2009年05月14日

Pharoah Sanders『Love In Us All』

人気曲「Love Is Everywhere」収録のImpulse!ラスト作☆Pharoah Sanders『Love In Us All』
ラヴ・イン・アス・オール(紙ジャケット仕様)
発表年:1974年
ez的ジャンル:アフロ・アメリカン系スピリチュアル・ジャズ
気分は... :スピリチュアル&ピースフル

最も好きなジャズ・サックス奏者Pharoah Sandersの5回目の登場です。

これまで紹介してきたPharoah作品は以下の4枚(録音順)

 『Izipho Zam』(1969年)
 『Thembi』(1970年)
 『Elevation』(1973年)
 『Rejoice』(1981年)

5枚目の紹介となるのは『Love In Us All』(1974年)です。

90年代に再評価の高まったPharoah作品の中でも人気が高く、2003年遂にCD化が実現したファン待望の1枚ですね。僕も即行でゲットしました。

本作はImpulse!最後の作品であり、Impulse!時代の集大成といった感じの濃密な2曲が収録されています。

ジャズをあまり聴かれない方は、全2曲という曲数の少なさと曲の長さ(共に20分前後)に抵抗があるかもしれませんが、Pharoah Sandersの崇高なスピリチュアル・ジャズは20分くらいの尺の演奏を聴かないと逆に物足りなさを感じると思います。まぁ、そのように感じる時点でどっぷりPharoahワールドにハマっている証拠ですが(笑)

メンバーは、Pharoah Sanders (ts、ss、fl)、James Branch (fl)、Joseph Bonner (p)、Cecil McBee (b)、Norman Conner(ds)、Lawrence Killian (per)、James Mtume(per)、Babadal Roy (per)という布陣です。

Cecil McBee、Norman ConnerJames Mtumeあたりはお馴染みですね。Joseph BonnerはImpulse!時代のPharoah作品には欠かせないピアニスト、Lawrence Killianは当ブログでも紹介したPucho & His Latin Soul Brothersのメンバーだったパーカッション奏者です。

クラブ人気曲「Love Is Everywhere」、師匠John Coltraneへ捧げた「To John」共にPharoahらしさ全開の2曲だと思います。

Pharoah作品らしくないポップアートなジャケも印象的ですね!

全曲紹介しときやす。

「Love Is Everywhere」
「Prince of Peace」「The Creator Has a Master Plan」、「You've Got to Have Freedom」等と並んでクラブ方面で人気の高いPharoah作品ですね。タイトルの通り、Pharoahが人類に捧げた壮大な愛の賛歌です。

大きく2部構成になっており、前半はCecil McBeeのベースリフにグッときますね。ここではPharoahはサックスは吹かず、ヴォーカルで登場します。ますは言葉でメッセージを伝えたかったのかもしれませんね。ピアノやドラム&パーカッションも絡み、どんどん高揚していくのがたまりません。

後半はJoseph Bonnerのリリカルなピアノを中心にした穏やかな展開です。前半に比べるとジワジワと高揚がきますね。Pharoahのサックスが始まる頃にはピースフル気分200%に達しています(笑)。

このスピリチュアル&ピースフルな高揚感こそが僕がPharoah作品に求めているものなんですよね。やっぱり愛だよね!間違いなくスペシャルな1曲。19分では短すぎる、僕は40分この1曲のみでも全然OKです(笑)

「Love Is Everywhere(Part1)」
http://www.youtube.com/watch?v=IKN7BjYYW2o

「To John」
タイトル通り、師匠John Coltraneへ捧げられた曲。「Love Is Everywhere」と比較すると、後期Coltraneを受け継ぐフリーインプロヴァイゼーション全開で決して聴き易い曲ではありません。個人的には一般に言われるほどき聴きづらいとも思いません(師匠Coltraneと比べてですが)。限界に達した緊張感の高さが逆に相当カッコ良いと思います。Pharoahの亡き師匠への思いが込められた魂の演奏は、「Love Is Everywhere」とは別の意味で感動的に思えます。僕の耳もフリージャズに相当慣れてきたのでしょうか(笑)

感動ドキュメンタリーを観終えたように胸が熱くなる1枚です。
僕にとっての究極ジャズ、それはPharoah Sandersかもしれません。
posted by ez at 06:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする