2009年05月13日

Caron Wheeler『UK Blak』

UKソウル/クラブ・ミュージックの金字塔☆Caron Wheeler『UK Blak』
Caron Wheeler.jpg
発表年:1990年
ez的ジャンル:UKソウル/クラブ・ミュージック
気分は... :BlackよりもBlak!

今日は90年代のUKソウル/クラブ・ミュージック好きであれば、マストな1枚Caron Wheeler『UK Blak』(1990年)です。

Caron Wheelerは1963年生まれのジャマイカ系イギリス人女性シンガー。

Soul II Soulの世界的大ヒット「Keep On Movin'」「Back to Life (However Do You Want Me)」のリードヴォーカルを務めたことで一躍注目を浴びたCaronですが、音楽活動のスタートはジャマイカ系イギリス人らしくレゲエ・ヴォーカル・グループBrown Sugarでした。

ちなみにBrown Sugarには当ブログでも紹介したKofiも在籍していました。そして、Caronに続きKofiSoul II Soulの3rdアルバム『Volume III Just Right』(1992年)でフィーチャーされ、フリーソウル・クラシックとしても有名なDionne Warwick「Move Me No Mountain」のカヴァーを歌っています。

Caronに話を戻すと、「Keep On Movin'」「Back to Life (However Do You Want Me)」の大ヒットおよびグラミー受賞を置き土産にグループを離れてソロ活動を開始し、Caron Wheeler『UK Blak』(1990年)、2nd『Beach of the War Goddess』(1993年)という2枚のアルバムをリリースしています。、

今日紹介するソロ第1作『UK Blak』(1990年)は相当インパクトがありましたね。

僕の場合、同じく今でも愛聴しているUKソウル、Mica Paris『Contribution』と共に毎日のように聴いていた記憶があります。これら2枚を聴いたせいで、当時のUSのR&B作品が陳腐に思えた時期があったほどでした。

多くの方はSoul II Soulの延長線にあるグラウンドビートおよびUKクラブ・ミュージックを期待していたと思いますが、出来上がった作品はその期待を遥かに上回るものだったのでは?

ロンドンのみならずN.Y.やジャマイカから、UKソウル、クラブ・ミュージック、レゲエ、ハウス、Hip-Hopの各方面からプロデュース/リミックス陣を集め、ジャンルの壁を超えたUKソウル/クラブ・ミュージック作品を創り上げたという感じですね。当時の最新クラブ・ミュージックが凝縮された1枚と呼べるのでは?

さらに黒人としてのアイデンティティやアフリカへの想いを、最新クラブ・ミュージックと見事に結合させている点も本作を名盤に押し上げている大きな要因だと思います。タイトルにもそんな思いが反映されていますよね。

今聴いてもワクワクするUKソウル/クラブ・ミュージックの金字塔だと思います。

全曲紹介しときやす。

「UK Blak」
タイトル曲は、UKアーバン・ファンクを代表するグループLoose EndsのメンバーCarl McIntoshがプロデュースし、Twilight Firmがリミックスを担当しています。多くのファンが彼女に期待していたであろうグラウンドビートに仕上がっています。Steely & Clevieによるレゲエのリミックス(Steely & Clevie Ragga Rub)もありました。
http://www.youtube.com/watch?v=Mw9ZfpiY4J8

「Livin' In The Light (The Remix) 」
後述するJungle BrothersAfrika Baby BambaataaがプロデュースしたオリジナルにBlacksmithがリミックスを施したもの。もしかしたら、オリジナル以上にUKソウルらしいこちらのリミックスの方がお馴染みかもしれませんね。UKソウル/クラブ・ミュージック好きの人であればBlacksmithのリミックスというだけでグッときますからね。
http://www.youtube.com/watch?v=0jl4PPFSB2M

本曲のリミックスと言えば、N.Y.ハウスのトップ・プロデューサーDavid MoralesによるThe Larger Than Light Mixもあります。

「Blue (Is The Colour Of Pain)」
Soul II Soulの流れを汲むグラウンドビート。後年Roisin Murphyと男女デュオMolokoを結成し、ロンドンのクラブ・シーンで人気を博したMark Brydonがプロデュース。よりフロア仕様になったリミックスSpecial FX 12も僕のお気に入り。
http://www.youtube.com/watch?v=yV5g2YRFlGI

本作からは脱線しますが、当ブログでMolokoを紹介する機会は滅多にないと思うので何曲が紹介しておきますね。
Moloko「The Time Is Now」
 http://www.youtube.com/watch?v=kl8mpAvTm_Y
Moloko「Familiar Feeling」
 http://www.youtube.com/watch?v=7Sxa8kca05A

「No Regrets」
かなりのお気に入り曲。NJS調のファンク・チューン(Blacksmithプロデュース)。あくまでもテイストはUKソウル/クラブ・ミュージックって感じがグッド!このあたりはさすがBlacksmithって感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=uToQxYpmTqY

「This Is Mine」
MC Mell'O'のラップをフィーチャーしたBlacksmithプロデュース曲。いかにもUKクラブ・ミュージックらしい仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=-oVy7MJAOmI

「Don't Quit」
ジャマイカ系イギリス人のCaronらしい汎カリブ的フォーキー・チューン。Aswad、Steel PulseというUKレゲエを代表する2大グループに在籍していたギタリストJimmy Haynesがプロデュースしています。そのJimmy HaynesよるリミックスThe Livin' Bella Mixもオリジナルとは異なる雰囲気で楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=S6P-5cI7PG8

「Enchanted」
Raymond Simpsonがプロデュースし、ヴォーカルでも参加しています。Raymond Simpson(Ray Simpson)はValerie Simpson(Ashford & Simpson)の弟であり、「YMCA」でお馴染みVillage Peopleのメンバー(2代目Policeman)です。こんなことを書くと先入観ができてしまうかもしれませんが、アーバン&セクシーなミッド・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=SW0V2rg9SZo

「Never Lonely」
前述の黒人としてのアイデンティティが当時の最新クラブ・サウンドとうまく結びついていた典型。Twilight Firmプロデュース。

「Song For You」
Jimmy Haynesプロデュースによるバラード。単なるソウル・バラードではない、ヒューマンな感動があります。

「Somewhere」
アルバムの中でも異色の仕上がり。アカペラによる素晴らしいコーラスワークを堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=NG_lmlGpI_8

「Proud」
レゲエ・シーンを代表するジャマイカ人プロデュース・チームSteely & Clevieが手掛けたレゲエ・チューン。元Brown SugarのCaronにしてみれば、レゲエ・チューンはお手の物といった感じですね。

「Kama Yo」
Caronのアフリカへの想いが最も強く反映された曲。タイトルにもあるようにヨルバ語も登場します。よりフロア仕様になったリミックス(Club Rub)もグッド!Twilight Firmプロデュース。

「Jamaica」
Steely & Clevieプロデュース2曲目。タイトル通り、思い切りレゲエしています。ラヴァーズ・ロックがお好きな人であれば気に入ると思います。

「Livin' In The Light (The Original Story)」
先にBlacksmithのリミックスを紹介した「Livin' In The Light」のオリジナル。Afrika Baby BambaataaによるHip-Hopなオリジナルが、Blacksmithの手によりUKクラブ・ミュージックへ変貌し、それをDavid MoralesがN.Y.のクラブ仕様へ更に進化させる、というプロセスが実に興味深いですよね。この流れをみても本作が"ソウル"の範疇では語りつくせないことがわかると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=jnssai--_OA

本作に比べると一般的な評価が極めて低いですが、2nd『Beach of the War Goddess』(1993年)も大好きです。よりアフリカ的な要素が打ち出されていますが、如何せん地味な印象がマイナスなのでしょうね。その後のCaron Wheelerはフィーチャリング・ヴォーカリストとして見かけるぐらいで、フェードアウトしてしまいましたね。

Toshi(久保田利伸)によるGrover Washington Jr.「Just the Two of Us」のカヴァーでCaronがフィーチャーされたのは複雑でしたね。かつては久保田の大ファンでライブにも頻繁に行った僕ですが、何故かこのカヴァーは素直に聴けませんでした。今になって聴くと、これはこれで悪くないかなぁ、とも思います(笑)

Toshi feat. Caron Wheeler「Just The Two Of Us」
 http://www.youtube.com/watch?v=3vIMgQFTxrk
posted by ez at 05:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月12日

Graham Parker『The Mona Lisa's Sister』

枯れ具合がたまらない、大人のロック・アルバム☆Graham Parker『The Mona Lisa's Sister』
Graham Parker.jpg
発表年:1988年
ez的ジャンル:パブロック系大人のロック・アルバム
気分は... :男は黙って...

今日は男臭い大人のロック・アルバムが聴きたい気分...

Graham Parkerは1950年ロンドン生まれの男性ロック・シンガー。

1975年にGraham Parker & Rumourを結成し、『Howlin' Wind』(1976年)、『Heat Treatment』(1976年)、『Stick To Me』(1977年)、『Squeezing Out Sparks』(1979年)といった作品が評判となり、パブロックやパンク・シーンで注目される存在となりました。当時、Grahamの比較対象としてよく引き合いに出されたアーティストがElvis CostelloJoe Jacksonでした。

『The Up Escalator』(1980年)を最後にRumourは解散しますが、その後もソロ・シンガーとして地味ながら着実に活動を続けています。

僕がリアルタイムで聴いたGraham Parkerの最初のアルバムは『The Real Macaw』(1983年)でした。その後も新作の記事を読むたびに気になる存在としてGraham Parkerがいました。Elvis Costello好きの僕としては、Costelloと同じ匂いのするアーティストとしてGraham Parkerに注目していたのだと思います。

そんな僕が最も愛聴しているGraham Parker作品が今日紹介する『The Mona Lisa's Sister』(1988年)です。正直、商業的にはサッパリのアルバムですが、コアなロック・ファンからの評価は高いアルバムなのでは?

僕の中ではLou Reed『New York』(1989年)と並び、当時のベテラン・ロッカーの魅力を再認識したアルバムでした。『The Mona Lisa's Sister』『New York』共にベテランにしか出せない枯れた円熟味に魅了されましたね。

『The Mona Lisa's Sister』は、Grahamらしい原点回帰のロック・チューンと芳醇な味わいの哀愁メロディのバランスが最高です。

プロデュースはGraham本人とRumour時代の盟友Brinsley Schwarz。
バックにはSchwarz(g)、Andrew Bodnar(b)という元Rumourメンバーに加え、Dire StraitsのTerry Williams(ds)、AttractionsのPete Thomas(ds)等が参加しています。

哀愁のメロディをバックに歌うGrahamのしゃがれ声を聴いていると何故か涙腺が緩くなります。

全曲紹介しときやす。

「Don't Let It Break You Down」
原点回帰といった感じのオープニング。シングルにもなりました。パブロック、Elvis Costelloが好きな人はグッとくるはず!オルガンの音色がたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=Mzi_rsnV2r0

「Under The Mask Of Happiness」
アコースティックながらも小気味の良いが魅力の曲。
http://www.youtube.com/watch?v=g4E4P0HRdLk

「Back In Time」
哀愁メロディその1。哀愁メロディにはGraham Parkerのしゃがれ声がよく似合います。

「I'm Just Your Man」
哀愁メロディその2。この男臭さがたまりません。背中が全てを語っている感じでしょうか...

「OK Hieronymus」
弾けたロック・チューン。抜けの良さが気持ちいいですね!

「Get Started, Start A Fire」
シングル曲。Tom Petty & The Heartbreakersっぽい仕上がりです。Tom Petty好きの僕は勿論O.K.!
http://www.youtube.com/watch?v=YQRnY3PFwHI

「The Girl Isn't Ready」
お得意のレゲエ・チューン。このあたりはUKっぽくていいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=02uO10JVxl8

「Blue Highways」
哀愁メロディその3。超名曲だと思います。当時、ウォークマンでこの曲ばかり繰り返し聴いていました。Grahamの成熟ぶりを実感できる1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=sQNdWQEMgdM

「Success」
哀愁メロディその4。「Blue Highways」と並ぶお気に入り曲。「Blue Highways」から本曲へと続く流れがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=_zzsRVeXcL8

「I Don't Know」
大人のロックンロール。力みのない自然体のロックンロール!みたいな感じが好き!
http://www.youtube.com/watch?v=VTF8mtB54js

「Cupid」
ラストは本作唯一のカヴァー。Sam Cooke、1961年のシングルでばっちりキメてくれます。Grahamならではの味わいが発揮された絶品カヴァーだと思います。

僕もこんな枯れたオヤジになりたかったのですが...
キャラ的に無理だったようです(笑)
posted by ez at 03:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月10日

Kero One『Early Believers』

ジャジーHip-Hopの枠を飛び越えた傑作!☆Kero One『Early Believers』
アーリー・ビリーヴァーズ
発表年:2009年
ez的ジャンル:進化系ジャジーHip-Hop/クロスオーヴァー
気分は... :パーフェクト!

今日はジャジーHip-Hopファンにとってはマストな1枚、Kero Oneの新作『Early Believers』です。

カリフォルニア生まれの韓国系アメリカ人MC/プロデューサーKero Oneの紹介は『Kero One Presents:Plug Label』(2007年)に続き2回目になります。

ジャジーHip-Hopファンは待ちに待った1枚ですね。
発売から約1ヶ月が経ちますがアングラHip-Hop作品としては相当売れているのでは?

数日前に行った某大手CDショップのアングラHip-Hop売場でもメジャー作品並みに大プッシュされていました。これまでKero Oneが残してきた極上ジャジーHip-Hop作品の数々を考えれば当然かもしれませんね。

僕も発売直後に購入し、ここ1ヶ月間毎日のように聴いています。

本作『Early Believers』は、Kero One名義としては1st『Windmills of the Soul』に続く2ndアルバムとなります。その間にリリースされた自らのレーベルPlug Labelの編集盤『Kero One Presents:Plug Label』も実質的には彼の作品ですが。

今回、Ben WestbeechTuomoという2人の男性シンガーが各2曲でフィーチャーされています。

Ben Westbeechは、Gilles Peterson主宰のBrownswood Recordsに所属する男性シンガーであり、当ブログで紹介した作品の中ではJazzanova『Of All The Things』でフィーチャーされています。一方のTuomo(Tuomo Prattala)は、"北欧のStevie Wonder"と評判のフィンランドのシンガー/キーボード奏者です。

おそらくHip-Hopファンよりクラブジャズ・ファンの間での知名度が高いのであろう二人のシンガーの参加に象徴されるように、本作『Early Believers』はジャジーHip-Hopの枠に軽々超えてしまった作品に仕上がっています。さり気なくエレクトロなテイストを取り入れているのも印象的ですね。

その意味では、クラブジャズ/クロスオーヴァー好きの方が聴いても十分に楽しめる1枚です。特に僕のようなジャジーHip-Hop、クラブジャズ/クロスオーヴァー共に大好き!という方にとっては、かなりパーフェクトな1枚という気がします。

Ben Westbeech、Tuomo以外にOhmega Watts(Lightheaded)Kat OuanoCrown City Rockers)といったアングラHip-Hopファンにお馴染みのゲストも参加しています。

捨て曲ナシ、全曲オススメの充実作です!
特に国内盤には人気のCradleによるリミックスという嬉しいオマケ付き!
ちなみに国内盤とUS盤はジャケが異なります。

Kero One『Early Believers』(US盤)
Early Believers

進化し続けるKero Oneに脱帽です!
ぜひ皆さんゲットしましょう。

全曲紹介しときやす。

「Welcome To The Bay」
女性シンガーJacqueline Marieのヴォーカルをフィーチャーした爽快なオープニング!Kero Oneからの素敵なお出迎え!といったところでしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=fY39XNcXFKM

「When The Sunshine Comes」
本作における一番人気の曲はBen Westbeechをフィーチャーした本曲でしょうね。タイトルの通り、黄昏の陽光が語りかけてくるかのような仕上がり!浜辺でくつろいでいる雰囲気を堪能できまるのがいいですねぇー。穏やかな音色のジャズ・ギター、リラックスしたBen WestbeechのヴォーカルおよびKero Oneのラップが三位一体となった極上ヴァイヴを聴けば、誰しもハッピー・モードになれるはず!
http://www.youtube.com/watch?v=3P6D1ETR5sM

「Keep Pushin'」
僕の一番のお気に入りチューン。スパニッシュ・テイストのアコギの響きがサイコーに決まっています!ポジティブ・モードにスイッチを入れたい時にピッタリな1曲ですね。最近の僕は仕事前にこの曲を聴いて気合い入れてます(笑)。プッシュしまくるぜ〜!
http://www.youtube.com/watch?v=bzM1Ee3fo3Y

「Lets Just Be Friends」
Tuomoをフィーチャーした話題の1曲。Kero OneとTuomoというワクワクする組み合わせですが、その期待通りの内容にニンマリしてしまいます。ジャジーHip-HopとクラブジャズとR&Bの幸福な出会いといった感じでサイコー!

「Bossa Soundcheck」
タイトルの通り、極上のボッサ・ヴァイヴ!軽くエレクトロな感じがカッチョ良いですな。中間のメロウなフェンダーローズはKat Ouano。

「Love And Happiness」
再びTuomoをフィーチャー。Al Green、1977年のシングル曲をカヴァーしています。オリジナルをイメージして聴くと相当ギャップがある爽快な仕上がりです。

Al Green「Love and Happiness」
 http://www.youtube.com/watch?v=hsU6_eSG4k4

「Stay On The Grind」
Ohmega Wattsをフィーチャー。Kero Oneとのマイクリレーを楽しみましょう!

「A Song For Sabrina」
クロスオーヴァーなインスト・チューン。 ここまで来るとジャジーHip-Hopという枠を完全に飛び越えて、クラブジャズ/クロスオーヴァーといった感じですね。

「This Life Ain't Mine」
この曲もジャジーHip-Hopを聴いているというよりも、ラッパーをフィーチャーしたソウルフルなクラブジャズを聴いている感覚になります。

「I Never Thought That We」
Kat Ouanoのフェンダーローズをフィーチャーしたアーバン・メロウな極上ジャジーHip-Hop。ひたすら気持ちいいですな。

「Goodbye Forever」
再びBen Westbeechのヴォーカルをフィーチャー。別れをテーマにしていますが、ロマンティック&ソウルフルな仕上がりがグッド!ベイエリアの落陽を見つめながら聴きたい1曲ですな。

「On And On」
アルバムの余韻を味わうジャジー&エレクトロなインスト。

「When The Sunshine Comes (Cradle Remix feat. Anan Ryoko) 」
国内盤のボーナス・トラックはCradleによる「When The Sunshine Comes」のリミックス。オリジナルがリラックス・モードとすれば、リミックスはエレガント・モードといった感じですね。

本作でフィーチャーされていたTuomoも今月後半に新作『Reaches Out For You』がリリースされてます。こちらも楽しみですね。人気曲「Don't Take It Too Hard」を含む前作Tuomo『My Thing』(2007年)もオススメです。

Tuomo「Don't Take It Too Hard」
http://www.youtube.com/watch?v=Db07ELQJuDE

Tuomo『My Thing』(2007年)
マイ・シング
posted by ez at 08:29| Comment(0) | TrackBack(1) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月09日

Tamiko Jones『Love Trip』

人気曲「Touch Me Baby」、「Creepin'」収録☆Tamiko Jones『Love Trip』
ラヴ・トリップ
発表年:1975年
ez的ジャンル:フリーソウル
気分は... :多美子さんとラブ・トリップ!

今日はTamiko Jones『Love Trip』(1975年)です。

昨日はちゃんこ鍋で一杯やっていたのですが、かなり酔っ払い状態で帰宅。
そんなフラフラ状態でCD棚をガサガサやっていたら、目に留まったのが多美子(?)さんでした(笑)

Tamiko Jones(本名:Barbara Tamiko Ferguson)は1945年ウエスト・ヴァージニア生まれ。父親はアメリカ人、母親は日本人。

19歳からデトロイトのクラブで歌い始め、その後N.Y.へ進出します。1966年、ジャズ・フルート奏者のHerbie Mannの目に留まり、彼との共演のかたちでレコーディングの機会に恵まれます。このコンビで翌年にはアルバム『A Mann & A Woman』をリリースし、ジャズ及びポピュラー分野で注目されるようになります。

その後『Tamiko』(1968年)、『I'll Be Anything For You』(1968年)、『In Muscle Shoals』(1969年)と一作ごとにレーベルを移りながらアルバムをリリースしています。同時にソウル色を強めていきました。

「Don't Go Breaking My Heart」(『Tamiko』収録)
http://www.youtube.com/watch?v=e_BW_CwUbSQ

そして、1975年に本作『Love Trip』をリリース。シングル「Touch Me Baby」が全米R&Bチャート第12位のヒットとなりました。1977年にはTommy Stewartがソングライティング/アレンジを手掛けた「Let It Flow」、Average White Bandのカヴァー「Cloudy」等を含むアルバム『Cloudy』をリリースしています。また、1979年にリリースしたシングル「Can't Live Without Your Love」もガラージ・クラシックとして人気ですね。1986年には Marvin Gayeの名曲「I Want You」をカヴァーしています。

「Can't Live Without Your Love」
http://www.youtube.com/watch?v=ZBV2jEK9_jU

やはり、日本人として気になるアーティストですよね。
ジャズ、ポップス、ソウル、ディスコと様々なフィールドで活動してきた幅広い間口を持つTamikoさんですが、フリーソウルのコンピで初めて彼女を知った方が多いのでは?僕もそうです。

そんなフリーソウル人気曲「Touch Me Baby」「Creepin'」を含むアルバムが本作『Love Trip』(1975年)です。

Tamiko Jones自身がプロデュースし(1曲のみRoger Hawkinsがプロデュース)、The Muscle Shoals Rhythm Sectionがバックを務めています。元々がジャズ/ポピュラー系シンガーであるため、ディープでソウルフルな歌声という訳ではありませんが、キュート&ライトなヴォーカルは魅力的だと思います。

大きく括ればソウル系の作品になるのかもしれませんが、ソウルのみならず、ポップス、ロック、カントリー、ジャズの要素もあり、彼女の間口の広さを存分に楽しめる作品になっていると思います。

全曲紹介しときやす。

「Touch Me Baby」
前述のように全米R&Bチャート第12位となったシングル曲。Johnny Bristol「Reachin' Out For Your Love」のカヴァーです。カッコ良いイントロのブレイクとセクシーなTamikoのヴォーカルにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=xJHisyw-wJ0

Johnny Bristol「Reachin' Out For Your Love」
 http://www.youtube.com/watch?v=Uv9W7ARMXYg

「Everyone Belongs To Someone」
軽快なグルーヴとTamikoのキュートなヴォーカルのバランスがグッド!

「I'm The Woman Behind The Man (Playing The Guitar In The Band) 」
カントリー/ロック・テイストのアーシーな1曲。Muscle Shoalsらしい仕上がりなのでは?

「Just You And Me」
シングルにもなったバラード。この曲も土の匂いが漂ってきます。ディープではありませんが、じんわりと伝わってきます。

「Just Sitting Around」
完全にポップ・フィールドな仕上がり。こういったポップな楽曲に彼女のキュートなヴォーカルはマッチしますね。シンセの音色が何ともプリティ!

「Let Me In Your Life」
Bill Withersのカヴァー。ストリングスとフルートの音色が印象的なロマンティック・バラード。ジャズ・フィールドのTamikoに出会うことができます。

「Creepin'」
「Touch Me Baby」と並ぶフリーソウル人気曲。当ブログでも紹介したStevie Wonderの名曲カヴァー。数多くのカヴァーが存在する「Creepin'」ですが、その中でもこのTamikoヴァージョンが一番人気なのでは?オリジナルのミステリアスな雰囲気を残しつつ、キュート&ライトなTamikoのヴォーカルの魅力を存分に堪能できます。

「Oh How I Love You」
Phillip Mitchell作品。プリティなイントロのギターリフが印象的な爽快グルーヴ。ラブリーな感じがたまりません!

「Who Is She (And What Is She To You) 」
Bill Withers作品のカヴァー2曲目The Three Degrees、Soul Children、Madeleine BellValerie Carter等もカヴァーしていますね。明るく軽やかな楽曲が多いアルバムですが、この曲に限ってはへヴィですね。

「Read Me Right」
音的にはアルバムで一番カッチョ良い曲だと思います。うねるグルーヴがサイコー!

「Chili Dog」
Roger Hawkinsプロデュース曲。James Taylorのカヴァーです(オリジナルは『One Man Dog』収録)。バックの演奏も含めてセンスの良さが光るカヴァーに仕上がっています。

「A Long Way To Go」
Barry Mann/Cynthia Weil作品。Edwin Hawkins SingersやDionne WarwickEmotions、David Fosterも在籍していたグループSkylarkも取り上げています。ブリル・ビルディング系の曲らしくポップなアレンジがいいですね。

入手しづらい状況ですが、Herbie Mann & Tamiko Jones『A Mann & A Woman』もゲットしたいですね。ボッサな楽曲もあり、今の僕の嗜好にフィットするのでは?と期待しています。

Herbie Mann & Tamiko Jones『A Mann & A Woman』
男と女
posted by ez at 09:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月08日

Lennie Dale & Sambalanco Trio『Lennie Dale E O Sambalanco Trio』

エンタメ精神溢れるジャズ・サンバで大盛り上がり!☆Lennie Dale & Sambalanco Trio『Lennie Dale E O Sambalanco Trio』
Lennie Dale.jpg
発表年:1965年
ez的ジャンル:エンタメ系ジャズ・サンバ
気分は... :エンタメ精神は大事ですな!

今日はLennie Dale & Sambalanco Trio『Lennie Dale E O Sambalanco Trio』(1965年)です。

国内盤CDには"1967年作品"となっていますが、他のリソースには1965年作となっています。ここでは1965年作としておきます。間違っていたならばゴメンナサイ!

Lennie Dale(1934-1994年)は、アメリカN.Y.生まれ。アメリカ、ヨーロッパでダンサー/振付師として活躍した後、ナイトクラブ・ショーの振り付けのためにブラジルへ渡ります。やがてジャズ・ボッサの本拠地、リオのBeco das Garrafasでシンガーとして活動するようになります。

そして、ブラジル音楽ファンにはお馴染みの独立レーベルElencoから、『Um Show De Bossa』(1964年、Bossa Tresとの共演)、『Lennie Dale E O Sambalanco Trio』(1965年、Sambalanco Trioとの共演)、『A 3a Dimensao de Lennie Dale』(1967年、Trio 3Dとの共演)といったアルバムをリリースしています。ジャズ・サンバの優秀なピアノ・トリオを選別する才能があったのでしょうね。。

このアメリカ人振付師のヴォーカル・スタイルがブラジル音楽シーンに与えたインパクトは大きかったようですね。その後もブラジルでショー関係の仕事に従事していましたが、エイズのため1993年にアメリカに帰国し、1994年に死去しています。

今日紹介する『Lennie Dale E O Sambalanco Trio』Sambalanco Trioとの共演作です。

Sambalanco Trioは1962年にサンパウロで結成されたピアノ・トリオ。メンバーはCesar Camargo Mariano(p)、Humberto Clayber(b)、Airto Moreira(ds)。何といってもその後人気パーカッション奏者となるAirto Moreiraの参加が目を引きますね。また、Cesar Camargo Marianoは故Elis Reginaの2番目の夫として有名ですね。

グループ名"Sambalanco"はサンバ(Samba)とバランソ(Balanco)を組み合わせたものだと思います。バランソについては先週エントリーしたClara Moreno『Miss Balanco』で取り上げたばかりですね。

さて、本作は、リオのナイトクラブZum Zumのショーをスタジオで再現したものです。
アルバム全体を1つのショーとして聴くと楽しいのでは?

Sambalanco Trioの変幻自在な演奏には相当グッときます。また、Lennie Daleのヴォーカルにも実に雰囲気があります。何よりショーマンシップに溢れたエンターテイナーぶりがいいですね。

聴き終った後にエキサイティングなショーを観終わったような満足感を得ることができます。
クラブ世代の若いリスナーの方もかなりグッとくるはずですよ!

全曲紹介しときやす。

「The Lady Is A Trump」
1937年のミュージカル『Babes In Arms』の挿入歌(Richard Rodgers/Lorenz Hart作)。ここではLennie Daleの♪ウー・アー・イ・ア・ア〜♪の掛け声と共に、スピード感のあるご機嫌なサンババランソを聴かせてくれます。この1曲だけで僕はKOされてしまいました。サイコー!

「Samba De Mudar/Consolacao」
プロテスト・ソングで知られるノルデスチのシンガーGeraldo Vandreの作品「Samba De Mudar」とBaden Powell作「Consolacao」のメドレー。「Consolacao」は以前にTamba 4のヴァージョンを紹介しました。ここでもLennie Daleのヴォーカル、Sambalanco Trioの演奏共にハイテンションで飛ばしてくれます。

「Reza」
Edu Loboの大ヒット曲をカヴァー。それまでのハイテンションな2曲から一転して、ノスタルジック・ムードが漂います。イントロのClayberのハーモニカがセンチメンタル気分にさせてくれます。

Edu Lobo「Reza」
 http://www.youtube.com/watch?v=6c8WU9-PGV0

「Night And Day」
説明不要Cole Porter作のスタンダードをカヴァー。クラブ世代の若いリスナーの方もグッとくるであろう小粋なカヴァーになっています。Airtoのドラムがカッチョ良いです。

「O Morro Nao Tem Vez」
邦題「悲しみのモロ」。Antonio Carlos Jobim作品のカヴァー。前半は哀愁モードでスタートしますが、途中からどんどんテンション上がってくるのがグッド!

「Menino Das Laranjas/Opiniao」
Quarteto NovoのギタリストTheo De Barros作の「Menino Das Laranjas」とZe Ketti作「Opiniao」のメドレー。「Opiniao」はNara Leaoのヴァージョンが有名ですね。 ここではSambalanco Trioの三人がそれぞれらしい演奏を聴かせてくれます。

Nara Leao「Opiniao」
 http://www.youtube.com/watch?v=sRpcc65lQZE

「Quem E Homem Nao Chora/Berimbau」
再びGeraldo Vandre作品とBaden Powell作品のメドレー。「Quem E Homem Nao Chora」はGeraldo VandreとVera Brasilの共作、「Berimbau」はBaden Powellを代表する名曲です。抑えた歌&演奏が途中から解き放たれていく感じがいいですね。

Baden Powell「Berimbau」
 http://www.youtube.com/watch?v=N00YXpeRs94

「Na Baixa Do Sapateiro」
ディズニー映画『三人の騎士(The Three Caballeros )』でも使われたAry Barroso作品。ここではムーディーな歌&演奏を聴かせてくれます。

「O Pato」
邦題「あひる」。Joao Gilbertoのヴァージョンが有名な曲ですね(Jayme Silva/Neusa Teixeira作)。お茶目なアヒルのようにハジけた感じがグッときます。

Joao Gilberto「O Pato」
 http://www.youtube.com/watch?v=JB28oT6KyIY

「That Old Black Magic」
1942年の映画『Star Spangled Rhythm』のために書かれたスタンダード(Johnny Mercer/Harold Arlen作)。ラストはエレガントな雰囲気でキメてくれます。

只今、昨日のサッカー「チェルシー対バルセロナ」の再放送を観戦中。
何度観てもイニエスタの同点弾には興奮しますね。
冷静に観れば、チェルシー・イレブンに同情してしまいます。
確かに審判に抗議したくなりますよね!

でも僕はバルサ!バルサ!バルサ!
posted by ez at 03:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする