2009年05月31日

Squeeze『Cosi Fan Tutti Frutti』

UKらしいシニカルなポップセンスを堪能あれ!☆Squeeze『Cosi Fan Tutti Frutti』
Cosi Fan Tutti Frutti
発表年:1985年
ez的ジャンル:UKシニカル・ポップ/ロック
気分は... :誰が何と言おうと...

今回はUKのロック・グループSqueezeの登場です。
セレクトしたのは1985年のアルバム『Cosi Fan Tutti Frutti』

Squeezeは、1974年にChris DiffordGlenn Tilbrookを中心にロンドンで結成されました。

1978年に1stアルバム『Squeeze』(1978年)をリリース。この時のメンバーは、Chris Difford(g、vo)、Glenn Tilbrook(vo、g、key)、Julian Holland(key、vo)、Harry Kakoulli(b)、Gilson Lavis(ds、per)の5名。

続く2nd『Cool for Cats』(1979年)からは、「Cool for Cats」「Up the Junction」という2曲のUKチャートTop3入りシングルが生まれます。4thアルバム『East Side Story』(1981年)では、ソロ・アーティストとしても活躍しているPaul Carrackもメンバーとして参加していました。

5th『Sweets from a Stranger』(1982年)を最後にグループは一度解散し、中心メンバーのChris Difford、Glenn TilbrookはDifford & Tilbrook名義でアルバム『Difford & Tilbrook』(1984年)をリリースしています。

しかし、『Cosi Fan Tutti Frutti』(1985年)で再結成し、その後もコンスタントにアルバムをリリースしますが1999年に解散します。

いかにもUKらしいポップセンス溢れるロック・グループですよね。
USチャートでのヒットが少ないので、一般的には地味な存在ですが、コアなファンも相当いたグループだったのでは?

僕の中ではXTCPrefab Sproutらと並ぶ、UKポップの継承者という印象です。コアなファンというほどではありませんでしたが、彼らのシニカルなポップセンスが大好きでした。

おそらくSqueezeがお好きな方は、『Cool for Cats』(1979年)、『East Side Story』(1981年)あたりを推す前期派と、『Frank』(1989年)、『Some Fantastic Place』(1993年)あたりがお好きな後期派に分かれるのでは?

しかしながら僕が最も好きなSqueezeのアルバムは、LP時代から愛聴している1985年の再結成アルバム『Cosi Fan Tutti Frutti』です。

おそらくSqueezeファンの中でも本作を最高傑作として推す人は少ないと思います(笑)。良くも悪くも80年代らしい硬質サウンドが、今日ではあまり評価されていないようですね。

個人的には彼らのシニカルなポップセンスとダイナミックな80年代サウンドの組み合わせはバッチリだと思います。また全体を貫くダークなテイストが本作の魅力なのでは?

本作におけるメンバーはChris Difford(g、vo)、Glenn Tilbrook(vo、g、key)、Julian Holland(key、vo)、Keith Wilkinson(b)、Gilson Lavis(ds、per)。Julian Hollandの復帰が目を引きますね。

タイトルの"Cosi Fan Tutti Frutti"とは、Mozartのオペラ「Cosi Fan Tutte」とLittle Richardのデビュー曲「Tutti Frutti」を掛け合わせたものです。このあたりのセンスもSqueezeらしいですね。

名盤としても扱われることは少ない作品ですが、個人的には文句ナシの名盤だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Big Beng」
硬質でダイナミックなサウンドが印象的なオープニング。いかにも80年代なドラム音ですが、陳腐に聴こえないのはドラムだけが突出していないからかもしれませんね。

「By Your Side」
レゲエ調の哀愁ポップ。この曲を聴いていたら何故かGazebo「I Like Chopin」が聴きたくなり、YouTubeで聴いてしまいました(笑)

「King George Street」
シングルにもなったSqueeze流ポップ・センス全開の1曲。硬質なサウンドとSqueezeらしいキャッチーだけど少しヒネリの効いたメロディの組み合わせがグッド!タイトルからも連想されように中東的なテイストも随所に聴かれます。

「I Learnt How to Pray」
メロディ・メイカーとしてのDifford & Tilbrookの魅力を堪能できる1曲。本作を過小評価する人も、この曲に限っては納得なのでは?

「Last Time Forever」
ダントツで一番のお気に入り曲。シングルにもなりました。Stanley Kubrick監督、Jack Nicholson主演の映画『The Shining』の叫び声がサンプリングされている、ダークな哀愁ポップ。嫉妬心から妻を殺害してしまった男の実話がモチーフになっている物騒なテーマの歌ですが、この美しく悲しいダークなポップ・テイストは本作におけるSqueezeでなければ表現できないのでは?個人的にはElvis Costello「I Wanna Be Loved」と一緒に聴きたくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=GBfBhOxfTdY

「No Place Like Home」
夫婦喧嘩について歌ったものですが、タイトルは「我が家は素晴らしきかな」...Squeezeらしいですね。XTCにつながるシニカル・ワールドがたまりません。

「Heartbreaking World」
80年代らしいピコピコ・サウンドのミッド・グルーヴ。本曲ではHollandがリード・ヴォーカルをとっています。曲もDiffordとHollandの共作です。そのせいか他の曲と多少異なる印象を受けるかも?

「Hits of the Year」
派手なギター・ソロも聴けて、アルバムの中で一番華やかな曲かもしれませんね。とは言ってもダークな味付けも忘れていません。

「Break My Heart」
リアルタイムで聴いた時から大好きな1曲。今回久しぶりに聴いてもグッときますね。本作でしか聴けないダークなカッコ良さに満ちています。

「I Won't Ever Go Drinking Again (?)」
ラストは酔っ払いの心情がそのままメロディになったような曲。トロピカル・テイストのコミカルな仕上がりが楽しいですね。"もう二度と酒を飲みには行かない"...僕も年中言っているセリフです(笑)

CDにはボーナス・トラックとして「Loves Crashing Waves (Live) 」が収録されています。『Difford & Tilbrook』(1984年)からのシングル曲のライブ・ヴァージョンであり、シングル「King George Street」のB面だったものです。

リアルタイムで聴いていた頃はDifford & Tilbrook名義の『Difford & Tilbrook』(1984年)の評価も高かったですね(Tony Viscontiプロデュース)。興味がある方は是非どうぞ!

Difford & Tilbrook
Difford & Tilbrook
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2009年05月30日

Bill Evans『Explorations』

ピアノ・トリオの可能性の探求☆Bill Evans『Explorations』
エクスプロレイションズ+2
録音年:1961年
ez的ジャンル:探求系ピアノ・トリオ
気分は... :"静"なるスリリング感...

偉大なるジャズ・ピアニストBill Evansの6回目の紹介です。

これまで紹介したEvans作品は以下の5枚。

 『Portrait In Jazz』(1959年)
 『Waltz For Debby』(1961年)
 『Undercurrent』(1962年)
 『Alone』(1968年)
 『New Conversations』(1978年)

今回はRiverside四部作の1枚、『Explorations』(1961年)です。

Scott LaFaro(b)、Paul Motian(ds)とのトリオによる、『Portrait In Jazz』、本作『Explorations』『Waltz For Debby』『Sunday At The Village Vanguard』というRiverside四部作は人気の高い作品ですよね。

そんな人気の四部作の中でも地味な存在が『Explorations』かもしれませんね。

タイトルにもあるようなピアノ・トリオの可能性探求といった色彩が強い分、他の四部作と比較して、ロマンティック、エレガントな要素が少ないのが、そういった印象につながるのかもしれませんね。

僕の場合も一番最後にマイ・コレクションに加わった四部作でした。
確かに最初に聴いた時には地味な印象でしたね。しかしながら、何度も聴き返していくうちに、静寂の中のスリリング感が魅力的に聴こえるようになってきました。

静かなる探求の道へ....こんな演奏を聴きながら、自分を見つめ直すのもいいかもしれませんね。

全曲紹介しときやす。

「Israel」
オープニングはMiles Davis『Birth of the Cool』でも演奏されていたJohn Carisi作品。このトリオの美学が貫かれた演奏ですね。ピアノ、ベース、ドラムが三位一体となって生み出す静かなる緊張感がたまらりません。

「Haunted Heart」
ただただ美しいバラード(Carl Deitz/Howard Dietz/Arthur Schwartz作品)。リリカルなEvansのピアノ存分に堪能しましょう。LaFaroとMotianの控えめな演奏もグッド!

「Beautiful Love」
Victor Young等の共作によるスタンダード。当ブログでは以前にAnita O'Dayのヴァージョンを紹介しました(アルバム『This Is Anita』収録)。オリジナルはTake2が収録されていますが、Take1の出来の良さに気を良くしたハイテンションの三人の勢いが感じられるスウィンギーな演奏がグッときます。Take1もボーナス・トラックで収録されているので、聴き比べると楽しいですね。

「Elsa」
Earl Zindars作のバラード。EvansのピアノとLaFaroのベースの絡み合いが生み出すミステリアスな空気に吸い込まれそうです。

「Nardis」
Miles Davis作となっていますが真偽のほどは???いずれにしてもEvansの演奏が似合う曲ですよね。静寂の中から湧き出るパワーを感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=K6ahRrYdTyE

「How Deep Is the Ocean?」
Evansの重要なレパートリーですね(Irving Berlin作)。落ち着いた雰囲気の中にも引き締まった感じがあっていいですね。

「I Wish I Knew」
当ブログではJohn Coltraneの演奏(アルバム『Ballads』収録)を紹介したことがあるHarry Warren/Mack Gordon作品。僕の場合、Coltraneのロマンティックの演奏に慣れているので、この演奏はかなりシブめの印象を受けます。

「Sweet and Lovely」
Gus Arnheim/Jules LeMare/Harry Tobias作のスタンダード。小粋なスウィンギー感がグッときます。三人それぞれの見せ場があるのもいいですね(特にMotian)。

さらにCDにはボーナストラックとして、前述の「Beautiful Love」のTake1と「The Boy Next Door」が収録されています。
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2009年05月28日

Fela Kuti『Na Poi/Zombie』

代表曲「Zombie」を含む2in1CD☆Fela Kuti『Na Poi/Zombie』
NA POI/ZOMBIEZombie
発表年:1972年/1976年
ez的ジャンル:元祖アフロビート
気分は... :ビッグイヤー!よくやったペップ(グアルディオラ)!

今日はサッカーUEFAチャンピオンズ・リーグ決勝「バルセロナ対マンチェスターU」を観戦しながら、記事を書いています。2009年最大のスポーツ・イベントですかね。

勿論、僕はバルサの勝利を信じて観戦していましたが...
アンチ・マンUの僕ですが、朴智星だけは応援していました。

バルサ・ファンとしては序盤いきなり攻め込まれて冷や汗もんでした。
あそこで失点していたら、試合の流れは全然変わっていましたね。

そんなマンUペースの流れを一変させたのはイニエスタ!
賞賛すべきはエトーの個人技かもしれませんが、それを演出したイニエスタの働きを評価したいですね。

そして、メッシの追加点もシャビのパスが絶妙でしたね。

最終的にはエトー、メッシというスーパースターの得点で決着がつきましたが、それを支えたのはプジョル、シャビ、イニエスタというカンテラ育ちのメンバーたちでした。このあたりにバルサの強さ&魅力があるのだと思います。

今、試合終了!おめでとうバルサ!よくやったペップ(グアルディオラ)!バルサの魂ここにあり!三冠偉業達成!

バルサ!バルサ!バルサ!

決勝会場となったローマのオリンピコを久々に観ましたが、陸上トラックがありながら(まるでコロッセオのような)独特の臨場感があるスタジアムですね。会場も歴史を作る大きな要素ですね。

アフロビートの創始者Fela Kutiの2回目の登場です。

前回は『Ikoyi Blindness/No Buredi』の2in1を紹介しましたが、今回は『Na Poi/Zombie』の2in1です。ジャケ写真の左が『Na Poi』、右が『Zombie』です。

『Zombie』Fela Kutiの代表作と言える1枚ですよね。

最近発売された某MM誌の「アルバム・ランキング・ベスト100 1969〜1979年」でもThe Beatles『Abby Road』、Neil Young『After the Gold Rush』、The Band『The Band』、に続き、第4位で『Zombie』がランキングされていました。この流れでFela Kutiが第4位という結果に驚かれた方も多かったのでは?個人的にはこの手のランキングには興味がありませんが。

ナイジェリア政府・軍部や富裕層を痛烈に批判する政治的メッセージから"Black President(黒い大統領)"と呼ばれたFela Kutiですが、『Zombie』(1976年)はそんな闘うミュージシャンを象徴する作品です。

ナイジェリア軍部を直接的に批判した本作が引き金となり、1977年に軍部が約1,000名の兵士の送り込んでカラクタ共和国(Fela Kutiのコミュニティ)を襲撃し、多数の怪我人・逮捕者が発生する事態となりました。Fela自身も傷を負い、拘留されて裁判にかけられました。また、この襲撃時のケガの影響でFelaの母Funmilayoは翌年死去しています。

そういった政治的な背景を置いておき、純粋に音楽のみに注目しても、アフロビートのグルーヴ感を堪能できる充実作に仕上がっています。Fela Kutiの場合、1曲10分超は当たり前ですが、本作でも12分台の2曲で躍動的・煽動的・覚醒的なFela Kutiワールドを展開しています。

もう1枚の『Na Poi』(1972年)は、本CD化(1998年)までは入手困難な音源だったようです。制作年はWikiに1972年となっていたのでそのように表記していますが、ライナー等には1970〜71年の録音との記載もあります。ですので、情報に誤りがあるかもしれませんのでご留意願います。

モノラル録音ということもあり、『Zombie』と比較して、荒削りな印象を受けますが、逆にそれが魅力かもしれません。

先月のKing Sunny Adeの記事でも書きましたが、同じナイジェリア人ミュージシャンでも、Adeが"ジュジュ・ミュージックのエンターテイナー"というイメージであるのに対して、Fela Kutiは反逆のアフロ・ビートという感じですね。

そんな濃厚なブラック・ミュージックを堪能しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Na Poi」
約25分の長尺。オリジナルLPではA面及びB面半分を使っていました。Fela初心者向けの演奏ではないかもしれませんが、得たいの知れないパワーを秘めた感じがサイコーっす。この頃から、お得意の不気味かつ覚醒的なエレピ・サウンドを聴くことができます。曲名はズバリ"セックス"を意味するらしいです。

「You No Go Die Unless You Want Die」
わかりやすくFela Kutiのカッコ良さを実感できます。煽動的なリズムとホーン隊の絡みがサイコーです。ジャズやソウルをも飲み込んだ独自のブラック・ミュージックを堪能しましょう。

ここまでの2曲が『Na Poi』です。

「Zombie」
ここからは『Zombie』の2曲です。タイトル曲はFelaの最も有名な曲の1つ。ここで言うゾンビとはナイジェリア軍のことです。軍部を直接批判したこの曲が、前述のような軍によるカラクタ共和国襲撃の引き金となったと言われています。Black Presidentの面目躍如といった曲かもしれませんね。サウンド面でも煽動的・攻撃的なアフロ・ビート全開であり、いやがうえにもハイ・テンションになります。
http://www.youtube.com/watch?v=iBgewcFh-cg

「Mr. Follow Follow」
曲タイトルは、欧米文化に洗脳され、後追い(フォロー)するナイジェリア人を皮肉ったものです。LPの裏ジャケ(CDのインナー)に本曲を説明した漫画が描かれています。「Zombie」のような攻撃性はありませんが、皮肉たっぷりのアフロ・ジャズ・グルーヴに仕上がっています。アフロ・ビートに絡みつくFelaの粘っこいサックスが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=vnCgCXbOzgk

次は『Excuse-O』(1976年)か『Opposite People』(1977年)あたりを紹介したいと思います。
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2009年05月27日

Celso Fonseca & Ronaldo Bastos『Paradiso』

梅雨の時期に聴きたくなる内省的ボッサ☆Celso Fonseca & Ronaldo Bastos『Paradiso』
Paradiso
発表年:1997年
ez的ジャンル:内省的ボッサ
気分は... :蒼い風が...

今日はブラジルものが聴きたい気分!
そこで選んだのがCelso Fonseca & Ronaldo Bastos『Paradiso』(1997年)です。

しばらく聴いていなかったのですが、先日CD棚を整理していたら久々に発見し、聴いてみて素晴らしさを再認識しています。

Celso Fonsecaは1956年生まれのギタリスト/シンガー/コンポーザー/プロデューサー。Gilberto Gil をはじめ、多くの大物ブラジル人ミュージシャンとの共演、レコーディング参加の経験を持つ実力派ミュージシャン。

当ブログで紹介したアーティストで言えば、先日最新作『Miss Balanco』を取り上げたばかりのClara Morenoの前作『Meu Samba Torto』(2007年)はCelso Fonsecaのプロデュースです。

Ronaldo Bastosは1948年生まれのベテラン作詞家。Milton Nascimento等の作品で彼の詞に出会うことができます。プロデューサーとしても活躍し、Toninho Horta等の作品を手掛けています。1994年には自身のレーベルDubas Musicaを設立しています。本作『Paradiso』もDubas Musicaからのリリースです。

Celso Fonseca & Ronaldo Bastosのコンビは、二人の名義で『Sorte』(1994年)、『Paradiso』(1997年)、『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』(2001年)という3枚のアルバムをリリースしています。

また、Celso Fonsecaの単独アルバムとして、『O Som do Sim』(1993年)『Natural』(2003年)、『Rive Gauche Rio』(2005年)、『Feriado』(2007年)があります。

Celso Fonseca & Ronaldo Bastos名義の3枚の中では、『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』の人気が一番高いと思いますが、本作『Paradiso』もブラジル音楽ファンの間では評価の高い1枚ですね。

前作『Sorte』のナチュラルな味わいを継承しつつ、サウンドの幅が拡がっています。
優しく繊細なFonsecaのヴォーカル&ギターに相当グッときますし、シンプルながらもエレガントなアレンジも秀逸だと思います。

Jaques Morelenbaum(cello)、Marcio Montarroyos(tp)、Nivaldo Ornelas(s)、Arthur Maia(b)、Luis Alves(b)、Marcos Suzano(per)、Ramiro Musotto(per)、Robertinho Silva(per)、Eduardo Souto Neto(strings arr)等のメンバーがレコーディング参加しています。さらにMilton Nascimentoも特別ゲストとして参加しています。

勿論、全曲Celso Fonseca & Ronaldo Bastos作です。

梅雨の時期に聴くのにピッタリな内省的アルバムです。

全曲紹介しときやす。

「Voce Nao Sacou」
優雅なチェロの調べでスタートするメランコリック・チューン。男の哀愁が漂います。「わかんないのかよ」という邦題がよくわかんない(笑)

「Candeeiro」
オススメその1。Fonsecaのマイルドなヴォーカルとアコースティックな響きが優しく包み込んでくれます。。

「Alma de Pierro」
オススメその2。ボサノヴァ好きの人であればど真ん中な仕上がりの1曲なのでは?僕が今回本作を取り上げたのも本曲を聴きたかったからです。聴いているだけで何か特別な感情が胸に込みあげてきます。

「Denise Bandeira」
オススメその3。カフェで聴きたくなるお洒落な仕上がりがたまりません。Nivaldo Ornelasのサックスが雰囲気を盛り上げてくれます。

「Paradiso」
オススメその4。タイトル曲はサウダージ気分を満喫できます。ストリングスとMarcio Montarroyosのミュート・トランペットが哀愁ムードを高めてくれます。

「Ela Vai Pro Mar」
オススメその5。邦題「彼女は海へ」。海辺で聴きたくなるロマンチックな1曲。シンプルさが実にいいですね。

「Polaroides」
ジワジワ染み渡ってくる1曲。聴けば聴くほど味わい深くなるのでは?

「Flor Da Noite」
邦題「夜の華」。 Fonsecaの線の細いヴォーカルには哀愁のメロディがよく似合います。

「Vento Azul」
オススメその6。邦題「蒼い風」。微風のようなさりげない感じがいいですね。

「Out of the Blues」
ジャジー&ブルージーな仕上がりです。Fonsecaのギターを堪能できる1曲なのでは?

「Quanto Tempo」
邦題「長い時」。Milton Nascimentoがゲスト参加。シンプルながらも感動的なエンディングです。

Celso Fonseca関連作品については歯抜け状態のコレクションなので、ちゃんと揃えたいですね。他の作品も充実しています。

Celso Fonseca & Ronaldo Bastos「Slow Motion Bossa Nova」
http://www.youtube.com/watch?v=WjqJnzkeGZU

スローモーション・ボサノヴァ
スローモーション・ボサノヴァ
posted by ez at 04:13| Comment(2) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月26日

Was (Not Was)『What Up, Dog?』

架空白人兄弟のセンスの良さが光る☆Was (Not Was)『What Up, Dog?』
What Up, Dog?
発表年:1988年
ez的ジャンル:架空白人兄弟ファンク・ユニット
気分は... :午前様...

昨日は三軒茶屋〜池尻大橋でハシゴ酒。
集まったメンツで最初に終電までには帰ろうと誓っていたのに...結局は午前様に(泣)
楽しいお酒だったので、まぁいいか!

今日はWas (Not Was)『What Up, Dog?』(1988年)です。

Was (Not Was)は、Don WasDavid Wasという二人の架空白人兄弟を中心にしたユニット。Sir Harry BowensSweet Pea Atkinsという二人の黒人ヴォーカリストを擁したファンク・サウンドで80年代に人気を博しました。

アルバムとしては、『Was (Not Was)』(1981年)、『Born to Laugh at Tornadoes』(1983年)、『What Up, Dog?』(1988年)、『Are You Okay?』(1990年)という4枚を残しています。

Don Wasは、その後Bob DylanThe Rolling Stonesをはじめとするトップ・アーティストの作品を続々と手掛け、グラミーも受賞するなどトップ・プロデューサーの仲間入りをしています。

2008年には突如Was (Not Was)としての新作『Boo!』をリリースしています。

僕の中ではYelloと並んで今野雄二氏のお気に入りグループという印象が強いですね(笑)

『What Up, Dog?』は、かなり過小評価されている80年代作品の1つだと思います。ジャンル分けが難しいグループなので、必ずしも内容と聴き手が合致していない気もするのですが。

一風変わった印象で捉えられがちなグループですが、音だけ聴けば真っ当なファンク・サウンドなのでは?ただし、単にファンク・グループと括れないのがWas (Not Was)だと思いますが。
Amp Fiddler(key)、Al Kooper(key)、Marcus Miller(b)、Stevie Salas(g)、Jerry Hey(horn)、Ruby Turner(vo)、Yogi Horton(ds)をはじめ、多数のミュージシャンがレコーディングに参加しています。

驚いたのは殆どの曲がPVまたは演奏映像というかたちで残っている点です。そのあたりにも本作に対する意欲を感じることができるのでは?

Was (Not Was)を聴くのであれば、最初の1枚はぜひ本作を聴いて欲しいですね。

全曲紹介しときやす。

「Somewhere in America There's a Street Named After My Dad」
オープニングは大真面目?感動的な哀愁バラードに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=h7EORZsPtFo

「Spy in the House of Love」
シングル・ヒットした人気曲。80年代後半らしいブラコンのりのダンサブルな仕上がり。ホーン隊も盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=mclaQq73-H0

「Out Come the Freaks」
PVを観ると奇抜な印象を受けますが、曲だけ聴いているとカッコ良いファンク・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=Tpv4GILnzKw

「Earth to Doris」
アヴァンギャルドな仕上がりが魅力です。WikiなどでTom Waitsっぽいと説明されていますが、そういった印象はないですね。
http://www.youtube.com/watch?v=U3tDw6Q0UL8

「Love Can Be Bad Luck」
かなりグッとくるバラード。ポップ・チャートでヒットしそうなキャッチーさがいいですね。曲作りにMarshall Crenshaw(「Someday Someway」大好きだったなぁ)が参加しています。

「Boy's Gone Crazy」
彼ららしいヒネリの効いたファンク・チューン。かなり好きです!アフリカン・テイストのスパイスがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=XuqIh6oc9DA

「11 MPH(Abe Zapp Ruder Version)」
P-Funkテイストのファンク・チューン。腰にグイグイくる感じがグッド!

「What Up, Dog?」
タイトル曲は1分半強の小品ですが、アヴァンギャルドな仕上がりです。ジャケのイメージを映像化したPVも印象的ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=4QF-TK3W4lI

「Anything Can Happen」
ポップなテイストのミッド・チューン。当時のTop40的な音が好きな人は気に入るのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=FouEAzKCKyI

「Robot Girl」
個人的にはアルバムでも一、二を争うお気に入りのエレクトリック・ファンク。タイトルに反して肉感的なリズムにグッときます。PVもなかなか面白いっす!
http://www.youtube.com/watch?v=6LuobFjvsOY

「Wedding Vows in Vegas」
Frank Sinatra Jr.(勿論Frank Sinatraの息子)をフィーチャー。このあたりのセンスが彼ららしいですね。アルバムの中でもいいアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=AzVRn823Ttw

「Anytime Lisa」
正統派のソウル・バラード。ひたすらスウィートに迫ります。

「Walk the Dinosaur」
「Spy in the House of Love」と並ぶヒット曲。P-Funkノリのご機嫌なファンク・チューンです。彼らの魅力全開の1曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=jr2BoflKAhk

「I Can't Turn You Loose」
Blues Brothersでもお馴染み、Otis Reddingの名曲カヴァー。この曲に関してはヒネリ無しの直球勝負という感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=LqnBHp_5jn8

「Shadow & Jimmy」
オールディーズ風のバラード。ノスタルジック気分に浸ることができます。

「Dad I'm in Jail」
ラストは訳わかりません(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=nwX-aZixthM

次作『Are You Okay?』(1990年)では、Doug Fieger(元The Knack)、Iggy Pop、Leonard Cohen、G.Love等がゲスト参加しています。
posted by ez at 09:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする