2009年05月19日

Shirley Murdock『A Woman's Point of View』

Zappファミリー歌姫の2nd。Zapp/Roger好きは相当楽しめるはず!☆Shirley Murdock『A Woman's Point of View』
A Woman's Point of View
発表年:1988年
ez的ジャンル:Zappファミリー系歌姫
気分は... :Zapp/Rogerサイコー!

本当は故Roger Troutmanの息子Lynchのアルバム『Pinch of Lynch』(1989年)を紹介したい気分なのですが、Amazonで扱いがないので、同じくZapp/Rogerファミリーの歌姫Shirley Murdockの2ndアルバム『A Woman's Point of View』(1988年)をセレクトしました。

Shirley Murdockの紹介は、デビュー・アルバム『Shirley Murdock』(1986年)に続き2回目になります。

彼女の作品と言えば、「Go On Without You」「As We Lay」という秀逸スロウ2曲が収録されている、デビュー・アルバム『Shirley Murdock』の印象が強いですが、2ndとなる本作『A Woman's Point of View』(1988年)もZapp/Rogerファミリーの全面バックアップの下、充実した1枚に仕上がっています。

正直、今聴くとサウンドがチープな印象を受けるかもしれません。しかしながら、Zapp/Roger好きの人にとっては、このチープなサウンドが何ともグッとくるのではないかと思います。

Zapp/Roger大好きの僕は、このサウンドを聴くだけで脳内から幸福ホルモンが分泌しまくりです。

主役であるShirleyのパワフルなヴォーカルも存分に堪能できます。特にスロウが多いのがグッド!

Zappファンにはサプライズなトラックもあって、楽しさ倍増!って感じです。

ジャケで引かないで、ぜひ聴いてみてください(笑)

全曲紹介しときやす。

「Husband」
シングルとして全米R&Bチャート第5位のヒットとなりました。いかにもRogerらしいトラックをバックに、Shirleyらしいパワフルなヴォーカルを聴かせてくれるバラード。Lil' Moがカヴァーしていますが、オリジナルと比較すると少し迫力不足ですね。

Lil' Mo「Husband」
 http://www.youtube.com/watch?v=z6kFzgq-JuA

「(Everybody Wants) Somethin' for Nothin'」
80年代らしいエレクトリック・ファンク。

「Found My Way」
荘厳な雰囲気の哀愁バラード。Shirleyの変幻自在のヴォーカルが楽しめます。

「If I Know」
Zapp/Rogerファンは相当グッとくるスロウ。名曲「As We Lay」がお好きな人ならば気に入ると思います。

「A Woman's Point of View」
タイトルはご機嫌なアップ・チューン。良くも悪くも80年代サウンドですね。でも、Zappファミリーにはこの80年代サウンドが実にマッチしますな。

「Oh What a Feeling」
Zappファンは歓喜の雄叫びを上げたくなるバラード。『The New Zapp IV U』収録「I Only Have Eyes for You」(The Flamingosでお馴染みの名曲カヴァー)のトラックをそのまま二次活用していると思います。

「I Still Love You」
Shirley自身のソングライティング/アレンジによる感動的なラブ・バラード。オーソドックスですがグッときます!

「Spend My Whole Life」
この曲もZappファンは大喜び!『Zapp III』収録のロマンティックな名スロウを旦那であるDale Degroatとのデュエットでカヴァー。言うこと無しの満足度!

「Modern Girl」
アップ・チューンでは一番好き!ポップでキュートな感じがいいですね!

「And I Am Telling You I'm Not Going」
お馴染みのミュージカル『Dreamgirls』挿入歌であり、Jennifer Holliday名義のシングルが全米R&BチャートNo.1に輝いた名曲です。若いリスナーの方は映画版『Dreamgirls』のJennifer Hudsonのヴァージョンをお聴きかもしれませんね。Shirleyヴァージョンも両Jenniferに負けじと、パワフルなヴォーカルで堂々と歌いきっています。

Jennifer Hudson「And I Am Telling You, I'm Not Going」
 http://www.youtube.com/watch?v=V3lTXB4t2so

「Instrument of Praise」
ラストはゴスペルで感動的なフィナーレ!といった感じ。Shirleyのルーツに触れることができます。

今回見送ったLynch『Pinch of Lynch』(1989年)もぜひ紹介したいですね。
posted by ez at 05:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月18日

Severin Browne『Severin Browne』

Jackson Browneの弟、Severinの1st☆Severin Browne『Severin Browne』
セヴェリン・ブラウン
発表年:1973年
ez的ジャンル:マイルド・ヴォイス系男性SSW
気分は... :偉大な兄の陰で...

今日は70年代男性SSWの作品にしようと思い、CD棚から候補として取り出したのがLivingston Taylor『Liv』(1971年)とSeverin Browne『Severin Browne』(1973年)の2枚でした。

LivingstonはJames Taylor、SeverinはJackson Browneと共に偉大なSSWを兄に持つミュージシャンですね。聴き手はどうしても偉大な兄と比較してしてしまいますが、二人とも"そんなの関係ねぇ(古いか...)"って感じで我が道を行ってますよね。

どちらにしようか迷いましたが、今回はSeverin Browne『Severin Browne』(1973年)をセレクト。

Severin Browneは1949年生まれ。ジャズ・ミュージシャンとしても活動していた父の影響で、兄Jackson同様幼い時から音楽に触れていました。ライナーノーツで知りましたが、Severinが兄Jacksonにピアノを教えたのだとか?

1970年代に入り、Motownのスタッフライターとして楽曲提供をしていましたが、そんな流れからMotownでアルバムを制作するチャンスを得ます。こうして制作されたアルバムが今日紹介する『Severin Browne』(1973年)と『New Improved Severin Browne』(1974年)の2枚です。

その後長い沈黙に入りましたが、1996年に久々の新作『From The Edge Of The World』をリリースしました。現在のところ最新作は『This Twisted Road』(2001年)のようです。

Jackson Browne大好き!の僕ですが、弟Severinについては正直長い間、全くノーマークでした。

そのため、90年代にフリーソウルのコンピで人気曲「Stay」を初めて聴いた時の印象は鮮烈でしたね。お兄さんからは考えられない、洗練されたグルーヴ感に即KOって感じでした。きっと本作をゲットする8割以上の方が「Stay」目当てなのでは?

プロデュースはLarry Murray。60年代に活動していたフォーク/カントリー・ロック・バンドHearts & Flowersの中心人物だった人です。ソロ・アルバム『Sweet Country Suite』(1971年)は評価の高い1枚みたいですね。正直、僕の苦手なタイプの作品ですが(笑)

レコーディングには、Flying Burrito Brothersの"Sneaky" Pete Kleinow(pedal steel)、60年代にThe Sunshine Companyで活動していたMaury Manseau(g)、Merle Bregante(ds)などが参加しています。

正直、「Stay」タイプのグルーヴのオンパレードを期待すると肩透かしを食いますが、聴き終わるとホッと安らぐ佳作だと思います。

Jackson Browne好きの僕はどうしても兄と比較して聴いてしまいます...許してくださいね!でも、そのように聴くと、逆に兄にはないSeverinならではの魅力がよくわかる気がします。ちなみに本作がリリースされた1973年、兄は2nd『For Everyman』をリリースしています。

兄の持つ青臭い魅力を受け継ぎつつ、兄には無いマイルドな歌声も堪能できる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Stay」
前述のように本作のハイライト。お兄さん譲りのSSWらしいヴォーカル&メロディと無いモータウン的リズムが融合したミラクルな名曲ですね。サウンド的にはコンガとオルガンが肝だと思います。Danny Korchmar「For Sentimental Reasons」あたりと一緒に聴くとサイコーですな。
http://www.youtube.com/watch?v=fkGNVOmhzkg

「Darling Christina」
お兄さんの名曲「Doctor My Eyes」に似た軽快な躍動感が魅力ですね。Sneaky Pete Kleinowのペダル・スティールが大きくフィーチャーされています。

「Snow Flakes」
優しいアルペジオの響きとSeverinの歌声に癒される1曲。たまに聴く分にはこういう曲もいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Ii8Qalte3Dk

「Raggedy Ann & Me」
お兄さんに通じる(良い意味での)青臭さを感じさせながら、お兄さんには無い小粋なテイストを醸し出しているのがいい感じ。

「Skip Tune」
「Sister」
お兄さんの楽曲と一緒に聴きたくなる2曲。共にジワジワと涙腺が緩くなりそうな感じがいいですね。特に「Sister」は相当ウルウルきますな!

「Not Quite Time」
この曲はお兄さんと言うよりJames Taylorといった雰囲気でしょうか。

「There's A Lot To Be Said」
多分、「Stay」に続いて支持が高いのはこの曲なのでは?Severinのソングライティングの素晴らしさを実感できます。「Stay」同様、コンガによるパーカッシヴな仕上がりが僕好みです。

「Just A Matter Of Time」
「Snow Flakes」同様、優しいアルペジオの響きとSeverinの歌声の相性がバッチリ!マイルドな歌声はお兄さんには無い魅力ですね。

「The All-American Boy And His Dog」
オールドタイムな雰囲気が実に小粋!この曲もSeverinのマイルドな歌声とアレンジが実にマッチしています。

2nd『New Improved Severin Browne』(1974年)もじっくり聴いてみたいです。

ニュー・インプルーヴド・セヴリン・ブラウン
posted by ez at 05:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月17日

Chrisette Michele『Epiphany』

祝!全米アルバム・チャートNo.1。大ブレイク必至の2nd☆Chrisette Michele『Epiphany』
Epiphany
発表年:2009年
ez的ジャンル:本格派女性R&Bシンガー
気分は... :祝バルサ優勝!

サッカー・リーガ・エスパニューラで2位レアル・マドリーが敗れたため、3シーズンぶりのバルセロナの優勝が決まりました。先週ロスタイムに同点ゴールを喫し、優勝おあずけにしていただけに一安心です。

この勢いでチャンピオンズリーグ決勝も制して三冠を達成して欲しいですね。
対戦相手のマンチェスターUも昨日プレミアリーグ優勝を決めています。
リーガ王者とプレミア王者がCL決勝で激突する!というのはまさに最強クラブ決定戦に相応しい好カードですね!今から楽しみです!

さて、今日は期待の若手女性R&BシンガーChrisette Micheleの2ndアルバム『Epiphany』です。

デビュー作『I Am』(2007年)は、当ブログでも『ezが選ぶ2007年の10枚』に選出するなど、大プッシュの作品でした。

その『I Am』に続く本作『Epiphany』は早くも全米アルバム・チャート、R&Bアルバム・チャート共にNo.1に輝き、大ブレイク必至の状況です(前作は全米アルバム・チャート第29位、R&Bアルバム・チャート第5位)。

『I Am』では、BabyfaceWill.I.Am、Salaam Remi、John Legendなど多様なプロデューサーを起用していましたが、本作ではDef Jamのレーベル・メイトNe-Yoが全面的にバックアップしています。

Ne-Yo自身がエグゼクティブ・プロデューサーを務めると同時に、半数以上の曲で共同プロデューサーとして関与し、ソングライティングでも6曲でライターとして名を連ねています。

また、Ne-Yoが設立したプロダクション会社Compound Entertainmentに所属するChuck Harmonyが9曲でプロデュースを手掛け、同じくCompound Entertainment所属のBei Maejorも1曲プロデュースしています。。

それ以外にもRodney Jerkins、Allstar(The Big Beat Maker)がプロデュースしています。また、売れっ子ライターClaude Kellyがソングライティングまたはヴォーカル・プロダクションで半数の曲に関与しています。特にヴォーカル・プロダクションでの仕事ぶりに脱帽ですね。

前作『I Am』には、昔で言えばLauryn Hill、最近で言えばEstelleあたりに通じるR&Bの枠に収まらない魅力がありました。

加えて、Ella Fitzgerald、Billie Holiday、Sara Voughanといったジャズ・シンガーを自らのアイドルとして挙げているのを反映してか、非常に“ジャズ”を感じるR&Bに仕上がっていました。

それと比較すると本作『Epiphany』は、直球勝負の本格派R&Bアルバムに仕上げている印象を受けます。流行のR&Bサウンドを配したような楽曲は全くなく、Chrisetteの歌の魅力を最大限に引き出すオーソドックスな作りに徹しています。

個人的には前作の路線がお気に入りだったので複雑な思いもありますが、それでも今年リリースされた女性R&Bアルバムの中ではダントツNo.1の出来栄えだと思います。

既に大物シンガーの風格漂う、堂々とした歌いっぷりに聴き惚れましょう。

全曲紹介しときやす。

「Epiphany (I'm Leaving) 」
オススメその1。アルバムからのリードシングルにもなったタイトル曲で幕を開けます。本格派シンガーらしい大人の哀愁ヴォーカルを聴かせてくれます。Ne-Yo & Chuck Harmonyによるプロデュース/ソングライティングですが、Compound Entertainmentのいい仕事ぶりにも注目です。
http://www.youtube.com/watch?v=flK2tqusitk

「Notebook」
オススメその2。Chrisetteのヴォーカルの魅力を存分に堪能できるエレガントなスロウ。Claude Kellyによるヴォーカル・プロダクションが素晴らしい!Chuck Harmonyが弾くアコギもいいアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=V14BvaUkrJM

「What You Do」
オススメその3。Ne-Yoとのデュエット。Ne-Yo & Chuck Harmonyによるプロデュース/ソングライティングで、ファンも納得の美メロ・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=IAM0BAn9Fro

「Blame It on Me」
堂々とした歌いっぽりでヴォーカリストとしての実力を見せつけてくれるスロウ。
http://www.youtube.com/watch?v=aYDO4ftywy0

「All I Ever Think About」
オススメその4。Allstarプロデュース。胸が締めつけられる感動的なスロウに仕上がっています。ここでもClaude Kellyによるヴォーカル・プロダクションがパーフェクト!
http://www.youtube.com/watch?v=I4r4qULhVNE

「Playin' Our Song」
オススメその5。Rodney Jerkinsプロデュース。アコースティックな味わいのミッド・チューン。躍動感にがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=-Jw9RbWhsI4

「Another One」
力強いヴォーカルで迫ってくるミッド・チューン。希望が湧いてくる感じがいいですな。
http://www.youtube.com/watch?v=jbDN9KabQZQ

「On My Own」
切ない感じがグッとくる哀愁ミッド・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=y1ZSfNycUtg

「Fragile」
ダークなテイストがいい感じのミッド・グルーヴ。
http://www.youtube.com/watch?v=VHEeCdtJ3_4

「Mr. Right」
オススメその6。個人的には前作のLauryn Hillに通じる雰囲気が好きだったのですが、この曲は本作で唯一その匂いを感じる仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=vHed1uvhFA4

「Porcelain Doll」
オススメその7。Chrisetteのヴォーカルが推進力となって全体をグイグイ引っ張っていく感じがサイコー!ヴォーカリストとしてのスケールの大きさを実感できる仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=WhOhrpwx1kU

「I'm Okay」
ラストは壮大なバラードで堂々と締めくくってくれます。同じOKソングならば、個人的には前作の「Be Ok」の方が好きですが(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=JmEpWr8R6k0

デビュー作『I Am』を未聴の方はそちらも是非聴いてみてくださいね。本作とは別の角度からChrisette Micheleの魅力に触れることができるはずですよ!
posted by ez at 07:28| Comment(4) | TrackBack(1) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月16日

Sergio Mendes & Brasil '66『Equinox』

ブラジル/ボッサ色を強めたBrasil '66の2枚目☆Sergio Mendes & Brasil '66『Equinox』
分岐点~コンスタント・レイン
発表年:1967年
ez的ジャンル:オシャレ系ボッサ・ジャズ/ポップ
気分は... :センス抜群!

Sergio Mendesの4回目の登場です。

これまで紹介してきたMendes作品は以下の3枚。

 『Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil'66』(1966年)
 『Look Around』(1968年)
 『Sergio Mendes & the New Brasil '77』(1977年)

4枚目に紹介する作品は、『Equinox』(1967年)です。
Brasil '66としては2枚目の作品となります。

全米アルバム・チャート第7位の大ヒット作『Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil'66』に続いてリリースされた作品ですが、全10曲中ブラジル人アーティストの作品が7曲、スタンダード・ナンバーが3曲という構成で、前作以上にブラジル/ボッサ色が強調された作品だと思います。

ポピュラー作品のカヴァーではなく、Antonio Carlos Jobim、Joao Gilberto、Jorge Ben、Edu Lobo、Marcos Valleといったブラジル人アーティスト作品で勝負!といったところが魅力ですね。クラブ世代の若いリスナーの嗜好にもマッチした選曲だと思います。

Brasil '66のメンバーは前作同様Bob Matthews(b)、Joao Palma(ds)、Jose Soares(per)、Lani Hall(vo)、Janis Hansen(vo)という布陣です。それ以外にJohn Pisano(g)が参加しています。

「Chove Chuva(Constant Rain)」「For Me」「Night And Day」の3曲がシングル・カットされています。個人的には「Triste」「So Danco Samba (Jazz 'N' Samba)」が超お気に入りです!

『Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil'66』『Look Around』の間に挟まれて注目されることが少ない作品かもしれませんが、"分岐点"という邦題が示すように、その後のBrasil '66の方向性を決定付けた重要作だと思います。

Mendesのセンス抜群のアレンジを堪能しましょう!

全曲紹介しときやす。

「Chove Chuva(Constant Rain)」
オープニングはJorge Ben作品。シングルにもなりました。前作『Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil'66』のオープニング「Mais Que Nada」もJorge Ben作品だったので、げん担ぎといったところでしょうか。当時流行のインド音楽風のテイストも取り入れたポップ・ボッサ。今聴いても実に小粋でスタイリッシュ!

「Cinnamon And Clove」
「Shadow of Your Smile」、「A Time For Love」等で知られる、お馴染みの映画音楽コンポーザーJohnny Mandel作品。彼の作品はボサノヴァ・アーティストに人気ですね。大人の哀愁漂う作風がボサノヴァにマッチしやすいのでしょうね。ここでも大人のボッサ・チューンといった雰囲気がたまりません!

「Watch What Happens」
Johnny Mandelに続き、映画音楽の大御所Michel LeGrandの作品です。以前にElis Reginaのヴァージョンを紹介したように、この曲もボッサ・カヴァーがハマりやすい曲ですね。ここでも洗練されたモダンなボッサ・ジャズに仕上がっています。

「For Me」
Mendesお気に入りアーティストの一人、Edu Lobo作品のカヴァー。シングルにもなりました。スリリングとロマンティックが同居する緩急の使い方が絶妙です。オルガンの音色も効果的だと思います。ソフト・ロック・ファンあたりがグッとくる仕上がりなのでは?

「Bim Bom」
Joao Gilberto作品。キュートな女声スキャットをはじめ、ラウンジ・ムードたっぷりなところが大好き!金欠の時に♪ビン・ボム、ビン・ビン・ボム♪の部分を聴きながら、♪ビンボー、ビン・ビンボー♪と自虐ネタ鼻歌にして歌うと楽しく貧乏生活を過ごせます(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=9hKf0f-IrBA

「Night And Day」
ご存知Cole Porter作のスタンダードをカヴァー。この曲もシングルになりました。エレガントな仕上がりがグッド!ブラジルつながりで言えば、先日紹介したLennie Dale & Sambalanco Trioもカヴァーしてました。ボッサ・カヴァーという点ではTracey Thornによる新感覚のヒンヤリ・ボッサのインパクトもサイコーでしたね。

「Triste」
後半はAntonio Carlos Jobim作品が並びますが、本曲は僕の一番のお気に入りです。Brasil'66関連のベスト盤を編集するとすれば、絶対に外せませんね!とにかくアレンジのセンスが抜群!John Pisanoの爽快なギターもグッド!

「Gente」
Paulo Sergio Valle/Marcos Valle作品。Brasil'66らしい親しみやすい仕上がりです。

「Wave」
Antonio Carlos Jobim作品の2曲目。説明不要の名曲です。若い世代の方であれば、Jobim自身のアルバム『Wave』で本曲を聴くよりも、スタイリッシュなBrasil'66ヴァージョンを先に聴いた方が魅力が伝わるかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?hl=ja&v=ZrLglzPWBoM&gl=JP

「So Danco Samba (Jazz 'N' Samba)」
ラストもAntonio Carlos Jobim作品。若い世代の方もお馴染みの鉄板ボッサ・チューンですね。当ブログでは先月にWanda Sa(Wanda De Sah)のカヴァーを紹介しました。この曲をBrasil'66が演奏するとハマりすぎですね。「Triste」同様、僕にとっては欠かせない1曲です。

最近、60年代カテゴリーはブラジル/ボッサものが多くなっています。
今の僕の嗜好からすると、しばらくこの傾向は続くかも...
posted by ez at 04:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月14日

Pharoah Sanders『Love In Us All』

人気曲「Love Is Everywhere」収録のImpulse!ラスト作☆Pharoah Sanders『Love In Us All』
ラヴ・イン・アス・オール(紙ジャケット仕様)
発表年:1974年
ez的ジャンル:アフロ・アメリカン系スピリチュアル・ジャズ
気分は... :スピリチュアル&ピースフル

最も好きなジャズ・サックス奏者Pharoah Sandersの5回目の登場です。

これまで紹介してきたPharoah作品は以下の4枚(録音順)

 『Izipho Zam』(1969年)
 『Thembi』(1970年)
 『Elevation』(1973年)
 『Rejoice』(1981年)

5枚目の紹介となるのは『Love In Us All』(1974年)です。

90年代に再評価の高まったPharoah作品の中でも人気が高く、2003年遂にCD化が実現したファン待望の1枚ですね。僕も即行でゲットしました。

本作はImpulse!最後の作品であり、Impulse!時代の集大成といった感じの濃密な2曲が収録されています。

ジャズをあまり聴かれない方は、全2曲という曲数の少なさと曲の長さ(共に20分前後)に抵抗があるかもしれませんが、Pharoah Sandersの崇高なスピリチュアル・ジャズは20分くらいの尺の演奏を聴かないと逆に物足りなさを感じると思います。まぁ、そのように感じる時点でどっぷりPharoahワールドにハマっている証拠ですが(笑)

メンバーは、Pharoah Sanders (ts、ss、fl)、James Branch (fl)、Joseph Bonner (p)、Cecil McBee (b)、Norman Conner(ds)、Lawrence Killian (per)、James Mtume(per)、Babadal Roy (per)という布陣です。

Cecil McBee、Norman ConnerJames Mtumeあたりはお馴染みですね。Joseph BonnerはImpulse!時代のPharoah作品には欠かせないピアニスト、Lawrence Killianは当ブログでも紹介したPucho & His Latin Soul Brothersのメンバーだったパーカッション奏者です。

クラブ人気曲「Love Is Everywhere」、師匠John Coltraneへ捧げた「To John」共にPharoahらしさ全開の2曲だと思います。

Pharoah作品らしくないポップアートなジャケも印象的ですね!

全曲紹介しときやす。

「Love Is Everywhere」
「Prince of Peace」「The Creator Has a Master Plan」、「You've Got to Have Freedom」等と並んでクラブ方面で人気の高いPharoah作品ですね。タイトルの通り、Pharoahが人類に捧げた壮大な愛の賛歌です。

大きく2部構成になっており、前半はCecil McBeeのベースリフにグッときますね。ここではPharoahはサックスは吹かず、ヴォーカルで登場します。ますは言葉でメッセージを伝えたかったのかもしれませんね。ピアノやドラム&パーカッションも絡み、どんどん高揚していくのがたまりません。

後半はJoseph Bonnerのリリカルなピアノを中心にした穏やかな展開です。前半に比べるとジワジワと高揚がきますね。Pharoahのサックスが始まる頃にはピースフル気分200%に達しています(笑)。

このスピリチュアル&ピースフルな高揚感こそが僕がPharoah作品に求めているものなんですよね。やっぱり愛だよね!間違いなくスペシャルな1曲。19分では短すぎる、僕は40分この1曲のみでも全然OKです(笑)

「Love Is Everywhere(Part1)」
http://www.youtube.com/watch?v=IKN7BjYYW2o

「To John」
タイトル通り、師匠John Coltraneへ捧げられた曲。「Love Is Everywhere」と比較すると、後期Coltraneを受け継ぐフリーインプロヴァイゼーション全開で決して聴き易い曲ではありません。個人的には一般に言われるほどき聴きづらいとも思いません(師匠Coltraneと比べてですが)。限界に達した緊張感の高さが逆に相当カッコ良いと思います。Pharoahの亡き師匠への思いが込められた魂の演奏は、「Love Is Everywhere」とは別の意味で感動的に思えます。僕の耳もフリージャズに相当慣れてきたのでしょうか(笑)

感動ドキュメンタリーを観終えたように胸が熱くなる1枚です。
僕にとっての究極ジャズ、それはPharoah Sandersかもしれません。
posted by ez at 06:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする