です。Showbiz & A.G.「Next Level」でサンプリングされています。

Showbiz & A.G.「Next Level」
 http://www.youtube.com/watch?v=JfqIPjgV-Kc

「Eleanor Rigby」
Beatlesの名曲カヴァー2曲目(オリジナルは『Revolver』収録)。パーカッシヴでグルーヴィーな仕上がりがいいですね。元々ストリングス付の曲なので、ストリングスも全く違和感がありません。
http://www.youtube.com/watch?v=6A6bOGxMSoA

「Willow Weep for Me」
「柳よ泣いておくれ」の邦題で有名なスタンダード(Ann Ronnell作品)。当ブログではDexter GordonWynton Kelly『Kelly Blue』Red GarlandClifford Brownのヴァージョンを紹介済みです。Wesヴァージョンは、ストリングスも控えめでスタンダード然とした仕上がりです。

「Windy」
Association、1967年のヒット曲をカヴァー。オリジナルもかなり好きですが、Wesヴァージョンも「Eleanor Rigby」同様パーカッシヴな仕上がりで僕好みです。
http://www.youtube.com/watch?v=poglDnyVhqE

「Trust in Me」
Ned Wever/Milton Ager/Jean Schwartz作のスタンダード。Mildred Bailey、Etta James等がレコーディングしています。Wesヴァージョンは、Harbie Hancockの美しいピアノを従えたロマンティック・ムード満点のバラードに仕上がっています。

「The Joker」
ミュージカル『The Roar of the Greasepaint - The Smell of the Crowd』(1964年)の中の1曲(Leslie Bricusse/Anthony Newley作品)。当ブログではSergio Mendes & Brasil'66のカヴァーを紹介しました(アルバム『Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil'66』収録)。Shirley Basseyも1968年にカヴァーしています。Wesヴァージョンは、ラテン・テイストの仕上がりがグッときます!

この後もWesはDon Sebeskyのアレンジによる、『Down Here on the Ground』(1968年)、『Road Song』(1968年)といった作品をCTIに残しています。
posted by ez at 12:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月15日

Elvis Costello & The Attractions『This Year's Model』

初めてAttractionsを従えた200%Costello印の快心作☆Elvis Costello & The Attractions『This Year's Model』
This Year's Model
発表年:1978年
ez的ジャンル:ポップ・センス満載ビート・ロック
気分は... :リヴァプールが奇跡をおこす?

只今、UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝2ndレグをTV観戦中!
特に「リヴァプール対チェルシー」はアウェーのリヴァプールが2点を先制して、面白い試合展開になっています。

さて、久々のElvis Costelloです。
これまで当ブログで紹介してきたCostello作品は以下の4枚(発売年順)。

 『Get Happy!!』(1980年)
 『Imperial Bedroom』(1982年)
 『Blood & Chocolate』(1986年)
 『Spike』(1989年)

そして、5枚目に紹介するのは2ndアルバム『This Year's Model』(1978年)です。日本におけるデビュー作でもあります。

僕の場合、リアルタイムでのCostello初体験が『Imperial Bedroom』(1982年)だったので、過去紹介作品を見てもおわかりのとおり、どうしても80年代作品への思い入れが強いかもしれません。

偏ったセレクトではCostello本来の魅力が伝わらないかもしれないので、今回は70年代作品を取り上げることにしました。

Elvis Costelloがロック・シーンに与えたインパクトという点で言えば、やはりデビュー作『My Aim Is True』(1977年)、2nd『This Year's Model』(1978年)の2枚かもしれませんね。

個人的な好みで今回は『This Year's Model』の方ををセレクト。
ジャケのインパクトもありますし、サウンド面でもCostelloらしさ全開の1枚だと思います。

デビュー作『My Aim Is True』(1977年)同様、プロデュースはNick Loweが務めています。

『My Aim Is True』ではClover(かのHuey Lewisも在籍していたグループ)がバックを務めていましたが(Huey Lewisは不参加)、本作ではいよいよ自身のバック・バンドThe Attractionsを結成します。

オーディションで選ばれたのは、Steve Nieve(p、org)、Bruce Thomas(b)、Pete Thomas(ds)の3人(BruceとPeteは兄弟ではありません)。シンプルな編成ながらも息の合った演奏で、アルバムの魅力向上に大きく貢献しています。

Costello作品を冷静に振り返ると、本作がみんながイメージするCostelloのイメージに一番近いのでは?

パンク/ニューウェイヴ真っ只中に若者の代弁者として登場したElvis Costelloが、単なる"Angry young man"ではなく、音楽的センスも持ち合わせたミュージシャンであることを実感できる作品だと思います。

Costelloのパンク/ニューウェイヴという枠組みでは説明しきれない魅力を堪能できる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「No Action」
いきなり僕の一番のお気に入り曲。このエネルギッシュ&キャッチーなビート・ナンバーを聴くと、体中のアドレナリンが出まくります。CostelloとAttractionsの一体感がいいですね!サイコー!
http://www.youtube.com/watch?v=77ihULTtWjo

「This Year's Girl」
タイトル曲はCostelloのキャッチーなポップセンスが光る1曲。Attractionsのパワフルな演奏も聴き逃せません。
http://www.youtube.com/watch?v=pLwoh-DYqp8

「The Beat」
Costello節炸裂の哀愁ビート・チューン。サウンド面ではSteve Nieveのオルガンが肝ですな。
http://www.youtube.com/watch?v=0Xoc5UB8ldo

「Pump It Up」
ライブ・レパートリーとしてもお馴染みの1曲。シングルにもなりました。Pete Thomasの叩き出すキャッチーなビートと全体に彩を添えるSteve Nieveのオルガンがキマっています。それにしてもPVのCostelloはさすがに若いですね(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=tpprOGsLWUo

「Little Triggers」
今ではバラードシンガーの印象が強いCostelloですが、そんな才能の片鱗を感じさせる1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=HZm44y1HipE

「You Belong To Me」
スコーンとした抜けの良さがサイコー!明快さとシンプルさが好結果を生んでいると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=-7AiFggQPjY

「Hand In Hand」
60年代へのオマージュを感じる1曲。ノスタルジーの中にもCostelloらしさが散りばめられているのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=BG_aQtm-XaI

「(I Don't Want To Go To) Chelsea」
シングル曲。ニューウェイヴな仕上がりが印象的です。シングル曲。ニューウェイヴな仕上がりが印象的です。"チェルシーに行きたくない!"というタイトルは、今まさにチェルシーと戦っているリヴァプール・イレブンの心境だったはずなのですが(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=DjYTgwDizbk

「Lip Service」
Costelloのポップ・センスを感じる1曲。このキャッチーさはかなりグッときます。皆が大好きなCostelloがこの1曲に凝縮されているのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=BJZef9--QUs

「Living In Paradise」
タイトル通り、パラダイス・モードな1曲???なのかなぁ(笑)何処となくコミカルな要素も漂うのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=DrCsTZoGbMw

"Living In Paradice"でもスカとはちょっと違うがトロピカル(?)なビート感を強調。この時代のバンドには欠かせなかった要素だが、消化の度合いもなかなか。

「Lipstick Vogue」
思い切りパンクしている1曲。アクセル全開で一気に駆け抜けるスピード感がたまりません。Bruce Thomas & Pete Thomasのリズム隊の演奏もサイコー!
http://www.youtube.com/watch?v=ykgYNeQesmU

「Night Rally」
重苦しい出だしから、パッと道が開けるような展開が印象です。
http://www.youtube.com/watch?v=T8Extc2nat0

UKのオリジナルは以上の全12曲。ただし、USや日本盤は一部異なる選曲でリリースされていました。

現在のCDにはボーナス・トラックが多数追加収録されています。
僕が所有するCDには「Radio Radio」「Big Tears」「Crawling to the USA」「Running Out of Angels」「Green Shirt」「Big Boys」の6曲が追加収録されています。

やはり、この中ではシングルにもなった人気曲「Radio Radio」でしょうね。US盤アルバムには収録されていたので、アルバム収録曲扱いでもいいのかもしれませんが。

「Radio, Radio」
http://www.youtube.com/watch?v=3j7JFP6ZOCI

昨年リリースされた最新作『Momohuku』は未聴ですが、チキンラーメンでも食べながら聴いてみようかなぁ?(アルバム・タイトルは日清食品の創業者であり、チキンラーメンの生みの親である安藤百福氏にちなんだものです。)
posted by ez at 04:16| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする